LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

朝のお天気が悪かったのであるお誘いをキャンセルしていたら、後から日がさしてきてショックです。
地元のスポーツ大会観戦だったんですが、行くべきだったかなあ。

ずっと気になっていたのになんとなく敬遠していたマクロイ。
やばい、これは好みです。
前のも買わなきゃ。

幽霊の2/3(創元推理文庫)
ヘレン・マクロイ著 駒月雅子訳
幽霊の2/3 (創元推理文庫)幽霊の2/3 (創元推理文庫)
(2009/08/30)
ヘレン・マクロイ

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ミステリ通の間では長く語り継がれてきたものの、ずっと絶版だった「幽霊の2/3」。1950年代のアメリカ出版界を舞台にしていますが古臭さはいっさいなく。
登場人物、とくに女性たちの心理の描き方はさすが女流作家という感じで、初めは洒落た恋愛小説、それも森瑤子風のを読んでいるような趣さえ感じました。
何よりこのタイトルが小粋というか。読んだ人は皆さん言われるでしょうが。

4年前、従軍経験を元にしたデビュー作「退却命令なし」と共に突如文壇に現れ、以後はその多作もあり、ずっと売れっ子として大衆の支持を得続けている作家、エイモス・コットル。
書くもの書くものことごとく映画化され、テレビ番組にもレギュラー出演している彼は、その華やかな境遇とはうらはらに、実際は少年の如くおとなしく、流されやすい、繊細な人物です。
そんな彼の神経には有害なトラブルメーカーである妻・ヴィーラ。
せっかく別居していた彼女がハリウッド女優としてのキャリアを終え、エイモスのもとに戻るという知らせに、当の本人はもちろん、そのエージェントであるガス、彼の本を出版する出版社社長・トニーといった、関係者一同も震えあがります。

「ヴィーラがいてはエイモスは一行も書けなくなる」

表面上はヴィーラを歓待するため、実際は彼らにとって金の卵を生む鵞鳥・エイモスをヴィーラから守るため、彼女を自宅に招き小規模なパーティーを催すトニーと、その美しい妻・フィリッパ--。

タイトルの「幽霊の2/3」とは、そのパーティーの余興として行われたゲームの名前です。簡単なクイズゲームですが、3回ミスしたらアウト(=死=幽霊)、だから1回ミスするごとに
「君は幽霊の1/3だ」「はい、幽霊の2/3」等と宣告される。

そしてその不吉な名のゲームの最中に、当然のことながら事件は起こるのです。

誰も近寄りもしなかったのに、“幽霊の2/3”であった被害者はその時、衆人環視の中、ひとりで椅子から崩れ落ちていく。皆は酒に酔い潰れたと判断しますが、助け起こしたところでその死は明らかになります。
この事件が一見、昔多かった不可能犯罪風なので、パーティーにたまたま招かれていた探偵役が事件解決に乗り出すくだりで
「ああよくあるハウダニットか」と思ったわけですが…違うんです。

事件最大の謎は、「何故」。

それがわかれば「誰が」「いかにして」も解けるのですが、この「何故」がなかなか終盤近くまで明らかになりません。探偵はその前に、被害者とは誰だったのか、これをまず解き明かさねばならないからです。
宮部みゆきの「火車」なんかもそうなんですが、人が周囲に見せている顔と、実際には違う顔を持っていて、その人が殺されたり失踪したりした後、それを知った探偵役が途方に暮れる、というストーリーがわたしは好きなんです。なので、一気につぼにはまってしまいました。

このメインストーリーと同時に関係者たちの世界=出版界のあれこれが皮肉と共に描かれ、これが本好きにはまた、そそられますよね。

「プロットなんか要らない」という当時の文壇の流行を背景にしているのか、プロットなくして成り立たないミステリ小説はかなり辛辣な言われ方をしています(「検死審問」思い出しました)し、デビュー前の作家の元に出版社から
「ここはこう直せ」と指示の手紙が届くのですが、ここもデビュー後の批評と読み合わせると面白い。

そんな皮肉、というか作家の遊びも楽しめますし、翻訳ものらしい洒落た会話もたっぷりです。
エイモスを高く評価している批評家・レプトン(この人の描写が実にセクシー)がトニーの妻・フィリッパにある問いを発した時、
「なるほどこのタイトルはトリプルミーニングだったのか!」と思ったのですが(ゲームの名前、ゲームの名前通りの被害者の死、そしてレプトンの揶揄)、トリプルどころじゃないのが後でわかったり。

終盤は探偵による事件の矛盾点の整理が行われ、そして堂々の謎解きへ。
ここまでくるともう、「何故」の謎がだいたい解けているのでさほどの驚きはないのですが(わたしはむしろ、ここではトニーの、事件と全然関係ない発言のほうに驚きました)、面白く、洒落た小説を読んだなあという感覚が最初から最後まで途切れず、実に幸せでした。
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