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本日読了 というべきなのか

と微妙なタイトルをつけたのは、いわゆる「小説」ではなく「体験推理小説」をメインにしたため。
あの「ない本」のない本(@nonebook)さんが、文学フリマに出展されると聞いた時から入手したいなと思っていたところ無事通販の運びとなり、本日到着という次第。ヤマトさんもありがとう。
無事最終回答を終えましたので読了と言っていいかと。

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体験推理小説 ある化粧ポーチからの推測
ない本
たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説
辻真先(創元文庫)

体験推理小説 ある化粧ポーチからの推測


体験推理小説とは何か、ということなのですが、わたし上のポストを見て、今はなき初期型の「マイアミ沖殺人事件」をイメージしていました。普通のミステリではもろもろの推理の手がかりが文章や画像で表現されていますが、「マイアミ沖……」は現場に残された誰かの毛髪、などの証拠物件がいちいち再現され、それを分析したていの鑑識ファイルとともに証拠ボックスの形で出版されるというのが画期的だったのです。
読者はそれを一つ一つ検分し、推理を組み立てていくと……。

届いてみればこの「ある化粧ポーチからの推測」も、ポーチに入ったメイク用品等々の手がかりがわざわざ作りこんであり、凝っていました! サービス精神ありすぎ。
ただ、<はじめに><第1章>……とこちらを誘導してくれる小説部分もあり、必要ならネットを通じヒントも与えられるので、どちらかというと流行りの謎解き問題やリアル脱出ゲームのほうが感じが近かったな、と。

忘れ物の化粧ポーチを手がかりに、よく知っているようで知らない、身近な人の心を探っていくのは、どこか後ろめたかった。でも、手がかりを前にどう調べるのか考えて、
「こうかな?」と試したことが答につながった時は純粋に楽しかった。
うっかり横道にそれたりもしましたが1人で所要時間は30分弱。要ネット環境(スマホでもPCでも可)。
人が多いほうが時間はかかるでしょうが、ああでもないこうでもないと楽しく過ごせるかも。

たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説
辻真先(創元文庫)


Amazonが画像の提供をしなくなったので、こちらの書影はなし。
もともとアフィリエイトのつもりはなく、書影目当てだったのでアソシエイト・プログラム入ってた意味がなくなってきました。

この方はミステリ作家として評価が高いだけでなく、もともと小説がうまい方だと思っています。魅力的な人物造形、最後まで気をそらさない、時にアクロバティックでさえある構成、はっと目を引く謎の提示。アニメの構成をなさっていたせいなのでしょうか。
その筆の冴えで、戦後の教育改革の混乱ぶりと少年少女が味わう理不尽なまでの喪失感、そしてそんななかでもきらきらと輝くような初恋(たぶん)と友情が、その場で見たかのような臨場感を以て描かれています。
トリックも凝っていましたが(ここしばらくあの手法をそっち方面に使ったのは読んでいなくて新鮮)エンディングがお見事すぎて、びっくりするほど爽快な読後感。
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