LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

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探偵は生きていた! いや前回ラストからもうわかってはいましたが。

舞台は「ライヘンバッハ・ヒーロー」の衝撃から2年後のロンドン。ということで色々と歳月の長さを思わされる序盤です。
・長らく哀しみと喪失感に打ちのめされていたジョンは、新たにメアリーというパートナーを得、なぜか彼女の好みだからと勘違いして口髭をも蓄え、ついに彼女にプロポーズする気を起こすほどに回復してきています。
・シャーロックを追い詰めたモリアーティの虚偽と探偵の潔白も、ようやく裁判で証明されました。
・そのシャーロックを真っ先に疑ったという罪悪感からか? ドノヴァンとともにシャーロックを嫌っていた刑事の1人、アンダーソンは、今や「空の霊柩車」(シャーロックの霊柩車は空だ、なぜならシャーロックは生きているから、的な意味?)と名乗るシャーロック・ファンクラブを率いていて、仲間内でシャーロック消失のトリックやそれによる「探偵は生きている」妄想を繰り広げています。日夜。

この、「空の霊柩車」による妄想にはしてやられました。
シリーズ2エピソード1の冒頭で、シリーズ1エピソード3ラスト後の“種明かし”が行われたので、ああまたあそこから始まるのか、と素直に受け止めてしまったのです。わたしもシャーロックの遺体に駆け寄るジョンが、自転車にぶつかって結果的に足どめを食らってしまうあたり、怪しいと思っていましたし。
ジョンの目をごまかしありものの死体を自分自身と偽ったシャーロックが、まるで冒険小説のヒーローのようにヒロイン・モリーにかっこよくキスをかまして去ったところでようやく
「いやこれは違う!」と気づく仕組み。
シャーロックを知るレストレードはアンダーソンからありえない妄想を聞かされてうんざりしていましたが、霊柩車メンバーには腐女子属性の人もいるようで、ジム・モリアーティと結託したシャーロックがジョンを欺く、というストーリーを描いていたり(そしてそこでのシャーロックはジムと、可愛らしくもくすぐったいキスをしていてこっちはまるでBL)。
「ライヘンバッハ・ヒーロー」放映後ああでもないこうでもないと妄想を繰り広げたであろう世界中のファンの心理を逆手に取る、巧い構成です。そしてカンバーバッチがどちらもシャーロックとは別人のキスで役者さんってすごいなあと。キスにばかり注目してますが。


Baker Street tube station / Mr Wabu


一方、東欧のある国では、独り夜の森を逃げ惑う蓬髪の男。3方向から武装した兵士たちに追われ、頭上には投光機を当ててくるヘリが飛び、あえなく捉えられてしまいます。
潜入の目的を男に吐かせようとする兵士たち。しかし男は、拷問担当である兵士の家庭問題を瞬時に嗅ぎつけ、
「お前の妻は隣人と浮気している。今すぐ帰れば現場を押さえられるかも」とそそのかします。
「前から怪しいと思っていたんだ!」だからって帰るほうも帰るほうなんですが。
残された尋問官は呆れつつも尋問口調そのままに、
「仕事に戻れ、我が弟よ」と言い出し――。
兄弟の再会

ということで捉えられた男とは東欧某国に潜入し、2年の歳月をかけたモリアーティ一味殲滅の、最後の仕上げをしていたシャーロック。
尋問官とは自ら現場に潜り込みまんまとなりすましていたその兄・マイクロフト。
ロンドンでのテロ計画が持ち上がっている、情報を上げてきた諜報員は直後死亡した、イギリス国家のためベイカー・ストリートに戻れというのですが、そんな連絡をするためにここまで芝居がかったことをするのも謎といえば謎。
わざわざ2時間かけて現地語をマスターした割には拷問を受けるシャーロックをにやにや見物していただけだし脱出もシャーロックに自力でさせています。つまり助けに来たわけじゃない。実に性格の悪い、ねじくれたユーモア。

ただそれはこの兄弟の天性、のような気がします。

ジョンとの再会

仕事に戻るのなら助手が必要。潜入生活の垢を落とし、無精髭を剃りコートの襟を立て、
「このシャツはどう? ジョンの今夜の予定は?」とマイクロフトに尋ねたシャーロックは、ジョンが2年後の今も変わらず待ってくれているとでも思っていたのでしょうか。2年間フォロー一つもいれずにいて、帰ってきたよと微笑めば、喜んでもらえるとでも。
それはあまりにも人の気持ちがわからなさすぎです。
「前へ進む」決意をし、今宵こそメアリーにプロポーズをと意気込むジョンが予約したレストランに、間が悪く乗り込んでくるシャーロック。
マイクロフトが歓迎されないと思う、と釘をさしたのに、聞いちゃいません。
ウェイターに扮して潜り込む、という素敵なサプライズwを思いついて浮き浮きし、現地調達の蝶ネクタイや眼鏡で装うと慇懃な口調でジョンにワインを勧めましたが、プロポーズの緊張のせいかジョンはなかなか気づく様子もなく。
焦れて話の腰を折り、割り込んで自ら正体を現し、ついでに言葉も無い様子で驚くジョンの口ひげを指して、
「それはとれないの? 老けて見えるね」と笑うシャーロック。
ジョンの鉄拳制裁にぽかんとしていましたがこれは仕方がないかもです。

シャーロックが生きているということを、マイクロフトも知っていた、モリーも知っていた。
ベイカー・ストリート・イレギュラーズ、すなわち数十人のホームレスネットワークも知っていた。
しかるに自分だけがひどい恐慌状態においやられたまま、放置されていたのです。
目の前でシャーロックのfall(社会的失墜&物理的落下)を見せられたショックに加え、自分がもっとうまく行動すれば、という罪悪感もあったでしょう。何よりも、シャーロックを大切な友人と思うがゆえのそのとてつもない喪失感。
ハドソン夫人を訪れることすらままならなかったのに。
半笑いの
「口髭剃らないの?」で済むわけがない。これは怒るべきです。そうだ、こいつはこんなやつだったと。

初対面でこの修羅場を目の当たりにし、シャーロックの精神的な幼さを見抜き、ジョンヘの感情移入のたまものか変人好きなのかわかりませんがこれを許容し、そして彼らの絆に好感を抱くメアリー。
そして今までのジョンの彼女たちと違うその賢さ、強かさを警戒するシャーロック。

ジョンが許してくれないのでとりあえず懐かしのベイカー街へ戻り、幽霊と勘違いしたハドソン夫人に殴られそうになるシャーロック。
さらにはレストレード、モリーの前にも姿を表すシャーロック。ホラー調の登場の仕方にもかかわらず、レストレードの温かい笑みと抱擁にはきゅんときました。この人は後にハドソン夫人宅のホームパーティーでモリーが婚約者と現れた時もシャーロックに片思いしていた彼女の心情を気遣っていて、父性愛! という感じで大好きです。
モリーとのぎくしゃくしたやりとりもなにかいい。ジョンの代わりにモリーには臨時の助手を頼み、いよいよ名探偵稼業の再開です。

今回も聖典にちなんだエピソード満載ですね。いちいちふれませんが。
猿の血清の話。
義理の娘が結婚・独立することを妨げるため、ネット上で理想の男性を演じて彼女に恋を仕掛ける義父の話。
ジャック・ザ・リッパーの白骨死体の話。
さくさく解決しながらその一方で、マイクロフトのそもそもの依頼を果たすべく、ロンドンの街を定点観測する際の対象、“マーカー”と呼ばれる人物たちの観察も、開始しています。沈没船から逃げるねずみのように、ロンドンの街に何か異常が起こるようなら、必ず常にない行動を必ずとるはずの人々。

ここまでのシャーロック復帰のあれこれで約40分。
長いといえば長いのですが、2年も放置した友情の復活にはこれでも時間が足りません。
探偵稼業のさなか、無意識にモリーを「ジョン」と呼んでしまうシャーロック。
怪しげな患者がシャーロックの悪ふざけ、変装に見えてしまって仕方がないジョン。

地下鉄に関わる謎

この辺りでようやく、シャーロックは本題と思われる事件にぶつかります。

シャーロックの留守中にハドソン夫人の下宿を訪れてきた依頼人。
忘れものの毛糸の帽子を見ながら、進捗を尋ねに寄ったマイクロフトと、推理ごっこという名のプロファイリング競争を始めるシャーロック。
ここで友人のいなさそうな依頼人に、孤独の匂いを嗅ぎとるかれは、そうしなかったマイクロフトより、幾分人間らしいなと思います。
友人がいないことと孤独は関係ないと、首をひねるマイクロフト。
その顔を不思議そうに眺め、友だちをつくらないのかと尋ねるシャーロック。
(世間では天才的名探偵ともてはやされる)お前ですら自分の相手には不足であるのに、それほど賢い自分に、果たして友人が必要なのか、友人となりうる人物などいるのかと問い返すマイクロフトが、妙に感情的で、そのぶんめずらしく、あまり賢げに見えません。そんな兄の反応に驚きながら
「その、ぼくは2年も留守にしていたから、その間に変化もあるのかもと」としどろもどろになったり、
「そうだよ兄さん、友人がいないからって気にすることはないんだ」と火に油なことを言ったりするシャーロック。


In the Tube - London Session 2010 / "Stròlic Furlàn" - Davide Gabino


後にモリーを連れ依頼人の居宅を訪れてみると、どうやら電車オタクであるらしい依頼人は、ここで不思議な謎をシャーロックに提示します。

地下鉄の、ある駅の監視カメラ映像には、1人の乗客が最後尾の車両に乗り込むところが写っているのに、次の駅では、到着時点で既に車両は空になっている。しかも運転士はその日以来、多額の臨時収入を得て休暇を楽しんでいると。
但し2つの駅の間は単線のみ。複線もトンネルも廃駅も何もない。
仮に運転手を買収して途中下車したのだとしても、行くところがない。

魅力的な謎に興奮するシャーロック。映像を見ながらつぶやきます。この“消えた乗客”の顔に、自分は見覚えがある――。

ガイ・フォークス事件

自分は和解すべきなのか。和解したいのか。迷いつつ懐かしのベイカー街に、再び現れるジョン。しかしハドソン夫人のドアを叩く寸前、2人組の男に襲われます。首筋に注射を打たれ昏倒するジョン。

***

「5分の区間に10分かかっている」地下鉄の映像から察知したこの事実に着目したシャーロック。やはり途中で何かあった証拠です。
新旧のあらゆる地図が要る、と依頼人の自宅を辞去します。その後に従いながら、
「今日はなぜわたしを」と問うモリー。
「お礼だ、きみがしてくれた……色々なことに」
「構わないわ、喜んでしたことよ。つまり変な意味じゃなくて」
「ほんとうに感謝しているんだ。モリアーティはミスを犯した。かれがぼくにとって重要でないと判断した人は、ぼくにとって大切な人だった。きみがいたからやれた……」そこで微笑み、「でも、もうできないね」
「今日は楽しかったけど」微笑みかけて口ごもるモリー。彼女が落とした視線の先には、薬指に光るダイヤの指輪。
「……おめでとう」
「職場関係の人じゃなくて、月並みに友人の紹介で」
モリーの話を聞いていると今度こそほんとうに良さそうな人を見つけたように思えます。やはり2年は長い。
「幸せを祈っている、モリー・フーパー。きみにはその資格がある。好きになる男が必ず社会不適合者と決まったわけじゃない」そして友人のような、頬への祝福のキス。

***

冬の夜。草木に囲まれ、野外に横たえられているジョン。一度気づいて、また失神する、その額からは赤い血が流れています。
眩い投光機の光。薬の影響もあり、朦朧とした視界。
そこがどこかはジョンには、もちろん視聴者にも、まだわかりません。

同じ夜。帰宅途中のメアリーは、謎めいたメールを受け取ります。

Save souls now!
John or James Watson?
Saint or Sinner?
James or John?
The more is Less?

「ハドソン夫人? その、ジョンが誘拐されたみたいで」ベイカー街へいきなり駆け込んでくるメアリー。初対面のハドソン夫人にどなたと尋ねられても怯みません。奥から顔を出すシャーロック(チップスで食事中)に
「スパムかと思ったんだけど」とすぐさま文面を見せます。「そうじゃないの、これはスキップコードよ」
「2語ずつ飛ばすんだ」瞬時に話に追いつき同意するシャーロック。たぬき言葉の手紙みたいなものでしょうか。必要な単語を拾っていけば……

Save John Watson
Saint James The Less

「――行こう」
「どこへ?」
「聖小ヤコブ教会だ!」

ここで車では時間が掛かると、通りすがりのバイクの青年を無理にとめるシャーロックが機動力ありすぎです。タンデムでなら目指す教会へはわずか10分。その間も敵は監視しているらしく
「近いぞ」
「あと8分」
などと細切れにメールを送りつけてきます。

***

まだ朦朧としたまま、同じ場所に転がされているジョン。

***

検問に行く手を遮られるシャーロック。とっさに方向を変えバイクのまま通行禁止の階段を駆け下ります。

***

教会の前には人だかりがして、どうやら祭りの支度が整っているようです。てんでに花火を手にする子どもたち。
投光機に照らされた木組みと、その隙間に配された藁。いかにも火をつけるのに最適なオブジェの中に、横たえられているジョン。ガイ・フォークス・デイ。
耳を刺すざわめきとまばゆい光に神経を苛立たせ、起き上がろうとしてもかなわず、声をあげようにも弱々しくうめくのが精一杯です。その声も、打ち鳴らされる太鼓や、やがて登場した松明、それを見て人々が上げる歓声にかき消され――。

***

急げ、熱くなってきたと、赤文字のメールに急かされ夜の街を駆けるシャーロックのバイク。

***

うまくつかない、灯油を持ってくると、松明をもった男がその場を離れます。
我知らず助けてくれと呻くジョン。
その声が聞こえたのか、木切れの山を凝視する幼い少女。

***

一時執行停止、あと2分だとさらにメールに囃されつつ、3分かかる道のりを1分にショートカットするシャーロック。

***

「パパ、嫌がってるよガイ・フォークスが」
「え?」
不安に思わず父親の手を引く少女。しかしその脇を係の男が、下がってください、と灯油を持って再び現れます。

***

またも道ならぬ道を抜け、教会に現れるシャーロックとメアリー。メールは
「残念だったな。ジョンはベストガイだ」と告げます。
「しまった!」
転がり落ちるようにバイクから降りたシャーロックの、その眼前で、一瞬にして燃え上がるガイ・フォークス・ナイトの炎!


Guy Fawkes, Bonfire Night - guys burning on the bonfire / somewhereintheworldtoday


歓声と拍手のなか、とうとうジョンの悲鳴を聞きつけ絶叫する少女。
「どいて!」
「ジョン、ジョン!」
人並みを掻き分け、突進してくるシャーロックとメアリー。そのまま素手で火傷も厭わず燃え盛る炎のなかから木切れを持ち上げ、干し草の山を崩す2人――。

和解

ベイカー街。居室で老夫婦から益体もない話を、忍耐の表情でただ聞いているシャーロック。
消えた宝くじの謎でも持ち込まれたのか、それとも定点観測の一端なのかと思っていると、ジョンの来訪を知ってたちまち立ち上がり、
「今帰るところだ!」と先客である老夫婦を外に押し出してしまうシャーロック。
「そうなの?」と戸惑いながら押し出されてしまう老夫婦がおかしい。
「忙しい時に悪いね、依頼人なら」と気づかうジョンに、
「両親だ」と端的に告げるシャーロック。
マイクロフトと言いシャーロックと言い子供たちは怪物級の天才揃いなのに、実に普通っぽいご両親です。汚名を着せられていた2年間に心を痛め、もっと電話しなさいよ、約束よと言って去るあたりもほんとうに普通。
「ご両親だって? きみの?」
「ロンドンに2、3日いるんだ、マイクロフトがレ・ミゼラブルに招待した」
「いや、ご両親って言ったのか?」
「イエス」
「……想像と違う」
その普通っぽさにジョンも驚いています。
「ご両親も知ってたのか、きみが生きていたこと」
「たぶん」
「はん、だから葬式にも来なかったんだ!」
蒸し返すジョン。皮肉りつつも顔は懐かしそうに室内を見回しています。ハドソン夫人がずっと部屋をそのままにしていたのはジョンも承知のことですが、そのなかにシャーロックがいる光景、というのが、きっとジョンにはなんとも言えない感慨だったのでしょう。
お手上げ状態で謝るシャーロックも、ジョンに髭を剃ったのかと指摘することは忘れません。
再会後からかわれてすぐ剃りましたけどね。メアリーが実は好みじゃないと認めたし。
ガイ・フォークスで救出された時には既につるつるだったのですが、シャーロックもたぶん、それに気づく精神状態ではなかったのでしょう。
「その、気分はどう?」
「まあまあだ、燻されたけど」
「結構」
「昨夜のあれは……誰がやったんだ、なぜぼくが狙われた」
「わからない」
「例のテロ組織が?」

しかし、まだ何もわかっていないと認めざるをえないシャーロック。何もかもパターンに合わず理解できないのです。
なぜ意味のない情報のために、諜報員が命を落としたのかも。
地下組織でテロ計画、そんな当たり前過ぎる、何も言っていないのも同然の情報のために。
気を取り直し、
「これがぼくのねずみだ、ジョン」と唐突に壁に貼られた写真を示し、説明を始めるシャーロック。諜報員や犯罪者。かれらが常にない行動をとる時、それは船が沈没する前兆を感じ、逃げ出すねずみと同じなのだと。
「5人目までは平常通りだが6人目が、」
「この顔は知ってるぞ!」ジョンが指摘します。そう、それは貴族院議員にして海外開発大臣のモラン卿。
「かれは1996年から北朝鮮のスパイだ」
「はあ?」
「一番大きいねずみなんだよ。それが最近、怪しい動きをしている」

推理

ジョンに、消えた乗客の動画を見せるシャーロック。
「確かに変だが、降りるところはないんだろ? それよりテロ組織の正体に心当たりは? アルカイダ? IRAも最近……」
「そこはマイクロフトの諜報員が――ああ、ぼくはなんて馬鹿だったんだ!」
突如室内をウロウロ歩きまわるシャーロック。その素振りに驚きつつ、
「なんのことだ」と聞いてみなければ話は進まないとわかっているジョン。
「諜報員は正しい情報を伝えていた! 地下組織とは、文字通り地下のネットワークを指すんだ」
「その通り。で?」


"Sponsored" London Underground Tube Map / Annie Mole


地下のネットワーク、すなわち地下鉄。

7両編成の列車がウェストミンスター駅を出た、しかし次の駅に到着したのは6両だと、動画を見返すシャーロック。
最後尾の車両のみ途中で切り離され、進路を変えたのだ、他に筋の通る説明がないと。
消えたモラン卿。ジョンが囚われたのはガイ・フォークス・ナイト。ガイ・フォークスと言えば? 卒然と、
「今日は何日だ」と問うシャーロック。「今夜はテロ対策法案の採決がある……だがモラン卿は出席しない、今日は5日だから。火薬陰謀事件(1605年11月5日)――上院議場の地下に火薬を仕掛けた!」

「言ったろ、問題の区間には側線も廃駅もないんだって」

スカイプから、独り冷静に異を唱える依頼人。いつの間につながってたのかと驚きました。
しかしシャーロックとジョンがこちらがわでありとあらゆる地図や路線図を広げぶつぶつと路線や駅名を読み上げていくと、
「ちょっと待った、スマトラ通りだって? 思い出したよ、地下に駅がある!」
開業前に廃駅になった駅があると、指摘する依頼人。ホームも階段も作ったのに法的な問題のため、地上部分は作らずじまいになったのだと。その位置を確かめ叫ぶシャーロック。
「国会議事堂の真下だ!」完全な一致。こうしてはいられないと立ち上がるホームズ。
「爆弾か? あ、待って!」

***

本日重要法案の採決が行われると報じるTVのニュース番組。
カウチに横たわりのんびりとチャンネルを変えているのは、モラン卿その人。

捜査


Charing Cross tube station / Ewan-M


議事堂近くの駅に入っていくホームズとジョン。
「爆薬も地下鉄で運んでいたのか?」
「おそらくは」
スマホを取り出し警察に通報しようとするジョン、警察は邪魔だと止めるシャーロック。自分たちがやるしかないという相手に、
「でもそれ、違法だろ」と問うジョン。
たぶんマイクロフトの仕事をしているときは、シャーロックは超法規的な存在になってるような気がするのですが。
少しね、と微笑み、壁の向こうの保線用通路に白昼堂々入り込むシャーロック。そして――。

ここで2人は絶体絶命の状況に陥るのですが、探偵ならば何か解決の方法を見出してくれるはず、と無邪気に思い込んでいるジョンの、シャーロックへの信頼の厚さがすごい。
それに対し、何も思いつかないと絶望し、巻き込んですまない、きみだけでも逃げろと真摯に詫びるシャーロックの表情がまたすごい。
そして探偵の絶望にショックを受けつつも、いまさら逃げても間に合わない。許すしきみを恨んだりしないと即座に許すジョンがさらにその上を行ってます。

種明かし

ここで唐突に差し込まれる、アンダーソンとシャーロックの会話。
自分のファンのため、シャーロック自身が自分の“消失”をいかに演出したか、種明かしするシーンです。
すっかり舞い上がっているアンダーソン。シャーロックの独白を動画に収めつつ、
「いやしかし、ワトソンが元の立ち位置から一歩も動かないなんて誰がわかる」
「それに自転車のタイミングだって、失敗したら」
とツッコミます。
確かにここでシャーロックが説明するのは、ファンの妄想と五十歩百歩の“真相”なのですが、それでもライヘンバッハの事件で泳がされていたモリアーティのことや、誘拐された少女がシャーロックを見て悲鳴を上げた謎を拾っているのはうれしかった。
あと、モリーにもジムにも変なキスをしないぶん、本人の言うことのほうがもっともらしい。
結局ご想像にお任せするとばかり、アンダーソンの疑問には一切答えずに姿を消すシャーロック。この消えっぷりも鮮やかで、この一幕がそもそもアンダーソンの妄想っぽくも見えますが真実やいかに。
確かなのは、アンダーソンのシャーロックへの傾倒がかなり危ない領域に行っていることです。

***

そして現実世界に戻ってくるシャーロック。
詳細は書きませんが鮮やかに事件を解決し、そのあまりの酷さにジョンを怒らせ、世間をわかせます。

帰宅後、事件を振り返るジョン。
「ぼくの疑問にはまだ答えてくれてないね、なぜぼくは狙われた?」
「……わからない」
そう言いつつも、記者会見のためまた、普段はかぶらないディアストーカー姿でドアを開け、通りへ降り立つシャーロック。
ジョンの言うとおり、名探偵であり続けることに、シャーロック自身楽しみを見出している証拠です。



「ジョン!」
「ジョン?」
口々に叫び、我が身の火傷も厭わずジョン救出に飛び込んでいくシャーロックとメアリー。
白い息を吐くシャーロックの、蒼白の顔。


ガイ・フォークス・ナイトの悪夢を、どこでカメラに納めていたのか、その短い映像を何度もリピートして見ている男の青い目。
この人が新しい黒幕? というところで、物語は終わります。


Montague Tube Work: April 29, 2014 / MTAPhotos


今回は友情の復活を鮮やかに描いた、しかし物語の主役は地下鉄じゃないかな、というくらい、様々な走る列車のモチーフが全編ふんだんに用いられた回でした。
繰り返し登場する、監視カメラの映像。
現実にロンドンの地下に広がる闇と光。常にそのセルとなる車両が移動し続けるために、千変万化する巨大迷宮。
シャーロックの思考世界を横切る様々な車両の影――。鉄要素のある者にはたまらない映像美でした。
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2016.01.03 19:30 | dvd box 観たらめも | トラックバック(-) | コメント(-) |
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