LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

あともう何日働けば休みだと、数日前から心待ちにしていたのに雨。濡れたら冷たい冬の雨。
課題も無事やっつけたし少しでも大掃除に着手しよう、と思っていましたがその計画は諦めて、午後から映画を見に行こうかなと思っている月曜の朝です。

というわけで読み終えたのは数日前のことで、今現在は別のをすでに読みかけているわけなのですがこれがイタリアのバイオリン職人の話なのでついつい「仮面ライダーキバ」を思い出し、テンションフォルテッシモになってしまいます。渡がニスに凝っていた当初の描写が、後半なくなってしまったのは残念でしたよね。同時にドイツの首吊り職人の話も読みかけなのでああもっと時間がほしい。

枯れ騒ぎ(創元推理文庫)
ジル・チャーチル/新谷寿美香
シャンハイ・ムーン(創元推理文庫)
S・J・ローザン/直良和美


主婦探偵・ジェーンシリーズ。
実は何年も前から読み始めていたのに引っ越しのどさくさでまぎれてしまい、続刊「八方破れの家」「大会を知らず」のほうを先に読み終えてしまった残念な本です。続きものではないとはいえ、こういうものはホームドラマと同じで、順に読んでこそ主要登場人物の関係の変化も理解できるというものなのに。
謎めいた花のプレゼントに端を発する襲撃事件。被害者は昏睡状態にあり、犯人についての証言ができないため、メルたち警察の捜査も難航します。
被害者、ジュリー・ジャクソン(他の作品にも登場する植物学博士)が地域住民のため、講師を務めるガーデニング講座にたまたま申し込んでいたジェーンとシェリイは、とりあえず開講当日、会場へ出向いてみるのですが――。

ジェーンがうっかり道路の縁石で足首を捻り、骨折してしまったことに関するどたばたが楽しく(毎回同情してくる人に、その都度骨折の理由をつくり話して聞かせるジェーンとか、ギプスがただの白いものであることに意見表明する子どもたちとか、運転ができない間子供を学校へ送っていく当番をどうするかとか)、講座も座学だけでなく、参加者どうし互いの庭を見学しあうという成り行きも楽しく。
同じ講座に出るようになった人々がまた個性豊かときていて、うっかり冒頭の事件を忘れそうになりました。
何度もシェリイとジェーンがそれについて意見交換しているにもかかわらず……
作者も心得たもので、ちょうどその頃合いで起きた、第2の事件。
事件の動機については、割合早い時点からヒントが出されていて、それぞれ皆がなんらかの妄執にとりつかれているような登場人物の中の、誰が犯人か、というのがポイント。ジェーンの推理も納得のいくものです。
庭の見学会の描写はそれぞれの庭がそれぞれの主の精神風景を反映しているかのようで、翻って我が家の至って手入れの行き届かない庭を思うと以下略。

最初に書いた通り読みかけのまま見失ってしまっていた本だったので、ジェーンの大学生の息子、マイクが連れてきた女の子、キプシーについてはジェーン同様ずっとやきもきしていました。
最後の最後にさすがの落ちがついていて、ああ子供は子供で案外しっかり考えているものだよね、と自分がその頃していたことを思い出してつい笑ってしまったのですが、シェリイとキプシーの会話は本筋とは関係ないにしろ、強く印象に残ったシーンです。自分は大人として、キプシーのような少女とこういう会話ができるかといえば、たぶんできないだろうなあ。ジェーンの対応がせいぜいなような。



リディア・チン&ビル・スミスシリーズ第10刊(長編だけをみると第9作)。こちらもご同様にずっと前に買っていたのに見失い、続刊を先に読み終えてしまったものです。
順番としてはビル主役作の「冬そして夜」の後の事件となり、そのためビルは冒頭、前回の事件の憂鬱な気分をひきついで、誰にも会いたくない(誰にも心配されたくない)とひきこもりの状態。それについて理解は示すものも、
「でもわたしは別じゃない?」的な小さな憤りをも感じ、複雑な想いのリディア。後半、ビルが相棒として復帰してくれたことで感じる、帰ってきたという感覚。ビルの愛情表現をなかなか受け入れない彼女ですが、心のなかではとっくに、身内、家族という気持ちになっているのだなあと微笑ましく感じてしまいます。
ということで今回リディアが一時的に組む、ユダヤ人探偵、ジョエル・ピラースキーの人物造形がまた楽しく、ジョエルがリディアの苗字をもじって“チンスキー”と呼ぶのも面白くて、冒頭からぐんぐん引きこまれていきます。

第二次世界大戦後半、ユダヤ人難民を受け入れると表明した数少ない国の一つ、中国。
持てるだけの金貨や宝石をスーツケースに隠し、長い船旅を経て渡ってきたユダヤ人たち。彼らの財産は、その大半が収容所で没収され、また残ったものも戦後のどさくさのなかで散逸されてしまいました。現代になってそれを正統相続人に返還する事業が行われていますが、それに携わるスイス人弁護士が今回の依頼人です。
この度現地でまとまった宝飾品が収容所跡から発掘されたが、中国の担当役人がそれを奪い、逃亡してしまったのだと。

宝石の当時の持ち主は中国人男性と当地で結婚したユダヤ人女性、ロザリー。リディアは、まだ少女だった彼女が、はるばる中国へ渡る船から、あるいは収容所から、ドイツに残った母へ何度も書き送った手紙を資料として渡され、読みふけるうち、徐々にその魅力にとりつかれていきます。のどかな船旅、出会った若い中国人との会話。まだ幼い弟の愛らしい言動。この辺りは古き良き書簡小説(「あしながおじさん」みたいなの)の趣があります。
やがて発掘品の目録になかった伝説級の名品、“シャンハイ・ムーン”の存在を知るリディア。
ロザリーとの結婚に際し、その夫、チェン・カイロンは、チェン家伝来の翡翠と、ロザリーが母から受け継いだダイヤとをあしらったブローチをつくらせ、新妻への贈り物としたのですが――。

資料を読み、また当時を知る人々の話を聞くリディア。その活動から、日本占領下~終戦、そしてその後の中国からの脱出、という激動の時代を生きぬいた中国人たちの人生が、一人ひとり、浮き上がってきて、フィクションとはいえ自分の知らない歴史を読んでいるという興奮を感じさせられます。
貴族の血筋を汲む富裕なチェン家。それゆえに市井の人々よりも封建的な暮らしを強いられていたカイロンの妹・メイリンの、家の外への憧れ。息苦しい生活の中でも生得的に知っている、女性ならではの――自分に気があるらしいハンサムな軍人に見せる、気のない振る舞い。絹の旗袍とハイヒール。メイリンに関するくだりは少女小説のようにみずみずしく微笑ましく、ロザリーの書簡群と並ぶ、ロマンチックな内容です。
また一方、日本軍におもねって厚遇を受ける中国人軍人や、その血筋や裕福さから妬みを受けやすく、とうとう開明的な考え方からスパイの疑いを受けるカイロン、その日暮らしの苦しさ故に一発逆転を狙う一般の人々と、中国国内で起こった様々な対立、家庭内での争い、現代の殺人事件を捜査するリディアらによって、ついに暴かれる封印された殺人。
そして過去は、現代へと続き。

この作品には様々な喪失感と、それに対する後悔、罪悪感を持つ人々が、登場します。
あの時自分が気づいていれば。
あの時自分が、もう少し早く電話をしていれば。
あの時自分が、助けの手をさしのべていれば。
塞ぎこむリディアに、依頼人、アリスは
「自然な反応よ」と嘆息します。「悲惨な出来事が起きると、自分を責めてしまうものなのよ。ある意味では、慰めになるんでしょうね。もっと気転を利かせておけば、もっと早くしておけば、なにかできたはずだと思うことができる。無力を自覚するよりも、失敗を認めるほうが怖くないもの(『シャンハイ・ムーン』P98)」
このアリスの言葉は人の傲慢を戒める、たいへん皮肉なもので言われたリディアは恥じ入ってしまうのですが、こう書かれているということは、
「あの時、自分が」というのは普遍的な感情なのだろうと、思います。

ちょうどこれを読み始めた時、シリアの難民問題がしきりにニュースで論じられていたのですが、昔から難民についての論調は、主に西洋諸国では感情的な色合いが強い、と感じていました。
「シャンハイ・ムーン」はナチスドイツによるホロコースト以前、ユダヤ人移住計画が唱えられていた頃に始まる物語です。かれらを難民として受け入れないか、との打診に対し、頑なに沈黙を守りぬいた国々は、後に起こったすさまじいユダヤ人迫害を目の当たりにして、罪悪感のようなものを持ってしまったのではないかなあ。
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2015.12.21 13:04 | read or die 近視de乱視 | トラックバック(-) | コメント(-) |
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