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LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

家に、トーストに塗るとものすごく美味しいピーナッツバターあったなと思い、いま出してみたら、「アーモンドクリーム」でした。
ちょっと違った。

年をとって、病苦に悩みながら長生きするのはやだなーと思っていましたが、こんなふうに元気で、しかも生活に悩まなくていいなら、おばあさんになるのも楽しそうだなと毎度思います。
さあ皆さんも老後に備えましょう。

老人たちの生活と推理:ピーナッツバター殺人事件
コリン・ホルト・ソーヤー著 中村有希訳(創元推理文庫)
ここをご覧の方にはバレバレなんですがわたしはコージー派とかユーモア派のミステリが大好きです。
ですが同じジャンルの中でも
「いただけないなあ」と思うものは当然あるわけで、ミステリとしてのできが良くても、探偵役のキャラクターが嫌なものは読みとおせないのです。

早い話、警察でも職業探偵でも何でもない人物が事件に首を突っ込むのは不自然なんですね。
相応の理由が必要。

第三者に過ぎないのに、「好奇心」だけで他人の私生活にずかずか乗り込んでいくキャラクターはわたしはどうも苦手だし、そんな無思慮でも無神経でもある主人公を
「思いやりがあり、それを行動に移すのに躊躇しない」
「イキイキして魅力的」
「楽しい冒険」
と作中で誉めたたえるだけの作品には辟易するのです。

「海の上のカムデン」と名づけられたある高級老人ホームの住人達は、裕福、かつ暇を持て余しており、たまたま身の回りで起こった殺人事件に対し、まさに「好奇心」だけで乗り込んでいくわけですが…

全身ファイトの塊、前進あるのみの小さいおばあさん、アンジェラ・ベンボウ。
この人が老人探偵団の旗振り役なのですが、事件にも、若い人たちの恋愛問題にも何でも口を出す彼女の行動は、時に仲間たちにぞんざいに諌められたりもするのです。

「まさかそんなこと彼女に言うおつもりではないでしょうな」
「あんた、そんなこと聞いてエドナが喜ぶわけないでしょが」

そう止められ、自分でも我慢しようと思ったのに、結局は行動してしまうアンジェラ。

被害者の死を悲しむ元婚約者エドナに、被害者の隠された、芳しくない経歴を告げ、その反応を見るという行動を…

そしてエドナがショックで錯乱する様を見て、自分も落ち込んでしまうのです。
翌朝一部始終を報告した相手は、親友キャレドニア・ウィンゲイト。
「だから言ったんでしょが。昔は悪い知らせを持ってきた使者は殺されたもんでしょ。あんた英文学専攻したって言ってたのに『マクベス』読んでないの」と軽くいなす彼女は、皮肉屋で人情にもさばけた、健啖家です(ホテルの設備を再利用した高級老人ホーム“海の上のカムデン”の料理は美味しいのです)。
そうは言っても、彼女もしゅんと落ち込んだ様子のちっちゃなアンジェラについ同情し、釘を刺した後は、励ます言葉を口にしてしまうのですが。

こんな感じで、やりすぎはやりすぎ、失敗は失敗と扱われ、本人も反省するからこそ…老人探偵団の勇み足が魅力的に映るのではないでしょうか。

今回新たに探偵団メンバーに加わるトム・ブライトン翁も、関節炎がひどくろくに歩けもしないのに、“女性が室内に入ってきたら立ちあがって敬意を表する”という古きよきマナーの信奉者。
アンジェラらの不法侵入に参加し、そこで初めて触ったパソコンにすっかり魅せられてしまいます。
事件解決後、彼が新たな冒険のため、さっさと外科手術を受ける決意をしたくだりが爽やかで…お見舞いの花を固辞する彼のために、パソコン用チェスソフトをプレゼントするキャレドニアも素敵でした。

ちなみにピーナッツバターとは、キャレドニアの叔母が発明した“罵り”の言葉。
女性は淑やかにという抑制がきいていた時代には、
「あらまあ!」くらいの罵り言葉しか許されておらず、しかしそんなものでは収まらない、強い憤りを抱いた時には…破裂音の多いこの言葉を叫んですこし溜飲を下げていたというのです。

今回の事件は、フェアなフーダニットでありながら、上述のピーナッツバターや、ブライトン翁の上品なマナー、また
「男は女を見下してて、自分の競争相手になるなんて思ってないから、何でも打ち明けるんだわ」とキャレドニアが言うような、世代論的なものがカギになっている、まさに老人向けの事件。

アンジェラを止めても無駄と早々に悟り、逆に
「情報収集をお願いしたいのです」と囁いて喜ばせてくれる地元署の小粋でハンサムな刑事、マーティネス警部補や老人ホームの可愛いウエイトレス、コンチータなど、他の登場人物も皆、この、大人しく老人の型にはまっていないお年寄りたちとうまくつきあっていて魅力的です。

こんなふうに年がとれるなら、こんな素敵な老人ホームがあるなら…おばあさんライフも楽しそうだなと思うのです。シリーズ4作目。
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