LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

マコトの守っている人はどうやら妹、のようですね。詳しい事情はまだわかりませんが作戦名は妹。
(作中では名前もまだ、明らかになるイベントは起こっていませんがこうして感想を書いていて「謎の男」「若い男」に加え「青いライダースーツの男」が出てくると面倒なのでマコト呼びしています。)
それよりアカリのことを知っている……? というくだりが気になります。


花楽譜 / frontriver


スペクターは今のところタケルのように眼魔を倒して眼魂ゲット、でなく毎回ゴーストから1個ずつ奪おうとするのがどうもなあ。
そちらはそちらで眼魂を集めていて、たまたまゴーストに先を越された時に
「それを寄越せ!」と迫るか、もしくははじめからゴーストのことも単なる眼魂ホルダー、略奪の対象とみなし、
「お前の持っている眼魂をすべて寄越せ!」と敵対するなら、わかるのですが。
前者でないところはせっせと人間にアイテムを供給しヒントを与え、その生命を以て眼魂を作らせようとする眼魔たちより楽してるように見えるし、後者でないところはやる気あるのか、と。いずれにしろその言動からはゴーストより非情な環境に苦しむ人のように見せたいようなのに、妙にどっちつかずに見え、そんな人に
「お前は甘い」とかタケルだって言われたくないだろうと感じてしまいます。
なのでそのうちスペクター独自に眼魂生成してるところを見たい。してるはずなので。
OP変わりましたね。マコトが入りました。

姿が保てない

眼魂の数は残り12個、残された日数は、あと49日――。

「!」モノローグとともにスペクターの攻撃に変身を解かれ、地を転がるタケル。悔しさに地面を拳で打ち、また負けた、とつぶやく顔が正直好みです。
なんでこんなに負ける、やられる人が好きなんだろうかと思うのですが。

大天空寺地下。こたつの代わりにテーブルを置き、おもちゃの鍵盤を広げ、ヨーロッパ風の上着にかつらを被って
「ジャジャジャジャーン!」とやっている仙人。ベートーベンの扮装であることは明らかですがかつらのせいでのだめカンタービレのシュトレーゼマンにも見えるのです。
「運命……次の偉人との出会いは、まさに運命的な出会いだ」
「あ、ベートーベンだね!」さっそく偉人伝をめくるタケル。と思いましたが何やら懐から出したノートに記入しているので、ついそれを覗きこむ仙人。
「その通り。……何やってんの」
「うわちょっと、見ないでよ!」肩越しにノートを覗き込もうとする仙人。タケルに隠され、
「『ちょっと、見ないでよ』? 子供じゃあるまいし」とぶつくさ言います。そこへ出現したユルセンが反対側からひょいと覗き込み、
「眼魂ゲットスケジュール表?」
「あっ」
「なんじゃこりゃ」隠そうとしたところを今度は仙人に抜き取られてしまいます。済んだ日付には☓印がつけられ、だいたい週1ペースで1個ずつゲットする感じで、予備日というか休日も組み込んである点はいいですが、眼魂出現や生成の方法論が確立してないのでそううまくいくのか、という感じ。
見られては仕方ない。取り返すのを諦め、もじもじと説明するタケル。
「や、しっかり、計画を立てようと思ってさ……」
「計画って、眼魂ゲットの?」
「こんなの、何の役にも立たねえよ。あばよ!」
「あばよっ、ポイ!」
あきれてノートをくずかごに放る仙人。唱和するユルセン。
「ああっ! ……なんだよ、おれが一生懸命作ったのに」ふてくされ、階段に腰かけて偉人録を開くタケル。

「タケル、新しい依頼よ!」そこへアカリが飛び込んできます。振り返るタケル。しかしアカリは、「……あれ、いないんだ」と辺りを見回しています。
「いや、おれは」
直ぐ目の前で、言いかけるタケル。その身体をすり抜け、地下室の上段に上がるアカリ。
「うわっ! ……おれは、ここに。……見えてないの?」
「気合いが足らないんじゃないのかァ?」
不安そうなタケルをからかうユルセン。そこへ、アカリが不知火ガンを撃ちます。たちまち姿が現れるタケル、仙人、ユルセン。
チャオ、と手を振る仙人に応え、
「かくれんぼのつもり?」とタケルに問うアカリ。タケルがわざと姿を消していたと思っています。
「いや、そんなんじゃ、」自信なく言いかけて、また消えていくタケル。
「消えた! ……えっ、えっ? おっちゃんは、見えてるのに!」
「ふふ、タケルのメンタルの問題だな」
「どういうこと」
「不安や恐怖を抱えていて、姿を現せないんだな」アカリに解説する仙人。その前でもタケルはふらふら歩きまわっているのに、アカリには見えないのです。
「そんな。困ったな……うわ! わわわわ!」
突如テーブルの上で時計のアラームが鳴り響き、その大音量に驚くタケル。止める仙人。
「おやつの時間だ」
「なんだよ!」
「このまままだと、ずっと誰にも見えないままかもしれないな」不吉なことを言う仙人。
「え、それじゃ死んでるのと同じじゃないか!」ショックを受けたのか、出て行くタケル。しかし、アカリの手からメモを奪っていくのは忘れません。
「タケル……えっ。どこ!?」心配しつつきょろきょろ見回すアカリ。姿が見えないと、声も聞こえないのですね。
「焦って出てったよ」教えてやるユルセン。
「えっ、ちょっとぉ!」タケルを探しに出て行く、アカリの背を見ながら、つぶやくのは仙人。「……相当、重症だなあ」

兄を想う妹

緑多い音楽大学のキャンパス。辺りでは楽器の練習をしている学生が多く、賑やか。
ベンチに中学生らしい少女と共に腰掛けた御成が、雑誌を広げています。表紙には神経質そうな青年の写真に、<君島康介>の名があり、その特集であるらしい巻頭記事を熱心に読みながら、
「あああ、これはまた、才能がある方なんですね……」と少女に語りかける御成。ふと顔を上げ、「アカリくん、こっちです!」
息を切らし近づいてくるアカリ。
「あれ、タケル殿は?」
「来てる、と思うんだけど」
その言葉通り、透明の姿でベンチの後方まで、タケルも来ていました。ていうかさっきから雑誌も一緒に読んでいました。
ならばと少女を指して紹介を始める御成。
「今回の依頼人、君島陽子さんです」
依頼の内容を話し始めようとする御成。育ちが良いのか、立ち上がりアカリに一礼する陽子。

――その瞬間、唐突にキャンパスから、すべての音が消えうせます。
何も聞こえない、と驚く人々の、その喉から、いかなる声も聞こえないのです。
(眼魔だ。きっと眼魔の仕業だ!)飛び出して周囲を見回し、叫ぶタケル。しかし身体の消えているタケルの声は、誰にも聞こえません。

「音が、消えた……?」しかしアカリの声は消えていません。答える陽子の声も。そちらのほうがもっと不思議ですが、
「そうなんです。これが最近、お兄ちゃんの周りで起こっている、不思議なできごとなんです」
「兄上と言うのは、学生ながら世界的に権威ある作曲コンクールに入賞しておられる方で」解説を加える御成。
でも、と浮かない顔の陽子。
兄、君島康介は作曲中だが、ここ最近スランプに悩んでいると。
「ベートーベンだ!」唐突に姿を現し叫ぶタケル。何かひらめくと気力が充実するのでしょうか。
「タケル!」来ていたのかと振り返るアカリとは対照的に、きゃっと悲鳴を上げ、後ずさる陽子。
「……おばけ?」
「良いおばけだから大丈夫です」そんな陽子にやさしく手を差し伸べる御成の言い草がわりとひどいです。
「ベートーベンだよ!」音がなくなる不可思議な現象。晩年、耳を悪くし、自分の音さえ聞こえない静寂のなかでそれでも作曲を続けたベートーベンの故事。君島に眼魔が関わっていることを確信し、アカリの手を引っ張って走っていくタケル。ついていく御成と陽子。

そんな彼らを、ピアノ室の窓辺から優雅に見下ろす音符眼魔。音楽家のかつらをかぶった後ろ頭に、大きな音符が突き刺さっています。
「せっかくの静寂を邪魔するとは。無粋な……」

遭遇

ピアノ室。
「お兄ちゃん、不可思議現象研究所の方が、来てくれたんだけど」君島に紹介する陽子ですが、兄は妹の言葉には振り向きもしません。ピアノに向かったまま鍵盤を叩きつけ、
「うるさい!」と威嚇します。そのまま楽譜に何か書きつけ、「もう少しで完成するんだ、邪魔しないでくれ」
「……ごめんなさい」
萎縮する陽子。見ていられず口を出すアカリたち。
「ちょっとそんな言い方ないんじゃない?」
「陽子殿はあなたのことを思って心配しているんですよ」
それに応じ、前に進み出るタケル。君島の傍らへ出て、
「あなたは眼魔って悪いゴーストに狙われているかもしれない。そうすれば命だって危ないかもしれないんですよ」
「命が危ない? 結構だ」
「結構、って」あきれるタケル。「わかってるんですか!?」
「作曲できなきゃ生きてるとはいえない」それを突き除けるように立ち上がる君島。「生きている意味は無い!」
タケルを黙らせるとまたピアノの前に戻り、激しい曲調を弾き始めます。

(生きてるとは、いえない……今のおれと同じだ)
ふいに自分の思いに囚われ、また空中に消えていくタケル。

代わって前に進み出るアカリ。
「軽々しく生きてる意味が無いなんて言わないでください! 陽子ちゃんはお兄さんのことを」
「うるさい!」
「なんで、」

反駁しようとして、また音の消える現象に周囲を見回すアカリ。流れるのは君島のピアノの音のみ。
ならばと背後に控える御成を促し、不知火ガンを撃たせます。果たしてピアノの手前に、うなだれたタケルとともに、姿を現す音符眼魔――。
「フフフ……邪魔な音は、わたしが奪う!」

顔を上げたタケルは、そのまま変身動作に入りますが、それもやはり無音。いつも騒がしいので変な感じです。
「おおっと♪」そのパーカ攻撃をかわし笑う音符眼魔。「ほほほ、ドレ、ミファ、そーれ♫」
踊るように攻撃をかわし、ゴーストを誘いつつ外へ。

「た~、たら~んたら~ん♬ ……どうだ、音がないと戦いにくいだろう」
緑多いキャンパス。歌い、ふざける音符眼魔。翻弄され、ああもうと頭をかきむしるような動作をするゴースト。そのまま相手の歌に合わせ蹴りや突きを繰り出していると、その1つがヒットします。
「……おおっと」倒れる音符眼魔。「どどどドレ、ミレ、ドーッと!」
「うわっ!」音波攻撃に倒れるゴースト。それでようやく、その声が聞こえるようになりました。

「タケル。がんばって!」ピアノ室から彼らを追い飛び出してきたアカリ。
指揮者のように、音符眼魔が手を振り回せば紫の音符が飛び、ゴーストを攻撃します。それを大剣で叩き落とすゴースト。
「早く、片づけないと、あいつが」
「うわ、あっ!」
「タケル!」その時、アカリが注意を促します。振り返れば、こちらに近づいてくる青いライダースーツの男、深海マコト
あっと棒立ちになるゴーストを、
「ちゃあんす! パーン!」と音声つきでひっぱたく音符眼魔。
「うわ、来たよ」頬を押さえ、うんざりと顔をしかめるゴースト。音符眼魔に、ではなく、マコトにです。
その前で、変身動作に入るマコト。今度はバッチリミロー、の変身音が入ります。スペクター出現。

「……おれがお前の相手をしてやる」

そしてそのまま、ゴーストに襲いかかってきます!
「うわ、ちょっと待って、なんで、あっ!」
「ちょうどいい、頼むぜ♫」ゴーストをスペクターに任せ、駆け去っていく音符眼魔。
「眼魔が!」逃がすかと慌てるアカリ。

自信喪失

その間に、以前ゴーストから奪ったエジソン魂を装填するスペクター。
「エジソン……!」かつて自分のものだったそれに、息を呑むゴースト。ならばと赤い、武蔵魂を握りしめたところへ、高圧の電流が浴びせられます。電気と武蔵の相性は最悪だと知っているはずなのに。
「離せ、……うわあああああっ!」
衝撃に変身を解かれ、武蔵の眼魂を取り落とすタケル。

「来るな!」言いながら慌てて拾おうとするところへ、また電流を浴びせられます。

「そいつは置いていけ」スペクターの恫喝に、言葉もなく姿を消し、消えていくタケル。一度したたかに打ちのめされたせいか、今回は大した抵抗もなく戦意喪失してしまっていますね。身体が消えやすくなってしまったことも、影響しているのかも知れません。

「いいのか? なら、眼魂はいただく」誰にともなくいい、落ちている武蔵魂に、手を伸ばしかけるスペクター。
「!」すんでのところでそこへ飛び込み、先に眼魂を手に取るアカリ。大きな目でスペクターを睨みつけます。
「よこせ」
「……」

ふるふるとかぶりを振り、後ずさりして、尻餅をつくアカリ。
そちらへエジソンの電磁剣を向けるスペクター。
渡すものかというように、眼魂を握りしめる手に、さらに力を込めるアカリ。
しばしの睨み合い。

「……今日のところは見逃してやる」女相手に根負けしたのか剣を下げ、踵を返すスペクター。
「あ、はあ……」緊張がとけたのか、ため息をつき崩れ落ちるアカリ。この間から御成がヒロイン、と言っていましたが彼女も立派に戦うライダーヒロインです。

そのアカリの頑張りを、見ていたのかいないのか、すぐそばにまだ、うずくまっているタケル。
ここ、いたのかい! とびっくりしました。アカリが身体を張っていたのにノーリアクションだったのかと。これは文句のつけようもない立派な腑抜け。堂々たる腑抜け。
「タケル、いるの?」立ち上がり、アカリが呼ぶ声から逃げるように、立ち去っていくタケル。
「タケルー!?」アカリの呼び声で、CM。

名作の完成

ピアノ室。最後のフレーズを弾き終え、快哉を叫ぶ君島。
「できた。できたぞ! ……これで歴史におれの名前が刻まれる。ベートーベンのように! はははははは。ははははは!」
歓喜とともに、その手に取られた古い楽譜が、紫に光リ始めます。その光は君島の身体を取り巻き……
「まだだ。それだけじゃ歴史に名は刻まれぬ。名作は、作者が死んで初めて名作となる」君島に囁く音符眼魔。
「まだだ。これだけじゃ歴史に名前は刻まれない!」それをさも自分が思いついたかのように、叫ぶ君島。ドアの外で待機していた御成を突き飛ばすように、駆け出していきます。
「お兄ちゃん!」その背に叫ぶ陽子。

***

川のほとり。白い眼魂を握りしめ、川面を見つめているマコト。その時、眼魂がほのかに光ります。
「お兄ちゃん?」
「なんだ」
「何を考えていたか当ててあげる。アカリさんのこと! 仲、よかったもんね」
「……」
しかし答える前に、背後から、若い男が近づいてきます。
「今回は、味方してくれたと思っていいのか?」
「どうかな」振り返るマコト。
「目的は眼魂だけ、か」笑う若い男。そちらにエジソンの眼魂を取り出し、示すマコト。
「こいつは貸しておく。必要なんだろ」
「ありがとう」投げてよこされたそれを受け取り、またにやりと笑う若い男。「……ただ、きみの目的がますますわからなくなってきたよ」
わたしも同じです。たぶん作戦名は妹です。ヴァイザーを下ろしバイクで去るマコトを、見送る若い男。

***

大天空寺居間。
「タケル殿! タケル殿はいるのですか?」戻ってきたばかりなのか、落ち着きなく呼ばわっている御成。その御成に振り返られ、
「いないと思う」ぶっきらぼうに答えるアカリ。
「……タケル殿も」ため息つきつつ、陽子に向き直る御成。「兄上も心配ですな。陽子殿、兄上はいつからあんな風に」
「前はとても優しい兄だったんです。でもあの時から……」顔を曇らせ、話し始める陽子。

陽子の回想。
あの日、学園のキャンパスで見かけた、謎めいた2人の姿。
「ベートーベンの楽譜? 直筆なのか?」差し出された古い楽譜に、顔を輝かせる君島。
「もちろんです」頷くのは謎の男。楽譜と、さらに目の紋章の描かれた紙を手渡し、「あなたにさし上げます。ベートーベンの魂を嗣ぐ者にこそ、それを持つ資格があるのです。……音楽史に残る最高の傑作。楽しみにしていますよ」


つまり謎の男は、眼魂生成に役立ちそうな人間に適当なヒントを吹きこむだけでなく、そのための遺物も供給してるわけですね。これは勤勉。

「お兄ちゃんは、その日から何かに取り憑かれたように作曲するようになって……」
「不可思議現象も、その頃から?」
はいと頷く陽子の切れ長の目が、たまらない美少女ぶりです。
「大丈夫です。我々が兄上を救って差し上げます!」
「わたし、お兄ちゃんが元に戻ってくれれば、それだけで」
「……わたしタケルを探してくる」席を立つアカリ。
「見えないのに、どこを」
「心当たりがあるから」

いるだけでいい

大天空寺、お堂の縁の下。じっとうずくまっているタケル。
「タケル! 居るんでしょ、タケル」そこを覗き込み、背を屈めて入ってくるアカリに、
「見えるの?」と驚き近寄っていきますが、残念なことにアカリにはまだ、タケルの姿は見えません。
「そこにいる!」当てずっぽうに適当な場所を指さし、柱を背に座り込むアカリ。その指先を見て落胆するタケルの表情もたまりません。
「タケル、子供の頃から怒られたり悩んだりすると、いつもここに来てたでしょ。……だからここに来ました。もしいないんだったら、ただの独り言です」
「……? アカリ、」一体何を言おうというのか。這い出して、その横顔を至近距離から覗きこむタケル。
「……タケルが死んで生き返ったり。眼魔やおっちゃんが見えるようになったり。いろいろありすぎて追いついていけないけど……タケルがゴーストとか。でも、そんなことどうでもいい。タケルがそこにいるって思えるなら。……ほんとに辛いのはタケルだってわかってる。でも。あたしだって……どうしたらいいかわからなくて」
タケルの切なさを理解しつつ、自分の切なさも認めるアカリの、泣き笑いの表情。
無言で、その傍らに座り、うなだれるタケル。せめて自分がここにいることが、アカリに伝わればと祈るように。

大天空寺お堂。配達に来た小野寺から、何かの小荷物を受け取っている御成。
「今さ、6丁目のビルで、自殺騒ぎがあって大変だよ」何の気無しに世間話を始める小野寺。「なんかビルの屋上から? 楽譜を持った男が飛び降りようとしてるとか……」
しかし次の瞬間、顔色を変える御成。背後に出てきていた陽子も、小野寺の手を掴み駆け出そうとします。
「なんですと? 早く」
「案内してください!」
「ぼく、仕事中!」
「お兄ちゃんなんです!」
え、と振り返る小野寺に、そうなんですと認める御成。聞きつけたアカリも飛び出してきて、全員で小野寺とともに現場に駆けつけます。

CM明けはビルを取り巻く野次馬の群れ。
あれですと小野寺の指し示す向こうに、君島の姿が見えます。
「お兄ちゃん!」弾かれたように人混みをかき分け、駆けていく陽子。
「あ、陽子殿!」

ビルの屋上。
「お兄ちゃん!」飛び出してきた陽子に、
「来るな!」と叫ぶ君島。手すりから身を乗り出した、その手には確かに楽譜がありますが、ビルの下からあれが楽譜だと、どうしてみんなわかったのでしょうか。
「お兄ちゃん、どうして」
「……名作を残すためだ。ふはは、名作は、作者が死んでこそ歴史になるんだ」
「喝!」あまりの妄言に叫ぶ御成が僧侶らしい。「歴史に名を残すためには、精進あるのみですぞ!」

(そうだよ! ベートーベンだって、耳が聞こえなくなって、一度は死のうと考えた。でも考えなおした。諦めなかったんだ!)
前へ飛び出して偉人の魂を、その真の偉業を叫ぶタケル。しかし、その声はまだ、誰にも聞こえていません。
(だから、あれだけの作品を遺すことができたんだ。康介さんも、)

「歴史に名を残すことが、そんなに大事なことなの!?」しかし、そこで問うアカリ。思わずえっと振り返るタケル。
「ただ生きていても意味なんてない! 死んでるのと同じだ」嘲笑する君島。
「そんなこと言わないで! お兄ちゃんはわたしのたった一人のお兄ちゃんで……」とうとうこみ上げる涙に絶句する陽子。力を落とし屋上に座り込んでしまいます。
「陽子殿!」
「あなたをこんなに大切に思ってくれる人がいるのに。なんでわからないの!」そして、業を煮やし叫ぶアカリ。「あなたが今ここにいることが大切なの。生きてる意味とか。死んでるとか生きてるとか。そんなことどうでもいい!」

アカリの言葉は、しかし君島に届く代わりに、タケルの胸を打ちます。
天空寺の縁の下で、聞かされたアカリの独白と、同じ想い。
ここにいればいい――そしてそれを高みから見下ろす、マコトの胸をも。

「そうか――おれはここにいるんだ。この生命が消えてなくなる、その時まで、おれは命を燃やしきる!」身を熱くし叫ぶ、その言葉の半ばから、タケルの身体は黄金に輝き、再び目に見える存在となっていきます。
驚き振り返るアカリ。
「タケル殿!」その眩さに目を見張る御成。
「おれ、わかったよ。おれは、おれを信じる!」それを気づかせてくれたアカリに、頷くタケル。
「タケル」
「自分を……信じる?」そして、タケルの言葉に動揺する君島。今しも飛び降りようとしていた屋上の手すりから、一歩降りてきます。
「お兄ちゃん!」
すかさず抱きつく陽子。その頭を愛おしげに撫でる君島。すっかり憑き物が落ちたかと思ったその瞬間、
「お前は死んで、歴史に名を残す」塔屋から届く音符眼魔の声に目の色を変えます。
「そうだ、おれは死んで歴史に……」再び紫の光に取り巻かれる君島。
「お兄ちゃん」君島に抱きついたまま、悲鳴を上げる陽子。
「離せ」
「おれは諦めない!」そこへ近づき、陽子ごと君島を抱きしめるタケルの姿が、光輝に満ちています。金色にきらめく、一筋の涙に、たちまち浄化される君島、そしてベートーベンの楽譜――。

***

まもなくベートーベンの魂が出現する。奪い取るなら好機です。
高所からその様を見守っていたマコトが、変身しようとして、ふとその手を止め――。

***

ビルの屋上。金色に輝き始めた楽譜と君島を見て、変身するゴースト。印を結び、目の紋章を描けば宙に浮かび上がるかつらつきフード。

「おお、あれはまさしくベートーベン!」
塔屋の高みからひらりと飛び降りてくる音符眼魔。すかさずアカリが不知火を撃ち、その姿が明らかになると陽子の口から悲鳴が起こります。
「させるか!」
ベートーベンのパーカを相手に奪わせまいと飛び出していくゴーストでCM。

テンションフォルテッシモ!

よく出現する野外ステージ。躍りこむゴーストと音符眼魔。邪魔な相手をステージから蹴り落とし、その間にベートーベンのパーカをようやくベルトに収め、眼魂とするゴースト。
「それをよこしなさい!」
キイキイと叫び、紫の音符を飛ばす音符眼魔が耳障りです。
「なにこれ。どういう音!」ついてきたアカリも思わず耳をふさぐ不協和音。
「だったらこれで!」今手にしたばかりの眼魂を、ベルトに装填するゴースト。
カイガンベートーベン。曲名運命ジャジャジャジャーン!
「うわあ」微笑むアカリ。頭にはかつら、両肩から下がる鍵盤。指揮者のごとく優雅に両の腕を広げステージに立つゴースト。
「さあ、コンサートの開幕だ――」
その指先から発する美しい和音で、敵の音符を叩き落とします。
「むうう!」
負けじとさらに不快な音符を飛ばす音符眼魔。
「フォルテッシモ!」
それを虹色に輝くメロディで、かき消していくゴースト。
「これが最高の音楽だ。わかる?」
「調子に乗りおって!」
ステージに飛び上がってきた相手を、軽やかにかわします。
「タケル!」
そこへ、武蔵の眼魂を投げてよこすアカリ。サムズ・アップ。
「!」
しかと受け取りゴーストチェンジ。
二刀流で切り伏せ、大開眼。武蔵オメガトライブ。オメガスラッシュ。
手早い攻撃に、白い布とともに砕け散る音符眼魔の眼魂! 眼魔って毎回何かの物体+眼魂でできているようなのですが、今回はこの布っぽいものが何か、わかりませんでした。シルクのスカーフ?
「やったー!」両腕を突き上げはしゃぐアカリ。
「アカリ、サンキュ」

***

「お兄ちゃん」手のなかでほのかに光る、白い眼魂。「あの子、よかったね」
「今回だけだ」眼魂に答えるマコトのまなざしも、ひどく優しく。「今回だけは、あいつに花を持たせてやる」

ふわふわ魂

大天空寺居間。次の間で伸びをして畳に倒れこむタケルを見ながら、
「タケル殿も、まだまだ修行が足りませぬな!」湯のみを置き、呵呵、と笑う御成。
「ほんと、人騒がせなんだから」とアカリ。

ということは、今回姿が消えていた理由を、タケルが説明したのでしょうか。自信を失い、自分の生きる意味を見失っていたタケル。自分の命と他人の命、どちらかを選べと迫られ、選べない自分に覚悟がないのかと、疑っていたタケル。
普通はそんな話、できません。スペクターの前に非力ながら立ちふさがった、アカリのほうがよほど肝が太い。
なんでもいい、ここに(そこに)いてくれればいいのだという、大切な人の言葉にようやく我に返り、自分を信じる心を取り戻したのですが、前回予想していたような熱い展開というより、なんとなくふんわりしたお話でした。
タケルには父が亡く、母親に至っては思い出すら今のところ出てきていませんけれども、最初から御成、アカリがまるで家族のようで、だからこそこのような展開もありなのかも、と思えてきます。

「こっちは必死だったんだからな!」からかわれて、口をとがらせるタケル。
「ふふふ」
「あ、康介さんは?」
「陽子殿から御礼の手紙をいただきました。康介殿も一緒に、音楽を楽しむところから始めたいと」
ピアノの連弾を楽しむ兄妹の姿が一瞬さしはさまれます。
「そうか、悪くないね」微笑むタケル。思いついたように居間へ立っていきます。「な、アカリ。軒下で言ってたこと憶えてる?」
「……何よ、なんか言った?」
「いろいろありすぎて追いつけていない、って。何でも物理学で説明できる! って、いつも言ってるのになあ」
「……憶えてない」
「え? ちゃんと言ったぞ?」
「言ってない!」
「言った」
「言ってない」
「言ったもん」
やはり聞かれていたという照れに加え、持論(どのような現象も科学で解明できる)を攻撃されてむっとするアカリ。語気荒く居間を出ていきかけて、
「言ってません! だいたい、眼魔やおっちゃんが見えるのはあたしがつくった不知火のおかげでしょ! いつか、すべての現象をあたしが説明してみせます!」
目の前でピシャリと、台所の戸を閉められてしまうタケル。
「あっ、そんなあ……」
2人のやりとりを、背後で笑っている御成。平和です。

大天空寺地下室。いつもの姿に戻っている仙人が意味深で、しかしその平和がいつまで続くかと不安になります。
「乗り越えたな。そろそろ、次の準備にかかるか。……くくくく……」

そろそろ、父の死の秘密に関わってくるのでしょうか。そしてお寺のクリスマス商戦が気になります。
今週のなかまたち。タテ一列で歩くのが素晴らしい。お約束だと思いますが「たかはるはあそんでいる」がたまらなくおかしかった。凪回はいつもまとまりがいいですね。そしてキンジは……(´・ω・`)
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2015.11.15 11:49 | ghost ゴースト | トラックバック(-) | コメント(-) |
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