LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

ベイマックス

映画館で観た予告で、そのマシュマロみたいなビジュアルに釘づけ。
加えて、ボサボサ&硬そうなストレートの髪の日本人少年・ヒロが兄が遺したケアロボットを元に、ガレージで何やら開発しているシーンが流れ(実際には前半と後半は別のものを開発していたわけですが)、ASIMO好きの心が騒ぎました。
後に
「ハートフルストーリーというより悪と戦う熱い戦隊物」と聞いて、特撮好きとしても見逃せないと思い、さらには物語の背景となる<サンフランソウキョウ>の都市景観が独特であるという前情報にも心惹かれ……
なんというか、わたしの好物がぎっしり詰まった映画です。あまり前宣伝には出てきませんでしたが、従者萌え、執事好きとしても堪えられないものがあります。

でも一言で説明すれば、これはやはり、
「診断名は思春期」。頭脳は天才、とはいえ心は13歳という年齢なりの少年が、自分の能力を把握し、その活かし方を見つけて心を落ち着かせるまでの物語。こういうのを中学生の頃に観たかった。そしてやっぱり、ベイマックスが可愛い。
そして例によって、スタッフロール後にオマケ映像あり。

恒例、同時上映のショートフィルムは「愛犬とごちそう」。犬好きの方はキュン死に注意です。
渋すぎる執事・ヒースクリフ

原題「BIG HERO 6」を見れば、スーパーヒーローものとしての性格が前面に打ち出されているとわかるのですが、主人公たちには日本の戦隊物のように、強化スーツ開発などの科学的サポートを行ってくれる組織もないし、彼ら自身が、マーベルヒーローに多い特殊能力者(素で戦える人が多いですよね)というわけでもありません。
天才中学生と、研究者の卵(科学オタク)の集まりに過ぎない彼らは、自分で武器や装甲となるスーツを開発しなければならないのです()が、その開発&テストの場は、仲間の中の一人、フレッドの自宅。

いちばんオタクっぽく、かつ身だしなみに気をつかわないフレッドが、
「うちで休んでこうぜ!」と仲間たちを率いて行った先が大邸宅であるため、皆が
「どこに入り込もうとしているんだ?」と気をもむシーンからしてもうおかしい。
ドアを開け出迎える執事・ヒースクリフが、フレッドに
「お帰りなさい坊ちゃま」と呼びかけた時点でもうわたしは彼の虜になってしまいました。
その広い庭で、次々と開発される武器を、試す相手もヒースクリフ。オタクたちの奇想天外な武器を次々と披露されても、仮想敵として珍妙なマスクをつけさせられても、すべて平然と受け流し、背筋を伸ばし端然とお茶をいれる様がほんとうに渋すぎる。
「日の名残り」「バジル氏の優雅な生活」「仮面ライダーカブト」やセイヤーズのピーター卿シリーズ、森ミステリのFシリーズ、ハリウッドならば「グリーンホーネット」に「バットマン」と、いろいろな従者もの作品を観てきましたがまた一人、わたしの好きな執事が増えました。
もしスピンアウトがあるならば、ヒースクリフと若き日のフレッドの父親の物語を観てみたい。島で何をやってるんでしょうか。

原作コミックスでは、BIG HERO 6は超能力者ばかりの精鋭部隊、日本の大企業と政府がバックアップという設定のようです。悪の正体がヒロシマの犠牲者の悪しき霊体とかいうのは結構失礼な感じですが。

よくあるアメリカ人の考えた東洋風&独特の都市景観

ざっくり言うと、地形はサンフランシスコ、建物は東洋趣味。取材チームが来日し、東京に実在する建築もうまく取り込まれているそうで、建築クラスタにも必見の映画であるようです。
ゴールデンゲートブリッジもありますし、坂道には路面電車、でもそのデザインは妙に「千と千尋」のような妙に現実離れしたなんちゃって東洋風。
建物と建物の間隔の狭さ、その間を縫うように鉄道と高速道路のそれぞれの高架が交差する、あのぎゅうぎゅう詰めの感じは確かに東京っぽい。路上からその隙間の小さな空を見上げれば、蜘蛛の巣のようにはりめぐらされた電線もリアル。
ただ、動く蟹や海老、招き猫のような屋外広告オブジェの巨大さと派手な色彩は、大阪っぽいなあとちょっと感じました。ちなみに海産物が多いです。
ヒロがベイマックスの強化に成功し、サンフランソウキョウの空を飛び回るときの爽快感と、鯉のぼりをモチーフとしているらしい何か(アドバルーン?)が素晴らしかった。





熱い戦隊ものと少年の成長物語

自分の才能を持て余し、大学なんて既に知っていることを教わりにいくところだとバカにしきっていたヒロは、せっかくの頭脳を賭けロボットファイトでの荒稼ぎに費やす日々。見かねた兄・タダシは、そんなヒロに、自分の通う大学の研究室を案内します。
そこで出会った科学オタクたちのイキイキとした様に目を見張り、仕上げに尊敬する科学者からは
「ともに科学の真髄を極めよう」的なお誘いを受けたヒロ。これがターニングポイントになるかと思われましたが――。

そんな彼を襲う悲劇。喪失と孤独。すべてに関心を失ったヒロは、ふとした偶然から、自分の開発したロボットを、正体不明の仮面の男が大量生産していることを知り、
「自分を襲った悲劇は、仮面の男が自分からロボットを盗むために意図的に引き起こしたものではないか」との疑いに取りつかれ始めます。

この、ヒロの小さなロボット、<マイクロボット>のアイディアが素晴らしい。こんなものができれば、それは怖ろしいほどに有用だと、作中の短いプレゼンテーションですぐに、誰にでもわかります。
仮面の男が見事に使いこなしてみせた通り、そのまま悪用しようと思えば兵器ほどの威力も望めますし、剽窃して売り飛ばすだけでも、巨万の富が約束される。危険を冒し盗むだけのことはあるものなのです。

復讐に燃えるヒロ。
それには気づかず、タダシの弟・ヒロのため、友としてただ盗まれたロボットを取り返し、剽窃者を捉えることに協力しようとする科学オタクたち。

ツンデレスピード狂のゴー・ゴー。
ケミカル素材のオタクながら本人はおっとりと女らしいハニーレモン。
怪獣のきぐるみでいつもはしゃいでいるフレッド。
体格は最も格闘向き、仲間内でも一番小市民良識と順法精神と協調性に富むワサビ。
そして、抜きん出て天才肌のヒロ。
ずっと彼らの無邪気でユーモラスで楽しい開発シーンが続き、その間もベイマックスの愛らしい仕草や台詞でいちいち和んでしまうので、齟齬はなかなか表面化しません。が、とうとう仮面の男の正体を知った時、あまりの怒りに残忍な復讐鬼となりかけるヒロを、科学オタクたちが必死に止めるところで、両者の違いは決定的なものになります。ここが第一に熱い。

「立派な頭の使い道を考えな」
「視点を変えるんだ」
「みんなの役に立つことをしろ」
いつも兄から言われていた言葉。その言葉を誰よりも体現していた兄。事実を知ってようやく我に返り、仲間たちに謝るヒロは、そこで真のヒーローへと変身します。

敵の強大さに苦戦する仲間たちへ、兄の言葉を投げかけるヒロ。それに応えて発奮し、爽快な活躍を見せる仲間たち。これが第二に熱い。
窮地に追い込まれた敵のために、
「困っている人がいたら助けなきゃ」というシンプルな理屈で決死の救出作戦に身を投じるヒロ。その果ての自己犠牲。これが第三に熱い。

敵も絶対悪ではなく、戦うべき事情があるというストーリーラインは日本の特撮ものには定番のパターンですが、その中に兄の科学者の卵としての志と、弟の成長がうまく織り込まれています。
「いろいろあったけど、まさかヒーローになるとは思わなかった」とラストのモノローグにあるように、とうとう優秀な頭脳の使いどころを得たヒロは、その後も正義の味方として活躍しているらしいエンディング。
続編が観たくなります!
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2014.12.20 23:50 | dvd box 観たらめも | トラックバック(-) | コメント(-) |
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