LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

遡っての日記になりますが、土曜日は満を持して「オーシャンズ」を観てきました。
その日封切りの海洋ドキュメンタリー映画。
いや、これはみなさん観るべきですね。映像の迫力は劇場で堪能すべきでしょう。
イワシの大群を狙う海鳥が次々と海中に飛び込んでくるシーン。矢のような、という表現では生ぬるい、ものすごいスピードと勢い。イワシの身になって恐怖しました。2号は
「魚雷みたい」と言ってましたが、あんなのよく撮ったなあ。
嵐のシーン。あの揺れ動く漁船は無事帰港できたのかと心配になりました。
ヒレだけを伐られ、再び海中に投じられた鮫の瀕死の姿はショッキングでした。

ただちょっと、エコロジーや動物保護を直接的に訴える部分が鼻についたかなあとは思います。
ナビゲーターが白人だっただけに。
昔、モアとかドードーとかアメリカリョコウバトとか本当のペンギンとか、その手に絶滅動物について書かれた本を読んで以来、とりあえず白人に言われる筋合いはないよと思ってしまうのがわたしのわるいくせです。
時期的に捕鯨反対運動なんかが気になっていたのもあり…この映画にそういうバイアスがかかっている、というわけではないのですが、これをつかって後で何か言いそうな人はいそうだなあ。
もっと
「海ってすごいよ!」という映画だと思っていましたので、そのあたりは違っていたみたいです。
時間の都合で日本語吹き替え版を観たところ、当たり前ですが劇場内は子ども率高し(子ども料金500円)。

そんな土曜日の、未明に読了。映画話まったく関係なし。

ジャンピング・ジェニィ(創元推理文庫)
アントニイ・バークリー著 狩野一郎訳
ジャンピング・ジェニイ (創元推理文庫)ジャンピング・ジェニイ (創元推理文庫)
(2009/10/29)
アントニイ・バークリー

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「毒入りチョコレート事件」「レディに捧げる殺人物語」を読んでいたのでまったく不安なく手にとったこの本。
実に皮肉なタイトル、そして絞首台にぶらさがる死体描写から始まる気の利いた導入部。
「ああこの絞首台に今に被害者の死体がぶらさがるんだな」とわかるように。その期待は裏切られません。
そして被害者はほんとうに、絵に描いたような嫌な人間で、それがいかに嫌かを丁寧に、丁寧に描写してくれるので、犯人が手を下してすかっとするくらい。

こういうのが好きなんです。
同情すべき哀れな被害者・猟奇的な手口・重く悲惨な犯人の人生と動機、そういうのに比べ、感情移入しやすい、自分とあまり常識の変わらない中流階級の人間が、
「むしゃくしゃしてやった」みたいなミステリは、安心してその後の推理を追うことができます。
「人間を描いてない」とか言う人いますがそんなのキニシナイ。

そう、これは倒叙小説の一種なんです。
冒頭で主人公=探偵役が紹介され(←これがあるので解説ではバークリー入門書として本書を推薦しています)、
・続いて舞台背景と登場人物が悪趣味なパーティーの描写を通じまとめて紹介され、
・その中の嫌われ者が誰か、それはなぜか、くどいほどに描かれ、
・そして機会を得たある人物が、とっさに手を下す
実にわかりやすい展開。
やがて一見自殺死体のような被害者が発見され、探偵たちはいかにして事件が起こったかと首を捻る…

ただし探偵役達が事件を推理するのは、犯人糾弾のためではありません。

一つには、純粋な好奇心、知的ゲームのため。
名探偵と名高い自分の目の前でまんまとことを運んだ犯人の豪胆さ。
要するに主人公はこの犯罪を自分への挑戦と受け取ってしまうのです。
「君が犯人なら」
「僕が犯人なら」
「彼が犯人なら」
 と、様々に仮説を立て検証していくあたりはいかにも古き良き時代のミステリという感じ。

もう一つは犯人をかばうため。と同時に自分たち全員をかばうため。
被害者が死んで悲しむ人間は一人もいない。犯人はいわば公徳心から手を下したに違いない。
であるならば犯人はもちろん、関係者の誰も、司直の手に渡してはならない。
にもかかわらず事後従犯の罪に問われかねないヘマをしてしまった、それも友の指摘があるまで気づけなかった迷探偵。
抜き差しならない状況で、検死官を欺き、刑事たちを騙し、何とかして
「これは自殺だ」という結論に持っていこうとするわけですが…警察も決して馬鹿ではない。次々と重要証拠と思われるものを押さえていきます。
冷や汗かきつつ二日後の検審に間に合わせようと、つじつま合わせに奔走するドタバタぶりも読みどころでした。

果たして検死審問の行方は。

そして、ラストでもう一捻り(予想されたものではありますが)。
余計なことを考えずに1時間、たっぷり愉しめました。

ところで、当初この事件を見せかけ通り、自殺ではと思っていた探偵たちは、
「これが最初のケースになるんじゃないか?よくある、『死ぬ死ぬと騒ぐやつで死んだやつはいない』の反証になる」(maki意訳)などと笑い合っていましたが、あの時代既にイギリスではそう言われてたんですね。
そしてストーンズの「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」のタイトルにもなってる、「ジャンピング・ジャック」の意味がわかって一つ賢くなりました(イギリスのものだから、でしょうか、アメリカで発売された際は本書のタイトルは「ジャンピング・ジェニイ」ではなくなってましたが)。
ジェニイとは「ジャンピング・ジャック」の女性版として、登場人物の一人が作中命名したもの。
「ジョン・ドゥ」の女性版が「ジェーン・ドゥ」って言われるみたいな感じですね。
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頷きまくり

昨日うちも観て来まして、makiさんの感想を読みながらうんうんそうそうと
ひたすら頷くことこの上なしです。
いわしの群れの動きも凄かったし、そこに飛び込む海鳥がもう。
ひたすら「魚!魚!魚!」と海に飛び込んでいたのかなーとか想像してしまいました。
DVDじゃなく、絶対劇場の大きな画面で観たほうがいいですよね!

2010.01.25 12:15 URL | ナノ #4C5bA0qg [ 編集 ]

ナノちゃん、いらっしゃいませ。

あのシーンすごいですよねー。

> ひたすら「魚!魚!魚!」と海に飛び込んで

いやほんと、そういう迫力でした。心を無にしないとあれはできないなあ。
釣りをしていると時々イワシやアジが群れで来るし、そうすると海鵜がああいうことをするわけですが、なんかスケールの違いにびっくりします。
せっかくの迫力映像ですから、やっぱり映画館をお勧めしたいですよね。
DVDだと、テレビでよくあるネイチャー番組みたいになっちゃうかも。

2010.01.26 02:39 URL | maki #mxyayG2g [ 編集 ]















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