LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

今回の駆除班はマンションの一室という、狭い場所での狩り。入れ替わり立ち替わり跳びかかってくる駆除班の面々をはねのけ一体で戦う主婦アマゾンが強く、緊迫感のある殺陣もあいまって、惚れ惚れします。
家電の修理、ガスの修理と次々口実をつけ、餌を巣に呼びこむ主婦。単純にホラーとして、いい(=怖い)設定ですよね?
というか訪販や宅配業者にしてもそうだけど、見ず知らずの人の家を訪問する仕事って、している人は怖くないのかなってわたしはいつも思っているのですが。


green ascension / Darwin Bell


物語は義母を問い詰めるため戻ったオメガ/悠が、有能な加納の機転で適当に言いくるめられ、駆除班に加えられるという展開。土竜/マモルのナイーブさからして悲劇的なことになりそうな気がしています。
そして経歴のわかりかけたアルファ/仁はすごろくでいうと「1回休み」。折りたたみ以降は感想文。
金だ。それで、竜介を狩る理由は十分だ――。

決着

山奥の廃工場跡。崖の上で対峙する、2体の獣。低く身構えるオメガを見据え、アルファが問います。
「つまり、協力することに決めたってわけか? アマゾン退治にさ」
「キョウ、リョク……?」吠えるオメガ。
その会話を聞き、警戒しつつも首を傾げるノザマペストンサービス駆除班。
「あの2匹。アマゾンなのにアマゾン退治って、どういうこと」
「さあな。とにかく今のうちにマガジン交換しとけ。妙な動きがあれば、すぐ狩りに入る」

先程まで蜻蛉アマゾンに突き落とされて失神していたのか、ようやく、崖の上に這い上がってくる土竜。目の前に横たわる前原の遺骸に目を剥きます。
「前原くん?」

「チガうな」
「あ?」
「ぼくは……ぼくの中のぼくに従っただけだ」
「ほーお。で、そいつはなんて言ってた」
「『出ろ。そこから出ろ。喰われる前に……喰え!』 だからァ!」
突進。殴り飛ばされるアルファ。追撃するような腕の刃を、やはり刃で受け止めます。
「……なるほど? おれと組むより殺っちまえってか。虫も殺さない顔をしてたくせに、随分成長したもんだな!」
反撃。蹴りと蹴り。本能の赴くまま跳びかかってくるオメガを、洗練された体術で倒すアルファ。実力は伯仲しているように見えます。

「志藤さん、これどっちの味方すんだよ?」
銃を構えつつつぶやく望。跳躍する緑、鋭く斬りつける赤。超人たちの戦いに呆れる志藤。
「知るか。めんどくせえ、生き残ったほうを狩る」
「りょーかい」

力と力。抑えこまれかけて、逆にアルファを投げ上げるオメガ。ひらりと舞い降りた相手に突進します。
「!」
アルファが廃材を蹴りつければ、それを腕の刃で斬って防ぐオメガ。真っ二つになった破片の一端は、もはや動かなくなった前原の身体に突き刺さる寸前で、それを庇うように割り込んできた土竜に抱きとめられます。そこで力尽きたのか倒れこむ土竜。

「マモちゃぁん!」
三崎の声に、注意のそれるオメガ。周囲を取り囲む志藤、福田、望に吠えます。
その時、幼子のような泣き声が響き渡ります。
「ああああああん。うえっ、ええん……!」変身を解いたマモルがうつ伏せになったまま泣き叫び、その肩に手を置く三崎。「前原くんが、死んじゃった。前原くん! ねえええ、前原くん。ねえ……っ」
「……マモル」

死んじゃ嫌だと仲間の死に泣き叫ぶマモルの声を聞きつつ、正気に返るオメガ。いつしかアルファは立ち去っています。
「……う、くう……ぼくは」胸の痛みによろけ、膝をつくオメガ。恐怖に立ち上がり後ずさります。「う、ああああああっ」
「待て!」
向けられる銃撃などものともせず、跳躍し走り去るオメガ。
「フク。調査班に連絡しろ!」志藤の声が飛び、尚も悲痛な泣き声を上げ続けるマモル。その肩をそっと叩く三崎。
遣る方無い怒りにその辺のものを蹴りつける望。

疑問1

「……っ」
ノザマペストンサービスの目から逃れ、廃工場のプラントの中に飛び込んできたオメガ。
古びた鏡に映る、自分の姿を目に留め、立ち尽くします。衝動的にベルトを外せば、元の悠。
服は着てました。変身の度あんなに熱量を発してたら響鬼じゃないけど服がいちいちどうにかなってる気がしていたのですが。
「……ぼくはいったい」

***

古びた雑居ビル。屋上で鶏を追う七羽。
「ほらあ、入んなさい。ほら」
「……ただいま」そこへ、よろよろと上がってくる仁。塔屋の戸口にもたれ、「腹減った」
「仁」駆け寄り肩を貸す七羽。そちらに鼻を近づけ、
「ああ、やばい♡ 七羽さんから肉の匂いする」
「食べる?」
「今度ね」

室内で、今日は焼いた鶏に食らいつく仁。噛みつけば皮目からぱりっと音がします。美味しそう。
「……そう。あの子、牙剥いてきたんだ、仁に」
「ああん。剥いた剥いた。剥きましたよ。炊きつけたのは七羽さんだろ。……あのベルト、おれの予備だった。こいつを使えばアマゾンの身体をきっちり兵器として利用できるようになる」
「うん。だから渡した」
「あのさ」ビールを飲む七羽を強引に抱き寄せ、拗ねたように囁く仁。「どっちの味方なの」
その顔に口づける七羽。ごまかされないぞと覗きこむ仁に、
「だってあの子、優しいし。よちよち歩き出した途端あなたみたいな凶暴なのに食べられるの、可哀想だもん」
「可哀想なのどっちだよ。もう簡単には喰えないよ? あいつは目覚めた。めんどくさいことになるなあ」傍らに置いたベルトをちらりと一瞥し、ビールを呷る仁。「何よりあいつにとってさ」

***

蹌踉と街を歩く悠。

(どうなってるんだ、ぼくは。……ていうより、なんで今まで、それを考えなかった?)

雨に濡れた舗道。

(母さんの言う通りなら、ぼくは病気で2年前まで寝たきりだった。だから憶えてるのは、自分の部屋のことだけだ。でも、そんなことってあるか? それに)

よみがえる仁の声。おれもお前も、アマゾン細胞を胸に飼っていると説明する、奇妙に陽気な。よろめき、その場に蹲る。

(……なんでぼくが)

蹲り長い1日を思い出す。手渡された不思議なベルト。あの朝、何者かに突き動かされるように野に出て、目撃したあの赤いアマゾンの肢体。
迸る力、自分の足の下で、何者かの頭蓋が潰れていく感触。そして、向けられたいくつもの銃口。武装した人々の背後に停められていた、白い車両のドアに、描かれていたロゴ。

(あの赤いアマゾンを見た時、体内で何かが……滾った。アマゾンを作ったっていう会社。あれは)

母に打てと渡されていた注射用の薬剤。それを納める容器に、描かれたノザマファーマシーのロゴ。
行き過ぎる車の音、遠くに響く電車の音を聞きながら、立ち上がる悠。

攻防

野座間製薬。まだ、アルファ、オメガの映像を見ている水澤。
「本部長、この2体がつけているベルトは例の?」と問う加納。
「いずれ詳しく話を聞かないとね、この男……鷹山仁に」映像の一角に重なるように現れたのは1人の社員のプロフィール。
髪を整え、スーツに身を包んだ精悍な男の写真には、野座間製薬研究員としてのIDナンバー<155321>と、<特殊研究開発本部 細胞生物学>との所属が付されています。
「……で。悠のほうは?」
「調査班が探しています。ただ、詳しい身元情報を伝えていいものかどうか。悠くんのことは社内でも極秘、でしたので。それから、駆除班から死亡した2名の補充要請が出ています」
示された前原淳、大滝竜介の写真を一瞥し、立ち上がる水澤。
「問題山積ね。今日の役員会議、話題の中心になりそうだわ」

執務スペースを出る水澤。後に続く加納。会議室の前で中年の男に呼び止められます。
「水澤くん」
「橘本部長。お早うございます」足を止め恭しく一礼する水澤。
「アマゾンの進捗状況、あまりよくないみたいだねえ。ま、我々の協力が必要な時は、いつでも言ってくれ」言って先に立ち会議室へ入っていく、自信に満ちたその後ろ姿を、睨めつける水澤。
「国際営業戦略本部長、橘雄悟。……以前から、何かとアマゾンに手を出したがっていますよね」そう囁くと答を待たず、会議室のドアを閉じる加納。

広い会議室。奥の席に橘がかけ、その隣に水澤。すぐに照明が落ち、車いすの老人が若い女に押させて入って来る<映像>が、前方スクリーンに映しだされます。
そちらへ向け立ち上がる一同。テレビ会議でしょうか。
「お早う。役員諸君」老いても品格と威厳を、その顔に残す天条隆顕。

学校前。お早う、お早うと笑いさざめく少女たちのなかで、やはり孤立しているような美月。
悠を思いつつ、ふと、舗道脇に掲示されたポスターに目を奪われます。緑を主体とした、鳥とも魚ともつかぬ幻想的な絵柄に、水槽のイメージが重なり、吸い寄せられるように近づいて、そっと手を伸ばす美月。
水槽のレイアウトに世界を見ていた悠。出ることの許されない家を、自分の水槽だと笑っていた悠――。

アマゾンの巣

とあるマンションの一室を、訪問する作業着姿の男。
出てきた主婦に、キッチンまで案内されます。
「この冷蔵庫なんですけど、あんまり冷えなくて」という説明に、愛想よく頷き、帽子を後ろ前にかぶると
「これですか。ちょっとドア開けさせてもらいますね。……あ、使ってないんですね」
空っぽの空間に首を突っ込み、
「冷えているようですけど?」
「ごめんなさい。冷凍庫のほう」
ああ、と頷き引き出し式の冷凍庫を開けると、こちらには色々な食材が詰まっています。
いちど出しちゃいますね、と主婦の承認を取り、中のビニール袋を1つ1つ取り除いていく男。ダイニング側から作業を見守る主婦の、顔の半面が徐々に崩れつつあることに、まだ気づいていません。
ふと、手にしたものの感触に、違和感を覚える男。こんな食材は見たことがない。袋の霜をこすり取れば、見えてきたのは――人間の手。
いいえキノコではありませんでした。残念ながら。
「ああああ、あ、うわ。うわ。あああああああ!」
思わず手にとったものを放り出し、うろたえ尻餅をつく男。その傍らで異様な熱量を放出する主婦。出現した異形は、蟻型アマゾン。
後ずさる男を捉えて抱きかかえ、喰らいつきます!
「ぐあ、くくく、ぐあ……っ」

出動

ノザマペストンサービス待機室。望がどすどすとサンドバックを叩く音の向こうで、警報が鳴っています。
『識別コードを確認。データを転送します』
「了解」送られたマップと、アマゾンのランクを確認する福田。「A-010。ランクBだね……どうする」
「どうするって。行くだろ」せせら笑う望。
「この人数だよ?」

皆の懸念事項をあっさり口にしてしまった三崎。咎める声が一斉に飛びます。しまったという表情でマモルのほうを伺う三崎。

「2人もいなくなっちゃった……大滝くんと、前原くん」
「マモちゃん、これ違うんだよ、これ違うって、へ、何が違うんだろってw」悄然と立ちすくむマモルを、慌ててなだめる三崎。何が違うのでしょうか。
「何度か補充するように言ったが、今はこれでいくしかねえ」一喝する志藤。「そのぶんボーナスは上乗せさせる。嫌なやつはやめとけ」
「どうせ行くしかねえだろ」後に続く望。無言で出て行く福田。
「おれも今月厳しいからな。な」ニコリと笑い、その後を追う三崎。
先程まで食べかけていたらしいパンを握りしめ、仲間たちの後ろ姿をすがるような目で見つめるマモル。

***

ビルの一室。居間でゆで卵を剥いている仁。その時警報音が鳴り、スマホに地図が映しだされます。
「――っ」立ち上がり、急いで卵を袋に詰めて腰に下げ、ベルトを掴み上げると七羽にキス。「行ってくる」

***

枯野の中に立つマンション。外観もどことなく異様です。
玄関前に停めた車から降り、見上げる一同。
「このマンションの中か。何号室?」
「流石にそこまではね。マモちゃん頼みかな」
その背後で、車のルーフにつけられた小さな機械を無造作につかみとる志藤。第1話で雨に紛れ仁がつけたものですね。
「なんですか。盗聴器?」
「ああ。たぶん緑か赤のアマゾンがやったんだろ。鬱陶しいから、調査班に偽のデータ送らせといた」

***

バイクでだだっ広い場所に出る仁。海辺の、まだ何も立っていない埋立地。スマホのマップと目の前の光景を見比べます。
「……あれ。誰もいない」

ゲーム開始

「マンション全部封鎖ってわけにも行かねえ」途方に暮れたように立ち尽くすノザマペストンサービス。「まず、部屋を確かめて、最悪でもそのフロアだけで終わらせる」
取り敢えずホールに入っていきます。
「マモちゃん、実験体の居場所わかる? ……マモちゃん?」
一番後から、ぶらぶらとついてくるマモル。皆の注目が自分に集まっていることに気づき、慌ててきょろきょろと周囲を見回します。
「……あ。上。この上のほう」天井の1点を指すのを見て、
「上層階から当たるぞ」

***

マンションの一室。どこかへ電話をかけている主婦。
「……はい。ガスの調子がわるいので、修理していただけないかと。……はい。2丁目のマンションの柿園です。すぐに来ていただけますか?」

***

野座間製薬会議室。
「水澤くん。実験体駆除の予算が膨らみすぎているようだが」
「今年に入って実験体の活動が本格化し、当初の想定よりかなり厳しい状況です」立ち上がり話し始める水澤。年齢の割に少女のような、細くかん高い声です。前方スクリーンに表示されるパワポっぽい画面が内容の深刻さとミスマッチ。「対策として、調査機器の強化、駆除方法の開発と、駆除班の増員。これには新たなアマゾン体の製造を含んでおり、既に着手しております」

この説明、会議での発言っぽくないんですよね。実験体の出現何体くらいで見込んでいたのに対し実績は何体だから“厳しい”というような具体的数値が上がらないし、対策としてあげられた項目は最初からやっていて然るべきことで、2年の準備期間にどうしていて、その成果と費用実績がどうで、しかしこうあるべきだから予算枠を広げたという視点で説明がないと。
勿論作劇上、そんな描写を入れていては時間がかかるばかりだと思いますが、だったら省略されているけどそういう説明があった上でのディスカッションです、という流れにしたらいいのになと感じました。切れ者であるはずの水澤の発言がそう聞こえないのです。

「しかし未だに駆除率は1%にも満たないし、費用対効果が悪すぎだろ。この際、公的支援を検討して」

「重要なのは」その場を制する鶴の一声に、緊張する一同。声の主は天条。「金でもなく、そして我が社の事故隠蔽でもない。長年の研究成果であるアマゾン細胞の情報を外部に漏らさぬことだ。我が社の躍進はアマゾン細胞にかかっている!」
「は。……しかし」天条に一礼した後、さらに水澤に迫る壮年の役員。「予算も無尽蔵ではない。駆除班については要検討だろう。早くも2名も死亡しているようではとても」
「それはこちらのミスです。駆除班員の1名が、実験体でした」
水澤の発言にざわめく一同。何をやっているんだと怒鳴る者もいます。
「それほど、人間に擬態する能力が優れているということです」
「この中にも実験体がいるかもしれませんなあ」助け舟を出すように室内を見渡す橘。

疑問2

その時、突如会議室の外で大声が上がります。何事かと振り返る一同の前で扉が開き、入り込んでくる3人の人影。2人の警備員に取り押さえられながらも、そのまま突き進んできた暴漢は、悠。
「何なんだこの騒ぎは!」
「申し訳ありません、どうしても水澤本部長に会いたいと。止めようとしたんですがこいつ、すごい力で」
「いいから早く連れ出せ!」
はい、と一礼する警備員に、さらに橘の声が飛びます。
「無理だよ! かれはアマゾンだ。気をつけないと喰われますよ?」
「ううぉ!」変な声をあげ、後ずさる役員たち。その場で、警備員を吹き飛ばすように、すさまじい熱量を発生させる悠。机の上の飲み物が瞬時に沸騰しますが、会議では水がこぼれにくいペットボトルのほうがいいと思うんです。
「……悠」声をかける水澤に、
「ごめんなさい。でも、どうしても聞きたいことがあって」と向き直る悠。しゅうしゅうと湯気の立ち上っているような右手を上げて示します。緑色の、異形の手。「ぼくは、何?」

***

マンション上階。廊下を進むノザマペストンサービス一同。三崎が他の住民に愛想を振りまき、マモルが足を止めて奥の一室を見つめます。
「ここ」
異界と日常を仕切るように置かれる作業中の立て札。

***

会議室。水澤に迫る悠。
「……答えて」
異変に気づき中へ入って来た加納を、おいおいと呼び止める役員たち。
「早く駆除班を呼べ!」
「いや。かれは大丈夫です」しかし落ち着き払った加納のポーカーフェイスに、浮足立った役員たちをなだめる力はありません。
「おい、あれのどこが大丈夫なんだ」
「こういうときのための駆除班だろ!?」

利用

「……こんにちはー」細く開けられたドアの隙間から、ひょうきんな三崎の顔が覗く主婦視点の絵。「あの、お隣で害虫駆除さしていただいてる者なんですけどぉ」
見返す主婦の顔が怪訝そうです。
「ガスの修理じゃないの」
「あ、ええとー」ドアの影では既に戦闘服に着替えている4名。通路で。志藤につつかれ、「あの、そちらも勿論やらせていただきます、はい」
「今開けるわね」
ドアチェーンを外すためか、1度ドアが締まり、その間にヘルメットをつけ直す望。

***

会議室。
「自分がアマゾンだ、っていうことは、わかっているようだけど」と水澤。あっさり認められて一気に感情を高ぶらせる悠。仁から聞いた言葉を叩きつけるように、
「……アマゾン細胞を身体に飼ってるって。人を喰う人工の細胞だって!」今一度右手を振り翳し、「それって人間!?」

***

マンション。ドアが開いた瞬間、一斉に向けられる銃口に怯む主婦。その顔に变化の兆しを認め叫ぶ志藤。
「間違いない、虫だ! マモル!」
「うあああああああああっ!」
雄叫びを上げ変身し(マンション通路で!)、先陣きって飛び込んでいく土竜アマゾン。狭い廊下を突き進んだところで、足払いされ倒れます。
瞬時に変身を終え、リビングの手前に立ちはだかる蟻アマゾン。
その時、場違いな着信音が志藤の胸ポケットから鳴り響き――。

***

会議室。重役たちの圧力に負け、とうとう志藤に電話を入れている加納。
その向こうではまだ、悠が水澤に訴えかけています。
「……ぼくは、2年前からのことしか憶えてない。そのことを疑問に思わないで、ただあの部屋で生きてた。いや」

あんたと仁では同じアマゾンなのにぜんぜん違う。仁が野生なら、あんたはなんていうか……養殖もん?

「飼われてたんだ。でもずっと。何かが……自分の中から出ようとしてて」泣き出しそうに歪む顔。次の瞬間、それを抑え真顔に戻る悠。「……それがアマゾンだった」

***

ぎい、と叫び声を上げつつ狭い室内で暴れる蟻アマゾン。土竜ごとキッチンに飛び込んだ、はずみで冷蔵庫のドアが開き、先程まで何もないがらんどうだったそこに、球形の何かが入っているのが覗きます。
土竜の援護で後を追いつつ、ふと顔の前で開いた冷蔵庫のドアに目を留める福田。何気なく、電気屋の帽子を被ったそれの向きを変えれば――ビニール袋に入れられた人間の頭部。
瞬時、こみあげる嘔吐を飲み下し、銃を構え直す福田。
対面型キッチンから向こうのテーブルに投げ落とされる土竜。
「マモルの動き、鈍い!」望が叫び、
「マモちゃん、調子悪いの?」と駆け寄る三崎。首をふる土竜。
「チームが寂しい。2人も減っちゃったから」
「ああ……」そのまま、慰めようとした三崎が暴れる蟻に蹴り飛ばされ、叫び声を上げつつ望が跳びかかっていきます。
靴や手に何か仕込んでいるのか、一撃ごとに火花が散る望の攻撃。そうしながら土竜に振り向き、
「いつまで引きずってんだ! あたしらがいんだろ!」
2人交互に突っ込んでいく土竜と望。応戦する蟻アマゾン。そして鳴り響く着信音。
「ああああ!」耐え切れずポケットからスマホを引き抜く志藤。「うるせえ、取り込み中だ!」

***

その怒鳴り声を予期していたのか、スマホを思い切り自分の耳から遠ざけていた加納。
「……駆除班は出動中のようです」
「じゃこっちはどうするんだ!」
「ですから、」悠くんは大丈夫、と言いかけていたのでしょうが、かぶさるように悠の叫び声が響きます。

「あんなのはもう人間じゃないでしょ!」そちらに注意を引かれる一同。「……ぼくは何なの。人を喰う怪物……? 教えてよ母さん」

「母さん!?」
「どういうことだ水澤くん」
「そのアマゾンは一体」
喚き始める一同。
「母さん!」そして、悠の訴えに呑まれたように、棒立ちとなっている水澤。
意を決したかのように、加納が声を張り上げます。
「本部長。駆除班が出動していますが、手が足りてないようです」
途端に頭が回転し始める水澤。声を張り、
「皆さん、落ち着いてください。……説明があとになって申し訳ありません」と、笑顔さえ浮かべ話し出します。「かれは駆除班の戦力として投入する、新しいアマゾンです。実験体とは……違います」
呆然とする悠。その顔を見上げる水澤。
「悠。あなたの疑問は正しいわ。アマゾンは人間か? 確かに疑問ね。でも、あなたが人間かどうかは別。わたしは人間であってほしい。あなたが確かめなさい……加納。悠を駆除班に合流させなさい。例の新しい装備が使えるはずよ」
「いいんですか」
「今はそれしかないわ」
「わかりました。さあ悠くん。急ぎましょう」肩を叩かれ連れだされていく悠を、見送る水澤と橘。
いい話風にまとまっていますが、立役者は加納かなと思います。追いつめられていた会議を、何とか乗り切った水澤。
うまくまとめたものだと言いたげに、立ち上がって悠たちを見る橘。

シンクロ

地下駐車場を進みながら、実験体の駆除が仕事だと悠に説明する加納。この人さっきから歩き方が面白いですよね。
「現場まで、これを使ってください」
その最奥に、白い布をかけられたマシンがあります。ロックを解除し、覆いの布を取り除けると、現れたのは赤い、奇抜なデザインのオフロードバイク。カウルにはアルファそっくりのアマゾンの顔。まじまじと見入る悠。
「……ぼく、運転は」
「乗れますよ、アマゾン体なら。こいつとシンクロします」

ヘルメット、グラブをつけ、恐る恐るエンジンを吹かせば獣の咆哮のような音。滑りだすように走りだすマシン。
見送っていた加納はそこでようやく鼻に当てたハンカチを外し、息をつきます。
駐車場の構内を走る悠に、かぶさるような水澤の声。

あなたが人間かどうかは別。わたしは人間であってほしい……あなたが確かめなさい。

ウィリー。自在に広い地下駐車場内を走りぬけ、光あふれる地上へ。

***

マンションの一室。蟻アマゾンが土竜を突き飛ばせば、間を置かず望、三崎が電流の流れる鉄線を張り突っ込んでいきます。危うく躱す土竜。
きいい、と悲鳴をあげるもののそれを振り切り、さらに土竜に迫る蟻アマゾン。ドアを破り隣の寝室へ倒れこんだ土竜を両腕で抱きすくめ、その喉元に噛みつきます。
さらに2本の脚が土竜の肩に突き刺さり、うきゃ、と笑うような声を上げる蟻アマゾン。
「マモル!」

その時ベランダから窓ガラスを割り飛び込んでくるオメガ。ベッドの上の蟻アマゾンを殴り飛ばし、土竜から引き剥がします。
殴りつけてくるオメガの顔をつかみ、うっちゃる蟻アマゾン。はずみで羽布団が裂け、白い羽毛が舞い散るります。よろけた緑の腹を蹴りつけつつ起き上がる蟻アマゾン。パンチとパンチ、相打ち。

「緑!?」身構える望。
床に倒した敵に止めの突きを食らわせようとするオメガ、それを寸前で交わす蟻アマゾン。
「……協力してくれてるわけ?」
駆け寄り、パンチ。このシーン、オメガは2話の野性味あふれる戦闘スタイルではなくなっていますが、狭い室内では仕方ないのでしょうか。蟻に突き飛ばされたオメガと入れ替わるように、土竜が突進し、蟻の腰にすがりつきます。
蹴り退けようとする蟻。そこへオメガの両足蹴りを喰らい、勢い良く玄関ドアから飛び出ていきます。

蟻塚

「!」追うオメガ、さらに遅れて外へ出る駆除班。
しかしそこには、無人の通路で周囲を見回しているオメガだけ。

「あれ、消えた?」
「倒したわけじゃないよな。腕輪も落ちてないし」
オメガと一緒になって、周囲を見回します。
「……妙だね、これだけの騒ぎなら、住人が顔出しそうなんだけど」
「さっきまではいたが」指摘する福田。
「確かに妙だ」と、異様さに首を傾げる志藤。

刹那、通路半ばでただ肩で息をつき、周囲を見回していたオメガが、はっと息を呑みます。
ほぼ同時に、室内ではまだ倒れていた土竜が、ぎょっと顔を上げ、再び鳴り始める着信音。
「……駆除班、志藤だ」
『新たに実験体の反応です』
「どこ」
『同じマンション。それも数体。……いや、どんどん増えてます!』
調査班の冷静さは突如乱れ、画面に表示されたマップには、マンション内の虫の存在を示す赤い点が無数に打たれ、重なり――。
「どうなってんだ」

緊張の色も顕に志藤がつぶやいた瞬間、通路に並んだドアというドアが開き、そのすべてから蟻型のアマゾンの姿が覗きます。
他の階の通路のあちこちにも。そして、蟻型アマゾンをぎっしり載せたエレベーターが、上階めざして動き始め。
「まさか」息を呑む望。

戸惑ったように周囲を見回し続けるオメガ。

『確認できる識別コード、――全部で、183っ!?』悲鳴のような調査班の声。
「まじか」
「これ、アマゾンマンション?」三崎が必死におどけ、マンション中にキャハハハは、と笑うような女の声が響きます。
低く身構えるオメガで、ラスト。
調査班が取り乱す表現は良かったですが、わたしはぶつくさ言いながら掃除する清掃班の登場も楽しみにしています。
同日追記。蟻アマゾンがエレベーターに乗ってる映像、見たことある気がしたのですが「プロジェクトG4」でアントロードがエスカレーターで続々乗り込んでくるシーンだったと思いだしました。
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2016.04.15 04:36 | amazonz ΑΩ | トラックバック(-) | コメント(-) |
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