LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

「響鬼」の万引きエピソードを想起させる展開が実に予想通りという気がしてきまして、頻々と出てくる東京批判や
「人が人を大切にしない」という台詞が頭にすっと入ってきません。
都会人という特殊な人種がいるわけではありません。大半は田舎から出てきた人々です。
カノンは人を大切にしないその街を、自分も構成しているということに、どうして目をつぶっていられるのでしょうか。

人の輪の中に入れば、嫌なこともあるけど同じくらいうれしいこともある。なのにその嫌なことばかりを強調するのはフェアな描写といえるでしょうか。
自分の周囲にも確かに存在するそうした善意を、カノンはどうして無視していられるのでしょうか。

辛い思いをして、信じてきたものを揺るがされた、その心情の吐露には心動かされますし、悲しみに目を塞がれたその一時的な状況を今描いているところなのだと思いますが、
「お前はいったいどうなのか」という自己反省がない、まったくの第三者的立場からの批判的な叙述をわたしが苦手としているだけに、そんなにこれでもかと繰り返さなくてもいいのにと感じます。わたしの好みからするとすこし、しつこいんだなあ。
そうではなく、現状
「自分はうまく生きられていない」と認識しているカノンが出会った、楽しい仲間たちという雰囲気の企画書マンガにはかなり心ひかれましたが(公式サイト第3話「クリック! ファンタスティック!」参照)。
今回、チーフとはすこし打ち解けられたようで、ほっとしました。

あ、タイヘイたちが東京批判を言うのはすこし、わけがちがう。彼らは人ではないから、第三者的立場に立つことは当然です。
カノンも俗世とは関係ない、平常人ではないという話になれば、最終的に納得がいくのかも。
突如店を走り出ていってしまったカノン。チーフもあとを追いますが見つかりません。
「巫崎さん見なかった」
「いないと思いますけど? どうかしたんですか」
「ううん、別に」
このチーフ良い人です。カノンの失態に関する愚痴を、他のスタッフにはもらしません。
ひとしきり泣いた後、戻ってきたカノンに小声で注意しますが、そのさなかに店長が現れた時も、
「よくやってくれますよ」と庇います。驚いたようにチーフの顔を見るカノンですが、礼は言えないんですね。
話があるから歓迎会には出席するようにと言われ、顔を歪めるカノン。

公園でカノンを待つイケチヨとタイヘイ。しかし、女子高生たちがベンチでオヤツを広げるのを見て、ブチンコがしきりにうらやましがるので一旦引き上げることに。
街を歩く2人。その間を割って通るように、傍人無若にベルを鳴らし、歩道を走っていく自転車。
タイヘイは
「はあ。かっこいいねえ」と笑顔で見送ります。
自転車の主がネットカフェの前で停り、立ち去った直後、別の男が走り出て自転車を持ち出し、そのまま乗って走り去ろうとしても……
「それあんたんじゃねえべ」
やはり笑顔のまま声をかけるタイヘイ。男を乗せたまま、ひょいと片手で自転車を持ち上げるので、転がり落ちた男は慌てて逃げていきます。
元のように自転車を停め直してやり、嘆かわしいと言わんばかりに首をかしげて立ち去るタイヘイ、イケチヨ。
<人が人を大切にしない>事態に遭遇して、それを正すことのできるタイヘイ、できないカノンの対比というわけでしょうか。
それ以前に、持ち主は自転車に鍵を掛けるべきだと思います。むしろこの街はのどかなんでは。

マンションの一室で不貞寝している? 幸太郎。その彼に、今日もイパダダがとり憑き……

だいちゃんに戻ってきたタイヘイ達。
ラーメンをすすりつつ自転車泥棒の話をするタイヘイに、カウンターのサワモリは、
「ここはいろいろ難しいんだ。山形とは違う」となだめますが、タイヘイはその言葉を、田舎をバカにされたと受け取って気色ばみます。後ろで町内会にでも頼まれたらしい、演歌歌手・大馬仁美オンステージのポスターを壁に張っていたトモスケは、不穏な空気を何とかしようと割って入りますが、それはやぶ蛇でした。
「そういえば秘密任務のほうはいいのかい」
「ああ、娘の機嫌をとる仕事か。貢物なんかいいんじゃないか」と、何故か会話に参加するサワモリ。
「貢物か……ちょっと待て、なんでサワモリが知っている」
サワモリの視線の先でトモスケが小さくなっているのを見たタイヘイは、しゃべったなと飛びかかっていきます。
子どものじゃれ合いのようで可愛い。特にトモスケが可愛い。その騒ぎを背に、
「女は貢物に弱いからねえ」とサワモリの提案を支持するイケチヨ。

力自慢のタイヘイにのしかかられ、待って待って、これをあげるから許してと、その大馬仁美オンステージのチケット1400円也を1枚差し出すトモスケに、タイヘイは、
「これだ。カノンちゃんが好きなのは歌だと思うんだ!」と気に入ります。いちいちおならはしなくていいと思うけど。
そううまく行くかなあ。

夜になって出直すタイヘイ。しかしカノンはまだ戻りません。

ファミレスから2軒隣の居酒屋。
集まったスタッフたちは陽気に声をかけますが、カノンはなかなか打ち解けられません。
「ケータイのアドレス交換しようよ」と寄ってきた同僚を、横から
「今反省会してるから後でね」とブロックしてくれるチーフ。
「こんな時まで? 巫崎さん、つらくなったらいつでもSOS出してくださいねえ」
笑顔で引き上げていく同僚もいい子ですね。
涙のわけを聞き出したいチーフは、さっき、どこに居たのと口火を切ります。
「お店の裏」
「えー。あたしそこ行ったよ探しに」
「……人が来たら隠れてました」
「なにそれ? もーぉ」
努めて明るく言っても、硬い表情で言葉少なに応えるカノン。つい、それ以上の追求は控えて
「飲も」とグラスを合わせるチーフ。
カノン、しかし、いい飲みっぷりです。一瞬ウーロン茶かと思いましたがどんどん顔が赤くなるので違いました。
自分でも自分の態度がよくないことは認識しているのかもしれませんね。

イパダダはまたしても人を襲い、飛び出して行くサワモリ、トモスケにバッタのようなタマシキをぶつけて逃げていきます。ここのトモスケの動きがほんとにいい。
今回タマシキは3匹。前回の台詞から、タマシキにはたまたまその辺にいた小動物が使われることがわかっています。たまたまバッタが3匹いたんですねきっと。
2人がそれぞれタマシキに翻弄されるうちに、あぶれた1匹が逃げてしまい……ついてきていたオンバケ(名前がわかりませんが偵察等を得意とするような小さいのカザハナでした。しかし雪にはぜんぜん見えない)は慌てて助けを呼びに行きます。

まだ、カノンのアパートの下で待っていたタイヘイを。
その手に「大馬仁美オンステージ」のチケットを束で持っているタイヘイを。
いくらなんでもそんなに要らないし。

歓迎会は解散し、チーフは酔ったカノンを送っていくと申し出ます。夜道をふらふら歩く女2人。
そうはいっても東京って治安の良い街だと思います。
大通りから小道に折れた、その2人の前に飛び出してきたのは、白髪を振り乱した人面の、バッタのような小動物。その後から現れたのは頭に兜をかぶった黒い肌の半裸の男の乗ったカブ。
オンバケ体となってタマシキを追跡していたタイヘイは、目の前に通行人がいることに驚き、とっさに避けますが、カブはタイヘイの悲鳴とともに宙を舞い、下帯に挟んでいた「大馬仁美歌謡ショー」のチケットが雨となってカノンらに降り注ぎます。
そのまま走り去っていくカブ。
呆然とその行く手を見送るチーフとカノン。

「……巫崎さん。あたしの部屋で飲み直そっか」
「……はい」

ここの間がよかったです。
予告等で何度も観たタイヘイのアクションシーン。
おおジャックナイフですよ伊藤慎さんですよとはしゃいでしまいましたが、意外にもカノンとの遭遇が織り込まれ、その展開がコミカルななかにもかっこよかったのがうれしいです。
カノンのような状態では一緒にお酒を飲んだからといって、かんたんには心を開かないでしょうが、
・変なものを見た→飲み直し→チーフ宅に泊まる
というふうに、タイヘイとの遭遇がカノンが打ち解ける契機になるというのもいいと思います。

ところで、ボディペインティングでバイクに乗るってけっこう無防備で怖いですよね。
なんでみんな革ジャンや革のパンツ履いてるかといえばそれをシェルとして、少しでも火傷などから身を守りたいわけです。
それを言ったらヘルメットでなくお面をかぶっているという時点で危ないですし、もう撮影は終わっているのでその意味では安心できますが、それでも観ているとやはり、ひやっとします。

川の浅瀬までタマシキを追いつめたタイヘイ。
不確かな足元にやりにくそうなのがいいです。つるりと足を滑らせ、派手に転んだそのはずみで、タマシキを蹴り上げてしまうのもおかしい。
お尻を打ったと泣き言をいいながら立ち上がったタイヘイ。しかしタマシキの姿はそこになく、宙に白い、煙のような痕跡が残るのみ。
「あー……成仏しろよ」

チーフの部屋。カノンの部屋よりもこじんまりと機能的で、それでいて女性らしい雰囲気です。
缶ビールを出してきて、
「さっきの話だけど、どうして泣いたの」と、やはり訊ねてしまうチーフ。
端的には説明できないカノン、まあ言葉にならないから泣くわけですが、ぽつりぽつりと思いつくまま話し始めます。

夢をいだいて上京したこと、しかし恋人にはふたまたをかけられ、捨てられたこと。
でもそれはまだよかった。
つきあっていたころ、バンドに入れてもらって、歌を歌いたいという夢はかなった。その礼に祖母に教えられた歌を歌ったら、彼はそれを自分のものとして、CDを売り出してしまった(カノンがいのりうたを歌うと、チーフは聞き覚えがあると答えます……売れてます「TO THE TOP」)。

この街では人は人を大切にしない。
両親をなくし、育ててくれた祖母の教えだけを信じてきた、人を大切にしなければならないと信じてきたのに、今まで自分が信じてきたものはただの薄っぺらい建前だったのかと思えば辛い。
サラダバーのあのお婆さんだって、何も悪いことしていないのに--。
募る想いに、言葉が詰まるという風情のカノン。

確かに、そんなことで祖母の教えへの確信が揺らぐのであれば、薄っぺらい建前だったんだろうねと、そんな意地悪はチーフは言いません。
サラダバーの一件はカノンがうまく立ち回れば別の展開になっていたはずで、責任の一端はカノンにもあるとか、そんなことも言いません。
心を閉ざしている部下にはまず感情移入し理解を示すことというのがマネジメントの基本でもありますが、そんなテクニカルなことを考えているようにも見えません。

溢れ出るカノンの涙に、
「もういい」とただ彼女の肩を抱くチーフは、ほんとうに良い人です。

ところで、歌を奪われたというのは確かに一大事だと思いますが、それ以外に出てきた<人が人を大切にしない>事例は
・自転車泥棒
・傘泥棒
・昼食時のサラリーマンの余裕の無さ(別にお婆さんを突き飛ばしたり罵ったりはしていない)
といったもので、まあ度重なればじわじわくる類のものではありますけど、聞けば聞くほどカノンが今まで、どれほど幸せに育ってきたのかと感じます。でなければ山形桃源郷説。
幸せに育ってきたことが、今カノンを不幸にしているのだとすれば、お祖母さんも甲斐のないことだなあ。
そして回想の中の子どもカノンが今回もやっぱり可愛い。
5/8追記。演歌歌手の名前が「大馬」でしたので修正しました。「大島」だと思ってたけど第6話でポスターがアップになりました。
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style="clap"

カザハナは確かスカーフ…

makiさんはきっと、酸いも甘いも…世情に長けていらっしゃるからもどかしいのでしょうね。私もカノンほどではないですがのほほんと生きてきたので、なるほど~などとさしたる引っかかりなく見ておりました。ご指摘のとおり、自分ばかり被害者ぶっているのもいけないんだ、ということに気づいているゆえの無力感とか、そんなイライラが、カノンちゃんから笑顔を奪っているのでしょうかね。はやくニッコリ笑ってほしいです。

2010.04.25 15:22 URL | fog #- [ 編集 ]

fogさん、いらっしゃいませ。

いや身につまされるのですよね。自分もああやって周囲の人の善意を無下にしたことがありますから。
頼まれて近所の小学生たちに第3話を見せたところ、小学生男子達も
「人の気持ちがわからないやつだな!」
「(サラダバーで男性が苛立っているのに)知らん顔するな!」
と学級会のような感想の述べあいになったので、人生経験よりどこに視点をおくかなんでしょうね。というかわたしが小学生並みなのかも。
わたしは宗教の人じゃないですが、どれだけ優しくされても自分の間違いに気づかないとああいうとき、ほんとうには立ち直れない気がします。

風花って雪の雅語ですよね。なんであんなデザインにしたのかな?
仰る通りオンバケは付喪神みたいなやつなので、雪のお化けじゃおかしいんですが。

2010.04.25 17:56 URL | maki #mxyayG2g [ 編集 ]

カザハナはスカーフのオンバケだって

ターゲットの若者たちも共感しやすいのですかね「甘えんな!」という視点。イラっとしつつも目が離せない…。確かに、自分の甘さに気づかないと成長できないのかも。

2010.04.27 21:12 URL | fog #- [ 編集 ]

fogさん、いらっしゃいませ。

ああ書き方が悪くてすみません。
なんだってスカーフのお化けに「雪」を意味する名をつけたんでしょうね、と言えばよかったです。考証に凝るわりに時々そういうところがあるなあ…「響鬼」も著名なトランペッターに依頼するとか音へのこだわりがある一方で、共闘シーンは不協和音になるに任せるとかありましたが。

ターゲットを想定して、それを攻略しようというマーケティング的視点じゃなく、ついてこれる人だけ観て、って感じですね。

2010.04.28 04:02 URL | maki #mxyayG2g [ 編集 ]















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