LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

義母のもとに戻ることを拒否した悠が、自分なりの戦う理由を見出し、志藤のもとに居場所を獲得する回。
と一言で言ってしまえるストーリーでしたが、その答にたどり着くまでの悠の逡巡や感情の起伏があますところなく表現されていて、藤田さんすごいな藤田さんすごいなとそれで終始してしまいそうになりました。
ちょうちょも気持ち悪いですが水澤母も相変わらず不気味。これ怪演って言ってもいいような気がします。
そして橘本部長はコミカル。こんなおちゃらけキャラだったとは。
あと仁さんはすごく……ヒモっぽかった。


Twisted bungees / theilr


アクションシーンは、第1回から洗練された武道系の動きをする省エネ型のアルファに対し、オメガは激情のまま吠え、跳躍する野性味たっぷりのアクションと対照的に描かれてきました。その藤井さんの長身を活かしたダイナミックな動きがさらに見応えあって素敵です。

あと、先週気づいたのですがこのブログが某サイトにアマゾンズの「スクリプトサイト」としてリンクされていてびびりました。
自分のために書いているただの感想文ですので、正確さとか資料的な何かを期待される方がもしいらっしゃったら予めお詫びします。結構聞き取れなかったところとか記憶があやふやなところとかカットしてますよ。
「戦闘能力……つまり、兵器として売ると?」
「アマゾン細胞の可能性はそんなところにあるんじゃないわ」
「鷹山仁はその可能性の一つよ……悠も、ね」
「戦う理由もはっきりしねえ。そんな奴に背中預けられるか」
「みづきーっ!」


激情

トンネルに駆け込む悠のバイク。
今しも幼虫アマゾンが美月に糸を吹きかけようとしたその瞬間、美月に飛びつきともに転がり避ける悠。
「……美月! 大丈夫」
「悠? 悠!」
安心したように抱きついてくる義妹を、愛おしく抱き寄せる悠。
しかし幼虫アマゾンはまたも糸を吹きかけてきます。それに突き飛ばされた形になる悠。湧き上がる怒りに咆哮します。優しく儚いいつもの悠には似つかわしくない、その形相に驚く美月。
「うおおおおおおおおおおっ! アマゾン!」
緑色の炎が上がり、その中に誕生するトカゲのような姿。
「え。……悠?」
「ううおおおおおおっ」それには答えず叫び声を上げながら幼虫アマゾンに跳びかかるオメガ!

両者の格闘中、ようやく到着するノザマペストンサービス。
志藤はまだそこにへたりこんでいる美月に目を留めます。
「望、あの子連れ出せ」
「了解」駆け寄り、彼女にしては幾分優しい声で行くぞ、と美月を抱きかかえる望ですが、まったく動こうとしない美月に困惑します。「だめだ腰が抜けてる。フクさん!」
無言で駆け寄り美月を背にひっかけるように担ぎあげる福田。運ばれながら美月の視線は、まだそこに出現した緑の異形に注がれたままです。
邪魔なオメガをトンネルの天井まで投げ出し、さらに美月を追おうかという素振りを見せる幼虫アマゾン。
「こいつ、食事優先か?」
「フク! 急げ!」
言われて走り出す福田。
しかしそのすべては、オメガにとってスローモーションに映ります。

「よせ……美月を……」
どくん、と高鳴る鼓動。天井にぶつけられ、落下して路上に全身を打ちつけられて、動けないオメガ。もどかしさと怒りに、さらなる身体変化が起ころうとしているのです。
体内から溢れ出す途方もない熱量。
「やメルんだァァァァァッ!」
必死の叫びとともにオメガの全身から突き出る何本もの巨大な針。その1本に刺されてトンネルの内壁に固定される幼虫アマゾンが標本です。

「……くっ」駆除班の面々は危うく難を逃れていてさすがでした。
呻く望、その下側で起き上がり目をむく三崎。美月ごと倒れこみ、何が起こったのかと見回す福田。
「あいつ……」そして起き上がった志藤が呆れ返った瞬間、針は再びオメガの体内に戻り、ぱたりと落ちる幼虫アマゾン。
変身を解き、そのままうつ伏せに倒れこむ悠。そろそろ体力の限界でしょう。
「大丈夫か」
「……はい」志藤の声に頷く美月。それでも目は、まだ放心したような悠の様子から離せません。

その間に、倒れ落ちた幼虫の身体を足で蹴り、死んだかどうか確かめている駆除班の面々。
ちゃんと退治できていれば全身が溶け、腕輪だけが残るのが通例なので、まだ姿を保っている幼虫アマゾンに安心はできないと思うのですが。
「何だこれ」いぶかる望。
「普通なら消えるんだがな」応える志藤。「とにかくこんなところに晒しものにしておくわけにもいかねえ。フク。清掃班に連絡して撤収だ」

誰も悠を労う人はいません。
なんとか起き上がる美月。そのまま悠の元へ。
「悠……悠。今の、何」
ようやく起き上がり、美月を見る悠。それを見据え、重ねて
「今の、」と繰り返しかける美月。
しかし悠は答えず目をそらすだけ。そして美月の脚がやっぱり長くて細くてうらやましいです。

「一也、あの子タクシーで送ってやれ」そちらに目をやる志藤。
「ええーっ!?」
「あ?」
「……はい」せっかく来たのに、とぼやきながら落ちていた美月のバッグを拾い上げる三崎。
まだ悠を見つめている美月に、背後から声をかけます。
「とりあえず、乗ってくれる?」
「はい、でも」
「ね? あの人に怒られちゃうからさ。安くしとくし、ね」
有料なんですか。と驚いていたら望が視聴者の代わりに
「金とんなよ」と突っ込んでくれました。
へへ、とそちらに笑い、強引に美月の手を引いて行く三崎。前回タクシー運転手が殺されてしまったため空車となった玉名タクシーの後部ドアを開け、
「はいどーぞ」と勧めると、自分も運転席に座ります。

その間も、その場に座り込み、ただうつむいてじっとしている悠。
そんな悠を、見つめたままの美月。
車が向きを変えればゆっくりと滑りだすタクシーのリアウインドウに張り付き、
「……悠」
切ない音楽。

迷い

引き続きトンネルの中。美月が去って、ようやく悠に近づく志藤。ぶらぶらと歩み寄りながら
「彼女は知り合いか?」
「か……」母さん、と言いかけて改める悠。「水澤本部長の子で。妹みたいなものです」
「へーえ」相槌を打つのは望。
「それにしちゃ、串刺しにする勢いだったなあ?」
「……すいません。ぼく……」
「志藤さんが言ってたヤバイって意味、わかった気がする」と望。
「言ったはずだ。戦う理由がはっきりしてないやつは信用できねえ。信用できねえやつと一緒に戦えねえ」うなだれる悠に突き刺すような目を向ける志藤。「とくにお前はな」
言い捨て、立ち去っていくノザマペストンサービス。
いや家族が絡めば動揺しても仕方ないのではないでしょうか。と思うのですが。
叱責されたようにまたうなだれる悠。その前で、福田がまだ落ちていた雑誌を地面から拾い上げ、ふっと埃を吹くと差し出してきます。思わず受け取る悠。

それは前日、美月が悠のために買っておいてくれたアクアリウムの雑誌。
「美月……」
抱きしめて思い返すのはつい先程の戦いの記憶。

「やメルンだァァァァァァッ!」感情の爆発。それだけでいとも簡単に他の生き物を屠ってしまえる自分。
七羽の言葉。
「問題は、じゃあどうするか。どうしたいか、ね」


(……ほんとうに。どうしたいんだ、ぼくは……っ。自分で自分が)

わからない。泣きたくなるような想いに歪む顔。しかし次の瞬間、卒然とあることに思い当たる悠。

(仁さんはどうやって……? もう一度、仁さんと)

幽閉

野座間製薬研究所。アップルドアほどじゃないですが趣きのある建物です。
ベッドに横たわり寝苦しげに寝返りをうつ男の姿。しかし男よりも、ベッドの異様さに目が引かれます。周囲にめぐらされた、網のような線。ぶん、と低く唸るような音。まるで誘蛾灯の金網のようで、触れたらバチバチと火花が散るのではという気がします。

「うううん。もっとめしい。はらへったあ……」唸る仁。「何かくれぇっ!」
苛立ち吠えると、起き上がり監視カメラに手を振ります。
「おい、大丈夫だから。ほい、にーく! にーく! にーく!」手をうち肉を要求する仁。

その様をモニターで見ている水澤。
画面の中でああもうくそう、とふてくされた仁が再びベッドに身を投げだした時、加納が近づいてきます。
「少し休まれては」
「貴重なデータが手に入ったんだから休むのも勿体ないわ。それより、悠がまだ戻ってないって本当なの」
「先程駆除班の戦闘で一緒だったそうです」
「なんですって」
「再度戻るように伝えたそうです。それからその戦闘で、妙な実験体が回収されました」
みょおーおな、と発音する加納。
「えっ」

研究所の別の一室。
立ち入り禁止の注意書きがされた一角で、清掃班の回収した幼虫アマゾンを実験台に載せる研究者たち。
いかにも場違い、手持ち無沙汰と言いたげに、外の廊下でベンチに腰掛けている志藤、福田、望。

「どういう状態かわからないので、たいばくの施された実験室に収容し、駆除班も待機させてあります」
加納の説明の声がその映像にかぶさります。

廊下側から実験室Dの内部を覗き込んでいる福田。少しでも休養を取ろうと言うのか、ベンチで目を閉じる志藤と望。

仁の映像とともに、その実験室Dの映像もモニターに表示させる水澤。
「……そっちは任せるわ」
「次から次へと立て続けですね」
「2年めの覚悟はしていたつもりだけど、これほどとはね」急に疲れを感じたのか控えのテーブルに腰かけ、コーヒーに口をつける水澤。
その時小さなブザー。
『本部長、警備室です。息子さんらしき方が』
プラスチック製のカップを置く水澤。振り返ると門前の監視カメラの映像が表示されています。警備員に誰何されながら案内を待つ悠の姿。
「……やっと戻ってきたようね」

参考意見:マモル

野座間製薬研究所玄関。許可が出たのを確認し、顔を上げる警備員。
「悠くん。水澤本部長のところへお連れします。どうぞこちらへ」手で示し先導する警備員、後に続く悠。
採光を重視した玄関ホールは明るく、清潔な印象です。吹き抜けの2階から悠の姿を目にしたのか、手すりに駆け寄ってきたのはマモル。
「水澤くん!」と嬉しげに手を振ります。驚き顔を上げる悠。
「……マモルくん」
えへ、と笑うマモル。「きみも来たんだね!」
つられて笑顔になる悠を、不審げに振り返る警備員。

2階の通路に置かれたベンチに、並んで腰掛ける2人。水澤本部長が待ってるんじゃないのでしょうか。警備員は今頃怒られていませんか。
「マモルくんは、怪我大丈夫?」
「うん、平気」チェックのパジャマ姿で、脚を上げてみせたり伸びをしたりするマモルは退屈を持て余しているようです。「でも、念のためもう一日ここにいなさいって。早くチームに戻りたいのに。怖いから嫌いだな本部長の人」
義母のことだろうかと思わず複雑な表情になった悠に、
「あっ、でも水澤くん来たからちょっとはいいよ」とまた笑うマモル。「あっ!」
思いついたように紙包みを開けるマモル。中身はハンバーガーです。それをまた半分こにして、はいこれと差し出すマモル。
「ありがと」今度こそ笑顔で受け取る悠。

少し幼い印象がありますが、この2人が並んでいるとほんとうに平和に見えます。しかし、ここに来た目的を思い出し、マモルにも聞いてみようと思い立つ悠。

「……マモルくんてさ。ほんとに、チームとハンバーガーのためだけで、駆除班やってるの?」
「うん」
「ほかに、なんか考えたことない? 何のために戦ってるのか。……自分は何なのか、とか」
不思議そうに悠を見つめ、少し考えてみるマモル。しかし答は、
「わかんない。どゆ意味?」
「……いや、ごめん。チームとハンバーガーって、はっきりした理由だよね。わかりやすいし」
「水澤くんは、嫌いなの? チームと、……ハンバーガー」
「そういうわけじゃないよ」首を振る悠。「ハンバーガー、美味しいしね」
「うん」
ふふ、とまた微笑み合う2人。しかし自分の問いに答えてくれそうな人物は、やはり仁しかいないと思い詰めるような悠。
「ね、」そんな悠に声をかけるマモル。「早く食べないととられちゃうよ、あの赤色のアマゾンの人に」
「え」
「ぼくがさっき部屋の前通ったらね、『おい、半分でいいからくれ、なっ、頼むーっ!』って、すごい声で言ってた」
「その部屋、どこ」

参考意見:仁

仁の部屋。というよりベッド。
ふてくされているのか、しどけなくパジャマの前を開けたまま横たわっている仁。ふんふんと、目を閉じたまま鼻を蠢かします。肉の匂い。ドアが開き、入ってくるスニーカーの足音。
「……? 肉!」はっと目を見開き起き上がる仁。悠を観て微笑みます。「お前……それ、差し入れか?」
立ち上がり歩み寄ろうとして、周囲の網に触れてしまう仁。
電流にあっち、と悲鳴を上げ、ベッドに転がり込みながらも、楽しそうです。
「はははははは、助かったー。ここの奴ら、おれがアマゾンなのにびびってこれっぽっちしか食事くんねえんだよ」

今度は落ち着いて網目の間から、そっと手を差し出す仁。
見返す悠は、まだハンバーガーの半分を持っています。
その手をすっと引っ込める悠。

「おい。卵やらスープやら食わせてやった恩を忘れたのか」
「聞きたいことがあるんです。アマゾン、いや、あなたのこと」
「は」
「アマゾンになって、どうやってそれを受け入れたんですか。どうして戦おうって決めて、アマゾンの力をどうやって抑えこんで」
せきを切って溢れ出る言葉。
「……つまり」それを遮り、手を引っ込める仁。「そのすべてがお前はできないと?」
「正直、どうしたいのかさえ、……わからないです。それに、アマゾンになると、どんどん自分じゃない自分になって!」
ふ、と口元だけで笑う仁。
「怖いか?」
「戦いを歓んでる。……それが怖いです」
「そうかあ。……よしまずは、その食い物をおれによこせ」どうしてこの局面でそんな信用ならない口調になるのでしょうかこの人は。悠じゃなくても適当に言いくるめられようとしている気になります。「そしたら話してやるから。な」
「話を聞いてからです」
「お前……まいいけど?」はあ、と息をつき、ベッドに腰掛け、倒れこむ仁。「話して役に立つかどうか」
「どうしてですか」
「おれとお前には決定的な違いがあるんだよ。おれはな」起き上がる仁。その表情は逆光になり見えません。じっと見つめ返す悠。「……自分の意志でアマゾンになった」
意味がわからない、という顔の悠に、
「アマゾン細胞を」と自分の裸の胸を示す仁。「自分に移植してな?」

まだ髪に櫛目を通し、身だしなみも整えていた研究員時代の仁。白衣に包まれた身体がその時、赤く立ち上る炎の如きすさまじい熱量に灼かれ、絶叫とともに生まれ出た、赤いアマゾン、アルファ。

回想に覚えず微笑む仁。
想像に息を呑み、目を見張る悠。

異変

実験室D。防護服に身を包み、まだ、様々な機器を幼虫アマゾンに取り付けようと作業を続ける研究員たち。
モニターにはなんでだかカエルの卵のようなものが映しだされています。
幼虫アマゾンを覆う、鎧のような皮膚の継ぎ目に、金具を差し入れている研究員も。
外の廊下。まだベンチに陣取り、軽食をとっている志藤、望、福田。
コーヒーカップを手に立ち上がった福田は、また覗き窓の前に。その時、幼虫アマゾンの皮膚の一部が、内部からぱり、とはじけ飛んだのを、目撃し――。
内部で何かが蠢いている。目を見開く福田。

「野座間製薬は長年、人工生命の研究開発に力を入れていた。おれも入社してすぐそのプロジェクトに入れられて」仁の部屋。長い話を続けている仁。「開発に関わった。そして、その一つの完成形が、」
「アマゾン細胞よ」背後のドアから入ってきた水澤に、驚き振り返る悠。
「母さん」

水澤が来てしまっては食料を悠から手に入れる望みもありません。嘆息し、またベッドに身を投げ出す仁。
仁に代わり説明を続ける水澤。

「……アマゾン細胞によって生まれる生命体は、その形態を様々にデザインできた。そして、外見も知能も人間そっくりに擬態できる。タンパク質を強力に欲するという問題点をクリアする、抑制剤も開発された。全ては順調で、実用段階は目前だった」
「おれは反対したがなあ」と茶々を入れる仁。
「あなたはアマゾン細胞そのものに疑問を抱き始めていたものね。でもとにかくうまくいっていたのよ――2年前の、あの時までは」
突如起こった大爆発を回想する水澤。爆破されたようにも見えますが事故なんでしょうか。

実験室D。ドアを開け、入ってきた福田。まだ下では異変に気づいていないのか、研究員たちが作業を続けています。しかし見間違いではなく、皮膚の一部は確かに床に落ちていることを確認し、階段を降りていく福田。
その時、幼虫アマゾンの内部で何かが激しく動き、さすがに気づいた研究員たちが驚き後ずさります。
「あっ……あああ……」
その時幼虫の皮膚が一気に剥がれ落ち、あちこちで悲鳴があがる中どろどろした形状のものが立ち上がると、突如羽を開いて飛び立ちます。羽化したのです。
ひとしきり飛び回ると実験台の上に舞い降り、手近な研究員に喰らいつく新たな蝶アマゾン。

警報

廊下。その様を覗き窓から見ている望と志藤。
「もしかして、蛹から成虫になったってわけかよ?」
「糞!」

実験室D。銃を構える福田。しかし短銃では威力は低く、銃弾など意に介さぬように自由に暴れまわる蝶アマゾン。

仁の部屋。水澤の話は続いています。
「施設内で管理していた約4000もの実験体は行方不明。残ったのは、実験体がただのタンパク質を喰らう怪物になるまでの、2年というタイムリミットだけ。もちろん駆除班を始め対策は進めてきたけど……まさかあなたが、あのベルトを持って現れるとはね。……理由は?」
睨めつける視線を背に感じているのでしょうか。不遜な笑みを浮かべ、あらぬ方向を見ながらうそぶく仁。
「おれは責任感が強いんだよ。アマゾンはすべてぶっ潰す」
「アマゾンすべて?」聞きとがめる水澤。「逃げ出した実験体だけでしょ!」
「いいや。アマゾンすべてだ」その声の冷たさに息を呑む水澤。「――すべて殺す」
「そのために、自分からアマゾンに、」
悠が言いかけたその時、大きく鳴り響く警報。

どうしてこういう時人は顔を上げてしまうんでしょうか。スピーカーはもちろん天井付近にあるものですが、見たって何かがわかるわけでもないのに。

そこへ加納が駆けつけます。
「本部長。運び込んだ実験体が復活して駆除班と戦闘になっています。今向かいました」
無言で駆け出そうとする悠。その気配を感じたのかすかさず呼び止める仁。
「おおい! ……そのハンバーガーよこせ? アマゾン退治に協力してやる」
「仁さんが殺すって言ったアマゾンには、マモルくんも入っていますか」
「言ったろ、ぜんぶだ」
足を止め振り返る悠。
「早くよこせ」
「……」ゆっくりとハンバーガーを持った手をあげ、――自分でかじりつく悠!
「あっ」
意表を突かれたのか仁のこの、驚きの声が間が抜けていておかしかった。悠の反感を煽る発言ばかりでなぜハンバーガーがもらえると思っていたのでしょうか。

むしゃむしゃと食べ続ける悠を、水澤、加納も注視します。そのなかでそっと口を手で拭う悠。

「一つだけはっきりした。あなたの言ったとおり、みんなただ、生きるために食ってるだけだ。でも、母さんとあなたは違う。……勝手に生み出したものを、都合が悪いから、勝手に殺そうとしてる。ぼくは……それがすごく、いヤダ……」

変身もしていないのに、その整った顔のまま、凶相とはこれだ、という表情を浮かべる悠。

「たぶん、ぼくは今怒ってる……あなたたちに」
その意気や良し、とでもいいたいのか、悠の敵対宣言に微笑んでいる仁。
対照的に、無表情のまま押し黙る水澤。

ヒント

実験室D。高い天井までの空間を自在に飛び回り、人々を蹴散らす蝶アマゾン。望が果敢に攻撃を加えますが駆除班3名だけではどうにも劣勢です。援護射撃がまったく役に立っていません。
出口へ殺到する研究員たちに逆行し、飛び込んできたのはマモル。
「おおい!」
「マモル!?」
「ごめんね、制服じゃなくて……」
「ばっか」
マモルは本気で、パジャマであることを詫びているのです。
「いいから来い!」すかさず志藤の声が飛び、うん、と嬉しげに頷くマモル。唸り声を上げてパジャマの上位を切り裂けば、その姿は力にみなぎる土竜アマゾン。
飛び降り、蝶アマゾンの足を捕らえ地上戦を仕掛けます。

仁の部屋。
「悠? あなたには関係ないことよ」幼子に言ってきかせるような水澤の口調。「他のアマゾンとあなたは違うわ。家に戻りなさい、さあ」
かけられた手を払いのける悠。払いのけられて驚き目を剥く水澤。
面白がっているような仁。
「……もう戻らない」
「悠!」
「ふっ、ははははははは」笑い出す仁。「お前。まさかアマゾン側につくっていうんじゃねえだろうな」
「狩らなきゃいけないものは狩るよ!」
とっさに言い返す悠。あの幼虫アマゾンのように。あいつは美月をとって喰おうとした。でも。
「守りたいものは守る。人でもアマゾンでも……つまり、ぼくが狩るのは、アマゾンだけとは限らないってことだ!」
仁の目を見据えそう言い放つと、駆け出していく悠。

あまりの事態に水澤は呆然自失しています。
「……おい」その水澤に声をかける仁。「他のアマゾンと違うと言ったな。……おれとも、実験体とも違うってことか?」
「そうよ?」振り返る水澤が、もう立ち直っていて気味が悪い。「悠は第三のアマゾンよ」
誇らしげでさえあるその声。
「あなたにはまだ教えてもらわなければならないことがあるわ……あのベルトのことも含めてね。しばらくそこで、大人しくしてなさい」
ゆらりと出て行く水澤。加納はずっと黙ったままですがおそらくは水澤にしたがって出て行ったのでしょう。閉まるドアの音に、今日何度目か、またもベッドに身を投げ出し悶える仁。
「……腹減ったあっ!」

宣言

実験棟。もはや騒ぎは実験室Dにとどまらず、白衣の研究員たちも逃げ惑うなか、人波に逆らい現れた人影に、目を見張る望、志藤。
「お前」
「志藤さん」かれら駆除班の側に立ち、蝶アマゾンを睨みながら、「ぼく、勝手ですけど決めました。守りたいものは守って、狩りたいものは狩る。そのために戦います!」
ここで一瞬、志藤が横目で悠を見るところが好きです。
「それと、」構わず続ける悠。「ぼくの中のぼくは、戦いが好きみたいです。だから、もしぼくが人喰いになった時、殺されるなら、……あの仁さんよりもあなたたちがいいです!」
そんな爽やかな笑顔で言うセリフではありません。今度こそ驚愕して悠を振り返る志藤。
微笑み見返す悠。福田、望もかれに全身の注意を向けています。
「そのために駆除班で――」一瞬にして変わる形相。「虫を狩ります!」

目の前では土竜と蝶が、上になり下になり、互角の戦いを続けています。今日の土竜は休養の成果か、非常に動きがいい。

「……それじゃダメですか」
志藤を見つめる悠。思わず目を泳がせる志藤に、福田も、答を促すような目を向けています。とうとう腹を決める志藤。
「まあとりあえずいいだろう!」やけっぱちのように言ってしまえばぐっと気が軽くなります。続く一言はほとんど軽口。「こっちの荷が重いがな」

聞いた悠の顔が嬉しそうでほんとうに可愛い。
ベルトを手に飛び出し、出現したオメガが低く身構え、EDが流れ出すこのタイミング。燃えます。

土竜を突きのけた蝶に、猛然と跳びかかるオメガ。
身軽に跳躍しながら翻弄するかれの戦闘スタイルのほうが、蝶には有効なのか、共に飛び上がりながら研究等の窓から外へ飛び出していった途端、殺陣が俄然速さを増します。
互いに相手の攻撃を身軽にかわすためなかなか決定打はありませんが、ここの藤田さんの身のこなしは素晴らしい。
のしかかりマウンティングポジションから殴りつけるオメガ。それを長く伸びる触覚でを触覚で突き放し、鱗粉爆弾を浴びせる蝶。
先週の黄色いスカーフ蝶もかっこよかったですが今週のギラギラ光る帽子蝶もおしゃれですよね。
怯むオメガ。蹴りかかられたところを、さらに人間離れした動きで身を翻し。
捉えられ、首を締め上げられる中でも、悠自身はあくまで冷静です。どくん、鼓動とともに内側からこみ上げる熱いマグマを感じつつ、投げ上げられざま壁を蹴り、その反動で跳びかかってバイオレントバニッシュ。敵の首筋を切り裂くオメガ!

黒く溶け、消えていく敵の体の中で、残った銀の腕輪が鈍く光ります。
それを見据えつつ、肩で息をつくオメガ。

その背後から、ばらばらと駆けつけてくる志藤、福田、望と変身を解いたマモル。
もう狩りを終えた有望なルーキーに頼もしさを感じつつ、
「……あいつ、ほんとにうちらで狩れるかな」
「わからねえが……ま、殺るなら特別ボーナスつけてもらわなきゃな」
 と軽口を叩く望と志藤。
「やるって、何やるの」話のわかってないマモルが問いかければ、
「帰って飯でも食うってことだ」とその頭をぐりぐり撫でる福田がナイスフォロー。
「うん!」喜色満面になるマモル。まだ戦いの陶酔に呆然としているオメガの元へ駆け出していきます。「水澤くん! 帰って、チームでご飯だって。ね水澤くん!」
跳びつかれて振り返るオメガの腕を取り、
「すごいね。やっぱすごいや! ……あっ、あのね、帰ったらチームのでみんなでご飯だって」
「うん」
「行こっ。ほうら、ね、何食べたい?」手を引いてぴょんぴょん飛び上がるマモル。
そんなかれらのほうへ、志藤たちも近づいてきます。
「やっぱハンバーガーかな。ねえ何食べる?」
「うん」

そこへ駆け寄ってくる足音。

「うっそ!」呆然とそこに立つのは三崎。「……終わったの?」
「三崎くーん!」手を振るマモル。「これでチーム揃ったね!」
「うぉおお、も、もしかしたらボーナス入んないってことじゃん、うお、今月支払いやばいっしょぉ」聞いてない三崎。
「しらねえよ」と志藤も苦笑します。
「えーっ!?」
うふふ、と手を振って歩き出すマモル。悠の宣言の際、三崎だけその場にいなかったので、悠を迎える空気になってないのですが大丈夫でしょうか。

道化

仁の部屋。ドアを開き入ってくる身なりの良い男。高らかにかれの名を呼びます。
「鷹山仁!」
「……あ?」
「きみとは初対面だが、噂は色々聞いてるよ」カメラが移動すると、そこに入ってきたのは橘です。「あのベルトの開発にも関わっていたとか?」

不機嫌なのかほとんど相手をしない仁。

「こっちは腹減って、おしゃべりする余裕とかないんだよ」
「では単刀直入に言おう。わたしは国際営業戦略部の橘という。きみと、取引が、したい!」
「断る」かぶせ気味に断る仁。ようやく身を起こしました。
話の腰を折られ戸惑う橘。
「……まだ、条件とか。何も言ってないよ?」
ニヤニヤしている仁。
「まいい。それではきみは、ここで飼い殺しにされるということになるがそれでもいいのかね」
「嫌だ」
「だーったら!」
橘って結構コミカルな役柄だったのですね。いちいちオーバーアクションです。それを楽しそうに見返す仁。
「残念だけど、お迎えが来たんだよ」
顎で示され、背後を見やる橘。その途端、そこに立っていた女の研究員に、スタンガンで電気ショックを加えられます。
「ぬおおおおおおう!」硬直し、崩れ落ちる橘。
「七羽さあん!」甘え声で七羽を呼ぶ仁。ぬぁなは、と発音しました。「おおそおいいっ! 万が一の時は、助けてね♡ ……って言ってたでしょうよお」
「そんな簡単にいくわけないでしょう?」冷たい目で見返し、メガネを取り、髪を解いていく七波。「仁からこの内部のこと聞いてたから、なんとかなったけど」
電気コードを引き抜くと、ベッドを囲む網も無害なものになります。
「お? ふふ、うーん」その安全な網に頬を寄せ、キスをねだり突き出す仁の唇に、水筒を押し付ける七羽。
「……ありがとう」
震える手で蓋を取り、傾ければ注がれ出てくる中身は……生卵。グイグイと飲み干す仁。

野座間製薬研究所。外構。
「待て!」と飛び出してくる警備員や数名の研究員たち。かれらの鼻先で走り出すアメリカンバイク。タンデムシートに座る七羽は土産のように白衣を投げ捨てます。
「お邪魔さまあ」陽気に逃げ出す2人。
待機所へ引き上げていくノザマペストンサービスの車両、そしてその後を走る悠のバイクにクラクションを鳴らし近づきます。
気づいた悠に片手を上げて合図し、スピードを上げて抜き去っていく仁と七羽。
「あいつ……!」苦虫を噛み潰したような顔の志藤の前で、右折していく仁、なすすべもなくそのまま直進する駆除班、両者の道が分かたれたところでラストカット。
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2016.05.10 07:02 | amazonz ΑΩ | トラックバック(-) | コメント(-) |
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