LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

こんなに凝った後日譚は、仮面ライダーシリーズでは初めてです。
映画でいうならばスタッフロールの後の映像のように、園咲家の物語が綺麗に終わったその後も、なお風都という街に愛され、街を守るためにペットを探したり小粒な悪と戦ったりする探偵、左翔太郎。
<ミュージアム>なきあともなお、ガイアメモリに魅せられる者は後を絶たず。
そしてまた、フィリップが存在をかけて守った姉・若菜の選択は――。


wind mill / KWDesigns


ストーリーと直接関係ないのですが、少年とライダーの触れあい、というのがわたしは大好物で、これまでも「PROJECT G4」のギルス、「カブト」のガタックなどぐっとくるエピソードが多いのですが、翔太郎もベタに決めてくれました。
揺り籠から脱し、一方的に守られるべき存在から守る者へと変容しつつある少年の、心に抱える無力感。怯え、怒り、鬱屈。ヒーローはそうしたものに寄り添い、それでも勇気を奮い起こさせるような、そういう存在であってほしいと思います。
追跡者

ペットショップ。監視カメラ風の映像。
「兄ちゃん! しっかりこの口で言ったろうが!」と店員に絡んでいる翔太郎。お目当ての猫缶が入っていなかった模様です。ミック様は口がおごっているでしょうからたいへんなんでしょうねw
「レジェンドデリシャスゴールデン缶! 今日入るって」
「いやいやいや、言ってないですよ!」
「翔ちゃん、申し訳なーい! ピーポーピーポー!」割って入り、サイレンの口真似で店員を脅す店長はサンタちゃん。
「サンタちゃん頼むよお」
「てーんちょうってよーんで。これでね、許してちょーだい、にゃー!」棚から適当な猫缶をとり、袋に詰めるサンタちゃん。
「にゃー! ピーポピーポ!」承諾し、一応店員を牽制して去っていく翔太郎。
「ちょ、誰なんですかあの人ぉ?」店側が折れたことが不満であるように、口をとがらせる店員。
「左翔太郎。どんな危機でも救ってくれる、この街の顔さ」それに対しうっとりした表情で説明するサンタちゃん。
どうやら翔太郎は<ミュージアム>やネヴァー、そしてユートピアを倒したことで、かーなーり、株が上がっているようです。

ペットショップから出る翔太郎。手には猫缶の袋。その後ついてくる、10歳ほどの少年。

翔太郎の背後に映るポスター。

2011年 風都タワー完成記念祭

そう、これは「A to Z」事件で壊されたタワーの修復さえ終わった、1年後の世界。

フィリップ。お前が消えてもう1年になるな。
風都タワーもようやく再建されたぜ?
……でもなあ。おれはお前にあわせる顔がねえ……


病室。婦警が付き添うその部屋の主は若菜。
猫缶の袋を下げたまま、ドアを開ける翔太郎。
「よう。少しは元気出たかい? ……心配したよ。あれからずーっと眠り続けていたんだもんな」
ベッドに腰かける若菜の、背中に話しかけます。
「命の恩人のつもり? それとも来人の指し金」しわがれた声で嘲笑する若菜。

忘れることなどできない、フィリップとの約束。このことは、姉さんには内緒にしておいてくれ、と。
目を伏せて、若菜の言葉を聞き流す翔太郎。

街の危機は終わる気配がねえ。
なあフィリップ。お前の力がほしいよ。


キャッチボールした人工海浜を歩く翔太郎。それを監視しているかのようなカメラ映像。

ハードボイルドじゃないね、って。また笑われそうだが。

そしてフィリップと別れた天文研究所跡地。やはり翔太郎を監視しているかのようなカメラ映像。

おれには今でも、お前がすぐそばにいるような気がしてならないんだ。今もおれの近くに――。


生意気な依頼人

鳴海探偵事務所入り口。メランコリックに歩きまわった果てなのでしょうか、ようやく帰り着いた翔太郎の、その後をついてくる10歳ほどの少年。猫缶の袋を下げたまま、振り返らず
「何だ坊主」と呼ばわる翔太郎。「うちに、なんか用か」
「――姉さんを、取り戻してくれる?」幼い声。これが今回の依頼人、青山晶。

最終回の恒例としてOPはありません。

「青山、晶くん。小学6年生」書いてもらった用紙を読み上げる亜樹子。「姉の唯さんが3日前から行方不明。警察からも連絡……なし、と」
「ぼく、姉さんがいないと、何にもできないんです」亜樹子に頷き、落ち着き払って腕を組む晶。
思わずコーヒーを吹く翔太郎。
「男が胸張って言うなその台詞! いいか、いかなる事態にも心揺れず、独りで耐え抜く。それがハードボイルドってもんだ」
「それって、いいことなんですか」
「何だと?」
「第一、完全な人間はいないっていうじゃないですか。ぼくは子供で、まだ半人前だし、人に頼るのは当然ですよ」
言ってることは尤もながら心意気というものがあるじゃないかと言いたげな翔太郎。こまっしゃくれた態度にみるみる苛立ちの色を濃くしていきます。
「ああ! もう耐えられない」とうとう立ち上がる翔太郎。帽子を取り、「おい亜樹子、こいつを調査に連れてくぞ」と晶の襟首をつかみます。
「うわあなにす、」引っ張られて立ち上がる晶。「ぼくは依頼人ですよ!」
「翔太郎くん、無茶しないでね!」

風がフィリップの置き土産のあの本の、頁をぱらぱらとめくります。

聞き込み

監視カメラ風の映像。喫茶店。
「唯ちゃんて、嵐が丘高校でしょ」顔写真を眺めながら口火を切るのはクイーン。
「あそこの連中って悪いことと関わってるらしいよ」と考え深げなエリザベス。「名前は確かあ、……エグゼ」
「エグゼ? なんだそりゃ」
「EXEで、エグゼ」スマホを操作しながら傍らで、ウォッチャマン。「ガイアメモリを売買してる、若者のグループだよ」
「ボスはエナジー、って呼ばれてるよね」
「うん」
「エナジー!? ……メモリの名前か。よし、キーワードは揃った」携帯のボタンを押しはじめる翔太郎。「嵐が丘高校。エグゼ。相棒に連絡だ」
「フィリップくん、海外留学から帰ってきたの?」とエリザベス。風都イレギュラーズにはフィリップの消失は留学と説明されています。
「!」言われて目をぱちぱちさせる翔太郎。「あーいけねえ。つい癖で」
そんな翔太郎を、白けた目で見ている晶。

真相

廃工場。
「ここがEXEのたまり場か。いかにもって感じだな」吹き抜ける風。
辺りを見回す翔太郎、晶の前に表れる影。
「はっは!」リーダーらしい黒シャツの男。
「子供のくせにメモリの取引なんかしやがって」歩み寄る翔太郎。指を鳴らし「……お仕置きだぜ」
「お仕置きするなら、こいつからだろw」黒シャツが指さした方向から、突き飛ばされるように出てくる唯。
「晶!」
「行けおら」
「姉さん!」
「どういうことだ?」落ち着き払って問う翔太郎。
「おれたちのメモリ売買は、元々唯が始めたことなんだw」
「そんなの嘘だ……」必死に否定する晶。しかし、
「ごめん、ほんとなの晶」と唯までも肯定します。

黒シャツの背後には線の細い男が1人。
唯を拘束し、その場へ連れてきた男が2人。
さらに仲間が1人、2人。

「一度偶然見つけたものを売ったら、すごい値段で売れて……」
「ひどいよ姉さ、……!」飛び出そうとする晶。抱き止める翔太郎。
げらげら笑う男たち。
「おれたちは<ミュージアム>を継ぐ者。偉大なカリスマもいる!」

ああ、はいはいと厨二むき出しの黒シャツの言葉を、目を細めて適当に聞いていた翔太郎。
EXEの面々は確かに、そこらへんのチンピラにしか見えません。

「……カリスマ?」
「今は街で静かにしているあの方を迎えるため、おれたちは残りのメモリをかき集めるのさ! ――再起動の日は、近い」

いちいち台詞の芝居がかっているところが気に障ります、黒シャツ。結構育ってますが心は厨二。

黒シャツの声にまず1人が嗤いながら進み出て、<anomalocaris>と地球の呼び声を響かせます。
「どいてろ」晶に下がらせる翔太郎。
「ほらやっちゃえよ!」野次の飛ぶ中、
「行くぜフィリップ」とメモリを翳します。<joker>。「……いけね、また癖だ」
持ち替えて変身。
黒くスマートなその身体を眺め回して、まだ嘲る黒シャツ。
「はあ、何それ?」
「おれは、仮面ライダージョーカー」
「翔太郎さんが?」
「はあああ、かぁめん、らいだーwww」
気に障る声でオウム返しの黒シャツ。進み出るアノマロカリスに後は任せ、じゃあね、頼むね、と唯とともに一同出て行きます。
仲間の勝ちを確信しているようですが、アノマロちゃんの攻略方法など既に知っているわたしたちです。
案の定高速で射出される歯をすべてかわし、蹴りつけるジョーカー。
「おいおい、……どうしたぁ!」ずいずいと前に出てパンチ、そしてキック。対照的に後退していくアノマロカリス。
「そんなもんか!?」軽くチョップを落とせば弾け飛びます。
「よっと!」起き上がってきたところを蹴り飛ばし、「これで決まりだ!」
ジョーカーマキシマムドライブ。ライダーパンチ。たちまち変身を解かれ失神する男。

「晶、姉さんを追うぞ」戦いを終え、隠れていた晶に近づく翔太郎。
「もう嫌です。何も知りたくない。したくない!」
「……っ!」
駆け出していく晶。追う翔太郎。
「おい、晶! 殻にこもってる場合か!
「ぼくは、あなたみたいに強くないんだ!」

姉が恐ろしい勢力に囚われていることより、姉の犯した罪の方にショックを受けていた晶。
その腕を掴み、足を止めさせ、少年の顔を自分のほうへ向かせる翔太郎。
「いいか? おれは強くなんかねえ。お前と一緒だ」
「え?」
「ほんとは1人じゃ何もできねえけど、無理やり1人で踏ん張ってるだけさ」

両手を広げ、肩をすくめてみせます。逆光を受け浮かび上がる2人のシルエット。

「それがハードボイルド? わかんないよ」
「先に事務所に戻ってろ」ため息とともに、晶の頭に手をのせる翔太郎。「……おれは調べることがある」

ガイアインパクト1

警察病院。
何やら内部で騒ぎが起こった気配に、驚き飛び込んでいく翔太郎。
「おい、どうした!」
あれ、あれと刃野、真倉らが指さす方を見れば、きゃはは、と高笑いしながら出てくるガウン姿の若菜。
「若菜姫?」
「あれがおれたちの知ってる若菜姫だなんて! 現物を見てもまだ信じらんねえよ」と刃野。
彼らの背後から駆けつけたのは竜。
「ほんとに彼女が……諸悪の根源だったんですね」泣き顔の真倉。

彼らの目の前では、ホールの床に、ソファに、若菜を取り押さえようとして倒された医者や、看護師の姿が累々と。
今新たに飛び出していった警官2人も、やはり若菜の不思議な力に弾き飛ばされます。
「あっはっは。あっはっはっは!」勝ち誇り哄笑する若菜。素手から光弾を発することができるのです。
「……変身しなくてもドーパントの力が発動している」
目を見張る竜らに気づき、ニヤリと笑って駆け去っていく若菜の鬼女のごとき様がなんとも不気味で、
「ひっ」と悲鳴をあげ抱き合う刃野と真倉。
とっさに後を追う竜。翔太郎も。

「パワーが足りない……!」しかし余裕綽々に見せて、実は消耗していた若菜。
病院の屋上に裸足で駆け上がり、喘ぎます。
「待て! 園咲若菜!」塔屋から飛び出してくる竜、翔太郎。
「お断りよ」苦しそうに胸を押さえる若菜。「わたしは再起動し、この汚れた街を浄化する!」
「この街は汚れてなどいない! そう思うのは、お前の心がゆがんでいるからだ」
きっとなり振り返る若菜。
「風都を危機に落とし入れるものは、このおれが許さん!」なおも叫ぶ竜。
<axel>。ガイアメモリを手に突進し、変身し必殺技を見舞わんと――。

と、その前へ、若菜をかばうように立ちはだかる翔太郎。

「待ってくれ照井!」
「どけ、左! 力ずくでも彼女を止めなければ」
「頼む、待ってくれ照井。いま彼女を傷つけたら、フィリップは何のために命を投げ出したんだ!」
そこまで言って、はっとなる翔太郎。傍らでは若菜が、呻くような声で問います。
「来人が命を?」
「……!」
「いったいどういうこと!?」翔太郎にすがる若菜。「ね、どういうこと!?」
「フィリップは、消えた……」観念した翔太郎。それでも一言、一言が辛そうです。「きみを守るために、最後の力を振り絞り、……地球の中へと」
翔太郎の震える声を聞きながら、目を閉じる竜。
「ああああああ!」
そして泣き叫びながら後退る若菜。その姿が緑の風に消えていきます。

あげて落とす

鳴海探偵事務所。
一日の労働を終え、はかばかしい成果もなく、肩を落としドアを開けかけた探偵の、その耳に飛び込んでくる爽やかな声。

「問題ない、あきちゃん」

「フィリップ! 帰ったのか!」勢い良くドアを引き明け、中へ飛び込む翔太郎。

中では晶、亜樹子が笑顔で画面左側を見ており、それからはっと2人揃って翔太郎に向き直ります。
「は。やっぱりなあ。いつからだ? おれはなあ、ずーっと気配を感じてたんだよ!」帽子を取り笑顔で入ってくる翔太郎。亜樹子らの左側、部屋の隅を覗きこめば、――そこには誰もいません。
「は、おいフィリップ!」
カーテンを引き開ける翔太郎。その奥にも人の姿はなく、首を傾げる翔太郎。
「あきちゃん。問題ない」
はっと振り返る翔太郎。そこにあったのは、探偵の7つ道具の1つ、フロッグ。
「さあ、検索を始めよう」

録音だった――それに気づいた翔太郎の表情が痛々しく、思わず立ってくる亜樹子。
「……たまたま、晶くんにフィリップくんの話してて、で、フロッグポットに、声が残ってたものだから」
言い訳の声も泣きそうです。
「ごめんね、翔太郎くん。ほんとごめん。どうかこれを。これで一発!」愛用スリッパを差し出し必死に翔太郎の機嫌を上向かせようとする亜樹子。
取り合わず肩を落とし奥へ進む翔太郎の背中を、映しだす監視カメラ風の映像
「怒んないの? 亜樹子ぉ!って」
閉まるドア。
「……はは、なーんだ。相棒がいなくなってめそめそしてるなんて、かっこ悪い」それを見て、笑う晶。亜樹子をなだめ、冷えきった部屋の空気を温めようとしているようです。「ぼくのこと、偉そうに言えないじゃないか」
「…………」しかし同調せず、目をつむりスリッパで自分の頭を叩く亜樹子。

***

ガレージ。がらんどうのそこを、見回している翔太郎。

***

亜樹子が笑わないので、不安げな顔になり、なおも言う晶。「……だって、外国に行ったくらいで」
しかしもう一度、スリッパで自分の頭を叩き直す亜樹子。
「あれ嘘。ほんとうは……この世から消えちゃったの」
「え」
「フィリップくんは、翔太郎くんの大事な相棒だったの。きみにとってのお姉さんと同じ。居てくれないと何もできないくらい、2人で1人だったの……」

***

ホワイトボードに歩み寄り、まだ残る「CHARMING RAVEN」の文字を見つめている翔太郎。

***

亜樹子の声に俯く晶。

「おれは強くなんかねえ」腰をかがめ真正面から覗きこんできた探偵の、悲しげな目。「お前と一緒だ」

「ずっと、やせ我慢してるんだよ……」

***

亜樹子の声を背景に、まだガレージでホワイトボードを睨みつけ、くちびるを震わせる翔太郎。
泣くのをこらえる表情。

***

「やせ我慢? ……それが、ハードボイルド……」つぶやく晶。そのかれの、携帯が鳴ります。メールの着信。

from 姉さん
sub EXE・探偵には見せるな
2011/08/26 金 13:58

今からすぐに俺らのアジトに来い。場所は旧風都電鉄操車場だ。……

緊張を露わに、ぎゅっと携帯を握りしめる晶。

ガイアインパクト2

森。近づいてくる若菜を迎えるように、草の上に腰掛けているシュラウド。
「それで、何を望むの」
既に病院のガウンではなく、夏らしい上品な茶のワンピース姿の若菜。たぶん街を歩いていても悪目立ちすることはなかったでしょう。
「再起動。そして、わたしの夢、ガイアインパクト」
「そう……あなたの知りたい答えは、地球の本棚にある」
「意外。あなたがこんなに素直に協力してくれるなんて」
若菜はまだ、シュラウドの改心を知りません。最後の晩餐では、彼女と冴子が諍いを始めたため、直接言葉をかわす機会もありませんでした。
無言でただ、我が娘の手を取るシュラウド。びくり、と手を震わせる若菜。
「家族だもの」
「……え」
「若菜。あなたが思うようにするといいわ」向き合う2人。陽炎の中その姿がゆらめき、ふと天を仰ぎ見るシュラウド。「あなた……今、行くわ……」

そしてあっけなく若菜の膝に、倒れこみます。花びらが散るような、その静かな、静かな死。
納得できないというように首を振る若菜。
「……お母様……!」

対決

操車場。
唯をなぶるように取り囲み、笑っている男たち。そこへ現れる、晶。
「遠藤さん」それに気づいた1人が叫び、遠藤、と呼ばれた黒シャツの男が立ち上がって近づいてきます。
「お、やっほー。約束通り誰にも言わないできたな。さあ来いよ。おいで。ちちちちち。おいで」
猫を呼ぶような音を立てる遠藤。
おずおずと近づいてくる晶は、こうしてみると小6にしては少し幼く、小柄な子を選んだのかな? と思えます。
「ぼくは」肩から下げた鞄の紐を握りしめ、自分を励ます晶。「ぼくは。あなたたちなんか、怖くありません。姉さんを返してください」
「はは、やせ我慢にしろいーい度胸じゃねえか!」一転脅すような相手の仕草に、後退る晶。
「ひゃはははは!」
「やめて遠藤」飛び出してくる唯。
「なら早くメモリのある場所を教えろよ唯。あ!? 弟が痛い目見る前に!」
「姉さん」
「晶。……おいで」
「来い」
唯が言うと大柄な男が近づき、晶をひょいとかつぎあげます。手から手へ、荷物のようにそれを受け取るまた別の男。
「姉ちゃんのとこ行きてえんだろうが!」
「ごめんね晶」
しかし唯が用があったのは晶自身ではなく、その肩掛けかばん。内貼りの布を剥がした下に、メモリが隠されています。
「姉さん!」
そこへ手を出し、1つを起動させる遠藤。<ocean>という地球の声。
「オーシャンwww 嫌だよなあ~これw」
「初めて見ますね」
気勢の上がる一同。

「晶!」
そして、その隙をつき、弟の手を引いて走りだす唯。
「おい逃げんなよ」
「待て!」
うち1人が変身し、コックローチドーパント出現。
操車場の外で先に出た一同が晶を取り囲み囃しているところへ駆け寄ろうとします。
「待てこら!」

お仕置き

しかし建物から出てきた瞬間、バイクに跳ね飛ばされるコックローチ。ハードボイルダーの主は翔太郎と亜樹子。

「……どうしてここが」驚く晶に、
「念のため」と自分のスニーカーを指さす亜樹子。
晶が同じように己の靴を見ると……発信機がつけられています。亜樹子のお手柄。
それにしても「W」に登場する発信機は、撮影上わかりやすくなければいけないのでしょうが毎度でっかくて、どうしてつけられていることに気づかないのか理解できないレベルです。
「よう晶」そしてヘルメットを取り、バイクから降りてくる翔太郎。「1人で踏ん張ったんだなあ。見なおしたぜ?」
「翔太郎さんも!」途端に、誇らしさに輝く晶の顔。「1人で踏ん張ってるから」

ふ、と笑い、右手で晶を指さして見せる翔太郎。
笑顔で同じ手つきをする晶。いい顔です。

「行くぜ?」メモリを翳し変身。再びの仮面ライダージョーカー。
「仮面ライダー?」ぬるく跳びかかってこようとしたコックローチへ蹴り一閃。さらに、唯を取り押さえていた男たちには、背後から走り出てきた竜が躍りかかります。
「おりゃあ!」
たちまち2人が倒され、
「何だお前!?」とすごむ遠藤。しかし迫力は竜のそれにははるかに及ばず。
「おれに質問するな!」

その間に亜樹子が晶、唯を連れ匿います。

さらに前進し、コックローチを蹴り続けるジョーカー。パンチ、連続足刀に回し蹴り。この一連の動きは遠くから撮られていて見やすいです。
「ああ!」
瓦礫の上に転がるのは痛そうですね(*´ω`*)
「さあ、お片づけだ!」
ジョーカーマキシマムドライブ。ライダーキックで変身を解かれ、倒れる男。
「うわああっ!」
続いて変身しようとするもう一人の男はメモリを翳した手を、背後から竜に抑えつけられます。
同様に遠藤も。
「出番がなかったなあ、エナジーさんよぉ」
遠藤にでこぴん。そしてオーシャンのメモリを踏み割るジョーカー。
「左、あとは任せろ。おれの仕事だ」
「……任したぜ」
竜に答え、変身を解き亜樹子らのほうへ向かう翔太郎。
「翔太郎さん!」それを慕う晶が相変わらずいい顔です。
「あ?」指を突きつけ、ばん、と打つふりをする翔太郎。

倒れたままのメンバーを手荒く起こす手。<energy>と、微かに地球の呼び声――。

ガイアインパクト3

街をさまよう若菜。その長い髪が風にはためきます。
風都タワーの前で、手を広げる若菜。その姿は、地球の本棚に入るフィリップの仕草と酷似しています。

真犯人

「ありがとう晶。あんたがあんな勇気出すなんて」
連れ立って操車場から戻ってきている翔太郎・亜樹子と、唯・晶。翔太郎はハードボイルダーは置いてきたのですか。
「おぼえたての『ハードボイルド』、だよ」顎に手を当て、ポーズを決める晶。
「こんにゃろ、ったく。調子のいいやつめ」頭からその晶を抱き込む翔太郎。彼らの背後にそびえる、再建成った、新たな風都タワー。

――と、彼らの真ん前へ進みでる一人の若い男。ただの通行人と思いきや、すれ違うことなく前に立ちはだかられ、眉をひそめる翔太郎。
「何だお前? ……あっ。ペットショップの」
「偉そうに」口を開くのは確かにサンタちゃんの部下だった店員です。「何が街の顔だよ!」
<energy>。突如メモリを翳す店員。
「! 下がってろ」

ガイアインパクト4

風都タワーの前で腕を広げ、目を閉じる若菜――。

風都タワーの前。
「あっはっはっは」軽い笑い声を立てながらエナジードーパント出現。
あちこちから青い火花を散らせるチープなデザイン。
「逃げろ!」
晶、唯、亜樹子を、反対方向へ押しやる翔太郎。
その背に向け、きゃははと笑い声を立てつつ電撃を見舞うエナジー!

「!」

刹那、硬直する翔太郎。驚いたように見開かれたままの目。……やがてその膝ががくりと崩れます。
「翔太郎さん」
「翔太郎くん!」
「左?」追い付いてきていた竜。
「はははははは。……ははははは」そして嗤いながら変身を解き、翔太郎の背後まで、迫る店員。

祈りを捧げるように、何かを待つように、手を広げ目を閉じる若菜。

そして、まだ目を見開いたまま、朽木のごとくゆっくりと、倒れ落ちる翔太郎。
一瞬世界は無音となり、それからまた、風の音と店員の笑い声が飛び込んできます。
崩れ落ちる亜樹子。その傍らに寄り添う竜。晶の肩を抱きしめる唯。
「へっへっへ。誰も知らない」そして彼らに背を向ける店員。「おれがこの街で一番強いことを……EXEの真のヘッドだということを……! はっはっはっは」
「翔太郎くん?」声を震わせる亜樹子。「翔太郎くん! 翔太郎くん……!」

目を開ける若菜。
「再起動のためのすべてを閲覧した……」カメラがぐるりと回り、前方の風都タワーが映ります。
その墓標のような姿に目をやる若菜。
「来人……」


再会

「……ん」
風都タワーの前。うつ伏せに倒れたまま、しかし、ぴくりと指先を動かす翔太郎。「……!」
「翔太郎さん!」一歩前へ進み出る晶。心配そうに見つめる亜樹子。

両手をつき、皆の見守る中起き上がる翔太郎の背に、緑に輝く鳥型のメモリ。鳴きながら眼前へ回りこんできます。

「エクストリームメモリ!」我が目を疑う翔太郎。その片翼に、エナジーの攻撃による傷が走り、青い火花を散らします。
あの電撃の瞬間、とっさに翔太郎の背に回り盾となったのだと、語られずともわかる、その姿。
「ははーん」もちろん翔太郎も納得したという顔で店員のほうへ一度は目を向け、そして、
「え?」ともう一度、エクストリームメモリに向き直ります。いや、そもそも一年前、あの天文研究所で別れたこのメモリが、ここにあること自体がおかしいのだと。

その胸からこぼれ落ちる緑色のデータの光。たちまち翔太郎の目の前に再構成されるその人の姿は――。

初めに見えたのは地に垂れるロングベストの裾。フードの垂れた背中。うずくまった姿勢で出現したのはフィリップ。やがてゆるゆると立ち上がります。
「フィリップくん!?」亜樹子の悲鳴。
「……やあ、翔太郎?」振り返り、おどけて挨拶するフィリップ。
「……なんでだよ」その声がもう、涙にかすれている翔太郎。
「一年前。若菜姉さんがぼくに身体をくれたんだ」

***

一年前。「A to Z」事件によって打ち砕かれ、再建中の風都タワーの前で、手を広げ目を閉じた若菜。
その身体がたちまち緑のデータに分解され、宙に立ち昇っていきます。
「来人。これがわたしの決めたガイアインパクトよ……」
その中に浮かび上がる、エクストリームメモリ。

「来人」
そして、メモリの中の異空間。横たわるフィリップの肩を、優しく揺り起こす若菜の手。
「ねえさ、……!」飛び起き、息だけでつぶやいたフィリップに、
「来人、わたしの身体をあなたにあげる」と告げる、若菜。
「え」
「あなたの相棒の泣き顔、見てられなかったんですもの」いたずらっぽく微笑み、腕組みしてみせる若菜。「人類の未来のために、地球を変えるのは園咲の使命。でも一番ふさわしいのはあたしじゃない、誰よりも優しいあなたよ、来人」
そう言って、歩き出す若菜。
「姉さん」ようやくわかりあえた喜びに微笑むフィリップ。「でもぼく、……どうやって」
さらに歩みを進める若菜。前方に立っているのは園咲琉兵衛と冴子。
「答えはそのうちみつかるわ。取り敢えずこれからも、風都を守る風でいなさい」そう言うのは、スーツ姿も凛と美しい冴子。

冴子のもとへ歩み寄る赤いジャケットの園咲琉兵衛と、茶のワンピースの若菜。そして黒ずくめのシュラウド。

「みんな!?」驚くフィリップに、
「わたしたちは地球に選ばれた家族だからね。この星のなかから、お前を見守っているよ」と琉兵衛。
「父さん。母さん! 姉さん!」走りだすフィリップ。

それを見ている琉兵衛、若菜らの服装が、次の瞬間一変しています。
自宅で着ていたもののようにくつろいだ、しかしきらびやかなジャケットの琉兵衛が、そこまで、というように手を前へ突き出すので、つい足を止めるフィリップ。
「来人? 来てはだめ」
進み出るシュラウドも、藤色のブラウスに花模様のスカートという主婦らしい出で立ち。
「さよなら、来人」白いミニスカートの冴子。
「さようなら……」泣き声の若菜。カジュアルなTシャツに大きなリボン。「……ありがとう」
「若菜姉さん」は、と息をつき、涙をこらえるフィリップ。「初めてもらったポストカードと、同じ笑顔だ」
「……馬鹿」嗚咽の声を漏らし、とうとう冴子にすがりついて泣き出す若菜。その肩に手を回す冴子。そんな姉妹を、背後から抱くようにするシュラウド。
しかる後、穏やかにフィリップに頷く琉兵衛。それが別れの合図。
思わず一歩、踏みだそうとするフィリップの前で、その時家族全員の姿が緑色のデータに散っていきます。

「……ありがとう……」

***

一年後。ようやくその身体を再構成できた経緯を語るフィリップ。
「身体を復元しながら、ぼくはずっときみを見ていた」
「……気のせいじゃなかった」視線をずっと、感じていた。呆然と呟く翔太郎。
「あたし、聞いてない……」泣き笑いの亜樹子。
「あなたがフィリップさん?」そして口を開く晶。「翔太郎さんの相棒!」
「やあ、青山晶くん。きみのことは既に検索済みさ。よく頑張ったね。ぼくたちの仲間になれるかもしれないね」
苦手な子供相手に饒舌なフィリップ。再会の喜びで、いつもよりおしゃべりになっているようです。
「………っ!」突如激した感情に、顔を歪める翔太郎。「おおおっ! フィリップ!」
「相変わらずぜんぜんハードボイルドじゃないねっ!」飛びかかられたのをかわしつつ、笑うフィリップ。
「翔太郎くんは完成されたハーフボイルドだからね!」と亜樹子。
「ああああっ! んな完成したかねえ! はっ、あああああっ!」
天を仰ぎ泣いているのか笑っているのか、わからない声を上げる翔太郎。
「はははは」それを見て笑い崩れるフィリップ。
そして笑顔の竜に、抱きつく亜樹子。唯、晶も嬉しそうです。つきあいいいです。
すばらしいハッピーエンド……と思っていたら、何か忘れていました。

これからも

「おお!」遠くで呼ばわる店員。「さっきから何だよ!」
風都タワーの前。短い足で一生懸命地団駄踏んでます。
かっこよく厨な台詞を吐いて立ち去ろうとしてたのに、背後で全員ハッピーエンドを迎えられてはたまりませんね。
あ、まだいたの? というように、振り返る一同。
「無視すんなァァァッ!」

「……おっといけねえ、忘れてたぜ。さ、行こうか、フィリップ」
「ああ、相棒」
時を感じさせないやりとりを、うれしそうに見守る竜。
<energy>。再びメモリを鼻に挿し、エナジードーパントとなる店員。
その前に並び立ち、メモリを翳す2人。
<cyclone>。<joker>。
一瞬顔を見合わせ、そして敵を睨みます。
「「変身」」

フィリップのベルトの前に浮かぶ、「原作・石ノ森章太郎」の文字。
ジャジーに流れ出すOPのイントロ。


2つのメモリを挿し込み翔太郎の身体が仮面ライダーとなる傍らで、気を失うフィリップをすかさず抱きとめる亜樹子も阿吽の呼吸。
「ああああ、これこれ。やっぱこれよぉ」
「だぁな」その亜樹子に一声応じ、エナジー目がけ走りだすサイクロンジョーカー。
「はああああっ!」同じく駆け寄ってくるエナジーへ飛び蹴り、パンチ、蹴り、回し蹴り。
「ほぉれ!」高くあげた脚の下をくぐる相手にさらに前蹴り。
ルナトリガーでホーミング弾の連射。
ヒートメタルのシャフトでホームラン。
「どんどん行くぜ!」と突いて突いてつき転がします。

その間も流れ続けるスタッフロール。

「さ、行くよ翔太郎」
「ああ。ハードボイルドに決めるぜ!」
触覚を撫で上げてジョーカーエクストリーム。久々のはんぶんこ攻撃。
「ああああああああっ」あっけなく変身を解き転がる店員。
「決め台詞は忘れてないだろうね? 翔太郎」
「ふ、当たり前さフィリップ。街を泣かせる悪党に、おれたちが永遠に投げかけ続けるあの言葉」

相手を指し示す、その手つきを3度(いやWがしたのは1回でしょうが、角度を変えて映されるのが3度)。
手首のスナップが効いてます。

「「さあ、お前の罪を数えろ!」」

その勇姿より離れた左側に、瞬間、小さく番組のタイトルロゴが入り、以上報告いたします。
冒頭凝ってると言いましたが、さらっと見れば、おいどこが凝ってるんだ、と思われるかもしれません。
事件として見れば今回の犯人は小粒も小粒、<ミュージアム>の残党ですらない、街のちんぴら。
敢えて言うならその頭目、エナジーと呼ばれ“今は街で静かにしている”人物が誰か、というのが謎で、遠藤なのだろうか、それとも唯なのだろうかと思わせようと――していたみたいなのですが、そんなのはチープなひっかけ。遠藤ならば自分のことをカリスマと呼ぶ頭のおかしな男ということになりますし、唯ならば誘拐事件そのものが意味のない茶番で、かれら以外に誰かがいるのは明らか。最後まで街で静かにされていたら見つけるのはやっかいだったでしょうが、とくに謎というほどのこともありません。

他にも粗を上げるなら、例えば唯。
拐われたという点では被害者ですが、もとは彼らの仲間であり、そもそもメモリ売買を始めたのは彼女だというのですから、その辺りの経緯や、晶を前にした悔恨の情が描かれないのは物足りないし、逮捕も事情聴取すらされず、晶と街を歩いているのがおかしい(もしかしたら風都タワー前のシーンは風都署からの帰り?)。
また、操車場でジョーカーに倒された遠藤を、引き起こす手がどうも警察には見えず、エナジーその人のようなのに、じゃあその場に残って事後整理していた竜は何してたの? とも思います(もしかしたらその時現場でエナジーを見かけ、風都タワー前まで追ってきた?)。

しかし細かいところはキニシナイ。今回のエピソードで見るべきところは叙述トリックの自然さです。
翔太郎の衣装、翔太郎の手に持たれた小道具の一貫性によって乱れた時系列には気づかされず(一応ヒントはあるのですが)、種明かしのアイコンとなるのは一年間風都を見守ってきた物語のシンボルとも言える、風都タワー。
そこでえっと思ったらすかさず、登場人物の口から解説、答え合わせ。
つまりわたしは細かいヒントには気づかず、すっかりその種明かしの風都タワーまできれいさっぱり騙されていたわけで、タワーの破壊と再建、すなわち「A to Z」すらこのラストの前ふりだったのかと感心しますけれども、ここでこういう凝ったことしてくれるのかと、一年観た者への番組からのプレゼントのように思えて、ほんとうにうれしかった。

もちろん、これ以上ないハッピーエンドで、それもうれしかった。

巨悪との戦い、相棒との別れを経て一皮剥けたというか、ハードボイルドに一歩近づいたようなこの回の翔太郎ですが、それでもやっぱりかれには孤高より相棒が似合うし、亜樹子にしろ竜にしろ、風都イレギュラーズにしろ重要な存在であっても、そのなかで唯一無二、最高のパートナーと成り得るのは園咲来人=フィリップだけだとしみじみきます。

園咲家が落ち着いたのもよかったなあとほのぼのしたのですが、あの着替えの意味は少しわかりませんでした。

暴走する父、対立する姉妹、といった家庭崩壊状態の園咲家 →
波乱を含みつつも<ミュージアム>の事業にばりばり取り組んでいた園咲家 → 
ガイアメモリに狂わされる前の仲良し園咲家

……という時間の巻き戻しの表現なのでしょうか。
シュラウドの合流の仕方には少し驚きました。テラーの攻撃によって既に瀕死だったものが復讐心だけで生きながらえていて、風都を守ろうとするフィリップ、そのフィリップの願い、理想を貫こうとする翔太郎によって、その復讐心も消えたから、ということなのであれば、哀しい一生ですが……
最後に家族ともに安寧を得られ、ほんとうに良かったなあと思います。
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2015.05.08 10:53 | w ダブル | トラックバック(-) | コメント(-) |
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