LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

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エピソード2については悪口を書いてしまいましたがこのエピソード3はよかった。推理推理推理と息つく暇なしのフルスロットル。シリーズ最終話でもあり、またこういうタイトルがついているということで、ゲーム好きでもある黒幕Mの登場は当然予測されることですがこの趣向は素敵です。堪能しました。

He is spectacularly ignorant about some things.

犯罪捜査にかかわる豊富な専門知識に対し、誰でも知っていること――小学校で習う理科や人気司会者に関わるゴシップ――については意外に抜けているシャーロック。ジョンにからかわれると
「不要な情報はデリートしてる」と反駁していましたが(記憶容量の確保のため?)、実際にはジョンの「常識」がうまく世間知らずなシャーロックの「盲点」をカバーし、スピーディーな問題解決を図っていきます。
この2人の絆の確かさを、感じさせる今回のエピソード。
「地動説は役に立ったろ?」
「きみは今までその知識を何かの役に立てたことがあるのか」
「ぼくは諮問探偵じゃないからね」
実際何が役に立つかわからないのがシャーロックの仕事であり、ジョンの言い分を認める気になったシャーロックが自発的に食材の買い出しを申し出るくだりが面白かった。

しかしまた、最後の最後にクライマックスを持ってくるやり方がもう。
そこで終わりか!
続きが観たくなるじゃありませんか。
わたしには本作中の、聖典からの引用をリストアップする力はありませんが(既に先人の労作もありますし)、そんなぼんやりした読者でも、今回、ファンに対する大盤振る舞いであったことくらいは観れば察しがつく、情報量たっぷりのこのエピソード。
個人的に大事に思う点は伏せているつもりですが思い切りねたばれです。未見の方はご注意願います。

依頼を受けベラルーシはミンスクまではるばるでかけたものの、提供されたのは謎もなにもない、ただの痴話喧嘩に端を発する殺人。依頼人に必要なのは探偵ではなく弁護士です。ということでとっとと帰国するシャーロック。他にこれという事件もなく、退屈で死にそうなあまり、室内で拳銃を何発も撃ちまくり。
そんなシャーロックの気を引き立てようとロシアの事件はどうだった? と声をかけたり、ブログにまとめた「ピンク色の研究」を話題にするジョンですが、シャーロックはロシアじゃなくベラルーシだ、だの、ブログ中の自分に関する描写が気に入らない、だのとまた八つ当たり。冷蔵庫を開ければ人の頭部が入っているし。
これはたまらないと前回からの交際が続いている女医・サラの家へ避難するジョン。
「夫婦喧嘩?」とハドソン夫人にからかわれ、嘆息するシャーロック――しかしその退屈は唐突に破られます。

サラの、居間のソファで夜を明かした紳士的なジョン。
「ソファで大丈夫だった? 次はわたしのベッドの端で寝たら」とサラに誘われ、
「ふうん、じゃその次は?」と応じたり、なかなかいい雰囲気だったのですが、朝のニュース番組でベイカー街が大爆発に襲われたことを知り、仰天して戻ってきてしまいます。
無惨に崩れ落ちた外壁、立ち入りを禁止するテープ。シャーロックのフラットは爆発そのものにはさらされていないものの、爆風の影響でめちゃくちゃです。ジョンが住人ですと断って入れば、外光が思い切り入る室内で、端然と向かい合って腰掛けているシャーロックとその兄・マイクロフト。不仲なれどもエレガント兄弟。ものに動じないのが紳士の美徳とはいえ、この落ち着きっぷりに庶民としては呆れ果ててしまいます。
「ガス漏れらしいよ。エアマットの寝心地はどうだった?」とジョンに問うシャーロック。そしてにこにこと上機嫌に、
「ソファだよ、シャーロック。(昨夜ジョンが寝たのは)ソファだ」と訂正するマイクロフト。

なんでも知っているのが不気味なこの兄が、持ち込んできた第一の事件。それは、国家機密(国防省が開発中のミサイル防衛システム、ブルース・パティントン計画の設計図)をフラッシュメモリで持ち出し、轢死体で発見されたMI6職員の事件。コピーとはいえ流出しては困る、消えたフラッシュメモリを回収してほしいと。
これでシャーロックの退屈が解消される、と思わず笑顔になりかけるジョン。しかし、何が気に入らないのかめちゃくちゃにバイオリンを引き倒し、他の事件で忙しいんだと兄を追い出してしまうシャーロック。

「退屈しているんじゃなかったのか?」と思わず問いただすジョン。
そこに飛び込んでくる第二の事件は、爆発箇所を調査していたレストレードが発見した、シャーロック宛のメッセージ。どうやら爆発は事故ではなく事件だったのです。しかも、レストレードが持ってきた高価そうなボヘミアの封筒を開ければ、出てきたのは「ピンク色の研究」を思わせる、ピンク色のスマートフォン。

Bomber、爆弾魔と当初呼ばれる今回の犯人は、このスマートフォンを通じ、様々な事件のヒントをシャーロックに送ってよこします。
しかも、制限時間内にシャーロックが事件の謎を解かねば人質の命はないと。拘束され、脅されてすすり泣きながら犯人のメッセージを読み上げさせられる人質たち。その卑劣さに憤るジョンやレストレードに対し
「最高だ」とそのスリルに萌えているシャーロックがやっぱり変人です。問題はぜんぶで5問。

1)5つのビープ音(5つのオレンジの種)の後、送られてきた荒れた室内の写真。それは、ハドソン夫人の家の、使われていない地下室でした。室内に残されていた1足のスニーカーから、まだ10代だったシャーロックの、同級生、カール・パワーズの死の謎が浮かび上がってきます。
今回のメッセンジャーは爆発物でできたジャケットを着せられ、額をレーザーサイトで狙われた状態で、ショッピングセンターの駐車場に停められた自分の車の中に止められている中年女性。メッセージを読み上げなかったり、車から逃げたりすれば命はないと言い含められているのがひと目でわかります。
彼女が泣いていたことから、敵が人質をとっていることを悟るシャーロック。

この第一問の捜査の過程で、エピソード1よりシャーロックへの恋心を隠そうともしなかった聖バーソロミュー病院のモリーが、今回はボーイフレンドができたとあてつけのようにシャーロックに紹介します。が、そのなよなよした言動や独特の下着、さらにはシャーロックにこっそり電話番号を書いてよこしたところから、
「あれはゲイだ」と言ってしまい、モリーを怒らせてしまうシャーロック。
「早く知らせたほうが親切だと思ったのだが」と驚くかれに、
「それは親切じゃないよ」と解説するジョン。

最終的に謎は解け、自分のサイト、「The Science of Deduction」のフォーラムに、

FOUND! Pair of trainers belonging to Carl Powers (1978-1989). Botulinim toxin still present. Apply 221b Baker St.

と記入するシャーロック。

2)4つのビープ音の後、送られてきたのは乗り捨てられたスポーツカーの写真。実は“ヤヌス”という会社のレンタカーで、なかには大量の血液のみが残され、借り主は失踪しています。遺体がない以上殺人事件とは断定できないのに、既に夫は亡きものとして語る妻の言動を不審に思うシャーロック。
今回のメッセンジャーはロンドンの雑踏のなか、立ったままやはり爆弾をつけられ、銃で狙われていた人質の若い男性。

ここで失踪した男の妻の口を割らせるため、シャーロックがぬけぬけと
「幼なじみなんです」と弔意を表するのに驚愕するジョンの表情が見もの。反論させると人は喋る、というかれなりのテクニックだったようですが、簡単に解決した後で、
「燃えてきた!」とご機嫌のシャーロック。

Congratulations to Ian Monkford on his relocation to Colombia.

3)3つのビープ音の後、送られてきた中年女性の笑顔の写真。誰だ? と首をひねるシャーロックですが、
「ああ、彼女なら」とすかさずテレビをつけるジョン。人気番組の司会者の急死を、ニュースが報じています。
庭いじりによる破傷風として処理されかけていた、その死の真相を暴くシャーロック。
今回のメッセンジャーは目の見えない老婆。目が見えない彼女には、ポケベルではなくイヤフォンをつけさせ、直接シャーロックに伝えるべきメッセージを口で指示していた犯人なのですがなんだってそんな選択をしたのでしょうか? 気にかかります。と思っていたらラストを盛り上げる伏線だったようですね。

新聞記者を名乗り、司会者の弟のもとへ聞き込みに出向くジョン。ハドソン夫人から芸能ゴシップをたっぷりと仕入れ、ネット動画で実際の番組を見た上で、後からカメラマンとして乗り込んでいくシャーロック。
2人の小芝居も怪しさ大爆発で面白い。

Raoul de Santos, the house-boy, botox.

4)2つのビープ音の後、送られてきたのはテムズ川の写真。映された川岸には、1人の男性の死体が転がっていました。服装や体の特徴から、その職業は警備員であり、“ゴーレム”と呼ばれる殺し屋にやられたと推理するシャーロック。かれはなぜ殺されたのか――。
今回のメッセンジャー=まだ幼い少年がカウントダウンするなか、犯罪の立証に努めるシャーロックというところがスリリングです。

この4つめの謎はホームレスネットワークを活用するシャーロック、死亡した警備員の家族に聞き込みするジョンと、2人の活動がそれぞれちゃんと解決に結びついているうえに、なおかつ“ゴーレム”との対決あり、名画の謎あり(ゴーレム役の人の背の高さにびっくりしました)。
解決後のジョンが、達成感にやや饒舌になるのも無理はありません。
しかし次の問題がいつまでも送られてこないことが、気にかかるシャーロック。ビープ音は5つ。ならば問題も5問だったのではなかったのか?
ジョンがサラの家に行くと出て行った後、ちょっとした餌を手に、今度は自分から犯人に面会を申し入れるシャーロック。

Found. The Bruce-Partington plans. Please collect. The Pool. Midnight.

5)餌とは、マイクロフトが持ち込んだ第一の事件。第二の事件に奔走しつつ、実はこちらにも、マイクロフトにせっつかれ手をつけていたジョン。そして、兄への反発から公然とは着手しなかったものの、実は気にしていたシャーロック。
かれらは既に、フラッシュメモリの回収にも成功していました。
「これがほしいんだろ?」と呼び出したシャーロックに応じ、現れた人物は――。
「そんな、まさか」と息を呑むシャーロック。

That I, John Watson, was Moriarty. I could see the look in Sherlock's eyes - a flash of, not anger, but hurt. For a second, he looked like a little, lost child.

ここで登場する事件の黒幕・モリアーティーは、シャーロック曰く諮問犯罪者、すなわち殺人などを犯そうとしている者に、賢い手段をアドバイスする存在。
学生時代、スポーツ選手であったとはいえ後輩でもある、問1の被害者にいじめられていたことからすると、気弱で肉体的にもコンプレックスがあったのでしょう。傷ついたその分、おのれの“頭脳”を誇らずにはいられない、そういう人物。
シャーロックがおのれの存在に気づかなかったことについて、
「そんなに存在感なかったかな――まあそう見せていたんだけどね」と言ってしまうモリアーティーは、もちろん本心“そう見せていた”つもりでしょうけれども、でも、自分の存在感のなさを悔しく思っていた過去を、やはりこの時、思い出していたはずです。
シャーロックに挑み、シャーロックに過去の自分の犯罪を暴かせるのは、もちろんシャーロック同様の退屈のせいもあったのでしょうが、何よりも自分の賢さをひけらかし、その虚栄心を満足させるためだったのではと思われます。
学生時代から存在感満点だった(と思われる)希代の名探偵、シャーロック・ホームズに勝ったとあれば、もう自分を超える者は理論上存在しないのですから。

対して、自分の頭脳に絶対の自信があり、そのためだけに生きているという点ではほぼご同様のシャーロック。
しかしながらかれは、自分の無知や、謎を解く興奮のあまり人を人とも思わない自分の欠陥を、悔しがりつつも認めています。それを指摘し、なおかつ埋めてくれる友を、既に得ているから。
「手を引け。さもなくば」
「殺すか」
「ふん。殺しはしない。燃やしてやるよ、心臓(ハート)をえぐりだして」
「ぼくには心(ハート)がないと言われてるんだが?」
モリアーティーの憎悪の言葉に対し、ジョンに言われたことを、思い出すシャーロック。
諮問探偵と諮問犯罪者。罪を抱える者に関する専門家。そっくりでいて、しかし友という存在の有無、その一点で、決定的に違う2人。
無数のレーザーサイトに狙われ絶体絶命、しかしやってやる、という決意の表情のまま、爆弾に向けられるシャーロックの銃口、というところで――本編は終わり。終わりなのです。こんなにびっくりしたのは「ディケイド」以来ですよ!

さっきからちょこちょこ引用している英文は番組公式、「Dr.ワトソンのブログ」(犯人への回答は前述のシャーロックのサイト、「推理の科学」より)。ということで、結末もブログを読めばわかるわけですが、読んでもやっぱり
「そんな終わりかよ!」でしたし、書き込まれたシャーロックのコメントも、匿名の
「いい話だ」というコメントへの横レスで、

Still alive then?

then? じゃないですよw
10/1追記。シャーロックの回答を追加しました。ジョンのブログはコメント欄が相当面白い、というかイギリスは横レスって普通なんですね。ほんとに面白い。
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2015.09.25 12:50 | dvd box 観たらめも | トラックバック(-) | コメント(-) |
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