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LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

宴の儚さと、そこからなぜか想起されるシルク・ド・ソレイユ「O」のイメージは共通点だなと思ってタイトルに挙げましたがあとはぜんぜん違う映画です。「O」は日本には来ないんだろうなあ。未見の方にはぜひお勧めです。
ひょんなことから仕事を休むことになってしまい、と言ってもやるべきことを片付けるとかそういう感じの休暇ではないのでぶらぶらと映画を観に行ってきました。折りたたみ以下はいつもの感想文。

空海
遣唐使として長安の都に滞在中の空海は、皇帝急病に際し極秘裏に平癒祈願を依頼されるが、それも虚しく禁裏到着直後に皇帝は崩御。
口止めされて帰途につく空海だが途中目にした怪異に、尋常ではないものを感じ――。


これは素直に予告に騙されました。古の国際都市、富と文化と人種のるつぼである長安を舞台に、中国映画界との完全タイアップというビッグプロジェクト。……と言われたら、「天平の甍」とか、なんかそういう壮大な歴史ものが始まるのかなあと思うじゃないですか。
舞台は雄大で悠久なのですが、物語は夢枕獏です。「陰陽師」とか、あと作家は違いますが「応天の門」みたいな、都を騒がす怪異を描いたお話で、それも怪異集の中の1篇という感じ。漫画の玄象みたいに琵琶がジタバタしてましたし。
人を喰ったような若き高僧(倭人でありながら皇帝の危篤に呼ばれるとは、お話の中ではきっとそういう扱いなのでしょう)・空海と、窮屈な宮廷から抜け出しかねてより構想していた詩を完成させんと階位を投げ出した奔放かつ磊落な詩人・白楽天のペアが、晴明と博雅にみえましたし。

謎とされる部分はあくまで哀しく、美しく、不気味でもあり、しかし画面の豪華さに度肝を抜かれます。

「この映画は美を追うもの」と監督の言葉がパンフレットにも書かれていましたが然り。
ブランコに乗る楊貴妃、氷室に横たわる頬白き楊貴妃、玄宗皇帝が彼女のために開いた宴の素晴らしさと、晴れやかにその場に現れた楊貴妃の、人とは思えぬ美しさ。
白い鶴、満開の桜と、中華風とはちょっと違う趣向もありましたがよかった。あと妓楼で踊り子が舞う踊りがなんとなくペルシャ風で長安っぽいなあとも感じました。
うっかり吹き替え版で観てしまったので(声優が嫌なのでなく俳優の声が聞きたい)また観たい。

THE GREATEST SHOWMAN
貧しい仕立て屋の息子として生まれ、上流の娘に恋をした男が、駆け落ち同然で結婚したは良いものの、妻を、そして娘達を幸せにするためにと上昇志向に取り憑かれてしまう。幸せな家庭を手にしてもなお、「自分を蔑んだ者たちを見返すために」富を、名誉を追い求め危険な賭けに――。

「SING」に似ているという評をちらりと聞きましたが王道のストーリーなので仕方ない。主人公の夢に賛同し、集まってきた人々それぞれがそれぞれに夢を見る。蒸気機関車のように走り続けの主人公に、ついていけないと感じる者も出てくる。反対者による妨害、去っていく味方、どん底まで落ちて、残っていたのは友情と家族の愛。そして、確かに人々を幸せにできる、やりがいある仕事、ショー。
よくある人生賛歌に素晴らしい音楽とダンス。これがエンターテイメントだ、これがミュージカルだ、という圧を受け、あっという間に時間が過ぎていきました。
予告編に採用される冒頭部分もいいし後半の復活劇も圧巻。著名な劇作家をバーで口説くシーンは洒落ているし、少年の日の夢、妻との愛の成就の喜びを歌いながら貧しいなか2児を設けるあたりまでの「A Million Dreams」も美しい。どれもこれもヒュー・ジャックマンが見事すぎて、劇場主として
「もっと人が来る演し物はないか?」とかれが悩むたびに
「あなたが歌って踊ればいいよ!」と突っ込んでいました(あとバーのバーテンもスカウトすると良いと思う)。
フリークスの歌姫による「This is me」もすごいし、主人公が真の芸術と呼ぶヨーロッパの歌手、ジェニーの「Never enough」もすごかった。売店に行ったらサントラは売り切れでしたがさもありなん。シネコンの中でも特に音の良いスクリーンで観たわたし偉い。

で、前評判で何故か物議を醸してるっぽい話も聞いたのですが、おそらくは劇中で障害者や奇形、有色人種を見世物にして
「悪趣味だ、バカ騒ぎ(=サーカス)だ」との悪評を受ける部分のことかなあと思いました(違ったら申し訳ない)。

「エレファント・マン」でもわかる通り、フリークショーは悪趣味の極み。それは全くその通り。
昔は日本でも縁日の一角に「見世物小屋」というものがあり、今思えばフリークスと言われる人たちがおどろおどろしい演出で日銭を稼いでいたわけで、怖いもの嫌いなわたしはついぞ観たことはありません。
ただ、今にして思えば、そしてあくまで本人が望んだのであれば、ですが、あれも貴重な就労機会の1つだったのかなあと思ったりもします。
子供向けショーのMCをしていた頃、チームの仲間に1人、わたしの膝くらいの身長の男性(もちろん成人)がいて、この人は主に小さな子どもの役柄を演じていましたが、アニメの世界そのままの頭身バランスに観客の子どもたちはすっかり本物だと信じ、魅了されていました。可愛らしい、計算された身のこなしと成人男性の運動能力は実に見ごたえがあり、かれに絡む共演者もノッていたと傍目に感じました。たぶん、ですが、同じ演し物をしていたいくつかのショーチームの中で、うちが一番出来栄えがよかったのではないかとさえ思います。望めば自分の特性を職業に活かすことができる――そんな場は、少なかったかもしれませんが、芸能の世界には確かに存在したのです。
この「THE GREATEST SHOWMAN」でも、巨人症にアルビノ、シャム双生児に皮膚病、生まれてこのかた人目に触れぬよう、親までが恥じて世間から覆い隠し、その庇護の下で息を潜めているしかなかった人々が、やがて
「This is me!」と歌い上げ、自ら生きる力を、場を、自らの手でつかみ取る過程も描かれています。フリークからプロディジーへ。

バーナムが上流階級の人々を招いてのレセプションにおいて、かれらフリークスを紹きいれるのを躊躇し、ドアを閉じてしまったり、そのパートナーたるフィリップも、美しい空中ブランコの娘・アンと手を繋いでいるのを親に見咎められ慌てて手を離してしまったり、色々主人公側も日和ってしまうところはありますが、時代背景を考えると仕方ないかなあとも思いますし主人公バーナムは実在の人物なので清廉潔白とはいいがたく、あちこちだめな部分がまたリアル。最後は初志貫徹して仲間のフリークスたちから許されますが、この紆余曲折も王道というか。
余談ながらアンとフィリップの告白シーン、アンがフィリップを避け、フィリップがそれを追う、という表現にサーカスの装置が用いられていて出色、そしてとてつもなく印象的です。空に舞い上がるアン、追って行けないフィリップ、抱き合い2人して天の高みに遊び、そして地上に降りた(現実に戻った)アンは、スポットライトの中で
「愛している、でも無理なの」と低く歌って去ります。ゼンディヤはほんとうに地上4~5mのところで踊ったんですね……
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2018.03.01 01:04 | dvd box 観たらめも | トラックバック(-) | コメント(-) |
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