LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

順番が逆になってしまいましたが、取り敢えず書いとけシリーズ。「W」カテゴリでなく「000」に入れているのは上映時期の関係です。MOVIE大戦のフォーマットは
 1.過去ライダー
 2.現行ライダー
 3.両者の共闘
の三部構成が恒例なので、ほんとは両方に入れたい……というのが毎回の悩みどころなのですが。
今回は主役ライダーのかっこよさや敵の強大さより、ゲストキャラクターの印象の強さが大きいですね。
「W」では仮面ライダースカル/鳴海壮吉が、「000」ではノブナガ(陛下!)が、今回の主役。


Rose wedding cupcakes 17 Aug '13 / Ayca Wilson


もしくは亜樹子の結婚物語、とでもまとめるべきでしょうか。
フィリップがマリッジブルーだと納得していますが、「W」ではシリーズを通してずっと、ライダーたちとともに戦ういい女、だった亜樹子が今回とんでもないことを言い出して、あれ、こんな子だったっけ? と混乱する場面がありつつも、最後はきっちり泣かせてくれます。写真は結婚式用のお菓子。豪華なケーキより、カジュアルなミニドレスの亜樹子に似合う気がします。
いきなり物語は、風都からスタート。翼竜型怪人の出現に、すかさず変身し迎え撃つW。
この、空を舞う敵はドーパントではない(プテラノドンヤミー)のですが、戸惑いつつもサイクロンジョーカーで飛びつき、ヒートのパンチで地に落とします。そこに変身しない照井竜も助太刀に。
「なんで変身しない?」
「おれに質問するなぁ!」
……しかし彼らの活躍も、白いドレス姿の亜樹子が乱入してくるまで。今日は竜と亜樹子の結婚式だったのです。
会場では、花嫁花婿が血相変えて出て行ったと噂している風都署の面々や情報屋たち。
花婿、及び父親代わりに一緒にバージンロードを歩くはずの翔太郎までが飛び出していったことに怒り心頭の亜樹子は、ほとんど仮面ライダーアレルギーになってしまっています。竜が素で戦っていたのも、事前に彼女にアクセルドライバーを没収されていたため。
「仮面ライダーなんて嫌だ、もう結婚やめる!」と叫び駆け去っていく亜樹子。結婚式はしかし、1時間半後。果たして竜は無事、式をあげることができるのでしょうか。

仮面ライダースカル Message for “W”

ということで共に戦ってきた友にこんなことを言われて翔太郎らも困るでしょうが、
「友達も恋人も父親も。皆戦いばかりでわたしから離れていく!」と拗ねたい亜樹子の気持ちはわからないでもない。とくに、一生に一度の結婚式の日くらいは。盛大にぼやきまくる彼女の言葉に冒頭のヤミーが反応し、<memory(記憶)>のメモリを呑み込めば、不思議な現象が起こります。たちまち亜樹子の身体は磁石のように怪人の身体に吸い寄せられ……そして、次の瞬間、なぜか若き日の父・鳴海荘吉の探偵事務所に、幽霊のような精神体となって漂っていたのです!
この大変な事態にも関わらず父の過去に激しく関心をそそられた亜樹子は、映画館の観客とともに、鳴海荘吉の物語を追体験することに――。

夜と煙草と歌姫と。風都におけるガイアメモリ関連事件第一号を扱った、いわば鳴海荘吉の“ビギンズナイト”となるこの第一部は、時代がかったハードボイルド活劇が実にしぶい。
・鳴海の相棒らしく剽軽にして気障、情報収集に長けた男・マツや、
・亜樹子そっくりの「あたし聞いてない!」やハイヒールアタックを見せる歌姫・メリッサ。
・そのメリッサに執着し、騎士気取りで脅迫状を送り付けてくる謎の蜘蛛男と
・見え隠れする“組織”の存在。
・そしてこの頃から主に技術開発の面で協力してきた鳴海の幼なじみ・シュラウド。
大ホールの階段、満場の客を前に赤いドレスで現われ、澄んだ高い声でメリッサが
「瞳を閉じて」と歌うシーンは、オペラ座の怪人風、でもあります。但し歌姫をもり立てるオペラ座に対し、蜘蛛男はステージをめちゃめちゃにしてしまうのですが。

ショーの途中で乱入し、警官を翻弄する蜘蛛男に対し、脱いだハイヒールを手に背後から
「やめなさいよ!」と殴りつけるメリッサ。とっさに2階席からステージへ飛び降り、回し蹴りで蜘蛛男を退けると、メリッサを背に、
「おれの依頼人に手を出すな」と凄む鳴海がかっこいい。これをやられて恋愛感情を持つなというほうが無理な話で、かばわれたメリッサの瞳がきらきらしています。
「ちょーかっけー!」
そしてその活躍に目を奪われている客席の子供たちは、もちろん幼き日の翔太郎と、その幼なじみ・真里奈(どうでもいいけど後に風都悪女伝説の巻頭を飾る女)。

若き日の刃野ら制服の警官隊が客席の避難誘導を始めたため、ステージ上には鳴海と蜘蛛男、そしてメリッサのみ。
「人間風情がドーパントには勝てんぞ」鳴海を糸でぐるぐる巻きに吊り上げ、勝ち誇る蜘蛛男。
「ドーパント?」
「ガイアメモリで進化した新たなる人類でありんす……わっちが売りんした」妙な花魁言葉を使う女が横から登場します。
「お前こそメリッサのなんなんだ?」問う蜘蛛男に、保護者だよ、と応える鳴海。彼女に手は出させないと、探偵の7つ道具、ガタックフォンで糸を切り、ステージ上に落下します。そこへ大丈夫かと避難誘導を終えた警官たちが駆け寄ってくるのと、蜘蛛男&ありんす女が姿を消すのは同時でした。
「メリッサ? どこだ」
「ここだ! 無事だ」
マツがステージ裏から発見し連れてきますが、保護者発言に傷ついたのか、鳴海に心配されてもいつになく頑なメリッサ。それでも矢口に引き立てられながら、
「あの男を止めて!」と改めて頼む、真剣な表情がたまりません。
「あっ。名案! ここは警察に任せて――」
「断る。お前は矢口を調べろ」
「うわあ~言うと思ったぁ」ニヤリと笑うマツ。おじさんのサスペンダーっていいよね! 「……了解」

メリッサの所属事務所・矢口芸能社では、時折タレントが謎の失踪を遂げています。マツの報告を受け、笑う鳴海。
「さすがだな」
「調子いい」
そう言いつつ、褒められて心底嬉しげなマツ。散々振り回されてもそんな鳴海のために、つい頑張ってしまうのだと認め、妻子持ちのくせに美女に惚れられるのもそのせいだ、罪な男だとからかいます。その罪の数――鳴海の人たらしに泣かされた人間の数を、一度数えてみたらどうだと言うマツ。今度数えてみるよと、苦笑する鳴海。

石ころのように目立たぬ凡庸な容姿の持ち主ながら、あらゆる建物の構造に通じた男、ストーン。セキュリティ解除などに有用なこの男を連れ深夜、矢口芸能社に踏み込む鳴海。この時
「おれ臆病だし」と気後れを感じ、それを恥じているようなストーンに、
「臆病なくらいがちょうどいい」と微笑む鳴海が、さっそくマツの言う通りの魅力を発揮していておかしいです。
奥のプールサイドでは、パーティーでも開いているかのように笑いさざめく美女たち。しかしその手足は、どれも異様な変形を見せています。矢口芸能社は、組織にガイアメモリの実験台として若いタレントを提供する存在だったのです。
その時、侵入に気づかれ、たちまち殺到するマスカレードたち。鳴海がその相手に手を取られる間、バットのメモリを用いるありんす女がストーンに襲いかかります。その犠牲を悔やむ鳴海に、
「要らぬことに首を突っ込むからだ」と嗤う蜘蛛男。
「矢口、貴様!」
怒りに震え、後から後から現れるマスカレードを倒しまくる鳴海。吉川さんは長身で脚も長いので、こういうシーンは映えます。

が、蜘蛛男の糸に身体の自由を奪われ、バットドーパントが超音波で操る重機に、体ごと破壊されそうになった時――。
「壮吉!」現れたシュラウドが投げる、変身ドライバーとスカルのメモリ。強制的に変身させられ(これまでシュラウドに勧められても鳴海は拒否してきた)、無事地上に降り立つスカルの伊達姿。
「まだ完全なスカルではない!」しかしシュラウドの警告通り、蜘蛛男への攻撃には失敗し、逆にバットドーパントの操るショベルカーに、圧殺されそうになります。
身動きならず絶体絶命のスカル。その時鳴り響く携帯の着信音――。
おもむろに発信者名を確かめるスカルがシュールです。それは大阪に残してきた娘、<なるみあきこ>。そして、
「めずらしく出はったー!」はしゃいでいる、まだ幼い亜樹子がたこ焼きのかぶりものをしていてまたシュール。「騒がしいな。なにしてるん」
「お仕事だよ。今も悪党と戦って、ショベルカーに押しつぶされそうになっている」
「嘘やそんなん。そんなに大阪帰りたくないんか? ウチあっという間に大きくなって、次はお嫁に行った後かも知らんで」
「……お前が嫁に行く時には、必ずそばにいてやる」

暗い空。白い月。遠くで蜘蛛男と戦っているシュラウド。胸にのしかかる、ショベルカーの重み。

約束するよ、と電話を切り、まだ死ねんと目を光らせるスカル。恐るべき力でショベルを押し上げ、立ち上がります。
「えっ」と驚くシュラウドが失礼です。

(あの電話……あの時……お父さんは仮面ライダーだったんだ)驚いている亜樹子思念体。

――とまあ、だいたいこの辺りまでが問題編で、一旦現代に戻った亜樹子が、
「あの後お父さんどうなっちゃうのー!」とプテラノドンヤミーに食いついていくというインターミッションが入ったあとは解決編。犯人は定石通りながら、まずまず納得のいく展開となります。

ここで感心したのは、蜘蛛男=スパイダードーパントの特殊能力です。自らの分身を小さな蜘蛛に変え、自在に動かす蜘蛛男。時に蜘蛛爆弾として、時に愛する人の手首に常駐する、小さなナイトとして――。
「おれの小蜘蛛を埋め込まれた人間は、最愛の者に触れると相手が爆発する」
メリッサにもその小蜘蛛を、埋め込んだ蜘蛛男。彼女が愛する男に触れれば、その男は死ぬ。
「見ろよ、がっかりだ」メリッサの肩に、顎に、手を伸ばし自嘲する蜘蛛男。「おれはこうやって触れても……おれは死なない。愛されてないんだ」
その血を吐くような叫びに思わず聞き入ってしまう鳴海。その隙をつき、突如建物の屋上に駆け上がると、街に大量の小蜘蛛を放つ蜘蛛男!
手をつなぐ恋人たち、仲良く遊ぶ親子づれ。愛する者同士が触れ合えば、たちまち街のあちこちにあがる火柱。呆然としつつも静かな怒りに燃える鳴海。
「お前は超えてはいけない一線を超えた……」
「じゃあ止めてみなよ」
自分たちの結婚式を楽しみにしていろと、メリッサを拐い宙へ飛び立つ蜘蛛男。

街を走る鳴海の前に、立ち塞がるのはありんす女。バットドーパントに変じる彼女は、ガイアメモリ購入者第一号である蜘蛛男は良い宣伝になったとうそぶきます。
どけとなおも蜘蛛男を追い続ける鳴海。蜘蛛男の邪魔をするなと追いすがるバットドーパント。
ここのアクションはかっこよかったです、なぜか途中から戦車戦の様相を呈してましたがw
スカルマキシマムドライブで横転するタンクローリーの下敷きとなったバットドーパント。
「助けて……くんなまし」
「無理だな」
敵に情をかけ、断罪に躊躇することの罪を、先ほど悟ったばかりの鳴海。

「メリッサ。さあ目を覚ませ。そして一生歌い続けてくれ……おれの好きな、あの歌を」
海の見える公園。高所に白い糸を蜘蛛の巣と張り巡らせ、その中心に美しい蝶のように、メリッサの身体を吊り上げる蜘蛛男。「キバ」でも思いましたが、蜘蛛男が美女にストーキングするというのは妙に合いますね。
ついに追いつき、一歩一歩そちらへ歩み寄る、探偵の長身。
視界を無数の風車が遮り、羽が画面をよぎるたびに、鳴海からスカルへ、スカルから鳴海へと、その姿を変える、ここの演出もかっこいい。
事態の悪化を、己の罪でもあると悔恨を語る鳴海。
「何を言っていやがる?」
いぶかる蜘蛛男に、おれは己の罪を数えたぜ、と応えます。ここ、前半のマツとの会話が響いているのですよね。それが後に、翔太郎も愛用する決め台詞につながるという。
さあ……お前の罪を、数えろ
スカルと鳴海、二つの姿が重なった時、その目が紅く光る演出もかっこいい。スカルマキシマムドライブ。宙に生じた巨大な骸骨を蹴り込めば、たちまち爆散する蜘蛛男の姿。ふわりと舞いあがり、砕け散るガイアメモリ。
「……!」
蜘蛛の力は消え、目を開けるメリッサ。彼女の前で、力を失った犯人が鳴海を見上げています。
なぜか笑顔となる、その目からたちまち生気が消え――。

「どうして? 止めてくれるって約束したのに」泣きながら立ち上がるメリッサ。「自分まで化物になって! ……何とか言ってよ。バカ! バカ……!」
今は息絶えた犯人の傍らに崩れ落ち、すすり泣くメリッサ。

この第一部に登場する歌姫・メリッサは、血のつながりを疑いたくなるほど鳴海亜樹子そっくりの人物造形となっていますが、実際は赤の他人、妻子持ちの鳴海に口に出せない慕情を寄せる女、であるだけ。これはただ単に、亜樹子が彼女に感情移入しやすくするためだけの設定なのでしょう。
「……仮面ライダーって、やっぱりつらすぎるよ!」いつの間にか舗道に寝そべっていた亜樹子は、起き上がり叫びます。「お父さんも。メリッサさんも。つらすぎるよ」
その前に立っていたのは、彼女ごとここまで空を飛んできたプテラノドンヤミー。
「ここだ。強い戦いの記憶……」そう、そこはかつて鳴海がスカルとなって、蜘蛛男を倒した地。<memory>のガイアメモリを手に、「カメンライダァァァァァ!」と叫ぶヤミー。
その叫びに応え、地中より吹き出す眩い緑の光――。

ノブナガの欲望

暗い洞窟。発掘作業を続ける、鴻上生体研究所のスタッフたち。掘り当てたのは戦国武将のミイラです。
日本史上最も強い欲望を持ち、志半ばに果てた、織田信長の魂を人造人間=ホムンクルスに移し、何が起こるか見てみたい――そんな傍迷惑な計画を立てる鴻上。

結婚式場に鳴り渡る鐘。白いタキシードに身を包んだ映司は、花嫁の清楚さに緊張したようにベールをあげ、それからおもむろに、花のかんばせにくちびるを……。
「カット! いいねえ、バイトにしとくには惜しい」
そこで上機嫌の監督から声が飛びます。モデルのバイトだったのですね。竜・亜樹子と対比させる演出でもあるのでしょうが、比奈と2人で5千円のバイト代を独り占めし、次のバイトへと去っていく映司。
ようやく比奈が映司を捕まえた時には、空き地の草むらで、困っている人にお金を配っていました。1人に1万円くらいあげていましたから、バイト代はほぼ全額はたいたのでしょうね。
「映司くん自身、どちらかというと貧乏だってこと、自覚してください!」
「でもほら、パンツと、小銭もあるし……」
「食べるためのバイトです。だいたいさっきの人たちだって、ほんとうに困っているかどうかなんて」わかったもんじゃない、騙されていると畳み掛ける比奈。
「そのほうがいいかも」と微笑む映司。良かった、お腹をすかせた子供はいないんだ的な。
「もう!」

第二部はこの無欲極まりない映司と、天下をも呑まんと欲した信長の魂を宿す男、ノブナガとが出会い、別れるまでのストーリー。
過去の恨みからか“欲望”に操られてか、甲冑の怪人となって明智光秀ら逆賊らの末裔を次々と屠りつつ、正気に返ればただの生まれたての子どもと同程度の知能しか持たないノブナガ。
鴻上の研究施設を裸で飛び出した時はまだ、ほとんど言葉も知らず、原始人同然の発音しかできませんでした。
たまたま出会った映司が食事を与え、パンツを与え、言葉も教えて自分のバイトにも帯同し――と世話を焼くのですが、無邪気に喜ぶノブナガが可愛らしくもあり、また短時日のうちに、スポンジが水を吸う如くどんどん知識を得て出世していくさまはコミカルかつ痛快でもあり。
後に「トッキュウジャー」で闇の皇帝陛下ともなられる大口さんの覇気溢れる横顔は
「やはり天下を統べるお方――」とネロよろしくうっとり見上げてしまうわけですが、別れの切なさには、つい「アルジャーノンに花束を」を連想してしまいました。だからといってべつに知能が子供レベルへ戻るわけじゃないのですが、不安定な、連続しない記憶がどうもそう見えるのです。

金も権力も、欲したものはすべて手に入れ、しかしそれらは美しいもの、優れたものを手に入れるためなら惜しげも無く投げ出す。そんなノブナガが、作中初めて執着したのは映司のモンシロチョウ柄のパンツでした。
映司から気に入ったならどうぞとさしだされ、お揃いだね、と声をかけられて、
「おろそ……ぃ?」とはにかみ微笑むシーンが可愛らしくてたまりません。
その次は、CMオーディション会場で見出した美しくも気丈な舞姫・よしの。
あるいは過去、織田信長として収集していた茶道具の名品の数々。<唐物肩衝茶入 銘初花><新田>……。もう一つ、ここに<楢柴>が加われば、天下の三大名物(天下三肩衝)が揃うと。
やがて、そうしたものに何の感慨も持たない、欲のない映司をつまらないと評し、袂を分かつノブナガ。このスタンスの違いは如何ともしがたいのですが、映司にモンシロチョウのパンツの話をされ、
「何の話だ」と問い返すのはノブナガの人が変わったからではなく、ほんとうに記憶が途切れているのだと思います。

この頃オークション会場でノブナガと再会した鴻上は、実験が好調であると知り、だめ押しにバースのベルトをも提供します。
「その巨大な欲望を何に使うか見せてくれ」と。
そのベルトを、しかし当然ながら、単なる武器と解釈したノブナガ。
たまたま街に現れたヤミーを見て、テレビ局に連絡すると、おもむろにバースに変身し、カメラの前での怪物退治&人助けに乗り出します。これはあくまで天下取りのための、人気集め。鴻上の思い入れに反し、あまりベルト自体には魅了されていないのです。

そのかれが崩れを見せ始めるのは、この世に誕生して以来、半ば本能的に繰り返している“逆賊狩り”からでした。

トウシューズで踊るよしの。公園の屋外ステージで繰り広げられる、その静謐にして軽やかな舞に見入っているのは客席の映司と比奈。そして舞台袖に立つノブナガ。しかしその日のノブナガは、よしのをいつもの、お気に入りの女性ダンサーとしてではなく、初めて見る、明智光秀の末裔と認識しています。
「許さん……」
西洋趣味を取り入れた風変わりな甲冑姿の怪人となり、ステージ上へ進み出ようとして、不思議な感覚に驚くノブナガ。自分はこの女の舞を見たことがある……?

金屏風の前に艶やかな絵扇を広げ、静かに舞い踊る小袖姿のよしの。

「……」変身を解き、よしのの手をとって舞台袖に引き込むノブナガ。驚いたのは映司です。
「明智よしのといったな? 決めたぞ。たった今からお前はおれのもの、おれの<楢柴>となれ」
「離しなさい!」ノブナガの頬を打ち、勢い良くその腕を振りほどいた反動で、ステージ上に倒れこむよしの。なおも進み出るノブナガ。
「のぶくん?」
「あたしの踊りの邪魔をしないで。それにあたしはものじゃありません」あくまで気丈に叫ぶよしの。
「このほととぎすは鳴かぬか。ならば」再び甲冑の怪人となるノブナガ。「殺す」
思わぬ成り行きに立ち上がる映司。
怪人が剣をふれば光の刃がよしのを襲います。危うく刃そのものからは逃れたものの、逸れた刃が壁にあたり、落ちかかるコンクリート塊に足を潰され、うめくよしの。
「やめろ!」彼女をかばうべく飛び出してくる映司。「どうしてこんなことを! 今までの殺人もみんな……?」
確かめるまでもないその姿。悲しげにベルトをかざし、ゆっくりとメダルを差し込んでいきます。
「お前に何がわかる。この世のすべてはおれのもの。どうしようがおれの自由だ」
「……」躊躇しつつ、ノブナガの姿を見つめる映司、震える指が、最後の操作を行います。「変身」

ところでこのよしのにどうしてノブナガが惹かれ、またどうして彼女はノブナガを拒否するのか、その彼女からなぜ新たなヤミーが発生するのか。そこには彼女自身の夢が関わってくるのですが、それははっきりとは描かれてないために、どうかするとただちょっと我の強い女のように見えてしまいます。でも30分ほどのオーズ編の持ち時間でそこまで要求するのは難しいでしょうか。

荒れ野で戦うオーズと、ノブナガ甲冑体。
チータの速さで翻弄しようとするオーズですが、その中心に静かに立ち、心眼でオーズの動きを見極めるノブナガのほうが達人っぽいです。
見事にそのカウンターが決まり、崩れ落ちるオーズ。一歩一歩、とどめをさすために、近づいていくノブナガ。
――その時、突然苦しみ始めるノブナガ。
「?」驚くオーズに、横合いから飛びついてきた新たなるヤミー!
なんとかガタキリバで倒し、改めてノブナガへ近寄れば、まだ発作に苦しんでいたノブナガは、
「誰だ、お前は」と顔をあげます。
「誰って。……映司だよ! どうしたんだよ」
なおも激しい頭痛に苦しむノブナガ。うわ言のように
「市……」とつぶやき、立ち去っていきます。

ちなみに、この戦いの最中、
「あれは?」
「めずらしい種類のヤミーだね」
 とのんびり雑談しているウヴァさんたちは、相変わらず劇場版では暇そうです。

体の変調に苦しみ、暴れるノブナガ。社長室に飾られた<初花><新田>を棚ごと引き倒し、蹌踉と街をさまようノブナガは、公園でホームレスたちとの宴会に興じる映司の姿を認め――。
「お前は何故生きている。何の欲もないお前が? 欲もなければ喜びもないはずだ」
「そうかもしれないけど」口ごもる映司。しばらく考えて、顔をあげます。「人生は楽しいって思うこともあるんだ。だって。……だって、空は青いんだし」
「空が?」見上げるノブナガ。この空のシーンはほんとうに綺麗です。
「お前は本当にうつけだ」楽しそうに笑い出すノブナガ。初めて理解したその美。「だが、おれは今まで空を見たことがなかったかもしれない。おれが見ていたのは……おれの欲望のみ」

怪力比奈に救助され、今は入院しているよしのを、見舞うノブナガ。
「お前はおれの知る最も美しいものだった。忘れないぞ、決して」
そして、コンクリートに潰されたその足の傷を癒やすことに、残る力をすべて振り絞ります。その前へ現れた真木。
「ではそろそろ、実験の最終段階に入りましょうか……」

よろめきながら、病院を出るノブナガ。
「のぶくん?」
中庭でそれを迎える映司に、何とか足を突っ張って立ち、顔を上げるノブナガ。
「……おれを、殺せ」
そう声を押し出したのが最後の抵抗。
次の瞬間、その身体から吹き出す大量の闇に一天俄にかき曇り、白昼にもかかわらず薄暗い病院の中庭。逃げ惑う人々。
真木によって生来の、美しいもの、優れたものを愛する人格を奪われ、ただひたすら、欲望のまま破壊を続ける人形となったノブナガ。オーズを見返してもただ獣のように唸るだけです。
「やめろのぶくん! お願いだよ、やめてくれ」無抵抗にその剣を受け続ける、オーズ。いくら叫んでもその声は届きません。
「やつは既に死んでいる。いや、最初から死んでいたのかも」つぶやくアンク。
打たれ、殴られ、地に転がりながら、今のノブナガを倒すことこそがかれを解放することにつながると、悟るオーズ。
力に満ちたそのパンチで、ノブナガを圧倒します。
「うぉぉぉ」獣のような咆哮を上げ続けるノブナガ。その脳裏に切れ切れに浮かぶ、よしのの舞。
白鳥のように舞うその幻影とともに、戦う2人。

やがてオーズの創りだした重力場に縫いとめられ、その必殺技を受けたノブナガ。変身を解き地に倒れたその姿を映司が抱き上げれば、
「映司。わかったよ。空は青いんだ……」初めの頃のあどけない口調で、微笑むノブナガ。気づけば再び空は晴れ上がっています。
「あの子は誰?とっても綺麗だね」幻影のなかのよしのに目を向け、つぶやくノブナガ。そうだね、と同調する映司。
「頼みがあるんだけど。あの子にこの花を渡して…」震える手が持ち上げられます。その中には白百合の花。
「ああ」請け合い、力なく落ちていく手をしっかりと支える映司。しかし時既に遅く、ノブナガの姿は白く輝くメダルの山となって崩れていきます。

そして、そこから浮き上がる3枚のコアメダル。空の彼方へと飛んでいきます。
「そんなまさか?」驚き後を追うエイジ。

MOVIE大戦CORE

3枚のコアメダルが空のかなたより現れ、目の前のプテラノドンヤミーを襲います。ぎゃっと飛び退いた弾みに、メモリを落とすヤミー、驚く亜樹子。
「いいものを見つけた……変身!」
そしてどこからか現れた声が、そのメダルとメモリとを糧に、宙に姿を表します。炎となって揺らめくその姿。呆然と見上げるヤミーが可愛く、駆けつけた翔太郎らもぎょっと息を呑みます。
「何だあれは」
「仮面ライダーよ!」
「我は暗い闇を糧として戦う異形の戦士。失った悲しみを憎しみにかえるもの。我が名は仮面ライダー……コア」

「やだやだやだ!」パニックを起こし叫ぶ亜樹子へ、コアの手が伸びます。
「所長!」竜が叫ぶなか、しかし、1人の青年が彼女に飛びつき、救っていました。
「大丈夫?」
「また仮面ライダー? いい加減にして!」命の恩人に例を言う前に、相手の腰のベルトを見て叫ぶ亜樹子。「仮面ライダーがいるから危険なつらいことばっかり起こるのよ!」

ちょっと、亜樹子ってこんな馬鹿な子だったかなあと首をひねってしまいます。その戦いの意味を、その孤独を、最も間近に見てきたはずなのに。よほどメリッサに同調してしまったのでしょうか。

「ちょっと落ち着いて。それでも戦いたかったんだと思うよ、きみのお父さん」と諭す青年は、メダルを追ってここまできた映司。
力を合わせようと、翔太郎、フィリップとともにオーズ、Wとなり、ともに炎の巨人、コアに立ち向かいます!
「これが仮面ライダーのおぞましき力だ!」
しかし、手のつけようもないパワーで、暴れまわるコア。塔の高みに上り、この地球そのものを破壊するかのようなその振る舞いはまるでキングコング。
その力の源は、地球内部からきたものと分析したかれらは、もろともに地に穿たれた穴へ、飛び込んでいきます。
「生意気な、そうはさせんぞ。贅沢な仮面ライダー共!」
その後を追うコア。

「……」成り行きを呆然と眺めている亜樹子と竜。彼らに襲いかかるのはプテラノドンヤミーです。
「おれがせっかく食べたものを奪われた! お前のせいだ!」
亜樹子のせいというのはまんざら逆恨みでもありません。しかし必死にかばい、徒手空拳で戦う竜。

地中深く、緑に輝く光の結晶にたどりつくWとオーズ。ここで手だけのアンクを初めて見て
「うぁああああああああっ! なななななんだその手みたいなもの!」
「こいつのことは、気にしないで」
「やややや気になんだろおい! 手だぞー! はははははは!」
 と主にWの翔太郎側がパニックになりますが、なんとなくジーン回で、自分の手が牛になったことを思い出したのだろうかと思うような取り乱し方でしたw
気を取り直し結晶を切り崩すWとオーズ。ほっと一息ついたところで、突然、地殻を破り乱入してくるコア!
さらに地中深く、地底湖に落ちて戦います。
「負けるわけがない。仮面ライダーの記憶すべてを得た我が、こんな者共に」
「それって、得た記憶が偏ってんじゃないの?」
「そうさ。お前はほんとの仮面ライダーを何も知らねえ!」

花嫁の手を引き、必死に走る竜。プテラノドンヤミーに襲われ、倒れこむ亜樹子の手からギアとメモリが落ちます。
はっと手を伸ばす竜を、止めようとする亜樹子。見返す竜。
「おれは仮面ライダーをやめられない……きみを守るためにも」
<アクセル>と地球の声が呼び、立ち上がる竜。仮面ライダーアクセル出現。

たとえ化物と呼ばれ自分の幸せを捨てようとも。
他の人のためになるなら、その力が自分にあるのなら、戦う。それが仮面ライダーだと説くW。
さあ、お前の罪を数えろ
「かっこいいいいい!」妙な声を出して身悶えるオーズ。さっきノブナガを看取ったばかりなの忘れてませんか。「ね、アンク、おれたちもなんかつくろうか」
「馬鹿か。前見ろ前!」

地上では、今は暴言を悔い、竜を応援し始めた亜樹子。加勢する後藤バース。
地下では鳳凰のごとく美しく神々しいタジャドルコンボのオーズと、エクストリームとなって宙を舞うW。
ヤミーは破壊されてメダルの雨を降らせ、コアは爆散して、そこから3枚のメダルとメモリが落ちてきます。
「やったー!」地中より戻ったWを迎え駆け寄る亜樹子。足を止めて背後を振り返り、「竜くんありがとう」
「所長」
「ありがとう、仮面ライダー!」
へへえ、と照れ混じりのポーズをとったWが変身を解きます。竜も。後藤も。
「オーズはどこへ行ったんだ?」
「あきちゃん、結婚式どうなったんだっけ」

エピローグはなぜか地球の裏側、リオデジャネイロにたどりついてしまった映司。ここで休暇中だったクスクシエのオーナーと出会い、ああだからノブナガの面倒を見ている間、好都合にも店が休業中だった理由が明らかになります。まあとくに回収すべき伏線とも思わなかったのですが。ていうかこの尺で、夢をかなえるよしのあたりを描いてもいい気がしたのですが。

そして、チャペルのドアの前に緊張して立つ、エスコート役の翔太郎と花嫁。背後から近づく、黒衣の女。
「鳴海、亜樹子さん?」
その顔を見てメリッサだと気づく亜樹子に、鳴海壮吉の依頼で来たと言葉少なに語ります。
あの日、別れ際に鳴海は、
「おれはもう二度と娘には会えない」と手首の小蜘蛛を撫で、彼女に言ったのです。「だからメリッサ。娘が結婚するときには、歌を歌ってやってくれないか」

(そっか。お父さんが一番愛してくれていたのはあたし……!)

蜘蛛男の特殊能力に感心したというのは、この亜樹子の“現在”に、綺麗につながってくるからです。
鳴海がビギンズナイトで命を落とすまで、一度も亜樹子と会わなかった理由ともなって、うまい設定だと思います。
開くドア。牧師とともに祭壇の前で、彼女を迎えるために微笑み振り返る竜。
一足先に会衆席に腰掛ける翔太郎を見て、付き添いじゃなかったのかと目を丸くするフィリップ。
翔太郎が指差す先に、立つ花嫁は、しかし幻想の中の父、鳴海荘吉と歩いてきます。満面の笑みの、その美しさに賛嘆する客たち。

いつの間にか亜樹子は手に入れていたようだ。おやっさんの。仮面ライダースカルの真実を――。そう、翔太郎の報告で締めくくられる物語。

愛する者を守るため、孤独に戦い続けたスカル。頑なに彼女に会わずに来たのは、娘に触れることを恐れたため。そしてまた、最愛の夫も、仮面ライダーアクセルとして戦い続けるであろうことを、ようやく覚悟した亜樹子。
めでたしめでたし……でも、どうしてもわたしは、メリッサの黒衣が気になります。
小蜘蛛を埋め込まれたのは彼女も同じ。鳴海を愛しても触れることはかなわず、またもしその後、新たに愛する人とめぐりあえたとしても、やはり触れることはかなわず。孤独だったであろう彼女は、その後も歌い続けたのでしょうか。結婚式で、鳴海に望まれた歌を歌ったのでしょうか。
歌姫も舞姫も、その夢もその愛も、ここでは語られぬまま。
ただ彼女たちを美しいと愛でた者たちが命を落として、映画は終わります。
同日追記。ちなみに、第一部で事件中、蜘蛛男がシティホール108、とメッセージを残していくのですが、どういう意味だったのか、劇場版では語られません。ディレクターズ・カット版にはこの後108に関わる小事件が描かれているようなのですが!
こんなのカットするなんて大胆にもほどがありますよね(´・ω・`)

小ネタ:東映の三角マークと、空き地でホームレス? にお金を配る時デスク代わりに積み上げたビールケースがタトバカラー
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2015.04.11 18:38 | oooオーズ | トラックバック(-) | コメント(-) |
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