LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

最初に観たのは7/6。思いのほかロングランになったお陰で先日も2回目を劇場で見ることができました。
2回目行きたいと思いつつなかなか実現しなかったので、その間に原作である小説の方も読了。
その都度Twitterで簡単な感想書き飛ばして終わりにするつもりだったのですが、このくらいはまったのならやっぱり書いとけと思いまして。
いや面白かった。
面白かった第一の理由は、やはりアクション。全国の忍者ファンにはぜひお勧めしたい。
前情報なしで、ただ予告編だけ観て行ったのですが
の文中のトミーこと富田稔さんがアクションコーディネーター、久世浩さんもいらっしゃれば、はたまた和田三四郎さんや杉口秀樹さんとニチアサクラスタにとっても豪華絢爛なアクション陣。アクロバティックな忍者アクションが縦横無尽に展開され、その下忍乱舞のなかでキャスト陣も戦国武士は戦国武士らしく力強く、上忍は上忍らしく剛直に、そして主人公・無門役の大野さんは無門らしい軽やかかつしなやかな殺陣を展開されていて相当に見応えがあります。
無気力無感動で強い

物語は戦国の世で傭兵集団として活躍した伊賀国に、乱世の雄、織田信長が息子・織田信雄(のぶかつ)が侵攻をしかけるところから。
多勢に無勢と不利な条件ながら、相手の慢心を逆手にとり、得意の人心撹乱の術で勝ち抜こうとする伊賀十二家評定衆。
勝算成った! というところで――「雇い主のいない=金の出ない戦に命はかけられない」とばかり、蜘蛛の子を散らすが如く逃げ出していく忍びたち。まさに金の切れ目が縁の切れ目、愛国心も忠誠心もあったものじゃありません。
伊賀に無門ありとされた主人公はそのなかで――?

白眉は冒頭とクライマックスシーンに出てくる命がけの決着ルール、“川”。
地面に2本の線を引き、その線から出ないように、1対1の接近戦ならぬ、密着戦を展開する忍者たち。足が線からはみ出せば、周囲を取り囲む仲間たちが、白刃を以て追い立てます。やがてどちらかが倒れ、地面の2本線とともに川の字を描けば終わり、というのがその名の由来。
もちろん2回とも、勝者は無門です。主人公なのだから結果は決まってる、わけなのですが、それにしても殺陣の手数の多さ、速さ、キレの良さ、元々嵐の大野さんといえばダンスの上手い方だという認識はもっていましたけど、ここまで見事に演じられるとはと度肝を抜かれました。主な相手役となる鈴木亮平さんや伊勢谷友介さんが豪剣ならば大野さんはよく手入れされた苦無、という趣。小柄で、飄然と力の抜けた立ち姿。軽い声音。しかしここぞというところで、過不足無く加えられる怜悧な一撃。
終盤、2度めの川については鈴木さんと大野さんの歴然とした体格差から、殺陣も噛み合わないだろうと思っていたのですが、実際には体格差があるからこその立体的な動きになっていて実に見応えがありました。

その凄まじいアクションは戦のシーンでもふんだんに見られますがどちらかというとワイヤーアクション(無門の着地はスーパー・ヒーロー着地ではなくプリキュアブラック着地)や、パルクール、XMAがメイン。また忍者ならではの「変わり身の術」や「土遁の術」「木隠れの術」などは漫画的かつユーモラスに表現されてメリハリが効いています。
戦だけでなく、無門たち忍者が、その身体能力を活かしてアクロバティックな土木建設に励む築城シーン、戦に金が出るぞと言われ笑顔で馳せ参じつつ忍者装束に着替える着替えシーンなども地味に面白かった。
勝算ありと思えばひっくり返され、罠にかけたと勝ち誇れば逆に自分が相手の術中にはまっていたと背筋を冷たくするなど、くるくると彼我の立場が変わる乱世ならではの心理戦もわかりやすく楽しかった。

痛えとこ突きやがる

冒頭、織田信雄が婿として入りこんだ伊勢国・北畠家を倒すシーンの重厚さ(Twitterにも書きましたが、時代物は結構観ていたつもりがこんなかっこいい北畠は初めてでした! 國村隼さんすごい)、対する伊賀側の、忍者たちの飄々とした軽み、醸し出されるユーモア。
その対比が面白く、かなり終盤までただ面白い、おかしいと笑って観てしまうわけですが(忍者たちを見た後の織田側の重々しい演技がまたおかしい)、やがて無門たちの軽みとは、かれらが人の命を、人の情を、尊重し重んじる心を切り捨ててきたところに端を発したものとわかってきます。
冷酷無情であるからというよりは、そういうものと割り切らなければ、同様に軽い命として扱われる己自身も救われないから。
身近に展開される殺戮を、ただ無感動にやりすごしてきた無門は、ただ1人の弟の死を嘆き、冷酷な仲間たちに憤り、全身で運命に抵抗しようとする上忍・下山平兵衛と“川”を通じて触れ合い、いつしかやり場のない怒りを、我が身のうちにも抱くようになります。

根っからの忍者として、誰よりも残忍な生き方をしてきた無門がそうなったのは、美しい妻・お国に惚れ抜き、彼女の歓心をかうために、形だけでもお国の言う、まっとうな生き方をしようと努めていたから、かもしれません。下地ができていたというべきか。

かれの怒りに対し、お前も我らと同じ無情の徒、金さえ貰えばなんでもする、虎狼の族の1人ではないかと指摘する百地三太夫。
「痛えとこ突きやがる。確かにその通りだ」
しかし後先考えて無茶ができるかと、戦勝の喜びにわく忍者たちの輪の中で、啖呵を切る無門。大野さんのファンになってしまいそうです。
そして――。

アメリカでの試写では、ニンジャニンジャと終始大爆笑で沸き返っていた会場が、ここでしんと静まり返ったそうです。
悲惨な運命と、そのすべてを
「かわいそうな人……」と包み込む、お国の愛情。無門の頬に伸ばされた、白い手の美しさが鮮烈でした。
先に希望を残すラスト。青い空と青い海。その狭間にむせ返る、土埃の匂いと草いきれ。最後の最後に
「お前かい!」と笑わされます。いやこれはお見事な忍者映画。忍者ファンなら必見です。
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2017.08.11 23:06 | dvd box 観たらめも | トラックバック(-) | コメント(-) |
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