LOVE! HEROES!

特撮番組全般、そして高岩成二さんと伊藤慎さんを応援します。

キャンプや旅行には読みかけの本をがば、っと持っていくことにしています。待ち時間や何かでちょこちょこ読めてしまいますよね。
そんなわけで実は本日じゃなく「先週のキャンプ中読了」です。
ポケミス、および新書3冊。

異人館(ハヤカワ・ミステリ)
レジナルド・ヒル著 松下祥子訳

苦いオードブル(ハヤカワ・ミステリ)
レックス・スタウト著 矢沢聖子訳

少女漫画家が猫を飼う理由--警視庁幽霊係(祥伝社NON NOVEL)
天野頌子著


あと、アンソロジーとかは普段いちいち書いてないのですが、やはりキャンプ中に、アン・ペリー編著の「ホロスコープの殺人」というのも何とかやっつけました。
一年前からずっと読みかけで、どうも星占いというモチーフにあまり興味がなくて進まなかったようなんですが、これをきっかけにピーター・トレメインが好きになリ、結果、昨年「蜘蛛の巣」あたりから読むようになったものなので、一応記録しておきます。
異人館 (ハヤカワ・ミステリ 1795) 異人館 (ハヤカワ・ミステリ 1795)
レジナルド・ヒル (2007/01)
早川書房
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「社交好きの女」で惚れこんだのが運のつき。
以降、ダルジールシリーズをずっと追いかけてきたのですが、これはノンシリーズなので初めての方にもお勧めできます。

ヒルの作劇の特徴は第一に重厚であること。
神話や聖書からの引用、教養として英米の読者が当然読んでいるような様々な文学作品からとられたモチーフ、そして登場人物たち一人一人にあるそれぞれの物語、そうしたものが一冊の書籍の中で錯綜し、幾重にも重ね合わされたドラマティックにして豊穣な構成は、びっくりするほど読み応えがあります。
そのくせ…矛盾するようなのですが、軽妙な印象。
抑えたウィットと骨太のユーモアが両立する不思議な筆致。
生き生きとしてタフな男女の言動。
つい笑わされながらも、次はどうなるのか、次は、もうページが残り少ないのにこの謎はどうなるのかとハラハラしてしまうページターナーぶりもすごい。
そうしたヒルの魅力が、ぎゅっとつまったような仕上がりが本作です。

歴史上の事実(といっても主として1960年代に起こった事件)を踏まえ、スペイン人の若き歴史学者ミグ・マデロと、赤毛のオーストラリア娘にして数学の天才サム・フラッドがそれぞれのルーツを求め、偶然、イギリスはカンブリア州の鄙びた小村で出会い…いやこんな書き出しでは全然この魅力が伝わりません。
「幽霊譚、ゴシック小説、歴史小説、パズラーなど、あらゆる要素を詰め込んだ大作」という帯の文句には、読み終えてあらためて感心します。
大作というほどの分量はないのですが霊感に富むマデロと論理の化け物であるサムがタッグを組むと、この村のあらゆる“クローゼットの中の骸骨”が暴かれてしまうのではという勢い。最後の1行まで油断は禁物です。

苦いオードブル (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS (1797)) 苦いオードブル (HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOKS (1797))
矢沢 聖子、レックス・スタウト 他 (2007/03)
早川書房
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こちらもおなじみネロ・ウルフとは違って、名探偵テカムス・フォックスが登場。

母親が昔のハリウッド映画やアメリカンホームコメディ好きだった影響で、わたしもこの手の“古き良きアメリカ”を代表するような、洒脱にして晴朗、かつタフな、若々しい雰囲気が好きなんですね。ミステリも翻訳もののほうが好きなのはそのせいなのかも。

そんな時代の雰囲気を纏うアメリカンボーイとしては、ウルフの助手、アーチー・グッドウィンが代表選手だと思っているのですが、本作のテカムス・フォックスもウルフ並みの名探偵として既に名をはせているのに、
「女の子が困っているから」という理由で手弁当で働く、なかなかにキュートな人物です。

尤もスタウトの選ぶ時代背景が大恐慌後ということもあり、実は人々は経済という陰鬱な問題に悩まされているはずで、本作の背景となる事件も老舗オードブル会社に伸びる買収の手、商品への異物混入…といった世知辛いもの。
ヒロイン、エイミーはその会社をリストラされ、当時まだ女の職業ではないと言われた探偵という職を選びますがやっともぐりこんだ探偵社もどうやら辞めなければならないかもしれず。
恋ありアリバイトリックあり産業スパイありの可愛い物語がテンポよく語られていく中で、おなじみのレストラン、“ラスターマンズ”が登場したり、「手袋の中の手」の零落した令嬢ドル・ボマーがエイミーの就職する探偵社の社長として登場したり、旧作ファンへのサービスも楽しいです。

少女漫画家が猫を飼う理由―警視庁幽霊係 (ノン・ノベル 834) 少女漫画家が猫を飼う理由―警視庁幽霊係 (ノン・ノベル 834)
天野 頌子 (2007/09)
祥伝社
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「警視庁幽霊係」シリーズ第三作。
二作目の「恋する死体」から読んでいます。完璧な表紙買い。
わたしは和田誠が表紙デザインをてがけているエッセイは必ず買うのですが、同様に坂田靖子がイラストを描いているミステリも必ず買ってしまうのです。

そもそもファンだというのもあるのですが、イギリスもの以外にもミステリ調の作品を手掛けてきたせいか、ハヤカワ文庫などの表紙を時々書かれていますよね。それらの作品が、それぞれ作家は違うのに、妙にわたしの好みに合うようなのです。
そんなわけで、本作も作者の天野頌子さんについては知識がなかったのにいきなり第二作から買ったわけですが、まあまあのあたり。

通常捜査だけでは迷宮入りしそうな事件を扱う、警視庁のなかでも異能者揃いの通称「幽霊係」に所属する柏木警部補は、オカルト好きでもないのに幽霊が見え、話までできてしまうという特異体質。
殺人事件の被害者本人へも聞きこみができるということで、第一線の捜査官たちには嫌われながらも重宝されています。
いつか捜査課に復帰できることを夢見て、グロテスクな幽霊達の姿に胃を痛めつつ事件解決に奔走するのですが…

と、こういう設定なのであまりパズラー的な理屈をこねくり回す要素はありません。
犯人も被害者も同僚も、だれもかれも登場人物がそれぞれに強烈にキャラが立ち、胃弱で気弱な主人公がそれにいかに引きずりまわされるか、という点が読みどころとなる、スラップスティックコメディーです。

なにしろ法事に帰郷したら亡くなったおじいさん(幽霊)の命令でとある事件の相談を受けるはめに陥ってしまうのです。しぶしぶ、そして地元県警に遠慮しいしい、こっそり捜査にのりだす柏木警部補。
その挙句…予測された結果なのですが、
「法事をさぼって何をしていた」と親戚中ににらまれるのですから救われません。

「うちの○○は…だから、何でも相談してよ」と専門職の方々の職能を勝手に安売りする親戚・家族がいますけど、やめてあげてくださいね。

本作は短編集で、その分各作品における背景の説明が短めになっていますので、やっぱり「恋する死体」か「警視庁幽霊係」を先に読んでおいたほうがいいかも。
表題作・少女漫画家が猫を飼う理由は本格ミステリ。

10/3追記。実はサーバ障害でこの記事消えてましたので復旧のついでに文章のおかしなところをちょこちょこ直しました。
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『苦いオードブル』 レックス・スタウト(著), 矢沢聖子(翻訳)
「レックス・スタウト」の長篇ミステリ作品『苦いオードブル(原題:Bad for Business)』を読みました。 [苦いオードブル(原題:Bad for Business)] 「コリン・デクスター」の『カインの娘たち』に続き、懐かしいハヤカワポケミス(ハヤカワ・ミステリ、HAYAKAWA POCKET MYSTERY BOOK)版です。 -----story------------- ...

2017.01.25 21:19 | じゅうのblog

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