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LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

アガサ・クリスティと銘打っていますが違うお話でした。
いや、事件の展開、犯人の正体、読者(視聴者)にとっての推理の緒は忠実になぞっているのですがここはセント・メアリ・ミード村の老嬢、ミス・マープルじゃないと! と。



ほぼ2年前に観た「そして誰もいなくなった」では、実は原作では捜査機関の捜査&推理はほぼないも同然、誰もいなくなった後、ただ残されていた犯人の手記で警察は全容を悟る、というエンディングだったのですが、現代劇にするために警視庁の警部を1人探偵役として新たに配し、尺のほぼ半分がこの警部の捜査と推理に割かれていました。
原作の余韻はなくなりますが、定番の型にはめこんだぶん、ドラマはぐっとわかりやすくなり、とくに犯人の手記を「告白ビデオ」に変えたところは故渡瀬恒彦さんの鬼気迫る演技によって殊に印象的でしたので、これはまあありかな、と思ったわけですが、今回も同じ警部がシリーズ探偵然として登場しているのがなんだかなあと。
探偵のいないお話にオリジナル探偵を配置するのと、名探偵の名が冠される作品シリーズ(ミス・マープル・シリーズはその独特の推理スタイルと穏やかで上品で人畜無害な田舎のおばあさんが人間の残虐さや冷酷さに通じている、そのギャップが人気で、毎回その謎解きが何よりの見どころとなる)において、肝心のその名探偵を新キャラと交代させるのはもうぜんぜん違う。警察にヒントをもたらす慎ましい探偵を美し可愛らしい八千草薫さんあたりが演じられていたら、テレ朝を伏し拝むところだったのに。

なのでまったく違うお話だと思って観ました。
よかったところ

一方で本作は、映像の美しさが独特で、とくにレーリィ夫人(大地真央さん)の凛々しさと多摩の雄大な自然。出で立ちもファッショナブルで眼福でした。彼女とドラ(室井滋さん)との交情はしみじみと印象深いものがありました。
ただなんでか「ファインディング・ニモ」のドリーが浮かびましたが。
郊外の小さなコミュニティに集うスノッブな人たち、という雰囲気も悪くなかったし、そのなかでお人好しっぽいタウン誌の編集長(鈴木勝大さん)がいかにもアガサ・クリスティ的な若い男性という感じでよかった。このタイプの快活で魅力的な男性がよく出てきて、見た目通りヒロインを守る素敵なヒーローとなったり、逆に魅力的なぶん悪魔的な犯人になったりします。果たして今回は……?
ミッチ(ルビー・モレノさん)がいかにもな使用人になっていて、これもよかった。ミステリとしてはこの手の頑迷狡猾な人物が大事ですよね。

俳優陣の演技は総じてよかったと思います。

なので最初に
「原作とはぜんぜん違う」とは書きましたが「駄作だ」とか「見る時間の無駄」とか言いたいわけではないです。
ドラマとして楽しめるのは間違いない。

はっきり脚本の失敗と思われるところ

強引に登場人物の名前を原作からとってあてはめたために、多摩に
「変わった名前の人が集まって奇妙なニックネームで呼び合うシュールなコミュニティ」が出現してしまいましたが、それは明治頃の翻訳翻案物ではよくあること(いやクックルとケンケンはないか……マコト兄ちゃんは今回それでよかったのか)。でも、わざわざ現代日本の話とし、警察の捜査にフォーカスしてしまったことは失敗だったのではと思います。
というのも、なんと警察は、むりやりある人物に危ない芝居をさせ、犯人がその人物の口をふさごうとしたところでのそのそ種明かしをしに現れるのです。こんなおとり捜査認められるはずがないし、協力者が殺されなかったのは単なるラッキーです。これはない。
それより、なぜ、その犯人に着目したか、そこをていねいにやってほしかったのです。

また、トリックもそうですが、新聞広告で殺人の予告が行われるという縁起でもないできごとに遭遇し、
「そういうゲームがあるんだよ!」
「きっと誰かのいたずらよ」
とのんきに解釈した人々がパーティーを開催するとか、事件の真相に気づいた人が屋外で大声で話しているとか(そしてその相手は話の途中までしか聞かないとか)、そんなに浮世離れした話を成立させるにはその時代、その社会の空気感というものが必要であって、日本に置き換えるにしてもせいぜい戦後すぐの頃、できれば戦前の話にしたほうがよかったのではないかな? とも思いました。

ちょっといちゃもん

新聞広告をなぜタウン誌にしたのかなあとか。そのコミュニティの人しか読まない小規模な新聞社というのが現代に合わないからなんでしょうが、タウン誌ってその日に読むとは限らないし……重要な連絡は電話やメールのほうがよくないかとか、現代風俗の用い方がちぐはぐでした。
あと、渋谷署の面々はモブ以上の活躍は一切なかったのに、1人1人紹介する必要あったかな? しかも、1人いた女性刑事の紹介が
「女刑事」ってなんじゃそりゃあと思いました。昔のハリウッド映画で黒人枠で出ていた黒人俳優を
「黒人」って言うようなものじゃないですか。先日観たイーストウッドの「運び屋」では、若く裕福そうな黒人カップルを手助けした老齢の主人公がうっかり相手のことをニグロ(日本語だと黒んぼ、とか?)と言ってしまい、
「今はニグロって言わないんですよ」と穏やかに窘められるシーンを思い出しました。「今はブラックマン(黒人)という言い方をします、あるいは単に、ピープル(人々)、と」
皮膚の色をわざわざ呼ぶ必要もない場面があるように、性別も必要なときだけ言えばいいんじゃないでしょうか。 というわけで、もしドラマで関心を持たれた方がいらっしゃったら、ぜひ原作をお読みいただきたいなと思います。
4/27追記。なんとなく文章がもたもたしてるなと思ったのでちょっと手を入れましたが文意は変わってないはず……
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