LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

念のいった寒の戻りでびっくりしましたが、今日はいいお天気ですね。
現金なもので、
「外が明るい」というだけで気持ちも明るくなります。冷え込みは冬のものでも。
風光るとは、よく言ったものです。

魔窟から読みかけの本を発掘してようやく読了。
例によって今日ではありませんけれども。

海神の晩餐(光文社文庫)
若竹七海著
海神の晩餐 (光文社文庫)海神の晩餐 (光文社文庫)
(2007/02/08)
若竹 七海

商品詳細を見る

恩田陸さんもそうですが、この若竹七海という人も、読者の立場から
「こういうものを読みたい」とご自身が思われるものを書いていらっしゃるようにしばしば感じます。この人の「船上にて」が好きで、同じような海洋ものかと思い手にとったのですが、いやこれが凝っていること。

良家の子息、本山高一郎(愛称:もとさん)は誰からも愛されるおっとりとした気質の持ち主で、大の推理小説好き。
しかし、彼の高等遊民ぶりに手を焼いた家族は、
「せめてその語学を生かしてみろ」とシアトルで会社経営に携わる知人のもとで働くことを高一郎に命じます。
時は1932年、春--この小説は彼が横浜から氷川丸に乗り、バンクーバーで降りるまでの、10日間の旅を描いています。

古き良き時代の優雅な船旅、高一郎と教養ある一等船室の客達との交流、淡い恋と友情…この設定だけで充分面白いのに、まず、登場する虚名実名がすごい。舞台がぜんぜん違いますが、デイヴィット・ハンドラーのスチュアート・ホーグシリーズみたいです。出てくる名前がわかればわかるだけ面白い。わからない方は巻末の「好事家のためのノート」を参照されると楽しいと思います。
いきなり遡ること20年前のタイタニック号の遭難がリアルに描かれ、また時代が戻ればチャーリー・チャン(E.D.ビガーズの小説の主人公)が登場し、同じ船に乗り合わせます。高一郎の愛称を
「どこかで聞いたような」と思っていたら、航海中親しくなったアメリカ人の友人にジョン・P・マーカンドがいて、彼が伝え聞いた高一郎の武勇伝をヒントにミスター・モトシリーズを書く、というオチまで。

乗船前夜、高一郎は共産党の思想に染まってしまった学生時代の知人に会い、手元不如意の彼から
「沈みゆくタイタニック号から持ち出された、ジャック・フットレル(フュートレル)の未発表原稿『消えた女』を買ってくれないか」と頼まれ、半信半疑ながらそれを手にします。
航海中はこの原稿の謎をめぐり、盗難や幽霊騒ぎ等々、様々な事件が起きるわけですが、それと並行して一等客室の客たちが、旅の徒然に各自この原稿を途中まで読み、各々の推理を語り合うという楽しいおまけもついていて……作中登場するこの「消えた女」は劇中劇の役割を果たしますが、これがまた、思考機械シリーズの見事なパスティーシュになっていて、それにチャーリー・チャンによる解決編がつくという贅沢さ。何というサービス精神かと思います。

こんな調子で全体としては楽しく愛らしく、それでいて皮肉の効いた軽い物語ですが、日本郵船のドライカレーの味を思いつつ(美味しいです)、読み終えてみればそんな人の営みをすべて呑み込んでしまうかのような「時代」の波の大きさ・恐ろしさが黒々と心に残る、凝った構成。
ネタバレになるので詳しくは書けませんが、このところ国とか政治とかそういうことを考えさせられることが多くて、そんななかで高一郎がとった行動と、彼に影響を与えたチャーリー・チャンの大人らしい助言が感動的でした。

ぜんぜん関係ないのですが、この本にも名前が出てくるタイタニック号から生還した日本人乗客、鉄道院副参事・細野正文氏への中傷ってすごかったらしいですね。恐ろしい事故に遭って、それでも九死に一生を得て帰国したら、
「生きて帰ってくるなど恥さらし」と言わんばかりの書き立てられ方をしたそうです。同様の非難を、欧米人であっても生還者は受けたらしく。
時代も恐ろしいですが、マスコミってやっぱり恐ろしい。
拍手レスです。

>内緒さま
初めまして、コメントありがとうございます!
拍手へのお返事は、いただいたエントリの、その次にあげた記事の最後ですることにしているのですが(このように)、初めての方はもしかするとそこまで見ていただけないかも知れないと思い、今回は内緒さまへのお返事も、「JAEスタッフブログ更新」のコメント欄でさせていただきました。概要、そちらをご覧いただければと思います。

余計なお世話といえば余計なお世話なのですが、JAEにもせっかく波が来ているうちに、ビジネスとしてものにしてほしいと思うのですよね。
事務所自ら揉めごとの種になるのでなくうまく防いで、揉めるほど熱くなっているファンをしっかり取り込めるしたたかさを持ってほしいと思っています。

コメントなしの皆様も、ありがとうございます。
関連記事

style="clap"














管理者にだけ表示

トラックバックURL↓
http://maki555.blog88.fc2.com/tb.php/1648-31d967b3

| ホーム |