LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

「クララが立った!」的な。
兄・アデルにアバターを崩され、元の肉体に戻り人間として生きざるを得なくなったアラン。戻ってみれば、時が経つに連れ疲労が蓄積し、空腹になる生身の身体に戸惑います。
全力でマコト・カノン兄妹に餌づけされるアランが恐ろしいほどに可愛らしく、少なくとも100年、どうかするとおよそ200年は生きていそうなのにその純粋さと無垢さはどういうことなのだ!


at Kalpa, India on 12/Oct/1999 / snotch


いや取り乱してしまいました。
物語的には、眼魔世界で受けたトラウマのために苦悩するものの、折れない心で乗り越え、真の力を獲得する主人公、の回なのですが、折りたたみ後の感想文にも書いた通り、わたしとしてはどうにも納得しがたい流れだったのです。
ただの怯え、焦りだけでいったい何に悩んでいるのか、がわかりにくく感情移入しにくい苦悩シーン。
それなのに
「ぼく悩んでます!」と言わんばかりに全方向に噛みつきふてくされ、わかりやすく八つ当たりするタケル。
それがマコトが倒されるのを見て突然戦う意志を固める流れも謎だし、にも関わらずマコトを失った悔悟の念もなく突然信念語り出されてもついていきがたく。今まで18歳としてどうかと思うほど心強く器の大きいタケルだったので、一時的な絶望で荒れるのは別に構わないのですが……なんでそうなるの? そこでなんでその台詞が出てくる? と色々な疑問符で頭がいっぱいになってしまいました。
対比してアランを守り切って満足気なマコトと、マコトに食べ物を与えられて不本意そうにしながらもつい、ぱくついてしまうアランの、長年培ってきた絆や、空の青さ、たこ焼きの美味しさにいちいち感動しているアランの可愛らしさが際立って印象に残ってしまうのは、必然としか言いようがありません。そんな回。
OP。「1号」映画まで一週間きりました!

転調

マコト兄ちゃんを探して行った眼魔の世界は、おれの想像を超えたものだった。残された時間は…………あと、65日――。

夜の埠頭。独り佇むアラン。
その脳裏によみがえるのは、居並ぶ部下たちを前に兄王子・アデルが宣した言葉。

「大帝殺しの大罪人、アランを捉え、処刑する」と。

(一体何が起こっている……?)

兄の謀略を知らぬまま、今は戸惑うだけのアラン。せめて姉姫・アリアに相談できたら良かったのに。

***

空に描かれた巨大な紫の目の紋章。そこをゲートに現れた白い怪人・ウルティマは、周囲の人々を滅した後に変身を解き、
「アラン様を倒すのはこのわたし……」と名乗りをあげます。それは前回ラストで、アデルよりウルティマの眼魂を授けられた復活ジャベル。

焦り

大天空寺居間。
「ふうむ……よくできておる♪」
おるっ、と弾みをつけて御成が眺めているのは新しい不可思議現象研究所の名刺です。「山内」という姓だったんですか?
「ちょっと、邪魔……」戸口にかがんで絵を描くキュビの傍らをすり抜けながら、入ってくるアカリ。
「我々の新しい名刺を作りましたぞ!」
「へえーっ、いいじゃなーい!」嬉しげに覗きこむアカリ。「あたしのもある!」
そこにタケルが入ってきたのを見て、
「あ、タケル殿」
「ね、見て見て」
 と口々に呼びかける御成とアカリ。しかしタケルはそれを無視し、戸口のキュビにいきなり
「教えろ!」と血相変えて詰め寄ります。「お前ら眼魔が、こっちに来るのを止める方法は何だ!」
「さー?」空気読めないキュビはいつも通り。はらはらと見守る御成たちにも気づかず、「知らないんだな。……新しい絵が描け、」
「眼魔のくせになんで知らないんだよ!」

タケルに描きあがった絵を見せようとするキュビ。その手を乱暴に振り払い、襟に掴みかかるタケル。
今までに例のない、暴力的なタケルに、慌ててアカリも席を立ってきます。

「タケル止しなさいよ!」
「じゃ科学の力で何とかしろよ! ……何でも解明できるんだろ」
凍りついたように、一瞬立ちすくむアカリ。
「……あたしだって一生懸命やってるわよ……ねえ、どうしたの」
「眼魔を止めなきゃいけないんだ!」
「タケル殿、落ち着いてください。きっと方法はあ、」
「のんきなこと言うなよ! ……もういい」今度は御成にも。全方向にくってかかるタケル。そのまま足早に立ち去っていきます。

大天空寺地下室。上段の研究スペースに久々に立ち寄っている仙人。タケルが持ち帰った大きな眼魂を眺めています。
「でっけえなあ……」傍らでうっとりと溜息をつくユルセン。
しかし、そこへ現れたタケルがいきなり支えの柱を蹴りつけるのでびっくりします。
「なっ、何」
「おお?」
「何勝手に触ってるんだよ!」蹴りつけた足の痛みをごまかしながらやはり口調も乱暴なタケル。
「いやちょっとくらいいいじゃねえか、でっけえ眼魂だなあ!」
「お前は黙ってろ」そのユルセンを、こちらも乱暴に退ける仙人。かれらのもとへはしご状の階段を登ってくるタケル。
「おっちゃん! 何か知ってるんじゃないのか? それのこと」
「ん? 何が? 知らん知らん」眼魂から手を離し、立ち上がって机からも離れようとする仙人。「儂は、なんにもしらないよぉ」
「え? ……もう、教えてくれ! おれは眼魔の世界で、大勢の人間がカプセルに入れられてるのを見た。眼魔は人間をさらって、何をしようとしているんだ!?」
後を追うタケル。
「何を焦っている?」足を止め、振り返る仙人。声を一段と高め、「お前の役目は、英雄の心をつなげることじゃ!」
「そんなことしてる場合じゃないんだよ!」居ても立ってもいられない思い。誰一人自分に協力しようとはしてくれない。「……どうせ、眼魂を15個集めれば、願いが叶う。そうなんだろ? ……早く、眼魂を集めなければ」
ならば自分だけででも何とかしてやると、足早に出ていきます。
その後姿を見送る仙人。
「……恐怖に、とらわれてしまったか……」

バイクを駆り、街を行くタケル。

人間として

埠頭。公園の四阿の柱の末に座り込み、まだ海を眺めているアラン。どうやらそのまま夜を明かしたようです。
近づいてきた足音に振り返れば、白いビニール袋を手に近づいてくるマコト。
「貴様に、……そして兄上にも裏切られたわたしを、笑いに来たのか?」
その拗ねた様子に、ふ、と笑みをもらすマコト。
「お前がおれたちを助けてくれた。今度は、おれたちがお前を助ける番だ。そろそろ、これが必要なんじゃないか」
差し出される白い袋。口を開かれた、その中を一瞥して、
「誰がほどこしなど」とソッポを向くアランが可愛い。
「無理するな。生身の身体だ」マコトが取り出したのは案の定、サンドイッチの類。

***

埠頭の近くで、マコトのバイクを見かけ、自らもバイクを降りるタケル。

***

おとなしく食料を口に入れているアラン。傍らにかがんだマコトから紙パックの牛乳も差し出され、素直に受け取って一息つきます。
「はあっ。……こんな不便なものが、お前たちが望むものなのか」
まだ頬張ったまま話す様が可愛いやらおはしたのうございますやら。
「ふ、今にお前にもわかる」
微笑みつつ立ち上がり海を眺めるマコト。その元へ、駆け寄ってくるタケル。
「マコト兄ちゃん! ……お前もいたのか」

アランを見る目に、かける言葉に、これまでのタケルには考えられなかった険があります。
見返すアランの目の鋭さはいつも通りですが、この3人のなかで一番表情も声音も和らいでいるのがマコトというのが今までとは正反対。

「ちょうどいい、今ここに眼魂が15個揃っている。おれに渡してくれ」
「おれはいつでも渡す。だが」タケルのいつにない様子が気になるマコト。「何をする気だ?」
「眼魔の世界とのつながりを断つんだ!」
「わたしが渡すと思っているのか」タケルと睨み合ったまま立ち上がるアラン。
「お前たち眼魔は、人間をさらってどうするつもりだ」
「さらってなどいない」
「大勢の人間が、カプセルで寝かされていたぞ!」
「タケル、あれは」説明しかけるマコト。それを遮り
「我々の民だ」と言い放つアラン。
「民?」
「我々の民の肉体は完璧に保護され、永遠に朽ちることはない」
「嘘だ!」叫ぶタケル。「おれは人が消えるのを見た」
「何を言っている? そんなことはない」

アランの信じる完璧な眼魔の世界と、タケルが垣間見たリアルな眼魔世界との齟齬。

「嘘をつくな!」苛立ちつかみかかるタケル。「眼魂を寄越せ! お前たちを、来れなくしてやる!」
「よせ!」両者を分けるマコト。
「マコト兄ちゃん。なんで邪魔するの!」

しかし口論は、唐突に近づいてくるブーツの足音によって中断されます。
「アラン様。消えていただきます」
「……ジャベル。なぜだ? わたしは父上を殺してなどいない」

ここで、え? という顔でアランを見るタケル。このなかでアドニス暗殺を知らないのはタケルだけ。

「あなたは、完璧な世界には不要な存在……今の大帝がそうお決めになられたのです」
「やはり兄上が」
「あなたと戦えるとは……この上なき歓び」ゆっくりと右手を掲げるジャベル。握られているのはウルティマの眼魂。
対するアラン、マコト、タケルはほぼ同時に変身動作に入りかけます。が、ただ独り、中断し、我関せずの姿勢をとろうとするタケル。
構わずまっすぐに、まだ変身を終えていないアランに突っ込んでくるウルティマ。それを華麗にいなしつつ出現するネクロム。
両者の戦いに、後から加わろうとして、タケルがまだ変身を終えていないことに気づくスペクター。
「タケル?」
しかしタケルがそっぽを向いているのを見て諦め、遅ればせながらネクロム援護のため、駆け去っていきます。
独りうなだれたままのタケル。

強敵

前回、アデルが変身していた時もそうでしたが、ウルティマには時を操る能力でもあるのか、任意の物質を一瞬で朽ち果てさせます。
今回も登場シーンではビルを破壊し、今はまたスペクターが振りかざした武器を灰燼に帰し。
力では劣るのに、素手での勝負を強いられるネクロム、スペクター。ともにあっけなく放り投げられ、全身を停めてあった車のボディに打ちつけられます。
痛みに呻き、落ちかかりながらその車を楯にとる2人。すかさずその車をまた塵に帰し宙に消すウルティマ。
「あっ……」
どちらが発したのか、その驚きの声に一瞬顔を上げ、またうなだれるタケル。
つまらぬ意地か、それとも仙人の見立て通りの怯懦ゆえか、見て見ぬふりをするほうもつらいだろうと思うのですが。

スペクターの早い蹴りをかわし、軽く片手で打ちつけるウルティマ。悲鳴をあげタケルのすぐそばまで転がってくるスペクター。
「タケル! 早く変身しろ!」
「……そいつは眼魔なんだ……」思いついた言い訳にすがるタケル。「助ける価値なんてない!」
それでもマコトとタケルを、眼魔世界から脱出させてくれたのに。
ネクロム、スペクターが敗れれば、タケル1人でウルティマを相手にすることになるのに。
助ける理由はいくつもあるのに、助けたくないタケル。
「眼魔ともわかり合えると言ったのはお前だぞ!?」タケルの怯えに思い至らないスペクターは、なおも説得の言葉を続けます。
その向こうで、ウルティマ相手に絶望的な戦いを続けているネクロム。
「心をつなぐんじゃないのか!」
「心なんてつながなくても。眼魂を15個揃えれば、願いが叶うんだ……」
罪悪感に目を伏せながらうそぶくタケル。その途端、タケルの懐から次々と飛び出ていく英雄眼魂たち。
はっと懐を抑えても遅く、何処へか飛び去っていきます。
「どこへ行くんだよ……!」追っていくタケル。
もう一度諦め、ウルティマとの戦いに戻るスペクターですが、その途端、ネクロムと一緒に強力なパンチを受けてしまいます。

ここ、なんとなく、ネクロム1人でもウルティマの相手はできていたし、逆にスペクターが参加してもウルティマ優位は変わらないし、眼魔側の変身体とライダーとの力の差に絶望したくなってしまうシーンです。
スペクターと引き離され、独り倒れこむネクロム。そちらへ歩み寄り、襟を掴んで引き起こすウルティマ。
「!」
「……つまらぬ……」
そのまま力任せに立たせる、その手に力を込めます。首を締め上げられ、声にならない悲鳴を上げるネクロム。
「これがあなたの力とはな……!」
「はな、離せ……っ」
絶体絶命のネクロム。苦しげな声に萌えます。
「!」
その光景に力を振り絞り上体を起こすスペクター。フーディニの眼魂を操り、引き寄せたバイクパーカでウルティマを弾き飛ばします。そして自ら背にまとった青い車輪を回転させ、解放されたネクロムを抱えて空に飛び去り――。

絶望

大天空寺地下室。次々と飛び込んでくるタケルの英雄眼魂たちに、振り返る仙人。
「困ったことになった……タケルの、馬鹿め!」
一瞬の驚愕の後、そう吐き捨てて何処へか消えていきます。

***

「……」眼魂に見放されたと悟ったのか、波打ち際に屈みこむタケル。じっと水面を見つめていると、その傍らに出現するユルセン。
「そんなところで何やってんだよぅ。お尻濡れるぞ」
「見てたんだろ? もう無理だよ。英雄の眼魂だって、ぜんぶいなくなったんだ」
「……」岩場にふて寝したタケルを上からマジマジと覗きこむユルセン。「……やれやれ。こんなんじゃおれさまだって愛想つかすぜ」

独りになったタケルが、見上げる青い空。

信頼

川辺。その同じ空の何処からか現れ、降りてくるスペクター。着地と同時に変身を解き、抱えてきたアランに、
「大丈夫か!?」
「礼は言わないぞ。わたしは誰の助けも要らない」その腕を振りほどき立ち上がるアラン。おぼつかない足取りで、それでも独り去っていこうとします。
「アラン!」呼び止めるマコト。「……たとえお前が何も信じられなくても、おれはお前を信じている」
「……」そのマコトの顔をしばらく見つめ、踵を返すアランの肩が薄くてたまりません。
しばし見送るマコト。
「……タケルのやつ……っ!」
それにしても気になるのはタケルの変調です。どうすればいいのか。うつむくマコトの、耳を打つのは遠くから近づいてくる叫び声。

***

「タケルどのーっ!」
「タケルーっ!」
叫びながら川沿いの道を、駆けてくる御成とアカリ。顔を上げ、そちらを見つめるマコト。
「マコト!?」ほぼ同時に、マコトの存在に気づいたらしいアカリの姿で、CM。

ともだティーシャツ、って語感、なんとなく、ともだちn……
タケルはそんなことでは本郷猛に活入れられそうです。

不信

紅くけぶる眼魔世界の空に、煌々と光る目の紋章。王城の、地下神殿。
厳かに響くイーディスの声。
「……大帝アドニスが願った理想の世界、その世界を作り上げるために、わたくしも全力で協力いたします」
玉座につく若き僭帝と、その姉姫の前で、恭しく宣言するイーディス。
「今は必要ない」冷淡に突き放すアデル。
「いや、必ず必要になります。あなたの知らないことを、わたしは色々知っている」
「……?」振り返るアデルの、嬋娟たる美貌。不機嫌に黙りこむアリアをこの世界の太陽とするならば、その月にたとうべき昏く、か細いその精神。
立ち去っていくイーディスを見送り、席を立つアリア。
「長官は父上の友人。信用できませんよ」
「姉上のことは」玉座から立ち、その場を去ろうとするアデル。「信用してよいのですか」
お互いに誰も信じていないのですよね。このなかで全力で皆を信じ、そして皆に信じられていたアランの異端っぷりがよくわかります。

たこ焼き

木立の中の公園。ふみ婆のたこ焼き屋を今日も訪れているカノン。
「今日はとびきり寒いけどさ、たこ焼き食べてきゃ大丈夫!」
「ありがとう」微笑み、近づいてくる影に気づいてベンチから立ち上がります。「アラン様!」
「……いたのか」
「アラン様が、ここに来るんじゃないかと思って」
「なんだ、やっぱりデートだったのかい」
「でーととは、何だ?」ふみ婆には素直に近づいてくるアラン。そんなんじゃなくて、と否定しかけるカノンを押しのけ進み出るふみ婆。
「照れるな照れるな。一緒にいて楽しいんだろ? ん? ほっとするんだろ?」
「わたしを愚弄する気か」
「ほっほっほっほ。相変わらず面白いねえ。自分の心に正直になりなよ」
アランの胸を指で突き、屋台に戻っていくふみ婆。父と同じ言葉に、覚えず表情を変えるアラン。
「心……?」

「迷った時は、自分の心に従え」――。

「心など不要のはず」動揺し水面を見下ろすアランに、ふたたび近づいてくるふみ婆。
「ほら、たこ焼き、食べなよ」
「たこ焼き……」しかし次の瞬間、一舟受け取るアラン様の口元がもう、ほころんでいます。おはしたのうございます。
ベンチに腰掛け、一口で食べるアラン。それを覗き込み、自分も笑顔になっているカノン。これではふみ婆にデートと言われても仕方ない。前々回で
「お前も所詮人間」とか言ってましたがやっぱりカノンやマコトには、どうしても心を許してしまう、アラン。
こんなに簡単に餌づけされてはいかんと思うのですが、やさぐれていてもお育ちがよろしいということでしょうか。

しかし幸せな時間はつかの間。歩み寄ってくるブーツの足は、またしてもジャベル。
問答無用でウルティマの眼魂を掲げ、変身動作に入ります。
「アラン様!?」
「お前たちは逃げろ」カノンに食べかけのたこ焼きを渡し、立ち上がるアランがヒーロー然としています。

怒り

傾きかけた陽光。寄せては返す、密やかな波の音。あれから何時間そうしていたのか、まだ岩場に寝そべっていたタケル。
「……ずいぶん探したのよ」
その直ぐ側まで寄ってきて言うアカリ。目を上げるタケル。その位置ではスカートの中が見えてるんじゃないかと気になるわたし。
「タケル殿。いったい何があったんです?」
そして屈み込み問う、御成の穏やかな声。マコトは少し離れた位置で、それを見守っています。
「何を悩んでるのか、言ってくれなきゃわからないよ」
「言っても無駄だよ!」跳ね起きて、向こうを向いたまま膝を抱え込むタケル。丸まった背。「もうおしまいだ。英雄の眼魂だって、全部どっかに飛んでった」
「眼魂殿が、全部ですか……!」
「どうしてそんなことになったの!?」
「おれじゃだめだと思ったんだろ」仲間たちの驚きに、吐き捨てるようなタケル。

「……タケル」徐ろに背後から声をかける、マコトが静かな怒りを滲ませています。気づいてすくみ上がるアカリ、御成。「お前は自分を信じるんじゃないのか」
「信じられないんだよ!」しかし反射的に叫ぶタケル。立ち上がり、「眼魔って何なんだ。英雄の心をつないだって、次から次へと来るんじゃ勝てないよ! ……おれにはもう無理なんだ」
「!」
突然のマコトの鉄拳。頬に受け、浅瀬に倒れこむタケル。
「マコト?」
「見損なったぞ!」
後は言葉が続かず、ただタケルを、睨みつけるだけのマコト。

この人は、一度は閉ざした心をタケルによってこじ開けられ、自らの生還を棒に振ってまでカノンを救ったタケルの心の広さに感謝し、そんなタケルを信じて共にこの世界を守るため尽くそうと決意し、――そしてその信頼を、アランにも伝えようとしていた人。
この反応は当然です。
怒りに震えるマコトを、ただ見上げるだけのタケル。

この後両者が何を言うか、と緊迫したところで、背後からカノンが駆け寄ってきます。
「お兄ちゃん! アラン様が眼魔に襲われてるの」
「タケル、行くぞ」
しかしうつむくだけのタケルを見捨て、1人で駆けていくマコト。
「……そんなのはタケルじゃない」そして、ここに至ってようやく口を開くアカリ。御成とともに、ばしゃばしゃと水の中に踏み入って、強引に助け起こします。「タケル! あんたも行くのよ!」
「離せよ!」
「立ちなさい!」
御成もアカリも、お母さんっぽいんですよね。ダブルヒロイン、ダブルおかん。

消滅

「……っ!」
採石場。人知れず相撃つネクロムとウルティマ。
重機を楯にその手から逃れようとすれば、たちまち遮る重機を灰燼に帰す……というのは、先ほどと同じ展開です。起死回生を図り英雄眼魂を取り出そうとするネクロム。しかし既にそのスイッチも入らず、手から逃れていく眼魂たち。
「眼魂も使えぬとは」
かつては嫌がる眼魂を、無理やりねじ伏せていたネクロムだけに、この凋落っぷりは沁みます。
「変身!」そこへ駆け寄りながら変身動作に入るマコト。フーディニを纏いウルティマに飛びつきますが、柔道の受け身のようにふわりと逃れるウルティマ。
「二度も同じ手を喰らうか。でゃあっ!」
宙に逃れたスペクターを撃ち落とします。地に転がるスペクター。心配して覗きこむネクロム。
「スペクター?」
「何とかしてみせる!」それに応じて勢い良く立ち上がり、ウルティマへ走り寄っていくスペクター。同じくネクロム。何の勝算もないまま、ウルティマに叩きのめされる2人。

「……タケル。しっかり見なさい!」
そして嫌がるタケルを、ここまで引きずってきたアカリと御成。ついてきたカノン。
ふてくされたように、不承不承顔を上げる眼前では、絶望的な戦いが繰り広げられています。
「がっ……!」倒れたところを、ウルティマに喉元を締めあげられ呻くネクロム。それを救わんと背後から走りより、振り返りざまウルティマに一撃で突き飛ばされるスペクター。攻撃を受けた箇所で電流が火花を散らしています。そしてウルティマのすべてを朽ちさせる能力により、ついにネクロムのスーツまで消された生身のアラン――。

ここでとどめを刺すのはウルティマには赤子の手をひねるがごとく、のはずですが、なぜか喉を締め上げていた手を外し、アランの胸を蹴り飛ばします。
悲鳴をあげ、砂礫の山を、何度も身を打ちつけながら転がり落ちていくアラン。
「「「「あっ」」」」その無残さに思わず声を上げるスペクター、カノン、御成とアカリ。
「……終わりです」
やがて谷底まで到達したアランを見下ろし、掌にエネルギーをためるウルティマ。跳ね起きようとしてもその力がないスペクター。

「……ここで死ぬのか……」無念そうに顔を上げるアラン。
「アラン……っ!」友のもとへ急ごうと、自由のきかない身で半ば落ちかかりながら、谷底へ進むスペクター。
そんな2人にウルティマが容赦なく浴びせかける、火弾の雨。
「うわああああああ!」
やがてその一つが命中したのか、大爆発とともに恐ろしい悲鳴が響きます。一瞬の後吹き消えた炎の向こうには、倒れ転がるマコトと、その影から驚いたように起き上がるアラン。
「スペクター?」身を以て己をかばったマコトに、「……馬鹿なことを」
「お前を、」息も絶え絶えで微笑むマコト。「……まもるといっただろ?」
「なぜ貴様はそこまで……、わたしは、自分の命を守るだけで精一杯なのに」
「それでいい……おれが、おまえのいのちをつなぐ……」
満足気に頷くマコト。その頬に落ちる涙。
「……涙……? 何だこれは……」友を抱き起こしながら己の落涙に戸惑っているのはアランです。それさえもうれしいのか、
「おもいは……つながるんだ……」と最後に残し、宙に消えていくマコトの姿。
そこから飛び去っていく英雄眼魂たち。最後にふわりと浮き上がったマコト自身の眼魂に、思わず手を伸ばしかけたアラン。しかしその命のよすがは儚く宙に消え、アランの時は止まります。

前回、
「アラン様が死にそうで心配」という感想を持ったのですが、まさかマコトが代わりに逝ってしまうとは思いませんでした。
それとも、アランと同じく人間として復活してくれるとかないでしょうか。そうあってほしいのですが、しかし、だとするとアドニスの復活がなかったのがやっぱり謎なのです。アドニスとその妃だけ、肉体が無い、とかなのでしょうか。

「……」兄の死を眼前に、膝から崩れ落ちていくカノン。しっかり、と慌てて支える御成。
そしてただ息を飲むタケル。その傍らで、
「マコトが、眼魂……?」とつぶやくアカリ。

はっ、と掛け声とともにアランのもとまで一飛びで降りてくるウルティマ。
「茶番だな」と吐き捨てます。アランの命は今や、風前の灯火。と思われたのですが。

「マコト兄ちゃん……おれ、理解できないことが多すぎて……こわかったんだ」そしてここに至ってようやく、意味のある言葉を口にするタケル。「でも。もう目が醒めたよ!」
決然と懐から取り出す眼魂。
今頃のゴーストの出現に、
「アラン様。また少しだけ、生き延びましたな」と愉しそうですらある足取りで、再び離れていくウルティマ。その向こうで放心したままの、アランの横顔。
近づいてくるウルティマに身構え、次の瞬間大剣を掲げ走り寄っていくゴーストで、またCM。

なんか今、すごいネタバレがありましたね。いや30分前にSHTでもう観てますが。

CM明けはもつれ合いながらよく戦隊ブルーが飛び降りてくる架橋の下まで走ってきた2人。
敵わぬながらと振りかざす、ゴーストの大剣がウルティマによってまたも灰燼に帰します。
「! ……父さん!」闘魂ブーストとなるゴースト。新たに手にしたサングラス剣もまた。
あっさり空手で突き飛ばされただけで、地に転がるゴースト。
「それがお前の全力か!」敵のあまりの弱さに苛立つようなウルティマ。それに対し、
「お前たちの正義が何か、わからない……」言いながら起き上がってくるゴースト。「でもいつか、理解できる!」

***

大天空寺地下室。タケルの声を聞いたのか、光り始める武蔵眼魂。他の英雄眼魂もそれに連動し始めます。

***

「アカリや御成たちが教えてくれたんだ! 力を合わせれば、乗り越えられるって」よろめき立ち上がるタケル。「それが人間だって!」
え、マコト兄ちゃんが先じゃないんですかこの場合。

***

大天空寺地下室。ふわり、ふわりと光りながら飛び上がる英雄眼魂太刀。その先で、タケルが眼魔世界から持ち帰った、大きな眼魂も明滅しています。やがて1人1人、眼魂から飛び出してくる英雄の魂。

***

「かけがえのない仲間がいる。おれの心に、みんながいる……っ!」
ウルティマに果敢に跳びかかっていくものの、あっさり下されるゴースト。
「そんなものが何になる」立ちはだかるウルティマ。
「おれは」起き上がるゴースト。「仲間と……笑っていられる世界を作る! 決して折れない心を持つと……決めたんだ!」
叫ぶゴーストの腹に、無言で突き出される一撃。
その威力にあっさり吹き飛んでいくゴースト。とうとう変身を解かれ、倒れ転がるタケル。
「……たとえ俺が倒れても、その魂は、ぜったい生き続ける!」

***

大天空寺。
「うむ!」その意気や吉とばかり顔を上げる武蔵を皮切りに、口々に語り始める英雄の魂たち。さっきは気づいていませんでしたが、マコトやアランのもここに来ていました。
皮肉にもタケルの意に反し、こんなところで15英雄が揃っていたのです。
「力を貸してやるか……」
「まだちっくと未熟じゃが、まっことええ漢じゃ」
「ニィーンゲンのカノゥセイをシーンじて」
「各々方、タケルに未来を託そうではないか!」
うむと頷き、それぞれに宙に浮き上がってその場を出て行く色とりどりのパーカ。最後に出ていきかけて、大きな白い眼魂をタケルの机から取り上げる武蔵。

全開眼

採石場。先ほどマコトの命を奪ったのと同じ、青いエネルギー塊をタケルに投げつけるウルティマ。
その時、色とりどりのパーカが空より飛来し、ウルティマを牽制した後、空に浮かび上がります。英雄の魂によって空に描かれた、目の紋章。
「タケル!」その中心で呼ばわるは武蔵。「儂らの魂を受け取れ!」
言うや地下室から持ってきていた、大きな眼魂に飛び込む武蔵。次々と後に続く他の英雄たち。
15の魂を集めて金色に輝く大きな眼魂は、タケルの手に落ちてきます。
「……みんなの魂……」しげしげと見つめ、立ち上がるタケル。眼魂を掲げると
「グレイトフル!」と声が上がります。
「ガッチリ見ーな! こっちに来なー!」
「変身!」腰に当て変身ポーズを取れば、
「全開眼! 剣豪発見・巨匠に王様・侍・坊主にスナイパー! 大変化!」
賑やかな変身音とともに黒と金に彩られていくゴーストの身体。ここの映像は「鎧武」フルーツバスケットと「剣」のキングフォームが融合しているみたいでした。すべての英雄の魂を一身にまとう、グレイトフル魂の誕生です。
でも彩りが地味だから、もう一化けするかもしれない。

「……何?」驚き立ち上がるウルティマ。顔を上げるアラン。
「かっけー! でっかい眼魂が光ってるぅーっ!」そして姿を表さないまま、感に堪えぬとばかりに叫ぶユルセンと、それを微笑みながら見つめる仙人。

***

同じ頃、眼魔世界の地下神殿ではアドニスが祈っていた神々の象徴、イコン(英語ではアイコン)がまばゆく輝き、その1枚が落ちるように、床に消えていきます。
「単なる祈りの間ではないのか……?」
その光景を目撃し、驚いているアデル。

***

「人の心はつながっていくんだ! 魂は、永遠に不滅だ!」
走り出て、叫びとともにその拳をウルティマにぶつけるゴースト。悲鳴をあげ倒れこむウルティマ。かなりの距離を吹き飛ばされ、
「馬鹿な」と惑乱しつつ立ち上がります。
眼前に迫るゴーストに、思わず腰が引けるウルティマ。その背後に現れた1枚のイコン。
そこから赤く燃え盛るエネルギーが、ウルティマに流れ込んでいきます。
「……これは。力が溢れてくる……っ。うああああああああ!」
絶叫と共にウルティマの全身が赤く染まり、異形の姿に。
「何だ、あれは……?」後を追ってきて驚くアラン、御成とアカリ、カノンでCM。

CM明けは敵の変貌に息を呑むゴースト。
「ヒョウテキヲ、カクニン」そして、今までのジャベルとは打って変わった機械音声が流れ出るのにさらに驚きます。
「どうしたんだ……?」
「ハイジョ、カイシシマス」
突然その身体から、燃え盛る火弾が次々とゴーストに浴びせられますが、自動連射銃のようで今ひとつ怖さを感じません。ジャベルの意思はどこに行ったのでしょう。火弾をかわし、打ち返すゴースト。それを喰らってよろめくウルティマ? に向け、新たな構えをとります。
15の魂を召喚し、一つにまとめて蹴りつけるゴースト。爆風のなか、舞い降りるこの着地姿勢、このの線が大好きです。

「やったー!」と、カノンの傍らで歓声をあげる御成がちょっと無神経。
「逆転満塁ホームランじゃ! 飛んでけ!」と姿を表さないままユルセンをボールよろしくかっとばす仙人もちょっとひどい。

「何だ今のは……?」喘ぎつつ起き上がるジャベルは、衝撃のためか、変身が解けています。
そそくさと逃げ去っていく敵の後までは追わず、自らも変身を解くタケル。そこから離れ、アランの元へ戻っていくグリムと三蔵。
「なぜわたしのところへ?」訝りつつも退けることはなく、無表情に拾い上げ、アランも去っていきます。

「タケル殿! よくやりましたな」
「色々、ごめん……ありがと」面映ゆげに頷くタケル。謝罪と感謝は大事なことですが、詫びを言う順番が違う気がします。
「……でも、マコトが」笑顔で応じつつも、ふと眉を曇らせるアカリ。つられてカノンに目をやる、御成とタケル。
「大丈夫」うつむくカノンの前へ進み出て、その肩に手を添えるタケル。「おれが、必ず」

このタケルの台詞でようやく、ああそうか、カノン同様生き返らせる手段があると思っているからこの反応なのかと納得しつつも、この流れへの違和感は拭えませんでした。
マコトの肉体がまだカプセルに保存されていると思うからか(しかし眼魔世界でカプセルの中の人体が消えるのを目撃していたらそこまでの自信は持てないと思いますが)、タケル自身が絶賛幽霊中であるせいか、はたまたよみがえりがテーマだからか、逆に命が軽く思えて来ます。
タケルがマコトを見殺しにした、という側面が、なかったことになってる気が……。

ちょっともやもやしつつも戦いへの決意を取り戻すタケルで、以下次号。
1分間PR。
「せっかく作ったのに……っ」報われなさに泣き叫ぶ御成。
「元気だしなよぅ」かるーく慰めるアカリ。「もう誰か欲しい人にあげちゃえば?」
ということで入場者プレゼント「仮面ライダー魂のトリプルパック!!」に御成お手製の名刺が封入されることが決定。
いやでも、最初に映画の宣伝入った時、名刺入ってるの出てましたよね。
慌ててアカリを連れ何処へか出て行く御成。それを物陰から観ているタケル。

(どうしたんだ……どこへ行くんだ?)

映画館でしょうか。
今週の食欲魔神。なんとなくフォルムがヤツデンワニに似ている気がするのですが。
前回ラリーから受け取ったジュウマンパワーが獣人たちにとって貴重なものであることを知った大和。ラリーに恩人である鳥男の姿を重ねてしまい、いっそう悔いは深くなります。そんな大和の心を思いやり、さりげなく姿を消すラリーが大人ですよね。自分もまた、大和によって希望を得たのだからと。感動的なストーリーとともに、アクションはゴリラパワーの独壇場だったわけですが、そんな中でもライオンの横回転にときめきます。その昔、真司の夏の黄色いシャツを始も着てたとか、たっくんのハーフコートを侑斗が着て、さらに10年後のたっくんがまた着用とか、東映の物持ちの良さ伝説が今ここでも。
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2016.03.21 08:52 | ghost ゴースト | トラックバック(-) | コメント(-) |
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