LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

昨日の中秋の名月は皆さんいかがお過ごしでしたか?

ほんとに読書日記ばかりの更新で、いったい何のブログなんだって感じになってきましたね。
こんど住むところがどうやら、テレビの電波も来ないという山の中で(当然ながら光回線も来てない)、今までのようにおいそれと釣りに出かけるなんてことも無理そうなので、先週末は釣り納めのキャンプに行ってきました。
また東京に戻ってこられたらいいんですけど、もう無理かもなあ。

釣果は、情けないですがちいさーいアカイカが一杯、ちいさーいシマアジが一匹、あとは掬ったって網の目からこぼれ落ちそうな赤ちゃん魚だらけで諦めました。一回エギより小さいサバがイカ用のエギにかじりついていて、その食欲はご立派ですけれどもいったいどうする気だったのかと思いつつリリースしました。
そんな、冴えない釣りをしながら読んだ本。行きがけに大きなリュックしょって書店に立ち寄り、慌てて買ったので安全パイばかり。

何か文句があるかしら(創元推理文庫)
マーガレット・デュマス著

ジーン・ワルツ(新潮文庫)
海堂 尊著

ひかりの剣(文春文庫)
海堂 尊著
何か文句があるかしら (創元推理文庫)何か文句があるかしら (創元推理文庫)
(2009/06/25)
マーガレット・デュマス

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おしどり探偵ものシリーズ第一弾。
とはいえ本作は“小さな国の国家予算くらいはまかなえる”超資産家な女主人公が、イギリスで出会った素敵な海軍中佐と衝動的に結婚した、その直後から彼女の周囲で起こり始めた事件を描いたもの。
殺人、誘拐、失踪--当初金目当てと思われたそれら複数の事件は、しかしそう考えると妙にちぐはぐで、どうやら真のターゲットは夫であるらしい。犯人のねらいは、そして、夫は果たして何者なのか……?というスリルがメイン。

こういう内容ならシリーズ一弾って銘打たない方がいいのではないのかな。
「疑惑は色々あったけど、結局夫は結婚を決めた時点で思っていた以上に素晴らしい男性でした、めでたしめでたし」となるのがわかってしまいますからね。

平凡な感想ですが、
「セレブはセレブでたいへんなんだなあ」と。自分に近づいてくる人間がことごとく金目当てに思えてしまい、自信を持って人間関係が結べないというのが主人公の悩みです。
そのためかつての恋人たちともうまくいかず、なかば結婚を諦めかけていた、そんな彼女が誰にも相談せず、外国で電撃結婚したというので心配する叔父や友人たち。
その心配をうざいやらありがたいやら…と思いつつ、穏やかならぬ事態に、逆に友人たちを巻き込みたくないと慌てる主人公。
彼女の身の安全を慮り、叔父と夫がそれぞれに護身用の銃を手渡すのですが、その撃ち方を主人公は、高校生の頃、富裕な家庭の子弟を対象とした護身術キャンプで学んでいます。

主人公は地元で劇団を運営しており、ちょうど新たな公演の準備段階に入っています。
演劇の世界のどたばたや、庶民ながら主人公と対等に交際する関係者たちの賑やかしさが面白い。
殺人事件の捜査にあたり、なかなか鋭そうなところを見せる担当のヤハタ警視(日系人?)や、夫の秘密を共有していそうなその旧友・マイク等々、主人公には嫌われているものの魅力的な脇役も多く、こうした人達が後のシリーズ作にも出てくるなら楽しそうだなと思います。

ただ、軍事ものを普段読んでいる立場からすると、
「もっと夫の正体をはっきり書いてくれ!」というフラストレーションはどうしても残ります。
ずっとこの夫はすごいよ、ただものじゃないよと匂わせてくるのですが、誘拐された主人公の従妹の救出シーンや、主人公が謎の男の尾行に悩まされるくだりなど、
「いや特殊部隊出身ならこんなへまはしないのでは?」と首をひねってしまったり。その辺は極力ぼかして、ロマンチックなお話だけ書こうとしているのかな?創元推理文庫なわけですが、ハーレクインかと思いました。

ジーン・ワルツ (新潮文庫)ジーン・ワルツ (新潮文庫)
(2010/06/29)
海堂 尊

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「極北クレイマー」で産婦人科医逮捕事件を描いた海堂尊。たぶんその時点ではもうこの「ジーン・ワルツ」が構想されていたのでしょうね。

地方の医療体制崩壊、医師不足、特に負担の大きい小児科医と産婦人科医の激減。まったく功を奏するように見えない少子化対策。
その中で若き女医、曽根崎は
「不妊治療こそ国家が力をいれるべき医療分野である」との信念を持ち、帝華大学医学部では助教として発生学の講義を担当しつつ、マリアクリニックというある産婦人科病院で、病に倒れた院長や、極北の地で理不尽にも逮捕の憂き目にあった院長の息子に代わり、診療の大半を取り仕切っています。

既に閉院の決まったマリアクリニックでは新たな患者は受け入れておらず、わずかに残った数人の妊婦のケアだけが残務として残っている状態。
この妊婦たちそれぞれが直面する、妊娠・出産と周産期医療に関わる様々な問題がたんねんに描かれていき、夢中になって読んでいると……いつの間にか“魔女”の異名を取る曽根崎の、大学への反逆劇、あるいは行政への痛烈な皮肉と、物語は違った顔を見せ始めます。

曽根崎同様、時にマリアクリニックの診療を受け持ち、また彼女に対する指導を担当する“腹腔鏡手術のゴッドハンド”帝華大学の西川教授は、くだけたというかさばけたというか、実に洗練された性格の素敵な男性なのですが、その西川と共に
「はめられた!」と悟る後半がミステリっぽいですね。読者としても前半の伏線はちゃんとわかりやすく提示されていて、これは伏線っぽいなと思ったのですが、こういう形で回収されるとは思わず。
同じ事件を患者側から描いたという続刊「マリア・ヴェルデ」のほうも読まなければと思わされました。

最後は例によって厚生省の失政やマスコミの無責任さ、そして患者たちの無知を告発する海堂節となるわけですが、これは女性としてはぜひ読むべき内容。
個人的にはキリスト教を学んだ影響か、代理母出産というのは治療の範囲を越えていると感じるのですが、だからと言って臭いものに蓋とばかりに議論を避け、的はずれな出産奨励策ばかり採られている現状がよいとも思えないのです。

ひかりの剣 (文春文庫)ひかりの剣 (文春文庫)
(2010/08/04)
海堂 尊

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上記2作は一応ミステリの体裁をとっていますがこの「ひかりの剣」はぜんぜん何にも謎はありません。
純粋な青春小説、あるいは剣道小説と言っていい。なので単行本が出た時点では見送っていたのですが、文庫本のこの表紙。「六三四の剣」「龍」の村上もとか先生ではありませんか。
2chでは評判があまりよくなかったようですが(思い切り漫画調ですからね)、わたしはこの表紙のせいで買ってしまいました。

桜宮サーガの中での位置づけとしては「ブラック・ペアン」事件の数年前から事件直後までの時代。
まだ医学生である「チーム・バチスタ」の田口、「ジェネラル・ルージュ」の速水、「ジーン・ワルツ」の西川らが登場し、特に速水と西川は医大剣道の頂点、医鷲旗をめざす宿命のライバルとして描かれます。
わたしはこの、医大生ばかりの剣道大会というのがどの程度のレベルにあるのかわからないのですが、この学生剣道特有の空気感がとてもよかった。

もちろん、両雄が直接ぶつかり合う最後の試合前の特訓の模様は一種のクライマックスなので、ちょっとした剣豪小説のような、ファンタジックな描かれ方がされているのですが、それ以外は
「これは経験者が書いたに違いない」と思える、紺の道着が汗ににおい立つようなリアルさ。
そうそう、何故かはわかりませんが、夏は道場の窓という窓を閉め切り、水はギリギリまで我慢し、冬は冬でまだ身体が温まりきっていない払暁から、小雪降り込むなかで稽古するんです。スポーツのくせに精神修養とやたらいいたがる、どんな見事な面が決まっても残心がなければ取り消される、そういうところを
「ナンセンスだ」と思いつつ素振りする。
身体能力がすべてではない、鈍いものには鈍いものなりの戦い方があるというのもその通り。

速水、西川が優勝常連校を無視してでも互いをライバルと思い定める様子や2人の対照的な性格、それぞれの大学剣道部の面々との関わりなど萌えどころもたっぷり。飄々としているようでいて「チーム・バチスタ」以来、常に物語の中心にいる高階権太が剣道部顧問として彼らを指導する様もかっこよすぎる。
また、現場実習を受ける速水らの前に「ブラック・ペアン」の世良、渡海が登場し、「ブラック・ペアン」でも世良によって語られたエピソードが速水側からもう一度語られますが、そこでの渡海と田口のふれあいが渋い。楽しんで読みました。

関係ないのですが、もう海堂ワールドは「桜宮サーガ」扱いするには広がりすぎていますね。「ジーン・ワルツ」は地方医療と言いつつ東京が舞台ですし、「極北クレイマー」はおそらく夕張市をモデルにした北海道のある都市が舞台。今のところみんながどこかでつながっていてあれ、と思わされます。
一番びっくりしたのは「ジーン・ワルツ」の曽根崎の別れた夫。
途中まで読んで放置してあるあれを発掘してこなければなあ、「マリア・ヴェルデ」とどっちが先になるかなと悩ましいです。部屋を片付ければいいわけですが。
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