LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

新年一発目の映画はもっと早くに観に行く予定だったのですが、時間があるときにはお金がなくお金があるときには家族が体調を崩しと、なんだか今頃になってしまって焦りました。
これは絶対「2」があるぞ、と前作「キングスマン」の公開以来心待ちにしていた「ゴールデンサークル」。コリン・ファースのモノローグからすると「3」に行く伏線なのかなとも思えるのですが、いやこれ以上のシリーズ化はやめといてこの辺にしておくのがいいかも?
「キック・アス」から感じていた独特のえぐみが、今回は大爆発しています(文字通り爆発したのは前回ですが、あのときは妙に美しくてシュールな映像になっていたのに)。残虐シーンは好きだけど食べ物で遊ぶのはやめてくれみたいな。

マシュー・ボーン監督について、わたしが心惹かれるのは第一にスタイリッシュなアクション演出であり、「キングスマン」ではそれに加えて英国の紳士スパイという好みの道具立てと男版マイ・フェア・レディという好みの筋立てがあったことから惚れ込んでしまったわけですが。

ノンストップスタイリッシュアクション

というのが惹句の中にあったかと思いますが、もちろん今回もその美点がないわけではなくて、たとえば冒頭、いきなり退勤時のエグジーを襲う旧知の敵! みたいな展開(プリンス「レッツ・ゴー・クレイジー」)はよかったし、<ステイツマン>(<キングスマン>の兄弟組織)のトップエージェント・ウィスキーの華麗なレーザー投げ縄さばきは本当に素晴らしかった。
わたしは仮面ライダーなどでもそうなのですが、1対多のアクションでヒーローが大立ち回りをするときに、そのくるくると円を描くような動きを真上から撮るアングルが大好きで、ウィスキーに関してはそういう描写もたっぷりあり、大満足でした。

ただ、一方、<キングスマン>新旧トップエージェントであるエグジーと、ハリー・ハートのアクションシーンが今ひとつであったのも確かです。
ハリーについては
「復帰したばかりで本調子ではない」という話の流れから仕方がないのですが、一人前のキングスマンとして活躍していたはずなのにくだらない、そして致命的なヘマをするエグジーには呆れましたし、ラスト、ハリーとともに敵組織の本部へ乗り込んでいくシーンは、ジャングルの中のアーリーアメリカンな町を行く2人のスーツの男というシュールさは良いとして、スタイリッシュアクションかと問われるとやっぱりそうではない。コリン・ファースの見事なトスバッティングが見られるとは思ってませんでしたが。
泥臭い、熱いアクションも嫌いではないのですが、たとえば
「ダイナーのスツールに腰掛けて、敵ボスが息を引き取るのを静かに待つハリー」のように、コリン・ファースは居るだけでエレガントかつスタイリッシュな人なのでこれはもったいない話。
エグジーはもともと泥臭い系でしたけど、前回は相手が姿も身のこなしも美しいガゼルだっただけに、今回のチャーリー戦は見劣りがします(あくまでスタイリッシュアクションかどうか、という点からすると)。チャーリーはいいところのお坊ちゃん然とした傲慢さが取り柄だったのに。

見どころはしつこいですがウィスキー(ペドロ・パスカル)。

ループ・ローリンズっていうカウボーイ妙技のエキスパートがいるんだけど、彼が僕のトレーナーであらゆることを教えてくれた。最高にすごい人で投げ縄、鞭、銃使いのエキスパートなんだ。彼は本当に万能なんだけれど驚いたことに、それでいてとてものんびりとしてあっけらかんとしたタイプの人なんだよ。彼は自分の能力には確固とした自信があるから、何も意気込んで証明する必要もない。そういう人から学んだんだよね、この役柄に関してすべてを教えてくれたようなものだね。

MOVIE COLLECTION 「キングスマン」ペドロ・パスカルインタビューより 


あと、予告からエルトン・ジョンが本人役で出ていて、敵組織に囚われ、本部に設けられたコンサートホールで時折歌わされているということは知っていたのですが、そのエルトンのアクションは色々夢に見そうでした。ストーリー上の必然性は全然ないのですがこの起用は神。

続いていた2人の絆

前回の作戦で、北欧某国の王女を救出したエグジー。あのラブシーンは「スピード2」でいうところの吊り橋効果かと思っていたのですが、意外にもそのまま堅実な交際は続いていたようで、とうとう彼女の両親、すなわち国王・王妃両陛下との私的なディナーに招かれるまでに。
下層階級丸出しのエグジーの友人たちにも気さくに手料理を振る舞い、ディナーの前には
「マナーをおさらいしておいたほうがよくない?」とエグジーの気後れを気づかう王女がいい人ですが
「大丈夫。テーブルマナーはたたきこまれてる」と微笑み、ハリーのテーブルマナーレッスンを思い出すエグジーにきゅんとなります。
本当にハリーは、父親のごとくエグジーの面倒を見ていたわけですね。
そのハリーを失って1年。しかしエグジーの心からその面影が去ることはなく、それはエグジーが書斎の壁におのれが関わった事件のタブロイドを貼りつけている(完全にハリーの真似)ことからも明らかです。


Type Species - Behind the sceans in the Entimology department - Museum of Australia / Charlie Brewer


「さしづめ、あんたらはあの鱗翅学者の友達だろ?」

ところが、<キングスマン>最大の危機のなか、死んだと思いこんでいたハリーを発見し、喜ぶエグジーとマーリン。1年のブランクは大きく、かつてのハリーを取り戻すため必死になります。
このあたり、ハリーとエグジーの心の動きはほんとうにチャーミング。
自分は学者であると思い込んでいるハリー、過去が失われていることを悲しむエグジー。
無理やり過去を思い出すよう仕向けられ怯えるハリー、ハリーの苦しみに耐えられずそれを中止するマーリンと、その結果を知ってなおも諦められないエグジー。
ようやく自己を取り戻したハリーと喜ぶエグジー。
片目を失ったためかなかなか勘が戻らず、幻覚に苦しむハリーと、
「ハリーは大丈夫だ」と作戦への復帰に焦るエグジー。
「ハリー・ハートは最高のスパイ」と自分に言い聞かせつつ作戦に参加するハリーと、ハリーのバックアップ失敗に戸惑うエグジー。
唯一の頼もしい味方であるウィスキーに対し、ある疑念を持つハリーと、
「やっぱりハリーはおかしくなってしまっているのか?」と危ぶみ始めるエグジー。
まあ色々あって、最後はこの2人の絆の強さを確信するラストとなります。この点は大満足です。

ですが、この2人以外のキャラクターに対する扱いには情け容赦がありません。雑とも言う。
新しく登場した<ステイツマン>側の登場人物もそれぞれ魅力的で、ロンドンのテイラーが<キングスマン>の本拠地ならアメリカ南部のウィスキー工場が<ステイツマン>だという設定にも、エージェントたちの気取りのなさ、西部劇を観ているような男くささにも惹かれるのですが、この人達ももし続編ができたら同じ扱いを受けるのかなあと思うと好きになるのが心配で仕方ない。
「ハリーが死んだ時、気分が悪くなった」とパンフレットのインタビューで監督が語っていましたが(だから復活させる方法で考えたと)、他のキャラクターだってこんなふうに“処理”されたらショックを受ける観客は居るのです。

魅力的な悪役

「わたしは世界のどの実業家よりも厳格に、良心的に事業に取り組んで成功を勝ち得ているのに、誰もわたしを知らない。どころか、アメリカに帰ることさえできず、こんなどこでもない場所にかくれ住んでいなくちゃならない」
世界最大の麻薬組織、<ゴールデンサークル>。そのボスであるポピーはホームシックに悩み、ジャングルの中にノスタルジックかつポップなアメリカの町を築いています。
ために映画を彩る音楽は「カントリーロード」に「アイ・ウィッシュ・アイ・ワズ・イン・ディキシーランド」といったアメリカンど演歌がメイン。
演じるジュリアン・ムーアは「シングルマン」で共演したコリン・ファースを通じて話を受けたと語っています。
自分は決して麻薬をやらず、部下にも厳に使用を禁じているポピーは立派な実業家。自分たちを日陰者にするなとばかり、アメリカ大統領に法改正を迫る発想も面白く、しかし、大統領の口約束をあっさり信じているあたりがちょっと甘い。愛犬を信じているのかもしれませんが本部に大して私兵を置いてないのも甘い(<キングスマン>以前に、彼女の地位を奪おうとする他の麻薬組織の襲撃など十分予測されるのに)。悪辣なのに抜けている。かなり魅力的な悪役です。

なので彼女の攻略については、口先で騙すようなシーンがほしかったなと思います。エグジーが情報を得るためチャーリーの彼女をスピリチュアリズムを装い口説いたように(「任務でほかの女の子と寝るってあり?」と恋人である王女に電話でお伺いを立てつつ)。ハリーに騙されしてやられたと悔しがるポピーというのを見たかった。けど、そんなシーンはなく、ただ殺されてしまいました。「威風堂々」的な見せ場もなく。
これもある意味雑で、ジュリアン・ムーアがもったいなかったかも。
したたかな大統領にいいところ取られちゃったなあと思います。わたしは大統領の策は非情ですけど、ポピーを騙したという1点だけは偉いと思っています。
1/30追記。ペドロ・パスカルのインタビュー記事から、アクションに関する部分を引用。紹介されているループ・ローリングスはアクション指導だけでなくスタントダブルもやられているとか。ループの綴りがわかりませんが、本名なのか投げ縄にちなんだニックネームなのか?
ついでに誤字も訂正。
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2018.01.15 10:47 | dvd box 観たらめも | トラックバック(-) | コメント(-) |
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