LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

「007」シリーズがシリアスになってしまった今日、ただひたすらに懐かしい、スパイ七つ道具&郊外の城に繋がる地下の弾丸列車。稚気あふれる道具立て。
「マイ・シャローナ」とともに展開されるスタイリッシュなアクションシーン。
サヴィル・ロウの高級テイラーに謎のスパイ組織の本部があるというスーツ好き、英国好きの心をつかむ設定。
アーサーのもとに集うガラハッド、ランスロット、パーシヴァルら、円卓の騎士の名を負い、ただ正義に仕える現代の騎士たち。

これはもう見なきゃだめでしょ、と予告編とフライヤーの情報しか入ってない状態で、初日から行ってきました。
面白かった!
コリン・ファースの粋なエージェント姿に萌えました。ワンテイクとはとても信じられない切れの良いヒーローアクションに息を呑みました。アクション好きならこれは観るべき。そしてこんなに印象的な「威風堂々」は初めてでした。


Magnanni / Robert Sheie


そして思いました。これは好き嫌いがわかれるなあと。
要はこれは、豪華な映像や名優の名演といった贅沢な要素で構成されたB級映画なのです(A級B級という言葉をここではランキングでなくジャンルの違いとして使っています)。B級好きならば、ぜひ。以下はネタバレ気にせずの感想文。
とまあ、奥歯にもののはさまったような言い方をしてしまったのは教会シーンとクライマックスのパーティーシーンのせい。もちろんゾンビなんかは出てきませんが、わたしはあの展開、「フロム・ダスク・ティル・ドーン」を連想してしまいました。
とくに教会のシーンは、一部始終を目の当たりにしたキングスマンメンバーすら、途方も無いショックを受ける地獄絵図。
本編主人公の、そしてキングスマンの1人、“ガラハッド”ことハリー・ハートの切れの良いヒーローアクションのかっこよさ、その獅子奮迅の凄まじさ、それがこの地獄絵図をおさめるためではなく、創りだすために投入されたのだという無意味さと皮肉。
その意味では冒頭、“ランスロット”の登場するアクションシーンもなかなかです。いかにも英国スパイという洒落た表現で、皮肉もユーモアも含み、やはり映像としてはたいへん魅力的なのですが、暴力表現が苦手な方にはおすすめしがたい。

紳士たれ

ただそんななかでも、穏やかで優雅で気品あふれる紳士たちが、正義のため使命のために文字通り身命を賭し戦っているというのがたまりません。
キングスマンは国のためではなく普遍的な正義、すなわち世界平和のために尽くす組織であり、その資金源は第一次世界大戦により相続人を失って宙に浮いた、英国貴族たちの莫大な遺産。ノブレス・オブリージュを体現するかのようなお話です。
そしてハリーは、恩義あるかつての仲間の遺児が、現在苦境に喘いでいることを知り――。

仲間の遺児とは本編の主人公のもう1人、エグジー。その知性、その精神、その身体能力には抜きん出たものがあるのに、学業成らず職もなく、自宅では母の粗暴なボーイフレンド(夫?)に小突き回され、才能も自尊心すらも日々蝕まれていく環境。
かれを育てようとふと思い立つハリーの
「マナーが人を作る」
「紳士であるのに発音も家柄も関係ない、自信があるかどうかだ」
などの台詞がまた渋い。エグジー自身が例に上げるように、これは教育によって人生を変える青年版「マイ・フェア・レディ」でもあり(だからハリーがアクセントどうこう言う)、当然その結果としてのエグジーの成長物語であり、ハリーを師と仰ぎ慕うかれと、ハリーとの絆の物語であり。

エグジーを保護し、信頼し、手厳しい説教を行いながらもその失敗を淡々と受け入れ、またエグジーの活躍にはスーツを仕立てて祝福するハリーに、エグジーは父性を感じたと思うのです。早逝した父からも、ならずものである義父からも、ついぞ与えられることのなかったものを。

後半、全貌を明らかにした敵の恐るべき企みと、それを阻止すべくあがくエグジーたちの戦いがキレキレに振り切れすぎていて、前半のしっとりした絆の物語とトーンが違いすぎるのにびっくりしましたが、そのなかでもま新しいスーツを粋に着こなし、また自分の武器として紳士の象徴、細く巻いた傘を手に取るところ、そしてすべてが終わり、再び街に戻ったエグジーが母親を迎えに行くところなど、どこか
「パパをお手本にして得意げな坊や」
という感じがあって爽快ななかにも可愛いです。

スーツが本体

磨き上げたオックスフォードシューズに細く巻いたステッキ代わりの傘。そのすべてが知的かつエレガントでありながら、その戦いは激しく、そして熱い一流の紳士、ハリー。
ほぼ全編無職青年丸出しのもっさりしたスエットやツイードを着ていたくせに、カフスボタンや絹のタイ、オーセンティックなスーツスタイルとなった途端、顔つきも身のこなしも、生まれつきの紳士のようになってしまうエグジー。
スーツ好きとしては殿堂入りの映像だったと思います。
スーツは第一の武器であり礼装。馬子にも衣装。ぜひ彼らの着こなしを、詳しい方に解説してほしい。

その他メモ

なお、この映画では途中、キングスマン新エージェント選抜のエピソードにかなりの尺が割かれています。
ここも若き候補生たちの人間関係や選抜の過程がユーモラスで興味深く、このまま大事件が起こらなくてもそれはそれで面白いような気がしないでもなかったり。
てっきりロキシーとの恋が芽生えるんだと思っていたら……でも一部を除き良家の子女ばかりだった候補生たちの1人がラスト近くのあのパーティーで登場するのは納得でしたね。
方舟とか人口を減らすとか言うので呉島兄弟が頭をちらちらしました。

あとあの、わたしには高潔な魂の持ち主が操られ、志に背くことをさせられてしまう展開がたいへんなご褒美で、教会のシーンでは前述の残虐な地獄絵図でのキレキレアクションに瞠目しつつ実はハリーの乱れ髪に(*´Д`)ハァハァしていたという。毎度のことながら変態ごめんなさい。
9/14追記。夜中に眠さのあまり見直しもせずにアップし、誤字とかタイプミスとか文法ミスとかそのままでしたので多少修正しています。
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2015.09.13 00:18 | dvd box 観たらめも | トラックバック(-) | コメント(-) |
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