LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

公式予告を観た時は、いえ今回も貴虎の幻影に悩まされる光実を見ながら、ハムレットみたいだなあと思い、タイトルも「Ghost」にしようと思っていたのですが、後半の光実の戦いっぷりで心を決めました。
強い。
いや強いです。
覚醒した斬月の凄みのある強さ。覚悟を決めたから、戻れない道を行ったから、という作中の説明にも納得しつつ、その一方で兄の強さが乗り移ったかのようにも見え、見応えのある殺陣に高杉さんの名演、あとプロフェッサーの長い脚と微妙な服装センスに大満足の回でした。


My Ghost / mattwi1s0n


一方で、貴虎が幻影として出てきたということは、この先もう実物は出ないのかな? と不安になったり。
この先凌馬との対決があると期待していたんだけどなあ。
ていうか兄弟対決時、外出しようとしていた湊さんは結局何をしていたの?
バンブルビーのキックに、モーションキャプチャで撮ったのかなあと思いつつスタートした鎧武。

■人影

呉島兄弟の対決を止めるべく、街を走る紘汰。
「貴虎。……ミッチ!」

(お前たちは戦っちゃダメなんだ……!)

そしてようやくたどりついた岸壁。辺りには誰もいません。呆然と見回し、ふと、足下に落ちていたものに気づく紘汰。
拾い上げればそれは、無惨にも光実の剣に斬り裂かれ、貴虎の腰からはじけ落ちた、斬月の戦極ドライバーとメロンのロックシード――。
「……あ」思わず膝をつく紘汰。「あ、ああ……そんな……」
間に合わなかった。その場にうずくまる紘汰を、背後から見ていたのは――リゾート帰りのような服装のプロフェッサー。

恒例とはいえ、容赦なく映画宣伝OP。

■幻覚

光実の執務室。いつしか床にはヘルヘイムの木の実が散乱しています。
その向こう、兄も使っていたデスクに向かう光実の顔がアップで映され、整った顔に、何の光も宿さない、深々と暗い、大きな黒い瞳が、生き人形のように美しく痛々しい。ライト入れないよう、ものすごく慎重に撮ったんだろうなあ。
「いい目になったねえ」その背後に立っていたレデュエ。「……どうだい? 実の兄を手にかけた気持ちは。さすがのきみでも、心が痛むかい」
「……心が痛む……? は、」
くすくすとこみ上げる笑いに立ち上がり、窓を背に、顔を上げる光実。
そして、唐突に叫びます。
「バカ言えよ!」
レデュエの肩がびくっとした気がしました。高杉さん、この緩急がお見事すぎます。
笑いながらデスクを回ってくる光実。
「……ぼくは兄さんを乗り越えた。ようやく解放されたんだ。呉島貴虎の呪縛から……」

その時、光実の眼前に現れた貴虎。陰鬱な表情で、
それは違うな。お前はけして、わたしからは逃れられない 」と光実を睨めつけます。この表情からして、貴虎本人でないことは明らかです。
「またあんたか」

うんざりしたような光実の声に、ん? と顔を上げるレデュエ。

お前の人生は、全てわたしから与えられたものなのだ。自分の力で勝ち取ったものなど何一つない……
「黙れ! 説教は、もううんざりなんだよ!」
一人では何もできない半端者が……
「ふざけるな。何もできないのはあんただよ!」

「坊や。お前一人で何やってんだよ……?」
気味悪げに問いかけてくるレデュエの声など、光実の耳には入っていません。
そのまま、レデュエの目の前、画面の隅で、何者かと言い争っている光実。

「ぼくの中から出て行け!」
呉島光実は呉島貴虎の影だ。わたしが消えれば影であるお前も消える
「うるさい。消えろ消えろ消えろ……!」
ソファのクッションを取り上げ、何者かに何度もたたきつける光実。

「おや、もしかして。壊れちゃった……?」
事態を悟ったレデュエの声は、むしろ愉しそうです。

■存在の耐えられない軽さ

鎧武のガレージ。外の道へ、ゴミ袋を手に出てきた舞。戻ってきた紘汰に気づき、声をかけます。
「紘汰! ……なんか、あったの?」
無言のまま歩み寄ってくる紘汰に、笑みを消す舞。見せられた戦極ドライバーを、思わず手に取ります。
「もしかして。貴虎さん……」
舞に背を向け、ガレージの外壁に叫ぶ紘汰。
「おれはミッチを止められなかった!」
「ミッチ。どうなっちゃうんだろう……」
「あいつが罪を重ねるってんなら、おれが目を覚まさせてやる。おれたちが諦めたらあいつは本当に、一人ぼっちになっちまう……!」

その時、ぱんぱんと乾いた拍手が聞こえます。
「いいねえ熱い友情。実に感動的だ」
おどけた表情。リゾート帰りのような服装。
「戦極凌馬!」
「久しぶりだねえ。あ、貴虎のことは実に残念だ。わたしも哀しみで、胸が張り裂けそうだよ……!」

貴虎の死の前に、彼がついさきほどまで生きていたことに対する多少の驚きがあったはずなんですが、この人も適応が早いタイプですね。
相変わらずの軽薄な身振りとともに、早口で喋りながら迫ってくる凌馬へ一瞬気味悪そうな顔を見せ、次の瞬間、こみ上げてきた怒りに混乱する紘汰。
「よ、くもぬけぬけと。お、……!」
その身体能力で、襲いかかっていきます。
生身で紘汰さんに敵う登場人物はそうそういないと思われますが、ひょいひょいとその攻撃を避ける凌馬。
この人、ベルトが高性能なだけの頭脳派と思ってたけど、実は格闘センスもあるという設定だったのかな? この辺り、観ていてちょっと混乱した描写です。

「落ち着きたまえ。ぼくは別に、きみたちと戦いに来たわけじゃない」そして紘汰をゴミ袋の山へいなし、「でもちょっとだけ相手をしてもいいよ。……良いデータが取れそうだ」とドライバーを取り出します。
「てめえ!」この期に及んで。激しい憤りに身を震わせつつ、起き上がり、変身する紘汰。
「紘汰」心配する舞の声にも反応しません。
「相変わらず野蛮だなあ」うれしそうに変身する凌馬。
「レモンエナジーアームズ」
「おおおりゃ!」
先にかかっていったのは鎧武。しかしながら、デュークの強さは安定しています。鎧武を翻弄するデューク。何度かわされ、反撃されても前進する一方の鎧武。鍔ぜりの間も、
「なに企んでやがる!」
「人にものを聞く態度じゃない、な」
その時ガレージのドアが開きます。
「紘汰? ……敵か!」物音に飛び出してきたザック。ひと目で状況を把握すると、躊躇なくナックルに変身しながら、階段の手すりを越え飛び降りてきます。
その勢いのまま、デュークに襲いかかるナックル。
「……喧嘩っ早い連中だね」
「野郎!」
それでもただの鎧武ではやはり、デュークの敵ではありません。ジンバーレモンとなる鎧武。
これでようやく抵抗できたと思いきや、デュークの機嫌よさ気な笑みは消えません。二対一でも一撃で振り払われ、止めの矢を向けられる鎧武とナックル。
「はっはっは」そのままの姿勢で勝ち誇る、デュークの背後でふいに、何か大きな金属音が響きます。「……ん?」
「……あまり調子に乗るな」
押し殺すような声。すぐ背後から、必殺の矢を向けていた、それはバロンの変身音。
「なるほど」
振り返り、次に、前方の鎧武とナックルもそれぞれに体勢を立て直したのを見て取ったデューク。変身を解き、降参と言いたげに両手をあげます。
「とりあえず話を聞いてもらえないかな? きみたちに提案があるんだ」

■プレゼン

鎧武のガレージ。中に通された凌馬を、皆が見つめています。デュークのドライバーがいかに高性能とはいえ、ここへただ一人でやってくる度胸は大したものです。そして、ハーフパンツから覗く脚が長いなあ。

「――きみたちの状況は理解している」口を開く凌馬。囚われの人々を救うためこうして団結しているが、最後の本丸、ユグドラシルタワーに侵入する手段がまだ見つかっていない、それが彼らの抱える問題だと。「……違うかい?」
「ごたくはいい」さっさと用件を話せ、と戒斗さん。
「せっかちだなあ」口をとがらせる凌馬。「……まあいい。この現状はわたしにとっても好ましくない。そこで、ここは一つ、助けあおうじゃないか?」
おどけて手を広げ、自分が侵入方法を教えるという凌馬に、今度は湊が立ち上がり、話にならないと叫びます。
彼女と戒斗さんが確認した通り、通路は皆、オーバーロードに使役されるインベス達によって警護されているのです。

「内緒で作った、わたし専用の隠し通路があるんだ」

しかし凌馬ならやりかねないと思ったのか、その一言で口を閉じる湊。あんなロケットも仕込んでましたしね。
「それを使う。入り口は沢芽市の外にあるから、ちょっと遠いんだけどね。でもまあ、車を使えば……」
「おれたちがあんたを信用すると?」とザック。
「そう言われると思ったよ。でも現状、他に手はない。背に腹は代えられない筈だよ。……捕まった人は、いつまで無事かな……?」
「!」
ここでたまらず立ち上がる紘汰。
その顔を覗き込み、手応えありとばかり、にんまりと笑う凌馬。「――また来るよ」

■思惑

森の奥、棺の場所。
ロシュオに向かい、報告するレデュエ。その背後には影のように儚げな、光実が立っています。
「……これだけの猿がいれば、王妃を目覚めさせるに充分な生命エネルギーが集まる。計画は順調です」

続いて映し出されるのはユグドラシルタワー内部の、あのベッドの部屋の様子。
暗闇の中、ただ装置を付けられて横たわる人々。そこから吸い上げられるエネルギーの流れ。

「だが犠牲も多い。デェムシュ。デュデュオンシュ。グリンシャ。……ずいぶんと減ったものだ。これで、我らフェムシンムはまた一歩、滅びに近づいたわけだ」
「お言葉ですが王よ。それも全て貴方様の仕業でしょう」
「何が言いたい?」
「おとぼけを」どういう仕組みか、背後の屏風岩に映る映像を、指し示すレデュエ。そこには極アームズの目覚ましい戦闘の様が映し出されています。「これはまさに、黄金の果実の力。敵に塩を贈るとは、一体何をお考えか」
「敵ではない」
言下に否定するロシュオ。人間は自ら滅びに向かう愚かな種。自分はその苦しみを長引かせぬよう、芽を摘んでやっているだけにすぎない。敵とする価値もない対象なのだと。
だが人類の中に一人でも希望の持てる者がいるならば――その手を止め、成り行きを見守る必要がある。
「蛇に唆されたのか王よ!」
レデュエが声を荒げれば、
「口が過ぎるぞ!」とそれを一喝するロシュオ。確かにサガラの説得もあったわけなのですが。「見極めねばならない。それが滅び行く我らに残された、最後の責務だ」
「――御意」
王の威厳の前にレデュエが頭を下げた、その背後で、静かに立っている光実。

(オーバーロードにも、そんな考えを持つ奴がいるのか……)

いやサガラの説得もあったわけなのですが。

■検討

鎧武のガレージ。徐ろに口火を切る湊。
「戦極凌馬は油断ならない人間よ。他人を裏切ることに、いっさい躊躇はないわ」
「おれは」顔を上げる紘汰。「この話に乗るしかないと思う。悔しいけどあいつの言うことは正しい……」
こうしている間にも姉・晶は。
「気持ちはわかるけど、賢い選択じゃなくてよ。頭を冷やしなさい」鳳蓮も紘汰を認めてきているのか、声音がずいぶん優しくなりました。
「ふ。戦極凌馬に怯えて、反撃する機会を失うのは賢い選択か?」しかしそれを嘲笑う戒斗さん。
「プロフェッショナルのやり方じゃないわ」
「同意は求めていない」
「……どうやらな話は平行線ね」

市街を見下ろす小高い丘の上。樹の下に立つ、紘汰と戒斗さん。
「やっぱり、皆の言うとおり、無謀なのかな……?」
「関係ない。こちらも利用するだけだ」
「お前のそういうところ、たまに羨ましくなるよ」
そこへ後から現れた舞が、戒斗さんの腰に目を留めます。いきなりどこ見てるのでしょうか。
「戒斗、ベルトつけたままなの?」
「こんな状況だ。いつ襲われるかわからないからな」
「ま、おれも同じだ」同意する紘汰。
それに、ベルトがあれば、食事をしなくてもロックシードから栄養分が補給できます。
「ちょっとやめてよね、ちゃんと食べてくれないと!」阪東さんも心配してたよと言う舞。
「食欲わかないんだよ」
「もう、しかたないなあ……あ、そうだ!」
平和になったら、阪東の店でパーティーを開かないかと目を輝かせる舞。ちょっと、フラグ立てるのはやめてください。
いいねとはしゃいだ声を上げる紘汰。
「その時にはちゃんと皆揃って……」

「また呉島光実のことを考えてるのか」楽しい会話に水をさす、戒斗さん。もちろん、紘汰の言う“皆”には、まだ、光実が入っています。
「……戒斗、前にも言ったけど」口を出す舞。
「わかってる。友を見捨てない、それがお前の強さだろ。――だが葛葉。お前はどうだ」
「おれだって。舞といっしょ、」
「いや、決定的に違う。こいつが強いのは、自分の未来と向き合っているからだ。だがお前は」
他人のためにばかり戦っている紘汰に、自分の未来などあるのかと、問う戒斗。
「おれは……、」
「その答。あたしも知りたいな」
「舞?」
「ね、約束して。戦いが終わったら、紘汰が望む未来を教えて。紘汰の夢を」

「おれには夢がない」のたっくんを思い出した人ノシ

「……わかった。ちゃんと考えておくよ」
「うん!」
夕陽に赤く染まりかけた空を背に、そろそろ戻ろうか、とそのまま楽しい会話を続けながら、丘を降りていく紘汰と舞。後に続こうとしてふと、左腕の傷口からの芽吹きに気づく、戒斗さん。

(…………)

しかし服の袖を下ろして傷口を隠し、二人に追いつかぬように、ただゆっくりと歩き出します。

■拉致

無人のカウンターに千円札を三枚。そうしておいて、食材を詰め込んだ袋を手に、顔を見合わせるペコと舞。
「よし。こんなものでいいかな」
「うん。とりあえず、食べ物はこれで大丈夫。あとは薬も集めておきたいね」
食料品店から出てきた二人は、商店街のアーケードの下を見回します。楽しいお買い物、という風情で可愛いです。
そうしながら舞は、薬局を探していたのでしょうが。

「――舞さん」
かたわらのペコからではなく、やや離れた路上から聞こえてきた、なめらかな声。
「ミッチ。お前」
「迎えに来ました」
そこに、影のように立っていた光実が、満面の笑みを浮かべ、こちらへ歩み寄ってきます。
ペコの存在はまったく眼中にありません。
「ミッチ。お願い、目を覚まして」
舞のこの台詞もいきなり過ぎてかなり失礼ですが、
「わかってます」と、こちらもぜんぜんわかってない顔で、微笑み、歩み続ける光実。その足取りの優雅さがまた、気持ち悪いほどです。
「……舞さんは混乱してるだけです。冷静に考えれば、ぼくのほうが正しいことがわかるはずです。無理もありません。舞さんは何も悪くない。だから、ぼくが舞さんを守ります」
相手の相槌も返答もないまま一人滔々と話し続ける光実。
仮面のような笑みを顔をはりつかせたまま、とうとう舞の眼前まで到達すると、恐怖に棒立ちになった舞へ、至近距離から笑いかけます。

無視されたかっこうながら、さすがに捨て置けないペコが横から声をかけます。
「――おい、ミッチ。いいかげんにしろよ?」
「黙ってろクズ!」
と、瞬時に豹変し、ペコを蹴り飛ばす光実。あっとよろめき、通路の隅に積まれたゴミ袋の山に、倒れかかるペコに、光実が従えてきた亀っぽいオーバーロードが襲いかかります。今までのが朱雀とかだったからたぶんこいつは玄武。はずれてもキニシナイ。
「ペコ!」
「この、猿めが!」

その騒ぎをよそに、また、舞以外目に入らぬ様子に戻る光実。
「舞さん、一緒に来てください」
「ミッチ、やめさせて!」
「一緒に来てください」
「ミッチ、このままじゃペコが。お願い! ミッチ、早く……」

今まで戦闘要員でもなんでもなかったひときわ小柄なペコが、まして生身で、オーバーロードに襲われているわけで、これは戦闘でもなんでもありません。
こんな人達をひょこひょこ外出させる紘汰たちが迂闊なのですが。
たちまちボロ屑のようになり、悲鳴さえあげられなくなっていくペコ。
その小さな身体を持ち上げ、首を締め上げようとするオーバーロード。

「――一緒に来てください」
にも関わらず、壊れた音声レコーダーのように、同じ言葉を、同じ笑顔で、ただ繰り返す光実に背筋の凍る思いをする舞。
「……わかった。言う通りにするから。だからもうやめて……!」
「よかった」晴れ晴れと微笑む光実。舞の恐怖と哀願が、理解できていないようで異様です。「わかってもらえたんですね」
そして、亀的なオーバーロードへ目配せします。
手を離され、そのまま力なく地面に落下するペコ。
「ペコ!」
「舞さん」舞の視線を遮るように微笑みかける光実。「それでは行きましょう」

腕をオーバーロードにとられ、仕方なく光実らと共に、アーケードの下を立ち去っていく舞。
その背後で横たわったまま、地面に落ちたヘッドセット――パトロール中の通信用に湊が提供したもの――へ、必死で伸ばされていく、ペコの手。

■覚悟

「――!」
知らせを受け走ってきた、紘汰と戒斗さんがスローモーションです。
商店街。そこに倒れたままのペコへ、駆け寄る二人。
「ペコ!」戒斗さんに抱き起こされ、満身創痍ながら
「……みっちが。まいを……っ」と言うべきことを告げるペコが男前です。
「なんだって!」聞くや走りだす紘汰。
「待て葛葉!」ペコを抱いて身動きの取れない戒斗さんの声など、耳に入ってません。

東京ドームシティ。のような遊園地。
「なんだ、その女は……?」
待ち構えていたレデュエは、光実に声をかけます。その背後から
「ミッチ! 舞!」と叫ぶ紘汰さんが足が速い。
「紘汰!」
「××××。……こいつは面白い」状況を悟りほくそ笑むレデュエ。
「舞さんを連れて行け!」亀っぽいオーバーロードに命じ、紘汰を迎えるべく身構える光実。
「来い」
「おい、舞をどうす……」
「舞さんは選ばれた人間だ。お前のようなクズが一緒にいていい人じゃない!」

ほぼ同時に出現する、斬月・真。
その迷いのない、早い太刀さばきに薙ぎ払われ、蹴り飛ばされながら、
「もうやめろ、いい加減目を覚ませ!」と叫ぶ一方の紘汰。
しかし一気に詰め寄ってきた斬月に、襟をつかまれ、コンクリートの大地へ放り投げられます。
「!」
反撃というより距離を稼ぐため、手近にあった軽食用のテーブルを投げつけますが、それを剣で真っ二つにする斬月。
斬られた天板の向こうに覗く、微動だにしない残心が美しい。
「変身!」
そのわずかな隙に、なんとか変身を行う紘汰。

――それでも、つい先日見えた時まではまだ、膂力では鎧武が優っていたはずでした。
紘汰に迷いがあったとはいえ、逆に言えば、迷い躊躇するだけの余裕が、鎧武にはあったはずでした。

慌てて剣を構える鎧武に、息つく暇も与えぬ火のような斬月の攻め。高所から下まで蹴り落とされ、

(これが本当にミッチなのか。今までとぜんぜん違う……)

よろめき必死に起き上がる、その間も与えぬというように、叫び声を上げ、剽悍に飛び降りてくる斬月でCM。

剣と剣。
「……っ!」
迷っている余裕はないのだと鎧武が気を取り直し前へ出れば、斬月の華奢な身体はよろめき倒れます。
「はははははははは……」
しかし、そうしながら笑い出す斬月。何のダメージもなかったかのように立ち上がり、再び両手を大きく広げて鎧武へ迫っていく迫力は、百地三太夫のようです。
「……!」
蹴り飛ばされ、後退しながらカチドキとなる鎧武。なおも迫り来る斬月へ向け背中の幟を一閃させれば、灼熱の炎に足をすくわれ、倒れ込みざま、なおも矢を射る斬月。

「××××……あいつ、てっきり壊れたかと思ったけど、これほどのものになるとは」二人の戦いを見守っているレデュエ。

「……っ、ああ……っ」
矢を受け吹き飛んだ鎧武へ、起き上がりとどめをささんと歩み寄っていく斬月。
と、そこへまた、貴虎の幻影がよぎります。実物とはまるで違う、陰鬱で皮肉な影。
こうやってお前は、身近な者すべてに手をかけるんだな?
「……どけよ」
いつかはあの女のことも、邪魔になるに違いない
「消えろ!」

次の瞬間、ようやく追い付いてきたのか、身を躍らせ斬月に飛びかかってくるバロン!
「はっ」
「うりゃあ!」
起き上がり、バロンと交互に斬月へ向かう鎧武ですが、突き倒されたバロンを背に斬月へ銃を向け、そこでまた、身動きできなくなってしまいます。
「……!」
その躊躇を見て、起き上がりざま鎧武を突きのけ、前へ出て行くバロン。
「本気で戦わなければ、お前がやられるんだ!」と言い捨てて。
「やるしかないのか」
バロンと斬月の戦いを背後から見ながら、極ロックシードを取り出す鎧武。
ロックオン。極出現。パインのモーニングスターを手に、斬月めがけ投げつけ、突進します。
極とバロン、双方を相手に、さしもの斬月も倒れ――。

「はははははははははははは!」

その時繰り出されたメロンエナジースカッシュの、異様な威力に倒れる二人。
たたみかけようとする斬月を退けるため、起き上がりざまほぼ同時に必殺技を放ちますが、それすらもはねのけ、傲然と立つ相手に我が目を疑う鎧武とバロン。
「……嘘だろ」
「ぼくはこの手で未来をつかむ!」
斬月の眼前には、貴虎の幻影がまだ、無言で立っています。
「もう誰にも邪魔はさせない。はああああっ!」
気合一閃。その技は眼前の貴虎の姿を破り、そしてその背後の鎧武、バロンに襲いかかります。
「ああ……」
力なく倒れる鎧武に、半身を起こしながら
「いったん退くぞ!」と声をかけるバロン。
「なにいってんだ!?」驚く鎧武。
「……いいよ、」静かに立つ斬月。「見逃してあげる。……さっさと尻尾巻いて行けよ!」
「ミッチ。おい、ミッチ!」くるりと背を向ける斬月になおも追いすがろうとする鎧武。
「撤退だ葛葉!」
そのまま、こみ上げてくる笑いに身を任せる斬月。
「……っ。ふふふふ。ふふふふふ。……あはははは……っ!」

郊外。
既に変身を解き、戒斗に引きずられるように走ってきた紘汰。
「……おい。戒斗。なぜ止めたんだ」
「あいつはもう、お前の知ってる呉島光実じゃない」
「どういうことだ」
「戦ってみてわからなかったのか?」足を止め紘汰を覗きこむ戒斗さん。「あれは迷いを捨てて覚悟を決めたやつの強さだ。あいつはもう、何も恐れてはいない。決定的な壁を乗り越えたんだ、もう後戻りができなくなるまでな……」
戒斗さんの言葉に反論できず、黙りこむ紘汰。
ほんとうに変わってしまったのだろうか。言葉をかわし、光実の心を理解することは、もう不可能なのだろうか。
そして――。
姉・晶に続き、囚われの身となってしまった少女の名をつぶやく紘汰。

「……舞」

その身を救いたいと思っているのは、戒斗さんも同じなのでしょうが。
今週はぬるっと恒例入れ替わり。身体を着替えたグリッタ嬢のはしゃぎっぷりがローマの休日っぽくて可愛かった! 幸せになってほしい。お母様がかっこよくて泣けた! 
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