LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

若菜を救う。そのために命を落とした冴子、そして、ついに翔太郎の前を去ったフィリップ。
まるで「さようならドラえもん」ののび太のように、フィリップとの別離をただ嫌がっていただけの翔太郎でしたが、風都を守り、フィリップの依頼をやり遂げるという己の使命を悟った後の戦いは悲愴でもありながら恐ろしく爽やかで、王道の燃え展開に血が沸きます。
ハードボイルドだった“おやっさん”こと先代所長・鳴海壮吉の帽子をついにかぶる、翔太郎。
こんなにかっこいい左翔太郎を初めて見たし、こんなに無邪気に笑うフィリップも、初めて見ます。
そして訪れる別れの時、深い喪失――。
こらえにこらえ、笑顔で送り出そうとしながら、耐え切れず溢れる涙。これは桐山さんがお見事ですとしか、言いようがありません。何度か見返したのですが、翔太郎と一緒に泣かずにいられたことはありませんでした。
問答無用、観て、燃えて、泣いてくださいとしか言いようのない回。


Detail of a full blind-tooled leather binding / Provenance Online Project


ということで「W」のラスボスはこのエピソードで加頭順/ユートピアということになりましたが、これが不思議と魅力のある敵でした。
「W」は物語としては、これは徹頭徹尾園咲家サーガとしか言いようがなく、したがってわたしもその代表である園咲琉兵衛こそがラスボスにふさわしいと思っていて、横からわいてきたような財団Xが、と違和感を持ってはいたのですが。
それでも冴子を愛し、彼女の夢を叶えんがためガイアインパクト事業を引き継ごうとした加頭の献身と純愛がたまりません。それを
「あなたが園咲を舐めてるからよ!」と一蹴する冴子様がかっこいいといえばかっこいいし、結局は野望より家に殉じた彼女の生き方も長女として納得の行くところだったのですが、でもちょっとくらい加頭が報われることがあってもよかったなあ。ユートピアは能力も高く、デザインもアクションも魅力的だったのでなおさら。あの暴走っぷりはWに倒される以外にないわけですけど、井坂への厚遇を思うと、少しくらいはと。
大敗

チャーミングレイブン外構。
「やめてくれえ!」絶叫するフィリップ。嘲笑うように翔太郎を放り出し、杖を突きつけるユートピア。
「仲間を痛めつけるのが、きみの苦痛ですか」
「今度こそ変身だ! 翔太郎!」
<cyclone>の声に応じ、倒れたままジョーカーのメモリをかざす翔太郎。それでもなお、その指は起動ボタンを押せません。
「翔太郎!」フィリップが絶望する度に、若菜の身体が光ります。
「数字が上向いてる」うれしそうにタブレットを眺めるユートピア。「72%…もう一声♪」

もう一度翔太郎に危害を加えようと向き直った時、強力な火弾の連射を受け、よろめくユートピア。
「はっ!」
後ずさり避けるかれに、近づきつつ攻撃を続けるのはタブー/園咲冴子。
「冴子さん?」たまらず変身を解き、さすがに驚いたような表情となる加頭。
「来人。早く若菜を連れて逃げなさい!」
至近距離からの砲撃に吹き飛ぶ加頭。しかし生身で受けたその攻撃に、白い服を汚すこともなく平然と立ち上がります。
驚くべき点はここなのに、
「冴子姉さん? まさか、ぼくらを助けて?」と失礼な驚き方をしているフィリップ。
「まさか。こいつのほうが気に入らなかっただけよ」なおも加頭に攻撃を加えるタブー。
しかし今度は火弾を避けようともしない加頭。全身を炎に包まれながら、進み出てきます。
「あなた、」
「わたし、ショックです……冴子さん。死んでいるところですよ、わたしがネヴァーでなかったら」
「死者蘇生兵士……!」息を呑むタブー。「この場は逃げなさい、来人」
「わかった!」駆け戻り、若菜、竜を助け起こして逃げていくフィリップ、翔太郎、亜樹子。彼らを守るようになお、効果のない砲撃を続けるタブーの前に、進み出て再びユートピアとなる加頭。
その前に火弾はすべて軌跡をそらされ、抵抗むなしく強引に変身を解かれ、ユートピアの胸に抱き取られる冴子。
そして、同様に杖を向けられ、フィリップの手から離れ、ユートピアへと吸い寄せられる若菜の身体。
牽制に火弾を一つ飛ばすと、両脇に園咲姉妹を抱え立つ加頭。
「!」駆け戻ろうとするフィリップを、亜樹子が必死に止め、逃げようと促します。
「若菜さんを復活させるため、来人くんには後でたっぷり味わってもらいますよ……理想郷の力を」
加頭の淡々とした宣言で、OP。

キャッチボール

「竜くん、竜くん!」
病院の廊下。ストレッチャーで緊急搬送される竜の後を追うフィリップ、亜樹子、翔太郎。
さすがに治療室には入れず、閉じられたドアの前で脱力する翔太郎は、竜の受けたダメージに責任を感じているようです。

海岸。呆けたように砂の上に座り込み海を眺めている翔太郎。傍らには亜樹子。その背後からフィリップが険しい表情で近づいてきます。
「ユートピアは人間の希望、願望など生きるための感情を吸い取って自分の力にする」
「生きるための感情?」つぶやく亜樹子。
「照井竜が精神攻撃に強い体質でなければ、もっと恐ろしいことになっていただろう。――翔太郎。何か言うことはないのかい?」

無言のままの翔太郎に、問いただすフィリップの低い声が抑えきれない怒りに震えています。怖い。

「……何のことだよ」
「きみが変身をためらったばかりにこのざまだ! 若菜姉さんも救えなかった」
「おれは!」責められて思わず立ち上がる翔太郎。「おれは、」しかし言葉が続きません。

砂の上に、打ち寄せられたままになっている野球のボールを見つけ、拾い上げる亜樹子。ほれ、とフィリップに笑顔で投げつけます。
「ちょっと2人で話でもしたら? わたし、先帰って待ってるね」
竜のことを一番心配しているのは彼女であるはずなのですが、明るく笑う亜樹子がいい女です。
顔を見合わせ、そして険悪な雰囲気なのに、素直にキャッチボールを始めるこの2人も。

「……どうせ消えるなら、姉さんを助けてから消えたいんだ。なんでわかってくれない?」
「聞きたくねえ。……どうしても呑めねえ!」叫び、メモリを取り出す翔太郎。「こいつを挿したら、お前が消えちまうって思ったら!」
投げられたボールを受け損なって、拾い上げようと手を伸ばすフィリップ。指先だけでなく、既に手全体が今にもほどけて散りそうになっています。
「翔太郎。優しさは……きみの一番の魅力さ」投げ返すフィリップ。「でも。このままじゃぼく、安心して行けないよ」
さすがに無言となる翔太郎に、歩み寄っていくフィリップ。
「なあ。約束してくれ。たとえ独りになっても、きみ自身の手で、この風都を守りぬくと」
「約束なんてできねえ」駄々っ子のような声。「おれは……自分に自信が持てないんだ」
潮風の中ただ向かい合い、立ち尽くす2人。
寄せては返す、波の音。

決意

その時携帯の着信音が鳴り響きます。
「刃さん……」表示された名を見て、咳払いし、声を作る翔太郎。「なんすかぁ? いま、」
「来人くんはいますか」しかしかぶせるように流れでた声は、刃野のそれではありません。顔色を変える翔太郎。
「加頭?」
その手から受話器を奪い取るフィリップ。
「若菜姉さんはどこへやった!」
「我が財団所有の天文研究所に。現在数値は……78%」話しながらユートピアがのんきに歩いている背後には、見慣れた風都の町並みが写っていて不吉です。「これを100に近づけるため、協力してもらいます」
「するわけがない」
「そう言わず、理想郷をお楽しみください?」
「あああああああああっ!」突然引き起こされた苦しみに、叫ぶフィリップ。

「助けて!」追い詰められ泣き叫ぶクイーンとエリザベス。
「ううっ……フィリップくーん!」喉元をつかまれ呻くサンタちゃん。
「いやあ! 翔ちゃん、フィリップくん」おもちゃ王国を逃げ惑うウォッチャマン。
風都署の廊下で、襲われた刃野と真倉。
そのすべてが、ユートピアによって生きる力を奪われ、顔のない肉塊となっていった――。


「あああああああああああああああっ!」暴力的に送り込まれるイメージ。髪を振り乱し苦しむフィリップを、驚き見ているだけの翔太郎。
とうとう糸が切れた人形のように、倒れ落ちるフィリップ。

刃野から奪い取った携帯を手に、なおも機嫌よく話し続けるユートピア。
「まさにわたしの理想郷……ユートピアだ」
「ふざけるなああああっ!」気を取り直し叫ぶフィリップに、
「次はさらに、大事な人を狙います」と囁き、周囲を見回します。「今どこにいると思います?」
「!」
「屋根でくるくる、かもめが回ってますよ……」

怯え、後退りする亜樹子。

「はっはっは……」喉を鳴らすように笑うユートピア。
「あきちゃんが、あきちゃんがユートピアに!」起き上がり走りだすフィリップ。砂に取られる足がもどかしい。
「なんだとぉ!」後を追う翔太郎。

鳴海探偵事務所。
「あきちゃん! あきちゃん!」
「亜樹子!」
駆け込んできた2人の前に、うつ伏せに倒れている亜樹子。助け起こせばその顔は、フィリップがイメージした通り奪われてしまっています。
息を呑む翔太郎。亜樹子を腕に抱いたまま絶叫するフィリップ。苦しめば苦しむだけ、嘆けば嘆くだけ、その全身が緑に輝き、自分のしていることはフィリップを苦しめているだけだと、卒然と悟った翔太郎の手から、愛用の帽子がぱさりと落ちます。
「ぼくのせいで、あきちゃんが。……みんなが……」泣き叫ぶフィリップ。

あの子が、安心して笑顔で消えられるようにしてあげてほしい。

「……おれのせいだ」シュラウドの言葉を思い出しながら、つぶやく翔太郎。私情にこだわり、街を守る使命を忘れていた。「ごめんな、フィリップ」
決心したように、壁にかけられた鳴海の白い帽子を、手に取ります。自分にはまだ早いと思っていた帽子。強い男が身につけるべき帽子。それを被り、なおも泣くフィリップの背を一瞥すると、出て行く翔太郎――。

インナースペース

「お父様」
「聞こえるだろう、この星の嘆きが」話しかける若菜に、振り返る園咲。闇の中に浮かび上がる青い星。
「ええ。お父様の嘆きも……だから、あたしなります。地球の巫女に」
「若菜」健気な愛娘の肩に手をおき、微笑む園咲。しかしかれは次の瞬間、若菜に背を向け、消えていきます。
「それが姉さんの決断だったんですね」驚く若菜の耳に届くのは、フィリップの声。
そう、これはガイアインパクトを起こす前に、かわされた親子の会話。失敗した今、園咲はもうこの世に存在しません。
「来人?」
「ごめんよ。もうぼくには姉さんは救えない」物憂げに告げる弟の、白い顔。
そのフィリップの姿も消え、青く光る地球も消え、あたりは真の闇に。
「来人ぉぉっ!」

理想と現実

外国の街のように、愛らしい建物の並ぶ場所。
その一角の床に投げ出された状態で、眼を開く若菜。
「悪い夢でも見ていたようね……若菜」起き上がり見回す先に、姉の冴子がうずくまっています。「言っておくけど現実はもっとひどいわよ」
「何の話」問おうとして、自分の全身が緑に輝いていることに気づく若菜。「?」
「加頭がクレイドールの力を衛星で飛ばして、地球規模のガイアインパクトを起こすそうよ」
「そんなふうにお父様の計画を横取りして。お姉さまの指し金ね!」憤る若菜。冴子がなぜこのような薄暗い場所でうずくまっているか、彼女にはその理由が思い至りません。

「さあ、冴子さん」その時現れた加頭。「……約束を果たす時です」
「約束?」
「出会った時に言いました。あなたが好きで、逆転のチャンスをプレゼントする、と。達成しました……愛、ゆえに」

好きだからですよ、あなたが。
大好きなあなたに傷つかれたら、わたしショックです。


これまで何度となく、無表情に告げられ続けた愛の言葉。下らぬ冗談と気にもとめていなかった。それよりも加頭の、彼女に肩入れすることで得られる利は何かと、そればかり考えていた。驚く冴子。
「本気だったっていうの? あれで」
「よく言われるんです、感情がこもっていないから、本気だとは思わなかったって」所在なげに歩きまわる加頭。「あなたは工場の場所を敵に教え、そしてわたしを売った……でも赦します。それはあなたが、園咲冴子だからです」
再び差し出される<taboo>のメモリが、まるでプロポーズの指輪のようです。
無言で顔を背ける冴子。
「なぜです……」震える手。「なぜそこまでわたしを拒絶するのです!?」
「あなたが園咲を舐めてるからよ」見返す目が暗がりできらきらと光って美しいです。「こんな形で若菜に勝っても、死んだお父様は絶対に認めない」

立ち上がる冴子。
「若菜、逃げなさい!」言って加頭に跳びつきます。ユートピアとなりその身体を押さえつけようとする加頭。とっさにメモリを奪い取り、タブーとなる冴子。
「お姉さまが? あたしを?」助けようとしてくれているのか? 驚く若菜。

表に引きずり出され、ユートピアと争うタブー。
可愛さ余って憎さ百倍というやつでしょうか、今度は情け容赦もなく、その華奢な身体を何度も殴りつけるユートピア。踏み荒らされる野の草花。やがて力を失ったタブーの喉元を掴み上げます。
「……っ」全体重が首にかかり、苦しみに呻くタブー。
「さようなら」とどめの攻撃。変身を解かれ、あっけなく力を失った冴子の身体を、ぽいと草むらに投げ出します。
鳴り響く鐘の音、小鳥の声。
愛した女性を見下ろすユートピア。
「結局ひとりきりの理想郷か……」

遅ればせに、逃げ出そうとしている若菜。しかし時既に遅く、冴子を倒し戻ってきたユートピアに抱きとめられます。

なおも鳴り続ける鐘の音。
白い野の花に、埋もれそうになっている冴子。死の間際に一度だけ息を吹き返したのか、
「わたし、若菜を助けようとして死ぬなんて……」とつぶやきます。おかしくて仕方がない、という表情。「あんなに憎んでた妹を。さいてい……」
「若菜姫は任せろ」草花を踏み分け、歩み寄ってきたのは翔太郎。今はこと切れた冴子の目を、優しく閉じさせます。

街を守る探偵

「ああっ! ううううあっ!」
何かよくわからない、大きな装置に縛り付けられた若菜。その全身が緑に光っています。
「活動係数98%……」計器の数値を確かめるユートピア。「素晴らしい」
しかし、若菜の悲鳴にまじり、近づいてくる足音に顔をあげます。
前方の暗がりに立つ男は、白い帽子を被った探偵、左翔太郎。
「きみか。なんの用です?」
「邪魔しに来た」苦しみ続ける若菜を一瞥し、答えます。
「最早Wにもなれないきみに……何ができる?」
「だったら仕留めてみろ」
「!」
浴びせられる火弾。その下をかいくぐり、生身のまま距離を詰める翔太郎。前と同じく重力を操られ、壁に何度か叩きつけられても。
「ああああああああああっ!」絶叫する若菜の苦しみを見て、その表情は引き締まります。
「終わりだ」突き出されるユートピアの、その右拳を帽子で受け止める翔太郎。
「!? こいつ……」

鳴海探偵事務所。ベッドに横たえた亜樹子の前で、祈るしかないフィリップ。
その時翔太郎の復活の意思を感じ取り、笑顔で振り返ります。

相手の右拳を受け止めたまま宙に飛び上がり、腕を捻った後蹴り飛ばす翔太郎。
「終わりはそっちの野望だ」帽子をかぶり直すと、ユートピアの方を振り返ります。
「わっ! 貴様!」
蹴りつけられよろめいたユートピアに、さらに探偵の7つ道具のうちガタックが体当たりをしかけ、スパイダーがワイヤーで、背後の設備にその身体を括りつけ、動きを制しようとしています。もがくユートピア。暗がりでよく見えませんが他のガジェットも全部揃っていたようです。決定的な攻撃ではありませんが、時間稼ぎにはなり、コントロールパネルに突っ込むビートル。
ついに作動を止めた機器から、駆け上がってきた翔太郎が若菜を救い出します!
「貴様ァァァ!」
怒りの声を漏らすユートピア。その時翔太郎によって仕掛けられた爆破装置が火をふき、施設全体が崩れ落ちていき――。

最後の戦い

「……もう大丈夫だ」
大柄な若菜を姫抱っこすることはできず、肩を貸してようよう外まで逃れ出た翔太郎。そこで彼女を草の上へ横たえます。
頭上へ飛来するのはエクストリームのメモリ。
「フィリップ?」
再構成されたフィリップの身体が、出現します。うれしそうに笑うフィリップ。

今まで、皮肉に笑ったり、知的な興奮に笑ったり、というシーンはたくさん出てきていましたが、こんなに無邪気に、うれしそうに笑う描写はなかったフィリップ。

「……はっ」つられて笑う翔太郎の頬に、首に、痛々しい切り傷。
「ひどい顔だ」
「男の勲章ってやつさ」
「……1人でよくやったね。すごいよ」
「約束を守っただけだよ」
「きみのであることは、ぼくの誇りさ」
「……」面映そうに、鼻をこする翔太郎。幸せな時間は、しかし長くは続きません。

「馬鹿な。この程度のことでわたしの計画が止まるとでも」よろめき現れるユートピア。
「止めるさ、何度でも。この左翔太郎が街にいる限り」決然と告げるフィリップ。
顔を引き締め、再び立ち上がる翔太郎。
「なに?」
「たとえお前らがどんなに強大な悪でも、風都を泣かせるやつは許さねえ。身体一つになっても喰らいついて倒す。その心そのものが仮面ライダーなんだ」
じりじりと間合いを図りつつ告げる翔太郎が男前です。
「この街には仮面ライダーがいることを忘れんなよ」
「仮面、ライダー?」今にも笑い出しそうなユートピア。
「財団X、加頭順!」
「「さあ、お前の罪を、数えろ」」
重なる声。並び立つ勇姿。燃えます。
「行くよ、翔太郎。最後の」
「ああ。……最後の!」
<cyclone>。<joker>。地球の呼び声。走りだしつつ振りかざした腕がWの文字を描き、
「「変身!」」

すかさず飛来したエクストリームメモリとともに、サイクロンジョーカーエクストリーム。雄叫びを上げ迎え撃とうとするユートピアの胸に、重い拳が撃ち込まれます。
蹴りは盾で止め、
「こんなはず!」と殴りかかる拳は手のひらで受け。
「相手の感情が強いほど、それを吸い取れるユートピアのほうが勝るはず……!」しかし実際には、拳から流れこむWの熱情を受け止めかね、苦しむユートピア。「わたしの身体に、収まらない!?」
「このWにはなあ……フィリップの最後の想いがこもってんだよ。てめえなんかに食いきれる量じゃねえんだよ!」
蹴り飛ばすW。
「これが、W?」倒れこむユートピアの、腕が痛々しく裂けています。「まだだ、まだだぁっ!」
「やつにもっとも効果のある攻撃だ」フィリップの声。プリズムマキシマムドライブ。エクストリームマキシマムドライブ。
最後の力を振り絞り宙に浮き上がるユートピア。身構え、後を追うように飛び上がるW。
「はっ」
「うぉぉおおおおおっ!」
残るすべてのエネルギーを集め、金色に輝く身体で蹴りの体勢に入りかけた(ここのユートピアがとんでもなくかっこいいです!)敵に見舞う、Wプリズムエクストリーム。
宙でぶつかり合う2つの身体、たちまち沸き起こる爆風と閃光。

遠い約束

「……」
変身を解かれ、地に落ちる加頭。わななき、起き上がりつつも、その全身は細かく分解しそうになっています。
「おれの罪を、……数えろだと?」
身構えるWに、歩み寄る加頭。
「人を愛することが、罪だとでも……」
再び翳すユートピアのメモリ。戦いに備えるW。しかし加頭の身体はそこで動きを止め、手から落ちたメモリは地に砕けます。
「財団はこれで正式にガイアメモリから手を引く」それを見守っていた女局長。ストップウォッチの時間は2分。
細かな粒子となって四散していく加頭の身体。ここの描写は哀しかったです。
そして、Wの腰から消えようとしている、サイクロンのメモリ。
「……あ」
「別れの時が来た。……翔太郎。姉さんには、このこと内緒にしておいてくれ」
「……わかった」
「じゃあ。行くよ」
ゆっくりと右腕が上がり、エクストリームのXを閉じようとする右手を、止める左手。

「……・おれの手で、やらせてくれ」

亜空間の中で、傍らの翔太郎を見上げるフィリップ。そのフィリップの顔が見られず、ただ前を見たまま告げる、翔太郎。
「任せるよ」腕を引っ込めフィリップ。
おずおずとベルトに触れ、しかしまだ動けない翔太郎。
「大丈夫、これを閉じてもぼくたちは永遠に相棒だ。この地球がなくならない限り」
いたずらっぽく笑うフィリップ。横目で見る先には、身も世もなく泣き崩れそうになるのを、必死で持ちこたえている翔太郎。
「泣いているのかい? 翔太郎」
「馬鹿言うな。……閉じるぜ」
「さよなら」
「……」こらえきれず嗚咽を漏らす翔太郎。「おう」と何とか答え、ギアを閉じます。
とうとう消滅していく己の身体に、それまで微笑んでいたフィリップも泣き顔になり、くぐもった吐息をつき――ベルトから舞い上がり、一声高く鳴く、エクストリームメモリ。空中に消えていくそれを、見送るWの後ろ頭が……泣けます。大好きです高岩さんの後ろ頭。

やがて変身が解け、独り立つ翔太郎。空を見上げ、立ち尽くす、その背中が泣いています。

置き土産

鳴海探偵事務所。
スツールに座り、カメラに背を向けたままの翔太郎。手前のテーブルには車いすにかけ、包帯男となってコーヒーをすする竜。まさかこれ、自分で淹れたんでしょうか。
更にその向かいに座って、膝に抱いたミックが切なく鳴くたびに、無言で撫でさすっている亜樹子。
いつも騒がしいこの事務所を、ただ沈黙が支配しています。

若菜姫は病院に保護された。おれはフィリップが遺した最後の依頼をやりとげた――。


顔を上げた、その視線の先にあるのは、フィリップがパーティーの夜、翔太郎にと置いていったプレゼントの箱。
竜の回復具合から見てだいぶ日数が経っているのでしょうが、まだ開けていなかったのですね。震える手で蓋を開ければ、なかにはフィリップがいつも抱えていた白紙の本と、赤いロストドライバー。
本を取り出し、白い頁をめくるうち、翔太郎の口元がわなわなと震え、嗚咽が漏れ出します。
ちょうど半ばの頁に記された文字。

僕の好きだった街をよろしく
仮面ライダー
 左 翔太郎!
               君の相棒より

涙にインクがにじみ、閉じた本を握りしめて静かに泣き始める翔太郎。
聞こえているのでしょうが、ただ黙って、コーヒーをすすり続ける竜、ミックを抱きしめる亜樹子。
「ありがとよ、フィリップ……大事にするぜ」

おれはこれからもずっと街を守る。仮面ライダーとして。
見ててくれよ、……なあ、フィリップ。


BGMもなく、報告のモノローグも涙に曇る鳴海探偵事務所より、以上報告します。
関連記事

style="clap"
2015.05.02 21:29 | w ダブル | トラックバック(-) | コメント(-) |
| ホーム |