LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

いやあ……トライドロン、未来に飛んでっちゃうのかと思いました。スピードメーター睨みつつの一本道、バック・トゥ・ザ・フューチャーすぎる。
そしてロボコップかとも思った。


Speedo Meter / Ke Wynn


燃える復活劇でしたが、欲をいえばもっとつじつまを合わせてほしかったかなあと思う点もところどころありました。
たとえばOP後の提供枠で、「弔い合戦まであと○秒」って煽り文句が出ていましたが、実際には特状課の面々は弔い合戦などせず早々に撤収。「さよなら特状課」とホワイトボードにさら電っぽいイラスト(上手い)つきで書く余裕もあります。どうせ窓際崖っぷちだし、警視庁の期待とか知らない、とっとと撤収しちゃうぜ的なノリは嫌いではないのですが、この流れではちぐはぐに見えます。
せめて霧子のために剛だけでも取り戻そうと独りチェイスが立ち上がったところでおおっと思いましたがここの落ちもそりゃないよと落胆したり。
いやこれはチェイスの思いやりからついた初めての“嘘”に期待しすぎたせいかもしれません。わたしは日頃つじつま合わせより盛り上がりだぜ! 派なので、どうせならあの嘘を拾って発展させてよりスリリングなストーリーにしてほしかったのです。進ノ介があれほど苦労してつくった解毒剤も、どら焼き回では飲んだか飲まなかったかわからないし、今回も結局生かされず。
あと、進ノ介復活にかける霧子への、ロイミュード側の妨害をもっとがっつりとか、剛はチェイ兄進兄に謝らないの、とか思って観てました(じゃないとたぶん戻りにくい)。まあそのへんは霧子の値千金の笑顔で吹っ飛びましたけど。

ブレンさんのお笑い要員復活はめでたい。歓迎です。そしてトップギアには仁良課長が満を持して。
ジャンクションでいきなりキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

嘆き1

悲劇的な先週のラストシーン。
地に倒れた進ノ介、その骸に取りすがり慟哭する追田、霧子。
彼らをあざ笑うかのごとく、宙の高みから見下ろしているフリーズ。
「すべての決着はついた」
「貴様ァッ!」チェイサーの向ける銃撃も軽く跳ね返し、炎熱の反撃であっさりその変身を解いてしまいます。地に転げるチェイス。
「はっはっは」おもむろに地上に降り、ブレンらとともに姿を消すフリーズ。その寸前のマッハは、なぜか進ノ介らから目を背けるような表情です。
呆けたように今は静かに、半ば凍りついた進ノ介を見下ろす霧子。

***

「機械生命体と対向するための戦士として、市民の平和のために尽力してきた仮面ライダードライブ、泊進ノ介巡査が昨日、殉職しました。24歳でした――」
街角のスクリーンではS.H.Tニュースが流れ(この番組名w)、また人々には号外が配られています。
「仮面ライダー死んだって!」
「嘘、これから怪物どうすんの!?」

***

巷の驚きの声とはうらはらに、沈黙に包まれるモルグ。薄暗い室内で、静かにその遺体からシートを剥がす本願寺。その瞬間、顔を背ける追田。無言で見入るりんなと西城。
「やっぱだめ。受け入れらんない」突然声を震わせるりんな。彼女に肩を貸しながら、つらそうに俯く西城。
「嬢ちゃんはどうした」ようやく周囲を見回す余裕が持てたらしい追田が問います。
「どうしても、見たくないって」ぼそりと口を開く西城。「家にこもったまんまみたい……」
「甘ったれたこと言うなよ! 警察官だろ!」その叫びが既に、泣き声になっている追田が熱い。憤懣やるかたない様子で手近なロッカーを殴りつけます。「おれは絶対追うぞ進ノ介! お前を殺した真影を許さねえ……っ! 見ててくれよぉっ、おれのデカ魂……」
今は進ノ介の枕元に取りすがり、膝から崩れ落ちて泣き伏せる追田の、肩に手をやる本願寺。
ぽんぽん、となだめるようにたたきます。

「あの、本願寺課長」この間、ずっと緑の手術着を着た男性が後ろにいたのですが、歩み出て進ノ介の身体のカバーをさらに下まで引き剥がします。「これを見てほしいんですが。この、ベルトとブレスレットが、ご遺体からどうしても取れないんです」
息を呑みその様を見つめる本願寺。
「……クリムちゃんも、泊ちゃんとともに逝ったんですね」
進ノ介の死に顔は眠っているように穏やかですが、その身体が安置されているところがステンレスのあみあみの上だったのが気になりました。これはどうみても解剖台。これから解剖するからその前にちょっと見てねって感じです。

***

「……泊さんの嘘つき」
薄暗い室内。灯りも点けぬまま、キッチンのテーブルに物思う霧子。窓辺のカーテンが揺らぎます。
笑顔で待つみんながいるから必ず戻ると、あれほどはっきり言ったのに。
「バディのあたしに、そう言ったのに」

奪還1

「これで001の記憶改竄能力を打ち消せるわ」
同じく灯りの消えたドライブピット。開発台のりんなが、チェイスに解毒剤を渡します。しかと受け取るチェイスの手つきがいい。
「おれは霧子を心配させたくなくて、嘘をついてしまった。ほんとうは、剛の耳には001から受けた針の傷があったんだ」
りんなに背を向けたまま、つぶやくチェイス。
「泊進ノ介はもう帰らない。せめて、剛だけでも彼女に取り戻す」
ここ、解毒剤の小瓶を今一度ぐっと握りしめているのが、床に映る影でわかります。決然と歩み出すチェイス。
「チェイス。聞きたいことがあるの」それを呼び止めるりんな。

嘆き2

特状課課室。駆け込んできた仁良。
「本願寺さん! 本庁に呼ばれている、でしょう?」声が竜頭蛇尾になってしまったのは、室内の異変に気づいたから。「……っ、本願寺さん。あんた何やってるのよ!?」
ホワイトボードには「さらば特状課」と大書され、その前では本願寺が、デスクの上に段ボール箱を並べて私物をまとめています。
「もともとりんなさんと西城くんは外からの客員ですし、霧子ちゃんはショックで引きこもり、追田警部補は元の一課で捜査続行中。もう、ここでわたしにできることなんか何もないですからねえ」
おろおろと自分たち以外無人の室内を見回す仁良。
「ちょっ、ちょちょ、冗談じゃない! 真影はほんとに機械生命体だった。しかも逃走したままなんだぞ! 早急に対策委員会に協力して、新しい仮面ライダーを探してよ!」
喚く仁良に、とうとう苛立ったのか、手にしていたファイルを力強くデスクに打ち付ける本願寺。はっと押し黙る仁良に対し、
「冗談じゃない? ほう……冗談じゃないですか」と悲しげに口を開きます。「それはこっちの台詞だ!」
ビクリと硬直する仁良。
「仮面ライダーはただ、体力や知力に優れているだけじゃないんです!」それに向かい、語気荒く歩み寄っていく本願寺。全身から怒気を発するかのように。「クリム・シュタインベルトとわたしが、警視庁の中から選びに選んで唯一見つけ出した警察官! それが泊進ノ介なんです!」
後ずさりとうとう長椅子に突き当たって倒れ込みながらも、必死でそれをなだめるべく頷き続ける仁良。花の飾られた進ノ介のデスクにはまだ、玩具のサーキットやミニカーなどが並んでいます。そこに手をつき、
「代わりなど、いやしない!」と叫ぶ本願寺。

***

「ううっ……」
伏せた目から大粒の涙がこぼれ、長いまつげを濡らす、ここは霧子の私室。まだキッチンのテーブルに向かい座ったまま、一夜を明かしたようです。
ベランダへの掃出窓から吹き込む風に、レースのカーテンが揺れ続けます。

奪還2

「はっはっはっは……」
豹の剥製のアップから、何やらがらくたに満ち満ちるアジトが映りますが真ん中で上機嫌に笑い続けているフリーズの身体から発する、金色の光で正直何がどうなっているかわかりません。
目を丸くしてその様を見つめているハート様とメディック。
「超進化体……!」
「なんて圧倒的な存在感」
驚くばかりの彼らの前へ、一歩踏み出るブレンの手にしている置物が、何であるかもわかりません。「……素晴らしい」
「これが、おれたちのゴールか」息を呑むハート様の前で、人間体へ姿を変える真影。「ゴールは、約束の数が揃うことさ、ハート。わたしがきみを導こう……」
「ふはははははは」肩に置かれた手を払い、相手を睨みつけながら席を立つハート様の目が、めずらしく怒っています。「よく言うよ。一番おれを超進化させてくれそうなやつを、先に利用して殺してしまったくせに。泊、進ノ介……」

このハートの言葉を機に、片隅で聞いていた剛が立ち上がり部屋を出ていこうとします。

「そうだったな。……何か、新しい手を考えよう」ハートと入れ替わるように、腰かける真影はあくまで上機嫌。「はっはっは。はっはっは……!」

と、その時、物陰から走り出たチェイスが、部屋を横切ってきた剛を背後から抑えつけます。
「!」
りんなの解毒剤を剛に。しかしとっさにそちらへ針を投げた真影が一瞬早く、たちまちチェイスの手のなかで砕け散るアンプル。
驚き真影へ向き直るチェイス。その前で、ゆらりと立ち上がる真影。
「わたしの針の、解毒剤のたぐいか……? 無駄なことを」
「豪胆だなあ、チェイス」そして楽しげに立ち上がってくるのはハート。「おれたち全員の前に、1人で飛び込んでくるとは」
気がつけばメディック、ブレンもその歩みとともに散開し、チェイスを取り囲む体勢となっています。無言で変身動作に入りかけるチェイス。応じようとするハート。それを押しのけ、前へ出てくる真影。
「わたしに任せ給え」
「変身!」
仮面ライダーチェイサー出現。しかし同時に変身したフリーズの、軽い一突きでたちまち吹き飛び、窓ガラスを割って下へと落ちていきます。
落ちて転がるチェイサーに、さらに下まで飛び降りて挑みかかるフリーズ。速い蹴り、これは喜多川さんなんでしょうか。←神前さんでした。
「おおっ!」それをかわして距離を取り、連射。しかしフリーズの硬い体表には何の痛痒も与えられません。
シンゴウアックス。これも一撃、二撃、まともに受けて尚もそこに立ち続けるフリーズ。退けさせ、ブリザードを浴びせます。
「……無駄だ。おれはロイミュードだ」じりじりと後ずさり、よろけながら、唸るチェイサー。「ドライブとは違って、心まで凍結されはしない!」
しかし言いつつも、その身体は既に、白く凍りつきかけています。
「それもそうだねえ。面倒な相手だ」

奪還3

余裕を見せるフリーズの、背後に現れる剛とブレン。
「それならば、かれにも手伝わせましょうか。マッハ?」ブレンの声とともに、無言のままゼンリンシューターを手に身構える剛。
華麗に宙を舞い、マッハ降誕。
「あっ!」力強いパンチの後はくるくると速い蹴り。辛うじてそれをかわし、組みうつチェイサー。
「やめろ。目を覚ませ、剛!」

熱い展開です。進ノ介亡き後、霧子のために剛を奪還できるか、それともチェイサーまでが取り込まれ、再びロイミュード側の手駒とされてしまうのか。

奪還4

「はあっ!」しかしその銃撃の威力は凄まじく、たちまち大轟音の中、変身を解かれ倒れ落ちるチェイス。というよりマッハの勝ち誇り方がすごい。
「あはははははは!」甲高い笑い声とともに降り立ってきたのはブレン。つかつかと歩み寄り、フリーズ、マッハの横に並びます。「裏切り者め! もう一度改造してあげましょうか。あははははは!」
「!」

その時。ブレンの手からタブレットを奪い取るマッハ。

そのまま足を蹴って体勢を崩させ、背後から喉元を抱き込んでゼンリンシューターを頭部に突きつけます。「……動くな」
「撃たないで!」驚愕しつつ一瞬フリーズのほうを見、そしてまたマッハに振り返って、「撃たないで!」
「この時をずうっと待っていた……」そのブレンを抱き込んだまま、周囲を警戒しつつ後ずさっていくマッハ。
「ばかな。お前には他のライダーを憎む記憶を書き込んでいた」
「そうだっけ? おれも進兄さんと同じ、特異体質、ってやつみたいだぜ?」
驚くフリーズを睨みつつ、じりじりと、そのまま、チェイスの倒れている位置まで到達します。

ここも熱い展開なのです。稲葉さん、渡辺さんの演技がかっこ良くて、おおお剛! 信じてたよ! とわたしのなかの小さい子が歓声をあげたりしてたわけです。しかし一方、また特異体質かと思ったのも事実。そのせいでチェイスの決死の潜入がまるで無駄だったかのように感じてしまいました。
ライダーには特別な才能の持ち主を選んでいる、剛もまたそうだ、という前振りがじゅうぶんあったのならともかく、初変身時の「進ノ介きみは超人だ」とか今回の「選び抜いてやっと見つけ出した警察官」とか程度で、しかも前のエピソードで特異体質20人の失踪事件を扱ったばかりで、あまり選ばれた存在という感じがしません。フリーズもフリーズで、12年前から20人拐って人体実験して、それでも特異体質の人間に対する洗脳法を発見できなかったというなら大失敗だと思われますし。

また剛も、とっさにブレンの話にのるしかなかったとはいえ、敢えてフリーズの氷の針を受けねばならなかった、その葛藤は観たかった気もします。自分が特異体質か否か、確信が持てていないのなら一か八か過ぎますし。ここは普通に、
「ブレンの誘惑に負け、ドライブへの不満から裏切ったふりをしていた」じゃだめだったのかな。洗脳されたふりをしていた、だからこんなに気になってしまうので。
いっそ、耳の後ろ見なきゃよかったのに。そこを曖昧にしたままでも、剛が洗脳されてしまっているのか、ただの裏切りか、それとも……という興味はひけたわけですから。
チェイスの嘘から膨らむ脳内ストーリーに、それだけ期待してたわけです。

しかし文句つけつつもこのシーンのマッハはほんとうにかっこいい。
そしてブレンさんの怯え顔がものの見事に三枚目。

「目的は果たした。あばよ!」楯にとったブレンを解放するや光線一閃。大轟音の後には無言で立ち尽くすフリーズと、腰を抜かしへたり込むブレン、2人だけ。
「…………待て、」ようやく正気に返ったブレンが辺りを無駄に駆けまわります。「それを、それを返せ!」
その傍らで敗北を噛みしめるフリーズ、かれらを背後の高みから見下ろしているハート様とメディック。

「裏切ったふりをしていたようだな。あれを手に入れるために」

あの日、ブレンが剛に見せたタブレットの中身。驚き、思わず殴りかかる手を止めた剛。
「ふふふふ、お利口です。このなかにはね、あなたにとって、とても重要なものが入っているのですよ」
「まさか」
「取引しませんか。……わたしたちと」


懺悔

「おれはブレンの誘いに敢えてのった……ひと芝居、うったんだ」あの夜と同じ川べりに、今度はチェイスと佇む剛。「おれはこいつがほしかった。こんなかには、ロイミュードのすべてがわかる、究極の頭脳が入ってる」
「何!? ……そうか、それを手に入れるために今まで」
「そうさ。こいつがあれば、やつらを一気に全滅させられるかもしれないんだ」手にタブレットを持ったまま、まだカメラには顔を見せない剛。その表情が、一転、アップになります。ひどく悲しげな顔。「でも、そのためにおれは」

剛自身も目の当たりにした、ドライブ・タイプフォーミュラ/進ノ介の最期。

「……進兄さんを見捨てちまった」そのあまりの罪深さに、息苦しさをおぼえつつ、膝から崩れ落ちていく剛。「一瞬のことで手が出せなかった。姉ちゃんのあんな悲しそうな顔。初めて見た……! おれは、姉ちゃんの笑顔のために戦ってきたはずなのにさ」
霧子のために。想いは同じだという顔で聞き入っているチェイス。
「こんなもんのために。……っ、こんなもんのためにぃっ!」
突如感情が高ぶったのか、発作的に立ち上がりタブレットを川面へ叩き込もうとする剛。とっさに止めるチェイス。
「離せ。お前に一体何がわかる!」
もがく剛を、無言で殴り倒します。
「てんめ……、」
「お前も」仰向けに倒れた剛に、のしかかるように、その喉元を押さえるチェイス。「人のために命をかけて戦う仮面ライダーだとわかった」
「!」
「自分の信じたことを貫け。剛」
「チェイス……?」
剛の襟をつかんで引き起こし、自分は立ち上がるチェイス。
「それが本当に究極の知識を持つならば、今こそ霧子の役に立てろ」
その瞬間、泣きそうだった剛の顔が、瞬時に引き締まります。一文字に引き結んだ口元、凛々しい眉。決意の表情。
そこまで見届け、踵を返すチェイス。

「泊進ノ介の遺体からは、ベルトが離れなかったと聞いた。あのクリムが、ただで死ぬとはおれには思えない」

今度こそほんとうに立ち去ってしまったチェイス。独り残され、川辺に座り込んだままの剛。その傍らには、ブレンのタブレットが置かれたままです。拾い上げ、そっと画面に触れれば、そのなかの青ざめた“顔”が剛に振り返ります。
『なにか、わたしに尋ねごとかな』
「聞きたいことがある。…………蛮野博士」

奪還5

CM明けは独り、免許センターの廊下を歩む追田警部補。特状課の前まで来て、空室と知りつつ中に入ります。
感慨に耽る表情。と、近くではあ、とため息を聞いた気がして振り返る追田。
「な!?」
そこには西城が、ミーティングスペースのテーブルに向かい、うなだれています。
「なんだ究太郎。……今更、こんなとこで何してんだ」
「……っ、そっちこそ! まったく、なんて素直じゃない人だ」
「ああ」ため息とともに、長椅子に腰を落とす追田。「……どうにも、脳細胞がバックギアなんだよ」
「特状課を忘れられないんだ。進ノ介くんのことも」頷きつぶやく西城。手にしているのはドライブの人形とトライドロン。たぶん劇場版前売り券で貰えるプレゼント。

***

霧子の居室。窓外の救急車の音に、顔を上げる霧子。立ち上がり、窓を勢いよく閉じます。そして。
「姉ちゃん」
音もなくそこに佇んでいた弟に、驚く霧子。剛はそのまま、勢いよく這いつくばると、床に両手をつき頭を下げます。
「今までごめん。でもおれは、誰にも操られてなんかいない」
チェイスの嘘によって、剛には何らかの思惑があるのだと信じていた霧子。何の前触れもなく戻ってきたことへの驚きはあっても、弟の言葉に意外な点はありません。ただ辛かった日々が胸をよぎるだけ。
「じゃあ、……なんで?」
「勝手なことをしたのはわかってる」顔を伏せたまま、続ける剛。「許してくれなくてもいい。でも、……もう一度だけ、おれのこと」
信じてくれないか、と絞りだすような声。その前に屈みこむ、霧子。

「あたしは、いつでもあなたを信じてる」

その声に初めて、顔を上げる剛。泣き出しそうになるのをこらえるように、目を見開いています。
「ありがとう。……これから、もっと信じられない話をするよ!」立ち上がりパンツのポケットから取り出した手帳をキッチンのテーブルに広げて、「でも、これできっともう一度、姉ちゃんは笑顔になれる」

奪還6

「だれかいるかなあ」追田と2人、ピットへ通じる階段を降りていく西城。
「あんま期待すんなよ」応じる追田。

しかし、ドアが開けばそこには、きょろきょろと物見高く歩きまわる仁良、開発台に向かうりんなと、その作業を背後から見守る本願寺。
「「みんないたぁぁぁぁぁっ!」」
はは、と歓声を上げかけた2人は、次の瞬間、
「「えええええええええっ!?」」と驚愕の声を。
ピット中心に据えられたトライドロンのシートに、進ノ介の身体が座らされていたからです。
「なんて罰当たりなことを!」
「課長さん、先生! 何の真似だこりゃ!? ……てか仁良課長まで、何してんすか!」
「わたしのほうが聞きたいよ!」いつもの扇子で追田をひっぱたく仁良。「本願寺さんが泊巡査の遺体を持ってったって聞いて。すっ飛んできたんだ!」

「それがどうやらまだ、遺体じゃないようなんです」

室内の喧騒を振り返りもせず、よく通る声で言い放つ本願寺。
「「「ええ!?」」」
「泊ちゃんの細胞は、ぜんぜん劣化してないんです」
「クリムよ。クリムが進ノ介くんのこころと一体化して、生命維持装置みたいな役割を果たしているの」とりんなも。
「そんな馬鹿なことが!?」
「それじゃ、まだ」
「……クリムが再起動すれば泊進ノ介は蘇るかもしれない」いつの間に現れたのか、そこに立っていたチェイスが、西城の言葉を引き取ります。

「調整完了よ!」立ち上がり、シフトカーを手に取るりんな。「シフトトライドロン。ドライブは、これ以上強化できない。でも、最後の切り札として、トライドロンと全シフトカーのエネルギーをトレーラー砲に注ぎこむために開発していたの。これを応用するのよ」
ピット中央部に据えられたトライドロンのドアを開け、なかに座らされている進ノ介の、シフトブレスに赤いシフトトライドロンを装填します。
「なるほど。すべてのコアドライブギアを直結させ、ベルトさんに力を与えるんですね」
頭上に電球がピカっと光るのが目に見えるような西城の解説。
「これが今の最大エネルギー」トライドロンの運転席から出て、皆を振り返るりんな。「それに賭けるわ!」
りんなの迫力に直立する一同。しかしそこへ、霧子が駆け込んできます。
「それだけじゃだめです」
「嬢ちゃん」
「霧子ちゃん?」
「これを見てください!」
霧子がりんなにさし出したのは、手帳に殴り書きされた幾つもの数式。
「……すごい」次々とページを捲り感嘆するりんな。「すごーい、この計算式! どうしたの」
「剛からです」
「剛。なんであいつが?」その裏切りを思い出した追田のため、
「敵のふりをしていたんだ」と口を挟むチェイス。「剛は正気だ」
「今までも剛は、影であたしたちの味方をしてくれていたんです」
「ミスターX!」大声を上げる西城。

「……泊さん」トライドロンのドアを開け、屈みこんで進ノ介の手をとる霧子。「あたし、泣いてばかりで。でも、もう大丈夫です」

「完璧よ、この計算式!」剛の写してきた式を調べていたりんな。「普通に起動したんじゃ上手く行かなかった。時速200キロまでトライドロンが加速した状態で、イグニッションしないと」
「時速200キロ!?」
背後で、先ほどの玩具のトライドロンに玩具のドライブを乗せていた西城。その手元から、思わぬハイスピードで走って行くミニトライドロン。これはやっぱり映画の特典の現さんのハシリ、ダァシタ!
「ならば」つかつかと歩み出るチェイス。「おれが運転しよう」
「いいえ」その顔を正面から見返す霧子。危険は承知。「――泊進ノ介のバディは、わたしです」

奪還7

ということで冒頭、ちっとも弔い合戦してないと言いましたが、そうじゃなくこうして進ノ介の復活に力を合わせる特状課というのはこれはこれで、熱くて大好物なのです。

どこかの私有地。海岸沿いのコース。
早くもエンジンから轟音を響かせるトライドロンの、運転席に収まっているのは霧子。相変わらず傍らには進ノ介が乗せられています。
「スタンバイオッケーです」
「了解」応えるりんなは傍らに設営されたテントの下。ヘッドクオーターの司令官の趣です。「ドライブピットは」
「トライドロンと、ピットの全データのシンクロ、完璧です」開発台のPCに向かっているのは西城。ここからりんなたちを中継してエネルギーを送り込むのでしょうか。西城の背後には、固唾を呑んでいる本願寺。
「頼みましたよみんな!」
モニターに映るトライドロンを見据え、りんなが
「霧子ちゃん、行くわよ!」と声をかければ、チェイスがスピードガンを構えるのと同時に手持ち無沙汰な追田が旗を振り、
「かぁみさまぁぁぁぁぁぁっ!」と絶叫。

ぐいとハンドルを握る霧子。
「行きます」
思い切り力を籠め踏み込むアクセル。加速するトライドロンへ、すべてのシフトカーのエネルギーが飛び込み、搭載されたトレーラー砲と一体化していきます。
「120キロ。順調よ」
さらに加速し続けるトライドロン。その前方へ、不吉な影が現れます。
「まだ生き返るとでも言うのか」身構えるフリーズロイミュード。拳を握り、
「ふざけるな!」とあの光線を出します。
「うわあああっ!」危うく逃れる追田。しかしトライドロンはまともに受けてしまいます。火花がスパークし、轟音とともに巻き起こる熱風。
「!」
モニターに映る惨事に身を乗り出す本願寺と西城。
タイヤを軋ませ、煙の中から姿を現すトライドロン。
「はっ」そして退避行動から顔を上げ、一転フリーズに向け駆け寄っていくチェイス。両者の戦う前を、走り抜けていくトライドロン。
「霧子ちゃん! だめーっ! 停まって!」
「行きます、泊さん」りんなの悲鳴が聞こえたのか否か。助手席に収まっている進ノ介を一瞥し、さらにアクセルを踏み込む霧子。「最後まで、フルスロットルで!」

スピードメーターはついに200キロへ。その時、ひと度はトレーラー砲に蓄えられていたシフトカーたちのエネルギーが、進ノ介の腰のベルトへと流れ込んで行きます。
虹色の光輝をたなびかせ走り抜けるトライドロン。
その後ろで、今度は蹴り合っているフリーズとチェイサー。
「たとえ再び蘇ろうとも、力で分解すれば良い! はっ!」
腹を蹴りあげ、浮いた身体に浴びせる光線。走路脇のフェンスにぶつかり、変身を解いて転がるチェイス。

「ふ!」
振り返り、走り続けるトライドロンへ、今度は向けられる光線。
「ああっ」大きく揺れるシート。炎を吹き上げ、やや蛇行しつつも、尚走り続けるトライドロン。その表面に青白い電流が走り、急ブレーキをかけた、その車体は爆風とともに宙へ。
轟音。
今一度赤い炎がトライドロンの表面を舐め――。

「霧子!」痛む胸を押さえつつ、思わず叫ぶチェイス。
「ああっ!」テントの下ではりんなが身を乗り出し、ピットでは両目を塞ぐ西城、立ち上がる本願寺。

復活

全体を炎に包まれながら着地するトライドロン。リアウインドウが熱のため、粉々に弾け飛びます。
「はっはっはっは」それらを見届け、チェイスの元からトライドロンへ、歩み寄っていくフリーズ。「……はっはっは」
しかし、次の瞬間思わず足を止めます。
鋭いブレーキ音とともに炎すら吹きちぎり、陽光に赤いボディを輝かせるトライドロン。静かに開いたドアから降り立つのは。
「む」
たじろぐフリーズの前に、その姿を現す進ノ介。長い脚、磨いた靴、陽炎の向こうにすっくと立つ影。
この場面を期していたはずのチェイスすら、驚きに起き上がります。
成り行きを見守る西城、本願寺。
「しんのすけ、くん……」ふらふらと立ち上がるりんなも。
「はっ」腰を抜かしたように座り込み、笑い出す追田も。

皆、涼やかな表情の進ノ介に見入っています。しかしそのベルトの表面は、真っ暗なまま。

「泊さん」そしてトライドロンの反対側のシートから、まろび出る霧子。ほっと安堵したかのように口元をほころばせます。
この笑顔が美しくて美しくて、進ノ介ならずとも見蕩れそうです。
「いい笑顔だ。帰ってきた甲斐があったよ」微笑みかける進ノ介。いつもなら
「笑ってません」と反発するのにそれもなく、ただただ笑顔のまま、頷く霧子。
しかし次の瞬間、クラクションの音とともに進ノ介の目が赤く光り、ベルトの声で
「あとは任せ給え。霧子」
「……はい!」
今一度頷き、戦場を離脱する霧子。

えーと、わたしはここのところで驚いたんですけど。ベルトさんと合体、というか、ベルトさんが進ノ介の身体をゲットしたというか。進ノ介がロイミュードに一歩近づいたというか。
でも霧子に驚きはありません。おもむろにトライドロンのドアを閉める、進ノ介。

「……なんだ? なぜ生き返った。今何が起こった!」代わりに驚いてくれているのはフリーズ。
「爆発の直前に変身できたんだ。だから霧子も救えた。もう一度、ようく見せてやる」
イグニッション。
「ファイア・オールエンジン!」
「変身!」ゆっくりと力のこもるポーズの後、かざしたシフトトライドロンをブレスに装填すれば、そこからベルトへ走る電流。
ベルトに表情が蘇り、赤い装甲に覆われる進ノ介の全身。これはかっこいい!

かっこいいのですが、トライドロンのデザインそのままの顔、目の上のぐるぐる渦巻きが、丸メガネに見えてしまう一瞬があります。
タイヤが左肩に嵌り、シフトトライドロンの背にはシフトカーズの影が映るという凝ったデザイン。もうディメンションキャブの斜め切りが見られないのは残念。

「ひょー!」身震いしながら奇声をあげるばかりの西城。
「トライドロンとドライブが一つに」驚いている本願寺。
笑顔の霧子の前に、すっくと立つドライブの勇姿で、CM。

残る謎

「……」
無言のまま身体を揺らがせ、たと思えばすさまじい早さで走り寄って来るドライブに、たじろぐフリーズ。身構え蹴りあげる足を止め、かわし、何気なく見舞う蹴りの一つがもう、これまでの必殺技クラスの威力を発揮します。
よろめくフリーズ。拳を固め、跳びかかるドライブ。
「はっ!」
とっさにそれを止めるべく、ブリザードを浴びせるフリーズ。倒れ落ちたドライブへ、以前と同じ光線を放つ、予備動作をとり始めます。
「逃げろ!」顔色を変え叫ぶチェイス。

「確かに」腰を落としたままのんびりと、宙へ浮かぶフリーズを見上げるドライブ。「こーれーは。あまりくらいたくないなw」
「オーケイ。運転を代わろう」
ドライブの眼の色が代わり、照れくさそうに咳払いするのはベルトの声。
フリーズの攻撃を片手で止め、高速で走り寄り降りてくるところを迎撃。
「はっ! ああっ!」
体当りされ地に転がるフリーズ。
「クリム。貴様の仕業か」
「おほん」再び咳払いするドライブ。「イグザクトリィ。わたしも進ノ介を死なせないために、自分のデータをかれの心に融合させた」
「はっ!」
何の構えもなくつかつかと歩み寄ってくるドライブの、隙を突くように襲いかかるフリーズ。しかしその攻撃に即応し、瞬時に止めるドライブ。体をかわしフリーズの腕を背にねじり上げつつ足を蹴って制圧します。
「……その状態で蘇ったことが、この計算外の、奇跡のドライブを生んだのだ!」
「ばかな。信じられん」腕を振りほどき、跳ね起きるフリーズ。
「わたしもだ」両手を広げ頷くドライブ。フリーズの必死の攻撃をすべて捌き、折を見て出鼻をくじき、「アメイジングな体験だ」と人差し指を立てて振ります。

「ベルトさん。このドライブの力、一通りわかったぜ」そこへ進ノ介の声。頷くドライブ。「オーケイ。再び運転を代わろう」
眼の色が変わり、は、と息をつくように肩の力を抜くドライブ。
次の瞬間身構え、また超高速で、フリーズに走り寄っていきます。
「は!」
背後を捕らえ、突き放し、
「今のおれはベルトさんと心はひとつ。身体はトライドロンそのものだ」
長広舌を振るいつつ、すっかり相手を小者のように嬲りあしらうドライブ。
必死のパンチも蹴りも、こちら側の攻撃はすべて止められ、気まぐれに叩き込まれる拳に、蹴りに、後ずさるフリーズ。
「うわあああっ」倒れ転がるフリーズに、
「シフトカーみんなの力、まとめて喰らえ」
シフトブレスを操作すれば、
「カモン! フレア、スパイク、シャドウ!」
3台のシフトカーの色が真横に突き出した拳に走ります。
Attack One Two Three。3つのタイヤが一つになり、浮き上がる文字もAttack。

「タイヤが3つくっついたぞぉ!」無邪気に叫ぶ追田。

先手必勝。光弾を飛ばすフリーズ。しかし超高速でそれをかわしつつ、残像を用いてか4体に分裂してみせるドライブ。
四方向から攻撃を受け、ダメージを受けるフリーズ。その前で再び一つの身体に戻り、武器を手にするドライブ。
「トレーラー砲でフィニッシュだ!」ベルトの声に、再びのファイア・オールエンジン。フル・フル・スピード。
全シフトカーのパワーが一気に射出され、赤いトライドロンの形となり、そのまま海上まで、フリーズの身体を押し飛ばしていきます。爆散する超進化体の身体から、
「ああ」と最期の声を上げ、ふらふらと水に没するコア。それを尻目に飛び去り、ドライブのもとで着地するトライドロン。

「ナイスドライブ、進ノ介」
「!」全開の笑顔で駆け寄っていく霧子。
「やったぁぁぁぁぁ!」叫ぶ西城に、
「究ちゃん」と手を広げる本願寺、2人の抱擁。
「進ノ介ェェェェェェ!」
「進ノ介くぅぅぅん!」
そして霧子とともに駆け寄ってくる追田、りんな。後方からはゆっくりと、チェイスも歩み寄ってきています。
進ノ介に抱きつき笑顔でその肩を、背を、ばんばん叩く追田。
「霧子ちゃんもよく頑張ったね」ねぎらうりんなに、
「ありがとうございます」一回笑うと、霧子の顔はふにゃってなりますね。可愛い。

「みんな。ありがとう。お陰で生き返れた。……親父の仇も討てた」
自らに言い聞かせるように、しみじみと言う進ノ介。
「ま、すべて結果論だがね」ベルトがわざと渋面を作ってみせます。そして笑顔に。「たまには悪くない。ふっ」

「ふはははははは……!」その時聞き慣れた笑い声が聞こえ、海中からゆらゆらと宙に再び舞い上がってくる001のコア。「父の仇を討てたと信じて喜ぶお前は、実に滑稽だ。せいぜいこれから知る真実の闇に、もがき苦しめ」
そこが限界だったのか、今度こそ粉々に砕け散るコア。
それを見つめる進ノ介の横顔が切なくて、以下次号。後をひきますね。究極の頭脳、蛮野博士のこの後の使い方も気になりますし。

あきまへーん、って聞こえちゃうんです。
今週のまゆげ。ネゴシエイター妖怪って新しい。代理人のはしごを外す厄介な依頼人を抱えて霞が立ち向かう(搦手から)! シノビマルがかっこよかったです。
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2015.06.07 20:05 | drive ドライブ | トラックバック(-) | コメント(-) |
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