LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。


だから満席なんだってば!
でも、土曜日の次郎祭チケット瞬殺ぶりとか見ると、こんなふうにごり押ししたい気持ちもわからないでもない。

そんな週末に読み終えました。

君を想いて(創元推理文庫)
ジル・チャーチル著 戸田早紀訳
君を想いて (創元推理文庫)君を想いて (創元推理文庫)
(2010/03/11)
ジル・チャーチル

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裕福な家庭で何不自由なく育ったのに、大恐慌で父親は破産し、失意のうちに自殺。見事なまでの無一文となってしまったリリーとロバートのブルースター兄妹。
幸いにして遠縁の親戚から莫大な遺産を相続することとなったのですが、それにはどういう気まぐれか、「相続は10年後」という条件がついていました。それまでリリー達は財産の一部であるニューヨーク州郊外の邸宅、グレイス&フェイヴァー邸を維持し、弁護士の後見を受けねばなりません。

ということで都会の生活を捨て、グレイス&フェイヴァー邸に住みついた2人ですが、とにかく現金収入がありません。
そこで恐慌後の混乱のなか、あれこれと手間仕事を見つけ、何とかしのいでいくのですが、その周囲ではなぜか、しばしば殺人が起こる--。

本作はシリーズ第5作。今回リリー達は、近所の養護ホームでシーツ運びや床磨きといった雑用を請け負うことになります。
ホーム経営者であり自身、有能な看護師でもあるミス・トウィベルは足指の腱膜瘤が悪化して身体の自由がきかなくなり、また入居者の世話をする従業員の1人も、インフルエンザで倒れてしまったのです。
そんなわけで一時的にせよ、猫の手も借りたい状況なのですが、額に汗して懸命に働きつつも、自分たちが猫の手以下であることを痛感するリリー達。

そんななか、ホーム入居者の1人が死を迎えます。殺人の証拠つきで。
しかし彼については関係者の誰もが、余命あとほんの数時間だと思っていました。犯人はなぜ、そんな老人にわざわざ手を下したのか。

ミステリというよりアメリカ近代史、という観点でつい読んでしまうこのシリーズ。
フーヴァーを破ったフランクリン・ルーズヴェルト大統領の就任式を見に、物見高いロバートがワシントンD.C.まで遠征したり、またその就任直後、さっそく発令されたニューディール政策によって、次々と銀行が閉鎖されていく、そんな世相が描かれます。
リリー達の住む郊外の村もやはり不況の波からは逃れられず、商店が次々と閉まっていくために何かちょっとしたものを手に入れるのにも苦労する主婦たちのため、セールスマンが移動スーパーよろしく小型バスに試供品を満載し、注文取りに回ったりしています。

わたしは乳母日傘育ちのリリーたちの、意外なたくましさも大好きです。
ロバートは老人ホームの業務生産性を高めるある素晴らしいアイディアを思いついて雇用主であるミス・トウィベルに喜ばれますが、それは彼が怠け好きだから。

事件そのものはわりあい小粒ですし、今回特にフーダニットとしてはちょっとな、と思えるのですが、その分、町の治安を預かるハンサムな警察署長、ハワード・ウォーカーの<仕事の流儀>といったものが丹念に描かれています。

それが何かの役に立つとは正直思っていなかったが、手に入れられる限りの情報を集めてなんどもふるいにかけるのが彼の仕事だった。(中略)最初の上司からは、警察が集める事実の九十パーセントは役に立たないが、すべてを書き留めて残る十パーセントの重要な事実を見逃さないようにしろと教えられた。

このウォーカーにせよミス・トウィベルにせよ、職業人というのはこういうものだ、みたいな人物像にとても共感しますし、世が世なら上流階級に属する者として彼らとの交流すらなかっただろうリリーとロバートが、その美点にちゃんと敬意を払っているのも快い。
アメリカという国家を手放しで好きかと聞かれると困ってしまいますが、彼らの自助の精神だけは尊敬すべきだろうと思っています。
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