LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

続き観るかも、と書いておいてもう観ました。暇人だもの。
めでたくルームシェアを始めたシャーロックとジョン(ワトソン呼びは改めます)。前回に比べるとすっかり部屋が片づいていますがこれは2人の互いへの配慮の賜物か、それともせっせとジョンが整理整頓につとめているのか。
今時ノックスの十戒を気にする人なんかいないでしょうけど、2話めにしてもう謎の中国人が登場する古めかしさ。茶藝と骨董美術、蘇州碼子、アクロバティックな蜘蛛男と蓮の刺青。京劇風の衣装と片言の英語で上演されるこじんまりとしたサーカス。
まるで横溝正史に出てくる片腕の復員兵みたいです。


Jade Fractal / maf04


ノックスは文化も行動倫理も違う外国人が登場してしまうと何でもありになってしまう、理詰めでは解けないという意味で中国人を出すなと言ったようですが、わたしもエキゾチシズムをスリルに置き換えるやり方はあまり好きでないのでこの本筋は少し残念。
エンディングではスカイプやチャットも使いこなしている中国人たちが、いかに暗号を用いているとは言えロンドンの暗黒街の住人たちに呼びかけるのにあんなにおおっぴらな伝達方法を使うのかというのも疑問。まさにジョンがやったように、携帯で写真に撮られてしまったら、数分後に痕跡消しても意味ないし。
しかしシャーロックとジョンの物語としては、まずまず期待していた展開で楽しかったです。

シャーロックはおのれの職を警察に対する顧問探偵だと嘯きますが、犯罪捜査はかれの趣味というべきもので、そもそも面白そうな謎でなければやる気がしない。興味深い事件なら歓んで飛びつくけれども今度は報酬などどうでもよくなる。この辺りスタウトのネロ・ウルフを見習ってほしいものですが、代わりに年金生活で手元不如意なジョンが、かれのマネージャーよろしく依頼の前金を受け取ったり、自分でも収入を得ようと、とある診療所に臨時の職を求めたりするのが実に自然ななりゆきです(なおかつこの辺りはクライマックスの活劇につながる伏線でもある)。
その診療所で出会った女医が魅力的なので、早速デートに誘うわけですが、エピソード1冒頭の世捨て人のようだったジョンからすると驚くべき回復ぶりでもあり。

一方のシャーロック。捜査には必ずジョンを帯同し、知人に出逢えば
「友人だ」と紹介する程度にはかれの存在を大切なものと考えているようで(友人発言はジョンからは「同僚」と訂正される)、しかし一度犯人の臭跡を追い始めると一目散、他のことはすべて頭から吹き飛んでしまう、そのアンバランスさ。
このエピソード2ではシャーロック自身のアクションシーンが随所にあり、その都度ジョンの知らないところでの激しい格闘について、シャーロックは一切説明しません。身についた単独行動。
それでいてジョンが女医とデートだと言い出せば、無理やりその行先を自分が怪しいと睨む団体の催し物にさせ、さらには自分自身も強引に参加します。そこには捜査への執着とともにジョンヘの執着も感じられ、なるほどこんなふうに将来ワトソン夫妻の結婚生活にも介入しようとするのか? と思ったり。

I can't deny that I prefer this kind of life.

事件を振り返り、自分は危険を好むからこそシャーロックとともにある人生を選んだのだと認めるジョン。
一進一退のもどかしさを見せながら、2人、ペアで捜査に臨むというメソッドを、なんとか確立しようとしているシャーロック。

そして、シャーロックが邪険に追い払おうとした当の女医が、推理に重要なヒントをもたらすというのも、好きな感じ。

The bank's offices were like Fort Knox but there was nothing.

実は名門校の出身らしくエリート層に顔の広いシャーロックは、ある投資銀行の知人から相談を受けます。
今は使われていない前会長の部屋に何者かが忍び入り、あろうことか監視カメラの録画が切り替わる僅かな隙に、壁の絵に落書きをしていったと。幾つもの電子ロックで守られジョンが難攻不落の砦にたとえたインテリジェントビル最奥のその部屋が、そうやすやすと外部からの侵入を許すようではたまったものではありません。
その比類なき観察眼により、
・落書きは暗号であること
・前会長の部屋が見える席は限られており、暗号はそこに座る者に向けたメッセージであること
をすぐさま割り出したシャーロック。

一方、骨董美術博物館では茶藝の実演や茶器の修復を専門としていた中国人学芸員がある日突然、姿を消します。
彼女に想いを寄せていた同僚の男性は、彼女が修復半ばの茶器を放り出し、
「実家の事情で退職した」という上司の説明に納得できません。

転がり出る死体。やがて少しずつ輪郭を表していく、中華系犯罪組織<黒蓮団>とその企み。


Chinese Bird Spider / Ryan M Mclaughlin


実に古めかしい事件です。「死を呼ぶ暗号」、という邦題より「怪奇蜘蛛男」とかのほうがよくないか、みたいな。ヴィクトリア朝が舞台なら気にならないのに、現代のお話になったせいで妙にひっかかる。
中国人街に出かけて行ってようやく暗号解読の緒がつかめるのも(グーグルの画像検索ですぐなにか出てきそうです)、特定の本を対象に、「何ページの何番目」と指示された単語を拾い上げる暗号の形式も、古いといえば古いのですが、夜を徹して被害者が残した書籍を調べて回るアナログ作業には古き良き探偵物語の興趣があります(「でる単」ありし日の「ヒポクラテスの初恋処方箋」みたいです)のでまあいいとして。
それより何より、中国人なら何でもありだろうというようなステレオタイプに我が目を疑うのです。
別に中国だから文句を言っているのではなく、これがたとえば日本の美術品の話であればニンジャやスモウトリが出てきてハラキリするのかと(そして何故か銅鑼が鳴る)、そういう感じ。

投資銀行からの依頼内容は、
「密室であったはずの前会長室への、犯人の侵入経路を突き止めてほしい」というものでしたが、
「犯人が特殊なスキルを持っていたから」というのがシャーロックの結論で、じゃあせめて潜り込むところの再現シーンを入れて説得力をもたせてほしいなとか。

なのでどちらかというと、冒険活劇が終わった後の、「裏切り者は誰か」、「消えた骨董品はどこか」……という謎や、またしても登場する黒幕“M”の存在のほうに、興味が惹かれました。あんなところにあんな高価なものがあれば、それはびっくりするよね。
10/1追記。邦題はちょっと残念な感じで、でもものがわかっていないことの例えに「盲目」という直訳を使うのがはばかられたのかなと思い、括弧書きをつけてみました。

銀行員は何が愚かだったのか?
そもそも暗黒社会とつながりを持つことが愚かでしたし、密輸の片棒を担いでおいて組織を裏切ったというのも考えなしで、先の見通しがわるい。
さらにかれは、実は命がけで高価な宝を盗もうとした、というわけではなかったというのが最後の最後に判明します。
冷めかけていた愛人のご機嫌をとろうと、中国土産に安っぽい髪飾りをちょろまかしたつもりが皇妃の翡翠だったわけで、美術骨董を扱うのにそもそもの審美眼、鑑定眼もなかった。
ちょろまかした安っぽい髪飾りでじゅうぶん、という程度の気持ちしかなかったことは愛人にも伝わっていて、ごまかす効果すらなかった、まったくの徒労。

はじめ、シャーロックの推理を否定していた依頼人のことか、と思っていましたがこちらは最終的にはちゃんと成果報酬も納得して払っていたし、それより被害者の銀行員が圧倒的に愚かなので、ああタイトルはこの人のことかと納得しました。
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2015.09.24 09:36 | dvd box 観たらめも | トラックバック(-) | コメント(-) |
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