LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

主人公の一方、悠が駆除班入りしたおかげで駆除班コントの尺が伸びまして、
「ええー?」
「慣れろ」
みたいなやりとりが堪能できるようになりました。駆除班ファンとしてはこの変化は大歓迎です。仁さんは1人でも面白いので大丈夫。今週は福田さんがよく喋りましたがそれも悠のおかげだと思っています。


Seeing Red / NASA Goddard Photo and Video


マモルに次ぐ愛され後輩ポジションを獲得した悠は、正式に駆除班の一員として新たな狩りに臨むわけですが、今回の“虫”は早贄で知られる百舌鳥。
しかし彼らが直面するのはいつもの単純な捕食行動にとどまらず、ある意図を以って起こされた事件だったのです。
その動機は。そして、犯人(実験体アマゾン)は誰なのか。
ちょっとしたミスリード、レッドヘリングもあってミステリっぽい仕上がり、しかも若い男女の絶体絶命で次週に続く!
今書いてて思ったけどレッドヘリングも吊るすものでしたっけね。

そして、“虫”ってあんなことができるとは、確かにあれをやられては悠はどうしようもない(仁/アルファなら関係ない)。苦し紛れの行動かもしれませんが戦術として有効すぎです。恐るべし百舌鳥アマゾン。
今回登場の弓削さんはまたもライダー出演歴を重ねられましたね。「龍騎」のごろーちゃん、「カブト」の三島。「鎧武」ではフルーツパーラーのおやっさん役、坂東。
「守りたいものは守る。人でもアマゾンでも。ぼくが狩るのはアマゾンだけとは限らないってことだ!」
「他のアマゾンとは違うといったな? おれとも、実験体とも違うということか」
「悠は第三のアマゾンよ」


緊迫

悠の駆除班正式参入から3週間後――。
炎上する地下プラント。それぞれに得物を手に身構える駆除班の面々の中で、低く身構え、唸りつつ肩で息をつくオメガ。
その緑の体表に照り映える炎の色が美しいのですが、対峙すべき実験体アマゾンの姿はなく、望が電磁レガースを装備した手足で立ち向かうのはほかならぬそのオメガ。
望の気合に対し、無言のまま鋭い蹴りで対抗すれば、志藤、福田、三崎が特殊弾を打ち込みます。わずかながら漏れる苦悶の声。
「やめて!」そこへ、オメガをかばうように飛び込んでくるマモル/土竜アマゾン。勢い良く飛びついてくるのでオメガも隊員たちもなぎ倒されてしまいます。倒れたオメガの身体に、覆いかぶさるようにして、「やめてよ……チーム同士で戦うなんてだめだよ……!」
「……マモル」突き飛ばされ倒れこんだ体勢のままつぶやく志藤。
「こんなのいやだあ……あああああん」
「マモルくん」オメガも、自分の上でべそをかく土竜の肩を、軽く叩きます。「これ、……訓練」
「うええええ……?」
「訓練」

気まずそうなため息。

「最初に言ったろ」うんざりしたように立ち上がる望。
「意味、通じてなかったかな?」かがみ込み、幼子に話しかけるようにする三崎。
ようやく土竜も立ち上がり、肩を落としてオメガから離れます。
「訓練続行!」志藤の声に起き上がるオメガ。
中央で身構え、
「マモルくん? 一緒に」
頷き、他の皆と一緒にオメガを取り囲む土竜。再度その環の中で、敵アマゾンの役を演じるオメガがかっこいい。

美月

ノザマペストンサービス。駆除班待機所。
「いやあ、なかなか実践に近い訓練ができるようになって!」響く三崎の声。「我々の寿命も延びるってもんですな。これもすべて、悠お坊ちゃまのおかげですぅ」
「坊ちゃまはやめてくださいって」苦笑しながら三崎とともに入ってくる悠。その向こうでは肩に大判のタオルをかけたマモルが出入り口近くの冷蔵庫を開けています。手前ではペットボトルの水に口をつけている望。薄暗い室内、福田はその長身でようやく福田かな? と知れる感じで、外の方へふらりと出ていきます。
「いやいや、何をおっしゃいますか。養子とはいえ本部長様の息子サマサマなんですから。そこは我々下々の者とはピッと線引きしていただかないと。ねえ、下々その一?」
こたつは片づいており、畳の上にあるのは座卓。その前に腰を下ろす三崎。石油ストーブ的なものを点けているのでしょうか。
「うるっせえ」
「へへへ」
「悠、もっと本気出せ。訓練にならねえ」三崎を一蹴し、返す刀で傍らのベンチに腰掛けた悠にも噛みつく望。福田は戻ってきましたね。薄暗いので誰が何をしているのかほんとによくわかりません。
「ごめん」
「……謝んなよ。怒ってるわけじゃねえから」
「あれでお願いしてるつもりだ。慣れろ」何か段ボール箱を運んできた志藤が解説します。
はい、と頷き、床に置かれた段ボール箱を開け始める悠。その様を三崎がスマホで撮影します。ピピ、と小さい撮影音。
「はい、いただきましたぁ!」それが位置取りの理由だったのか、撮るだけ撮るとまた福田らの居る方へ戻っていく三崎。
「三崎さん、時々、ぼくの写真撮ってますよね?」
美月と密約したのではないかというのがわたしの推測です。
「なんでです」
「あれ、言ってなかったっけ」振り返る三崎。「美月お嬢さんへの、定期報告♡」
やっぱりです。
ええ? と声をあげる悠。台所スペースでやかんに水をくむ三崎。これをストーブに乗せるつもりなのでしょう。
「ほら、前にタクシーで送っていったでしょ。あん時にアドレス交換したから」
「はあああ」
「カズ。お前、ぺらぺら喋ったのか」咎める志藤。
「いや、だってさあ。出発してそこそこ経つよ? それなのにずーっと坊ちゃまのほう見て健気に心配してんだもの」

スタートするタクシー。真っ暗なトンネルの中、テールライトのほのかな灯りに浮かび上がるうなだれた悠の姿。リアウインドウにすがりつくように、それをただ、見つめる美月。

「挙句の果てに会いたいとか言い出すもんだから、おれ頑張ってなだめたんすからね!」
「なんて言ったんですか、美月に」心配する悠。
ビール片手に目を上げる志藤も、そのへんの情報漏洩の程度はチェックしておきたいところ。
「うん。ぶるるん! あ、これ、おれね」話しだすなりハンドルを手にタクシーを運転する素振りの三崎。「ぶるるるん。『あの』」その後小さく身をすくめ、声を高くするのは美月の役なのでしょう。「『悠、会い、……』あ、これ美月お嬢さんね? 『悠。会いたい!』 ぶるるん。『あの』『悠、会いたい』」

呆然と聞き入る悠、酒の肴を見るような目を向ける志藤、トレーニングマシンに腰掛けていた望は呆れてため息をつきます。

「『悠……』『悠くんはこの世界を、いえ、あなたを守るために、命をかけて戦う覚悟です』」

福田も手すりにもたれて見下ろしていましたが、文庫本片手に背を向けました。
三崎は自分の役の時は妙に二枚目風になっているのはなんとかならないでしょうか。

「『今、あなたが会いに行けば迷いが生じ、逆にかれを苦しめてしまうことに』」

マモルだけがハンバーガー片手に楽しそう。

「『ええっ!?』」

「ええー?」三崎のセリフに呆れる悠。

「『代わりに、わたくしが責任をもって、定期的に悠くんの状況をお伝えいたします。ですので、連絡先の交換を』」

福田の広い背。目を閉じて文字通りもって瞑すべしの表情となった望。志藤もビールのほうがメインになっています。マモルだけがハンバーガーを食べつつ楽しそう。

「『……願います。ふっふっふ』…………みたいな?」

近くを走る鉄道の、カタンカタンと車両が揺られる音。
望が乾いた拍手を響かせます。
「さすが、元詐欺師」
「水澤くん、美月さんを守るなんて偉いんだね」と真に受けているマモル。
「そんなんじゃないから」
「たく……」立ち上がる志藤。ビールが足りなくなった模様です。「覚悟がどうのはともかく、定期報告は必要ねえだろ」
「本部長筋へのつながりあって損はないでしょう」追っていく三崎。
「あ?」
「知ってますよ探り入れ始めてんの、野座間製薬に」
文庫本から顔を上げる福田、冷蔵庫のドアを閉めながらその福田を見る志藤。志藤は何かというと福田を見てからいろいろ決意してるみたいですよね。
その辺の機微には気づいているのでしょうが無視する三崎。
「なんか臭うんすか。やっぱ昔の血が、騒ぐんすか」
「うるせえな。安心して稼ぐためだ」元の休憩スペースへ戻りつつ、缶のプルトップを引く音。
「ふううん」

そんな会話を聞いていても、脳裏をかすめるのはあの時の泣きそうな美月の顔だけ。美月の残したアクアリウムの雑誌を取り、見入る悠。

「悠?」と驚いたように聞いた美月。怒りのためか、あの時感じた、自分が自分でなくなるかのような激情。緑の炎。

(美月……あの後、なんの連絡もしないで駆除班入っちゃったけど。ほんとなら、ぼくがちゃんと説明しなきゃいけなかったんだけどな)

開いた携帯をまた閉じ、溜息をつく悠。

***

川辺。手すりに腰かけ、スマホに三崎から送られた悠の写真を表示させ、見入っている美月。
白く垂れ込める雲を背に、制服の上に巻いた紺のマフラーが暖かそうです。

(どうして、悠が――?)

「美月、お帰り」あの白い清潔な家で、錠剤とサプリばかりの食事を摂りながら、それでも穏やかに、優しく微笑んでいた悠。

広い川、行き過ぎる舟。佇む美月の姿が小さく、大写しになるのはその手のスマホから下がる、白いくまのぬいぐるみ。以前にもこれを、美月の級友たちが
「かーわいー」とからかう場面がありました。

発端1

広い敷地に雑然と置かれた車、車、車。廃車置場に、新たに入ってきて、ゆるゆると停まる車両。
何の変哲もないその構内の一角に、なぜか「立ち入り厳禁」のステッカーが貼られ、監視カメラもあからさまにものものしい、“家”が建っています。見た目は事務所らしいプレハブなのですが。
車から降り立ち、その前に立ち止まる1人の男。
素足にスニーカー、黒のジャージの上は迷彩柄のスエット。サングラス。長身である程度鍛えているらしい細く締まった体型。
背後には新聞配達らしい白いジャージの上着を着た男がこちらを注視しています。それを一瞥し、遠くに目をやれば白く垂れ込める雲を背景に走る送電線。
その送電線に、奇妙なものがぶら下がっています。人の身体が、無造作に引っ掛けられているような。
それを認め、ち、と舌打ちする男。ここまで徹底して男の顔は映りません。せいぜい口元まで、全身が映ればご丁寧にもサングラス。
同時に、緊張の色を浮かべる新聞配達の男。

***

閑静な住宅地で、女性の遺体が発見されました。今朝、5時過ぎ。ここ、むらさわ地区で……

ニュースレポーターの声とともに映る駆除班待機所。
裸電球の下に似たような迷彩スエットが立っているので一瞬廃車置場の続きかと思いましたがその体型は女性。望です。
ドテラを着込んだ三崎がじゃまなので突き飛ばす望。突き飛ばされても後ろから志藤が出てくるので引っ込むわけにも行かず立ち往生する三崎。どうもトイレやら買い出しやら、通路が狭いので朝はもみ合いになるのですね。

通行人から通報があり、警察が確認したところ……

ちゃぶ台の前に座っている悠。入ってきた望に振り返ります。台の上には湯のみや塗椀が見えるので朝食の支度をしていた様子。
「おはようございます」
しかし無言で奥に行く望。

PCモニターに映し出されるニュース番組。画面の右上には
住宅街で吊るされた遺体
事件事故両面から捜査

とテロップが入っています。レポーターの背後には廃車置場と、その隅に立つ1棟の小さなプレハブ。
……身体に鎖がかかった女性の遺体が発見されました

「朝からやなニュースだね」食卓の席につきながらぼやく三崎。他の面々は黙々と食べています。

ええ、ここが現場です。あちらに見えますでしょうか、電柱があるのですが……あそこに、遺体が吊るされていたということです。ええ、現在、詳しい遺体の状況や、身元などはまだわかっておりません。警察は、事件事故の、両面から捜査を続ける方針です

もっともらしく口を閉じた中年の男性リポーター。しかし画面は真っ暗になり、そこに受信中、と緑の文字が点滅します。同時に鳴り響く警報音。
「……あら」
先に食事を終えたのか、食卓からやや離れてタバコを吸っていた志藤が身を起こします。しかしPCに一番近い三崎が振り返り、
「はい、駆除班」
『調査班です。気になる情報が入りました。今朝、吊るされた遺体が発見されたんですが、』
「おお、今ちょうど(ニュース)見てたとこ」
『その状況が、2週間ほど前に駆除した実験体、S-443の捕食方法と似ているんじゃないかと』
顔を見合わせる一同。
「S-443?」
「……百舌鳥の早贄の」

けけえ、と怪鳥のような声を上げるアマゾンの記憶。
くぁっ、と苦痛をこらえるような声を発するオメガ。


ああ、というようにわずかに福田が顎を上げ、
「悠がどじ踏んだやつか!」と覗き込んでくる望。「うちに来て最初の狩り」

駆除班の面々が銃を手に警戒する中、百舌鳥アマゾンと格闘するオメガ。その背後の地表には土のわずかな盛り上がりから成る線が走り、百舌鳥のそばまで迫ります。誰が見ても、そこにマモル/土竜アマゾンが潜んでいて、オメガと挟み撃ち作戦だとわかる状況。
口笛を吹き合図する志藤。
しかしその合図が耳に入らなかったのか、必殺の飛び蹴りで百舌鳥を襲うオメガ!
吹き飛ぶ百舌鳥、百舌鳥が吹き飛んだあとの、何もない空間に飛び出してくる土竜。しかし宙に突き出した両腕に、触れるものは何もなく、
「えっ?」拍子抜けして周囲を見回す土竜。そして、その穴の縁に着地してしまい、バランスを失うオメガ。
「ああああっ」落ちまいともがくオメガ。
「……水澤くん?」
「ああああああ! ……くぁっ」
こらえようとしたのもそこまで。たまらず土竜の上に落ちてくるオメガ。
「水澤くん、何してるの」オメガを払いのける土竜。慌てて這い上がろうとするオメガ。「水澤くん、邪魔! もうぼくに……」
狭い穴の中に大のアマゾンが2体もいればもつれ合って外に出ることもままなりません。
「あっちゃあ」失笑する三崎。
「ばーか」吐き捨てる望。
福田も帽子に手をやります。
「たく、何やってんだよ」志藤が呆れる前で、なんとか這い上がってこようとするオメガが中に引きずり込まれ、派手な土煙が。


「たく、味方の罠にはまるとか、コントかっつーのぉ」思い出し毒づき、ってあるのでしょうか。
「でも、あの合図でわかれって言われても」望の声に口をとがらせる悠。
「まーま、慣れだからね慣れ」なだめる三崎。望、とたしなめる志藤。
「……ともかくだ。確かにあのタイプは、人間干しだったな」

虫達のおやつにも色々あります。糸で雁字搦めにしていた蜘蛛。新鮮な肉を冷蔵庫に入れ、冷凍庫で長期保存もしていた蟻。
そしてあの時、百舌鳥と戦うオメガの背後にあったものは――。
打ち捨てられたクレーンの、長い首の上に広げて干すように、あちこちに引っ掛けられていた複数の人間の身体。その1人の拳が、神経の作用かぐっと固く握りしめられます。

皆が犠牲者たちの様子を思い出していたところで、食べかけのハンバーガーに煮干をポイと載せる三崎がいじわるです。
「やめてよ!」
『同じタイプの実験体はまだ残ってますし、。今回もその犠牲者の可能性はあります』
調査班の人は駆除班コントの間黙って聞いてたんですね。
ハンバーガーを取り落としてしまったマモルがもうやめてよとまだ泣き声を上げ、無言でトイレットペーパーのロールを差し出す福田。マモルがもぞもぞと手を伸ばして畳の上を片付けたあと、志藤もとって座卓の上を拭きます。
「でもな。たしか前の時は、全員仮死状態だったはずだがな」
「あ、そうそう」相槌を打つ三崎。「やつら腐った肉は喰わないからね。死んだ人間干したってすぐダメになるし、違うんじゃない?」
「識別コードの反応も出てないんだよな?」
『はい……ですが、完全に覚醒しない前に人を喰うやつもいますし、その段階だと我々には発見できません。いちおうそちらのアマゾンたちに、周辺を確認してもらえればと』

発端2

会話に夢中で箸を動かすのをやめた三崎の、持ったままの茶碗に、強引に手を出す望。おかわりをよそってあげるのかなと思ったら中に入った食べ残しの飯をかきこみます。
無理に取り上げようとしたので一瞬茶碗を下に落としてしまい、磁器が天板にぶつかるちん、という音に
「何やってんだよ」と注意する志藤。
そこでおもむろに箸を置き、口を開く福田。
静かに食え
せっかく福田が発言したのに、
「(皆)わかったから」といなす志藤もひどいです。改めてモニターの方を向き、「了解」

志藤が返事した瞬間、通信が終わり、テレビに切り替わるモニター。先ほどのレポーターがまだ現場に立ったままレポートを続けています。
最近、行方不明事件が続いており、周辺住民は不安を……
「2人も行く必要ねえだろ」マモルに振り返る志藤。「マモル、一也と行って来い」
「ん!」良い返事で立ち上がるマモル。
「ええ? おれ全然食ってない」おしゃべりに夢中になるとお箸がおろそかになるらしい三崎。
「はあ?」自分が悪いのかと言いたげに短く威嚇する望。
「……ごめんなさい」

通報によると、遺体が発見されたのは午前5時頃だと聞いておりますが?
仕方なく立ち上がる三崎。テレビはインタビューに切り替わっています。現場近くに勤務する男性、とテロップが入り映しだされるのは、スエットの両腕に異様なものを巻いた男の姿。
ええ。ここの廃車置場、うちのなんで、ほぼ毎日ここに来てますけど昨夜帰る時は何も。ま、どうやってあんなとこにぶら下げたのか知りませんけど。ひどいやつがいるなって
「おいちょっと待て!」出ていこうとする三崎、マモルを呼び止める志藤。三崎はフード付きスエットの上にまたどてらを羽織っていますがそれで出るつもりなのでしょうか。「……なんでこいつ、誰かがやったって決めつけてんだ?」

おおちょっと推理ものっぽくなってきましたね。
インタビューされる男は、首から下しか映っていません。それ自体はプライバシー保護にうるさい最近のテレビ番組としては自然なことですが。

「警察は事件事故の両面から、って言ってたよな?」
「ああ、確かに」三崎が相槌を打ち、福田は
「あのサポーター……」と指摘します。両腕と左手首に巻かれた黒いもの。デザインも異様ですが、そもそも二の腕にサポーターをしているのもあまり見かけません。
「もしかして」目を凝らす悠。
「腕輪隠してる」言うや立ち上がる望、後に続く悠。

……いいですか? 仕事がもう、あるんで」モニターの中では、話を打ち切り、カメラに背を向けかける男。そこで志藤も湯のみを置き、立ち上がります。
ばっと音を立て、駆除班の隊服を羽織る悠。
その背を見て微笑み、それぞれに出動準備に入る駆除班の面々。

思惑

野座間製薬。
「本部長」窓辺に立つ水澤に声をかけ、ともに螺旋階段を降りていく加納。アタッシュケースを手にしていますので、何処かから戻ってきたところでしょうか。「また駆除班が動くようですが、悠くんはあのままでよろしいのですかね」
「今のところ、連れ戻すのは無理ね……」

研究所での一幕。
なだめようとした水澤の手を振り切った悠の、反抗的な目。


「強引なことをしてどこかへ行かれるより、目の届くとこにいたほうがいいでしょ? ……正直、悠の戦力を当てにしているのも事実です」
階段を降りきったところは、水澤の執務スペース。
「駆除班員の補充。……が間に合ってませんからね」
「今のうちに遅れているプロジェクトを完成させないと。駆除班を時間稼ぎに使うのは限界がありますから」
電動カーテンを開けさせる水澤。
「例の、鷹山仁、の有効活用も考えられては?」
答える前に、両手を握り合わせる水澤。
「『実験体以外のアマゾンも駆除する』、――かれがその考えを捨ててくれればね」

***

雑居ビルの七羽の部屋。横たわり瓶ビールをラッパ飲みしている仁。台所では七羽が鶏肉をソテーしています。肉を裏返そうとして油はねに苛立ち声を上げる七羽。
「あっち! 何だよこの油!」
「今朝のニュースの吊られた遺体、ネットに画像流れてたんだけどさあ……」構わず話し始める仁。スマホを眺めています。「どんどん消され始めた。たぶん、またどこぞの情報規制だあ」
「あっち!」また悲鳴を上げる七羽。「何。実験体絡み?」
「かもね。相変わらず徹底してる……政治家レベルで動いてないとできないな、これ」

百舌鳥の早贄に限らず最初から野座間製薬の情報統制力はすごいですよね。街なかで私兵とバイオテクノロジーで創りだされた怪人が戦闘を繰り返しているのに何ヶ月も噂にもなっていないなんて。仁の慨嘆は今更です。

「はあああ。実験体の情報、こういう地味なのしかつかめなくなっちゃったなあ……」
無言でソテーしている七羽。
「おれ、悠のやつに比べてもう一つ感度悪いからさあ」
無言でソテーしている七羽。
「ああああああ……つらいなー!」
無言でソテーしている七羽。でも微妙にそのいらだちを鶏にぶつけています。
「つらいなー! ……またあ、盗聴とかできないかなあ……」
ソテーしている七羽。
「つらいなー! また盗聴できないかなー!」
菜箸を鶏肉に突き刺す七羽。怖いです。そのままぐりぐりと串刺しの肉を熱いフライパンに押さえつけます。激しくなる音。
「つらいなああああ」
「ああ!」菜箸を放り出す七羽。「わかったよ!」
ほら、飯、と皿を食卓に叩きつけるように出す七羽。
「さっさと食えよ」
「ああん♡」起き上がり満足気に唸る仁。「頼りにしてまーす。……七羽さん。ちゅっ (´ε` )」
「やかまし」

サングラスの男

廃車置場。バイクの悠に続き、静かに停まるノザマペストンサービスの車両。
「あの男、ここのオーナーって言ってたよな」ぼそりとつぶやく志藤。「虫の気配するか」
「ううん」と答える後部座席のマモル。
「悠は」
「いや」バイクを降り志藤の側の窓辺に近寄ってくる悠。「ただ、直接見たわけじゃないし、絶対ってわけじゃ」
「まあなあ」溜息をつく志藤。こんな時は。「一也、軽くあたってみろ」
後部ドアを開け降りていく三崎。了解、と軽くプレハブの入口の前まで小走りで進みます。髪を整えたり、監視カメラの前で頭を下げてみたり、おどけてみたり。
「何やってんだよあいつ」呆れる志藤。福田はさっさとダッシュボードからとった本を読み始めています。
何の反応もないからか、途方にくれたように車を振り返る三崎。
行け、と合図する志藤。
改めて表情を作り、インタフォンを押す三崎。

プレハブ内部。
モニターをインタフォンの映像に切り替える男。
「何ですか?」
「あ、どーもおー。あ、こんにちはあ」愛想よく話し始める三崎のアップ。胡散臭い。「わたくし、害虫害獣の駆除をやっております、ノ、」
皆まで聞かず通話を切る男。
「……」無言のまま車のほうを見て、手でバツ印をつくり、駆け戻っていく三崎。
「だめか」
「めんどくせえ。ちょっと乗り込んで顔見てやれば」
「望。お前なんでも力ずくで解決しようとするなあ」
後部座席から身を乗り出してくる望。三崎も到着します。
「でもさ」
「志藤さんの言うとおりだと思うよ」口を出す悠。「騒ぎになるともっとめんどくさいことになる」
「ああ」我が意を得たりというように頷く志藤。「だから乗り込むんじゃない。……忍びこむんだw」
人の悪い笑み。それを聞いて三崎もシシシ、と笑い出します。
「……ええー?」呆れているのは悠だけ。マモル、望もニヤニヤと笑っています。うつむく福田。
車両のドアが開き、降り立つ一同。
「虫じゃないか確認できればそれで終わりだ。行くぞ」先に立ちプレハブの裏へ回ろうとする志藤。あとに続く一同。遅れ馳せについていこうとする悠に、福田がささやき、背中をたたきます。
慣れろ

***

廃車置場の、プレハブの中。
無聊のためか机の横の棚から小さめのバーベルを1つ取り上げ、腕のトレーニングを始める男。今度は後ろ姿。相変わらず顔が映りません。
「くっそ、何でおれの場所が荒らされるんだ。誰があれを……」百舌鳥の早贄のように、電線にぶら下げられた人体。「こういうのが一番ストレスが溜まる! 」
独り言の声が大きいです。しかし窓の外が気になるのか、突如立ち上がりブラインドを指で引き下げて覗く男。ぶらぶらと近づいてくるノザマペストンサービスの面々が丸見えです。
「……あいつら」

新聞配達の男

郊外の駅から出てくる2人の男。そこから徒歩圏の資材置き場近くまでやってきます。何かを探しているのか、何気なさを装いつつ周囲を見回す2人。
「武田さん」若いほうの男が顎をしゃくり、先に立って移動します。

そこには、建物の影にしゃがみ込み、もそもそと調理パンを食べている新聞配達の男。

「すみませんね食事中に」その前に立つ2人。若いほうが警官の身分証を示します。「ちょっといいですか」
「今朝の、吊るされた遺体が発見された現場に、いらっしゃいましたよね」武田と呼ばれたほうの刑事も口を開きます。「あのへんの新聞配達をされてらっしゃるとか」
「……はあ」顔を上げる新聞配達の男。しかしその顔に、何かをこらえるような表情が幾度も走ります。
「発見時の状況をお伺いしたいんですが」気づかず話を続ける武田刑事。
「ん? どうかされました」近い分気づいたのか、男の苦しみに声をかける若いほうの刑事。
答えずただ肩で荒い息をつき、苦しそうに顔をしかめて立ち上がる男の様子がただごとではありません。

分断

廃車置場。車の間をぶらぶらと歩いているノザマペストンサービスの一同。周囲の車のうち、1台のワンボックスカーに目を留め近づいていく志藤。あたりを伺いつつ後ろ手に後部ドアを開けます。
一瞥。何もない、とそのドアを閉じかけ、しかし何かが気になって振り返る志藤。中にはレジャー用の道具が雑然と入ったままになっています。その下に広げられた防水シートをめくってみる志藤。
「……おい」
近くにいた悠、マモルが駆け寄り、シートの下のものを目にします。こみ上げる吐き気をこらえるためか、即座に背を向け、うつむく悠。無言で立ち尽くすマモル。
「やっぱり。ここの人が虫……」呻く悠。
「かもな」ドアを閉める志藤。三崎、福田も近づいてきます。

そこへ鳴り響く通信音。

「駆除班、志藤」
『実験体の識別コードを確認しました。予想通り、2週間前と同タイプです』
百舌鳥だとすれば干してないのはおかしいと思うのですが。
「やっぱりか」望がつぶやき、
「今ちょうど現場に」と応じる志藤。
『それが……場所はそこじゃありません』
「何?」
『マップ転送します』
顔を見合わせる一同。
「じゃあ……ここの人は虫じゃない……?」顔を上げる悠。
「それか、どっちも虫」応じる望。
皆でプレハブの裏手をまじまじと見つめています。

とうとう動き始め、ドアに近づく志藤。ノブをつかみ、静かに回します。つまみ錠がかかって動かないドア。音を立てぬよう、また静かにノブを戻す志藤。――しかし内部では、男が息を呑み、ノブの動きを見つめていました。
「望……マモルとここに残って、虫なら狩れ。ほかはおれと来い」
とっさに判断する志藤。そのままドアを背に歩き出します。
敵の数が減ったことを、内部で確認している男。

百舌鳥との遭遇

資材置き場。立ち上がった新聞配達の男に怯え、後ずさる2人の刑事。男の身体からはしゅうしゅうと湯気が立ち、その顔面には太い静脈状の文様が醜く浮き出ています。
「お、あああああ!」その異形ぶりに驚く刑事たち。
「ハラが……減ツた……」
叫ぶ手前の若い刑事を軽く殴り倒し、武田刑事を睨みつけた時には、すでに变化を遂げた百舌鳥アマゾン。

現場へ急行するノザマペストンサービスの車両と悠のバイク。

***

一方の廃車置場。残された望とマモルは、まだまじまじとプレハブの裏手のドアを眺めています。
「虫の気配は」
「ううん」
「とりあえず、直接確認しないとな」ため息をつき1人ドアに近づく望。とんとんとん、と3回窓ガラスを叩き、反応がないかと顔を寄せます。

プレハブ内部。スニーカーの足で足音を忍ばせ、床下収納庫らしい蓋のところへ近づいていく男。そっと取っ手をつかみ、持ち上げます。

ドアの前。
「返事がないなら、勝手に入りますよー」低い声で、誰に聞かせるともなくつぶやく望。「いいですねー」

カチャカチャとドアを開ける音。振り返る男。

***

「!」
2人の刑事に襲いかかる百舌鳥アマゾン。若いほうを殴り倒し、まずは武田刑事をポンプ室の周囲の柵に乱暴に叩きつけ、ひっかけます。その状態で何度も無防備な腹を殴りつける百舌鳥。仕上げにアッパーカット。高く飛び上がった武田刑事の身体は勢いで裏返り、うつ伏せに柵にひっかかります。
続いて若いほうに向かっていく百舌鳥。殴られアスファルトの上を転がる刑事。

と、その時、百舌鳥めがけて自転車が飛んできます。叩き落とし、前へ向き直る百舌鳥の視界に入ってくるのは……仁。

「いって」手を振り、モッズコートのポケットに入れる仁。
アマゾン、小さくつぶやき、走り寄ってくる百舌鳥をその熱量で跳ね返すアルファ。
いつもの通り左手を胸にあてたまま、ゆるゆると百舌鳥に近づき襲いかかります。

同時に、咳き込みながら起き上がった若いほうの刑事が、武田刑事のほうへ走り寄っていくのが見えます。
数発拳を入れ、百舌鳥を殴り倒すアルファ。

「……」起き上がり用心深げに距離を取る百舌鳥……を、背後から急行してきた悠がバイクで跳ね飛ばします!

バイクを停め、そこに立つアルファをまじまじと見る悠。要は七羽がまた、傍受? 盗聴? に成功したというわけです。
「仁さん!」
「よう」
ようやく起き上がる百舌鳥。アルファに襲いかかるのを一撃で払いのけます。そうしておいてヘルメットを取った悠を見つめなおすアルファ。
「ほう? ……似合ってんじゃん♡」
駆除班の隊服のことだと悟り、ややうれしげに口元をひくつかせる悠。

ぴるるるるる、再び起き上がり両手を広げ威嚇する百舌鳥を、今度はノザマペストンサービスの車両が跳ね飛ばします!
繰り返しはコントの基本。

「悠、ぼうっとしてんじゃねえ!」降り立ちざま銃を構える志藤、福田。
「アマゾン!」変身し、その緑の炎で百舌鳥を弾き飛ばすオメガ!

だんだん百舌鳥が可哀想になってきます。
この直後、立ち上がった百舌鳥に跳びかかるオメガの動きが好き。それを危うく交わす百舌鳥に、今度はアルファの蹴りが。交互にかかってくる2体のアマゾンに、しかし、立ち向かう百舌鳥が結構頑張っています。蹴りをかわしてオメガの横腹に拳を入れる百舌鳥。
アルファと相討ちになる百舌鳥。
2体動時に跳びかかる赤と緑のアマゾンの、その真中でうまく交わす百舌鳥。そのためにアルファの蹴りがオメガに炸裂しました。

ようやくアルファの回し蹴りが入り、壁まで突き飛ばされる百舌鳥。立ち往生したところへ志藤、福田、三崎の特殊銃弾が跳びます。
頭に受け黒い体液を飛び散らす百舌鳥。アブね、とつぶやいたところへ、オメガが腰から武器を引き抜きます。今回はどういう原理か、鎌の形になっている武器。それを構え、アルファと戦闘中の百舌鳥へ猛然と走っていきます。
「ううううああああああ!」
ひょいと避けるアルファ、その背を踏み台に高く跳ぶオメガ。
トマホークよろしく振り下ろしたその刃が、百舌鳥の首筋にかかると、相手の腹を蹴って掻き切る動作。

体液を撒き散らし倒れ転がる百舌鳥。ごぼごぼと不吉な音を立て、息をつきます。
「……!」それをなおも鎌を振り上げ、相手の出方を伺うように睨みつけるオメガ。残心ができています……と思ったら。
「うう……っ」衝撃のゆえかわざとなのか、貧相な人間の姿に戻り、泣き顔で倒れたまま胸を押さえる新聞配達の男。
「!?」それを見て、振り上げた鎌を、ゆるゆると下ろしてしまうオメガ。「……くっ」
あからさまな戦意喪失。棒立ちとなったオメガに
「悠、どうした!」と志藤の檄が飛びます。
叱られる理由はわかっていても、どうにもできないオメガ。
「ううっ、」呻きながら不格好に起き上がる新聞配達の男。

「……っ」不機嫌に唸るアルファ。舌打ちし、つかつかと歩き出します。「退け」
オメガを突き飛ばし、とどめをさすため新聞配達の男へ向き直るアルファ。しかし時すでに遅く、苦し紛れに泣きながら跳躍した新聞配達の男は、見る間に空の彼方へと飛び去っていきます。
「調査班、虫追いできるか!」
『待ってください』うろたえる調査班の声。
「……ったく」

しばしの沈黙。うなだれるオメガ。荒く息をつく音が、嗚咽のようです。

『……それが、今の戦闘で腕輪に損傷があったらしく』
追尾不能。溜息をつく志藤。その傍らで変身を解く仁が、同様に変身を解いた悠を睨めつけます。
「お前確か、『狩らなきゃいけないものは狩ってぇ、守りたいものは守るぅ♡』とか言ってなかったか」からかうような裏声。次の瞬間真顔に戻り、左手で悠の頭をがし、とつかむ仁。目を上げる悠に、低く凄みます。
「は? そんな甘ちゃんで、できるかって」

絶体絶命

廃車置場のプレハブ。
ドアが開き、望が先に立って入ってきます。
そこは小さな事務スペース。コーヒーメーカー、冷蔵庫の並びに、綺麗に整頓された大小のダンベルが置かれ、窓際には机。

――その先の床に、開いたままの上げ蓋。

先程まで床下収納と思っていたそこは、中は意外に深く、降ろされたハシゴの先は真っ暗で見えません。
床に両手をついて覗き込み、それから、あとから入ってきたマモルに、
「あたしが入る」と告げる望。
「大丈夫?」

地下室内部。真っ暗な中へ、降りてくる望。ヘルメットのライトを点けます。
「高井くん?」先ほどの望と同じようにかがみ込み、中を覗くマモル。

下に到達するやいなや、異臭に顔をしかめ、奥へと歩み出す望からの返答はありません。やがて足を止める望。
「やべ、……ガソリンだ」
「うわああっ!」
その背後に落ちてきたマモル。誰かに突き飛ばされたようです。
さらに駄目押しのように、点火したままのジッポが投げ入れられます。たちまち燃え上がる眩い炎。
「ああ、しまった!」

上では男が、勢い良く上げ蓋を閉じています。

「高井くん!」立ち上がり怯えるマモル。「どうしよう!」
寄り添い立ち、背中合わせに周囲を見回す2人。困惑し顔を見合わせたところで、一層激しく燃えあげる炎の明るさに画面が白く溶けて以下次号。
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2016.05.14 00:18 | amazonz ΑΩ | トラックバック(-) | コメント(-) |
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