LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

コナン・ドイル、「シャーロック・ホームズ」シリーズの世界を現代にもってきたBBCのドラマ、「SHERLOCK」。ベネディクト・カンバーバッチの好演で一世を風靡したこの作品を、実は今頃初めて観ました。話題になると逆に観たくなくなる天邪鬼なもので、当時はあまり関心が持てなかったのです。昨晩たまたまdtvをさまよっていてふと。


Origami Paper Detail / Dominic's pics


コカインでなくニコチン。
記者会見に乱入して叫ぶ代わりに記者への一斉送信メール。
浮浪児がことづかってくる走り書きのメモではなく、公衆電話と監視カメラ。
そして男2人で行動していると、
「寝室は別なの? いいのよ、今は結婚する人だっているし」と言うハドソン夫人や
「デートがロマンチックになるよ」と張り込み中の2人のテーブルにキャンドルを灯してくれるカフェの主人と、やたら同性愛に寛容な人が出てきて
「I'm not his date(彼氏じゃない)」とその都度力説しなければならないワトソン。
そして、その頭脳をあてにしつつもシャーロックをサイコパス呼ばわり、変人呼ばわりしてはばからない警官たち。シャーロック自身はそんなこと気にしない変人そのものだからいいのでしょうが、マナーも何もあったものではありません。

ああこれが現代風ってことか、と思いつつ、若きシャーロック・ホームズの変人っぷり=犯罪おたくっぷりはしっかり描かれていて、高性能コンピューターにブルドーザー用のエンジンがついているかのようなカンバーバッチの早口と持ち前の品の良さの不思議な調和が面白いし、聖典そのままの表現もうまく散りばめられており、とても楽しい作品でした。続きも観るかも。
定番、
「アフガニスタンから帰ってこられましたね?」や「Mr. James Phillimore, who, stepping back into his own house to get his umbrella, was never more seen in this world.(傘を取りに行って戻らなかったジェイムズ・フィリモアの事件)」のもじりなど、聖典ファンへのサービスもたっぷりながら、このエピソード1で描かれているのは、戦地での心の傷を残しているかのように見えて、実はひりひりするような緊張と危険をこそ求めていたワトソンと、犯罪に魅入られ、退屈するくらいなら死んでもいいという闇を抱えつつ、それゆえに友を持てなかったシャーロックとの、まさに運命というべき出会い。
シャーロックの知性と果断な行動力に、そしてその危うさに、たちまち魅せられていくワトソン。
自分の推理をとうとうと聞かされても厭わず、ともに危地にも赴いてくれる勇敢な相棒を、初めて得たシャーロック。

この2人の友情は今までいろいろな作品で様々に解釈されていますけれども、こういう、それぞれに闇を抱え、危険を好む者同士が出会った、という描き方も現代風というやつかなあと思ったり。
わたしはガイ・リッチー監督の「シャーロック・ホームズ」のような、ただひたすらに悪を憎み、それを防げるのは自分ただ1人という状況にいてもたってもいられず飛び込んでいく、普段はただの生活破綻者であるホームズと、そのめちゃくちゃさが放っておけずついつい面倒を見てしまう常識人ワトソン、という解釈が好きでしたが、こういうワトソンもきらいじゃないわ。
逆にワトソンがただの凡人で、シャーロック・ホームズの天才ぶりに心酔しているという描き方は、あまり好みではないのです。本人はなにかといえば
「わたしはただの筆記者です」と謙遜しますが。スピルバーグの「ヤング・シャーロック」も面白かったけど、2人のバランスが今ひとつだったなあ。

事件は風変わりな連続“自殺”事件――4人の被害者をつなぐ共通点はなく、それぞれ自殺の動機もなく、ある時忽然と姿を消し、しかるのち、各々の行動範囲から離れた場所で、服毒死体として発見されるというもの。
犯人はいかにしてターゲットを発見し、狩りだし、そして被害者自ら毒を飲むよう誘導し得たのか? という謎が魅力的です。
目撃されても疑われない、見えない犯人、というと筆頭は郵便配達夫ですけれども、今回の犯人もそれに近く、ただ大金を稼ぐために、そしておのれのコンプレックスをはらすために犯罪に手を染めているのですが……


CRW_2924 / tompagenet


タイトル、「ピンク色の研究」のピンクとは、4人めの被害者がまとっていたフューシャピンクのコートの色であり、ファッショナブルな彼女のスタイルから、当然持っていたであろうとシャーロックが推測する小ぶりの、そして目立つスーツケースの色でもあります。死を予期し、犯人を告発するダイイングメッセージを残した賢い被害者と、過たずそのメッセージを読み取るシャーロック。
かくして犯人は、自分が炙りだされつつあることを悟り、一か八かの勝負に出てくるわけで、この辺の駆け引きは面白かった。

ただ、シャーロックならずとも犯人のとった手段には少しがっかりではないでしょうか。
シャーロックの性格を(黒幕の入れ知恵とはいえ)正確に見抜き、直接対決に誘い出すところはお見事ながら、他の4人に対しては。なんかもうちょっと、悪辣で頭のいい方法を、期待していたのです。
その世界観を説明し、主要登場人物を一通り出して紹介し(一部ミスリードもあり)、なかでもワトソンとシャーロックの出会いを描き――と忙しいエピソード1ですから仕方ないのかもしれませんが、もう少し被害者や犯人の描写に尺がほしかったかも。
同日追記。冒頭、悪夢から目覚めたジョン・ワトソンが、起き抜けのコーヒーを飲むマグカップ、医術の象徴であるアスクレピオスの杖が描かれていて印象的でした。ああこの人がワトソンか、とすぐわかる仕掛け。
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2015.09.23 13:30 | dvd box 観たらめも | トラックバック(-) | コメント(-) |
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