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LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

60年代アメリカを忠実に再現した街並み、ミニスカにロングブーツ、ニットや無造作なロングヘア、ヒッピーにヒッチハイク。そして当時の社会のあらゆる階層に影響力を及ぼしていた映画とテレビ。世界を変える力すら持っていた、かつてのハリウッド。
……という当時の空気感を感じるための映画だろうと思って観ましたが予想外のオチがついていました。
レオ様とブラピ、かつてのスター俳優が二人して、落ち目の中年俳優&その専属スタントマンを演じているのも洒落ています。

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Photo by Nathan DeFiesta on Unsplash

以下、ネタバレを気にしていない感想文。ブルース・リー好きの方はちょっとムカッとくるかもしれないシーンあり。
おかしな2人の日常

かつてのハリウッド。
若い頃はその甘いマスクとワイルドな雰囲気で数々のテレビドラマに出演、主役を務めてきた俳優、リック・ダルトン。しかし中年にさしかかり、気づけば若手スターを引き立てる悪役のオファーばかり。ではと映画界に転身しようにも
「今更きみを使いたいと思うのはイタリア映画くらいだろう」と言われてしまいます。
主義を曲げてイタリアまでマカロニ・ウエスタンの撮影に出向けば、今度はイメージ合わない蓬髪に伸び放題の口ひげを施され――。

そんなリックと長年バディを組んでいるのがクリフ・ブース。リックの専属スタントマンなのですが、今は付き人のように雑用全般を独身のリックのためにこなしています。そもそものリックの仕事が減っている上に、クリフには不名誉な噂もあり、またトラブルを起こしやすい性格でもあるようで、
「スタントにはクリフを」とリックが言っても断られることが増えてきたのです。

若い頃は共生関係が上手く行っていた2人。でも中年になって以降はいろいろうまくいかないことが出てきて、互いの利用価値はかなり下がっています。それでも離れないのは、友情の故。
映画の大半は、かれらの淡々とした日常の描写。

例えば新作のためセリフを覚えようとするリック、小説の主人公に自己投影してつい涙してしまうリック、意外にも口ひげが似合い、厚みのある体型が悪魔的な迫力を醸し出すリック。わたしは正直、レオ様と呼ばれていた頃のデカプリオには好感が持てていなかったのですが、この劇中劇での演技はとても気に入りました。
セリフにとちってしまい、激しく自己嫌悪しながらもう酒は飲まないと誓うシーン、賢くプロフェッショナルな子役と出会って意気投合するシーン、どこをとっても大好きです。

クリフの方は中年になってもなお衰えないセクシーな外見が、却って
「美男美女がそこらじゅうごろごろしていて珍しくもない」ハリウッドらしさを感じさせます。ハリソン・フォードもピザの配達をしていたそうですね。高校の美人コンテストで優勝したような女の子が長距離バスでどんどんハリウッドにやってきて、プロデューサーとのつながりをつけるまでの一時しのぎだと、バーやダイナーのウエイトレス、クラブのダンサーになるお話もよく聞きます。
当時よく見られた風潮として、本作中でもヒッピー(フラワーチルドレン)たちのヒッチハイクがしばしば描写されていますが、童顔の可愛らしい女の子を拾い、礼としてある申し出を受けたクリフが苦笑いしつつ
「何歳になった? 子供に手を出してつかまるのはな」とやんわり断るのはいかにも女性からのアプローチに慣れた人っぽい。腕力に自信があるためか、トラブルを恐れるタイプではありません。長いもみあげも60年代っぽい。

予定された悲劇へのカウントダウン

前情報をまったく入れずに観たので、このリックとクリフの日常に、ちょいちょいお隣の監督&女優夫妻の日常が脈絡なくインサートされてくるのが気になっていたのですが、若く無邪気な彼女が映画館の受付で自分のことを
「(女優の)シャロン・テートなんだけど」と名乗った瞬間、あ、これはシャロン・テート事件を描いているのか? と気づきました。

「この世界の片隅に」を観れば庶民の日常の、戦時下でも変わらず存在するユーモアや心の華やぎと、戦時下ならではの苦しみを味わいつつ、いつ原爆が投下されるのかと思わずにいられません。それと同じようなカウントダウン効果がこの映画にもありました。
結果的にそのことが、“何でもない日常”のかけがえのなさを強調していくわけで。

タランティーノ作品は、乾いた暴力描写が却ってドタバタコメディを観ているような気分になってしまうという効果があります。詳しくは書きませんが、実際に起こった残虐な事件をこのように処理するのは荒業でもあり、でもこうしてくれてよかった、と思わずにはいられません。
リックが落ち目落ち目と言われつつちゃっかり渋いバイプレイヤーとして復活するといいなと思ったり、クリフは格闘技教室でも開けばいいのにと思ったり、その後の彼らをイメージさせてくれる描き方が大好きです。犬賢い。犬大好き。
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