LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

こしげさんがアクション監督を務められた映画で監督は坂本浩一さん、人見早苗さんもご出演、そしてメインの俳優さんが芳賀優里亜さんに水崎綾女さん、小池里奈さん。「カブト」の田所さんこと山口祥行さんも。
直木賞作家の原作は読んでいませんでしたが、特撮好きなら是非観たいと思うラインナップ。
だったのですが、予告が耽美(女性同士のセックスシーン)とわかりやすいエロ(女ばかりのファイトクラブ)を強調していてなんかちょっと観に行きにくいなと思い、しばらくはぐれていました。
たまたま機会があり昨日鑑賞。
燃えました。もっと早く観ればよかったと思いました。たぶんまた観返すだろうなとも思います。
でも予告から感じていた残念な部分がそのままあったのも事実で、色々惜しい。アクション好きな方にはおすすめです。


IMG_2805 / Zemzina


記事タイトルに映画「赤×ピンク」とわざわざ映画、をつけたのは、
「原作小説と全然違う」との評を目にしたからです。以下はあくまで映画の話。
魅力的な舞台、魅力的なキャラクター、皐月とミーコ

舞台は六本木。当て所無く街を彷徨う少女がたどりついたのは、廃校を利用して夜な夜な開かれる女たちのファイトクラブ「ガールズブラッド」。
ファイトクラブとはいえ、ほとんどの女たちはただの見世物。イメクラまがいのいかがわしい衣装を身に着け、泥んこのキャットファイトを演じ、金網で囲まれたリングに上がらないときには、酒席にはべり――。
ですが、中には本格派もいます。
空手でインターハイまで行ったプライドゆえか、他とは馴れ合わない寡黙な皐月。
ガチの格闘に憧れつつ、皆に期待されるSMの女王様を演じ、体調の悪い者の代わりにダブルヘッダーにも応じる気のいい女、ミーコ。
彼女たちの闘いを観て、
「あたしもあの檻に入りたい」と思い立つ少女は、ミーコの案内で興行主に会い、その愛らしい容姿からまゆ十四歳というリングネームを得ます。

檻の中でしか、闘うことでしか、己を解き放てない女たちの拠り所、ガールズブラッド。
どの女も、心の中には、女になりきれない少女の部分を残している。
そこへ新たに理由ありの女が飛び込んできて、物語が動き始めます。

主人公・皐月は性同一性障害。それを母親に勘づかれたことで家にいられなくなり、一人暮らしの今も、自分への嫌悪感から己の心のうちを誰にも見せぬよう、ひた隠しにしているのがいじらしい。新入りの女、上海娘リリーこと千夏と戦った際、凄まじい力量で皐月を打ちのめしつつ、
「一緒に死んでよ」と切なく囁いてくる相手に心を奪われます。

「フラッシュダンス」の主人公のような簡素な住まい、バイクとフルフェイスヘルメット、かっこよく可愛い男の子というイメージそのままの皐月。女性を好きになれば即相手とのセックスを妄想しますし、その妄想の中での皐月の表情も、<相手の反応をしっかり見て楽しむ>男性的なものです。
演じる芳賀優里亜さんは「ファイズ」の頃から勝ち気でボーイッシュな演技がスリムな肢体や整った顔立ちと相俟って、一種侵し難い、硬質な魅力を持つ方でした。今回の皐月も、胸に巻いたサラシを隠すビスチェとホットパンツ、ブーツの上に真っ白なロングコートを羽織るという、かっこいいとはこのことだと言いたくなるような衣装でのガチンコファイト。惚れた女を拳で殴りつけながら
「あたしの女になれ!」と叫ぶ激情も、相手に誘われて初めて関係を持つ時の怯えた表情の可愛らしさも(妄想ではあんなに自信たっぷりだったのにw)、ほんとにほんとに素敵です。
アクションシーンが多く、もちろん要所要所にスタントは入っているでしょうが蹴り技主体のヒーローアクションが長い脚に合っていてかっこいい。
ラスト、女の恋人を伴い実家へ戻る皐月の、ドアを開けた母親に見せる仔犬のような表情にはぐっときます。
ただ、この皐月は心が男なわけで、わたしにとっては感情移入の対象ではなく、客体化してただ素敵だと思う対象。

これに対し、心を病んだ母親に虐待され、父親には見て見ぬふりされたまゆの、可愛らしい言動の影に口を開ける闇の深さと、彼女に面倒見の良さを発揮するミーコの、他人からすれば「ばかばかしい」「もったいない」としか言いようのない転落のきっかけに心を掴まれます。

千夏という災厄によって彼女たちが互いの心を打ち明けるきっかけを得た後、本来の優れた資質を発揮しようとしないミーコに苛立つ皐月が
「お前と闘うのあたし嫌でさ。お前いっつも計算してんだろ? 客がどうすれば喜ぶとか。……他人が望むことばっか応えてるから、自分がどうしたいかわかんなくなんだよ」と活を入れると、
「話の流れからしてあたし責められる役じゃなくない(お互いまゆ・千夏を失った喪失感を確認し合った直後)?」と呆れるところも大好き。
演ずる水崎綾女さんは目鼻立ちのくっきりした愛嬌ある美貌と骨格のしっかりした肉感的なボディで、SM女王様の出で立ちはほんとうに坂本監督ありがとうございますと言いたい。ミーコのタフさ、懐の深さ、明るさに合っていて、わたしもこういう人になりたい。ミーコ大好きです。
アクション面も、元々この方はアクションのできる方なのですが、後半の演出には特に燃えました。ガールズブラッドの皆も彼女が実力者なのは知っていて、千夏との対戦シーンで
「ミーコが本気だ……!」と周囲がその力量を間接的に察するところもよかった。

この2人のバディストーリーだったらもっと燃えたなあと思いますが、しつこいけど皐月は心が男なので、ミーコとは友情というよりただ同じ釜の飯を食う、ならぬ同じガールズブラッドを拠り所にする仲間感しか醸し出せてないのが残念。
あと、ミーコでさえ皐月(のセックスシーン)に比べると尺が短く、回想シーンでは優等生だったはずなのにセーラー服に明るい茶髪とか、ずいぶん手抜きな描写だなあと感じてしまうのが残念。もちろんメイン4人以外はほとんど賑やかし以上の出番なし。
前半小狡さばかり強調されていたくせに後半、水くさいじゃない、あたしたちにも声をかけてよ的に登場するあのJK風の子(モモミーだった)とか、大島遥さんのキラー・プッシーとか、もうちょっと書き込んでくれたらいいなと思いました。

燃えるアクション

千夏という災厄と書きましたが、実際ガールズブラッドにとって災厄としかいいようのない女なので仕方ありません。
彼女の夫が空手の名門の総帥ということもあり、非合法の興行に出て一門の体面を汚す千夏を取り戻すため、そして間男(皐月のことですけど心が男なので)を叩きのめすため、表から裏から妨害を加えてきます。
「こいつらみんな黒帯ってことないよな? ……何ハードル上げてんだよ!」とぜんぜん気が乗らない風でいながら、仕方なくわけのわからないまま千夏を守り戦う皐月、のシーンが好きですが、善戦するのは彼女くらいでミーコは闇討ちで不意を突かれ(人見早苗さんのM奴隷姿!)、トレーナーたちは急襲によりぼこぼこにされ、やむなく脅迫に屈し、ガールズブラッドの解散を決意する興行主。
敵役の演技がわかりやすい下衆演技なのでなんかこのあたりはカンフー映画観てるみたいでした。

自分たちの居所がなくなる、という危機感から、相手に試合を申し込むガールズブラッド――。

試合は3回戦。実は個人的に、一番燃えたのが第一試合のまゆです。キャリアの点でも体格の点でも歴然とした差がある相手に対し、いい根性を見せてくれます。
そして第二試合はミーコ。
「ミルコ・クロコップみたいに寝技のエキスパートを立ち技で倒したい。それもハイキックで!」という別のシーンのセリフがここで効いてくるかなと思ったら案の定だったのですが、出て来方がかっこよくてもう燃えました。人見早苗さんは自身テコンドーの名手で、役柄も空手家なのに寝技で攻めてくれてるという不自然さはありますがキニシナイ。「ホームカミング」で瓦礫の下のスパイディに声援を送った方ならわかってくださるはず。
そして最後の決戦が、言わずと知れた皐月VS千夏。ぼろぼろの残心に泣けました。

失礼な言い方ながらこの映画、アクションは坂本監督の良いところがしっかり出ています。特撮ヒーローものでわたしたちを燃えさせてくれた描写、ファイトスタイルには闘う者の魂が現れると言いたいような三者三様の。
ミーコが皐月の家を訪ねてきたあたりから唐突にスポ根青春ものになってしまうのですが、ここから先だけずっとリピートしてもいいくらい。
女性のアクションはキレという点でどうのこうのと先日「ワンダーウーマン」の感想で偉そうに書きましたが、本作は殺陣のつけ方の巧さ(アクロバティックな方向での巧さではなく、細かい足技など格闘中の戦術や呼吸という意味での巧さ)やカット割りとカメラワークの妙で、この「赤×ピンク」にはぜんぜんそんな温さは感じませんでした。
もちろんスタントがいい(長髪キャラは吹き替えがしやすい)のに加え、相手役がガチだというのもありますけど、女優さんたちも頑張った。しつこいですが人見早苗ファンは絶対観るべき。大島ファンは……出番が少ない……

残念なところ

タイトルといい、内容といい、本来女性客の共感をがっつり得られる作品なんだろうなと思うわけですが(原作小説の書評とかはそんな感じ)、どうにもセックス描写などに男性視点が入りすぎ、それが悪いのではないのですが結果として女性客はいらない、という作品になってしまってるのが残念。
というのも、人物の性格描写や、その心情描写にかなり不満があるのです。ヌードに尺とられちゃったなと思ってしまいます。

尤も割をくっているのが千夏で、夫からの暴力を受け続け心を病んだ挙句、
・そこから逃げたい、自由になりたいという行動と
・支配されたい、罰されたいという心情との
矛盾を孕んだ複雑な性格、であるようなのですがそのあたりきちんと描かれていないので結果として彼女の行動のすべてがわけがわからない。
皐月が彼女に惹かれたのには積極的なセックスアピールがあったわけですが、ではなぜ千夏が皐月を落としにかかったか? という点もわからない。彼女は皐月に恋をしたのか、それともやけになった挙句、初心な相手を手近に見つけて利用したのか。
またきっかけはセックスでも千夏には千夏なりの美点があり、そこに皐月が惚れ直すとか、なんかそういう恋愛の機微を描いてほしいのに伝わってこない(2人が寝た後は一応、皐月の性同一性障害を受け入れるっぽい千夏のセリフがあるけどそこはミーコだって似たようなものなのに)。
そのせいで千夏がまったく魅力的に見えず、人と触れ合うことに怯える皐月をいたずらっぽくからかう千夏、というシーンが、同性愛者の皐月を嘲弄する千夏、に見えてしまって、皐月こんな人がいいの? と思ってしまったり。男性にはあれが魅力的なのかなと。

で、さっき暴力描写が嫌だ云々という長文をここに書いていたのですが保存の際何かミスったらしく文章が消えてしまいました。
再度長々書き直すほどのことではないのですが、コゼットというメンヘラゴスロリキャラの子についた客がみんな暴力的というのがほんとに嫌だった。千夏の夫もかなりひどかった。殴る蹴るより胸わしづかみは痛い。人前で首筋舐められるとか考えただけでぞっとする。
男性から女性や子どもへの暴力描写は基本観たくないもので、暴力の後、
「それでもタフに生きていく」被害者の様子があるとか以外はほんとうに苦手なのです。わたしがこの点にこだわり過ぎなのかもしれませんが、女性監督ならこの辺りもうちょっとうまく描いてくれたかもなあと思います。とだけ書いて以下省略。

=小ネタ=
・トレーナーが杖ついてる理由が後でわかるところ好き
・「何で試合にこだわる?」と作中で突っ込んでくれるところ好き
9/4追記。見直していたら大島遥さん(アキバブルーなど)に気づいたので、少し書き足しました。モモミーもリングネーム忘れていたので補足。
勘違いしていたところは修正。
そしてウィキペディアでディスクの映像特典調べたのですが、ガールズブラッドのキャットファイトやトレーニングシーンも含め、アクションシーンだけ集めたバトルセレクションつけるべきだと思いました。「ファイズ」DVDみたいなの。

ミーコがなぜ勝てたのか? という点、説得力がない、という方もいらっしゃるようですが、わたしとしては
「他人が望むものに応える」ミーコが、客の歓声や仲間の応援に応えないわけないと思うので、じゅうぶん説得力はあると感じました。ミーコ自身、ミーココールをもっともっとと煽ることで己を昂ぶらせていて、自分のやりたいことと他人が自分に望むものとを一致させようとしていましたし。……人見早苗さんがなぜ寝技を仕掛けてくるかはまああれですが。
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2017.09.03 13:10 | dvd box 観たらめも | トラックバック(-) | コメント(-) |
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